東京湾三番瀬にみる「自然再生」の実態


千葉県自然保護連合事務局


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■自然再生事業は新たな自然破壊の恐れ

 全国各地で進められている自然再生事業は、さまざまな問題をかかえています。
 たとえば環境省が「自然再生事業のモデルケース」として進めている釧路湿原の自然再生事業は、釧路川の旧河川の蛇行復元が目玉です。しかし、釧路湿原の自然を悪化させた主因は、湿原や湿原周辺で進められた農地・森林開発などの公共土木事業なのに、そんな従来型公共事業も再生事業と並行して進められています。
 これについてNPO法人「トラストサルン釧路」の杉沢拓男事務局長は、次のように厳しく批判しています。
    《湿原破壊の原因行為、土砂排出源対策など本質的問題に迫らない実験的興味だけの再生工事は、「生態系への打撃と失敗」を招きかねないものがあり、容認できるものではない》
    (『日本の論点 2007』文藝春秋)


■三番瀬は自然再生の名で埋め立ての動き

 東京湾三番瀬(さんばんぜ)で進められている自然再生事業はもっとひどいといわざるをえません。
 三番瀬は東京湾奥部の千葉県船橋・市川両市の沖に広がる干潟・浅瀬です。その一部は埋め立てられてしまいましたが、さらなる埋め立て計画(市川2期・京葉港2期地区計画)は2001年9月に白紙撤回になりました。同年春の県知事選で三番瀬埋め立てが最大の争点となり、撤回を掲げた堂本暁子氏が当選したからです。
 その後、県は「三番瀬再生計画検討会議」(通称・円卓会議)や「三番瀬再生会議」を発足させ、三番瀬再生計画を策定・実施中です。そこでは、「再生」という名で、猫実(ねこざね)川河口域を人工海浜(人工干潟)にする動きが強まっています。
 地元の市川市や漁協、一部の環境団体・再生会議委員などは、この海域を「ヘドロの海」「たいした生き物はいない」などとし、埋め立てて人工干潟にすることを提唱しています。県も、第二東京湾岸道路を通すために人工干潟化をめざしているといわれています。 すでに、自然保護団体の反対を無視して、同海域の一部をつぶす護岸改修工事が、「再生事業の先行事業」としてはじまりました。この護岸工事は、猫実川河口域全体を人工干潟にするための“突破口”の役割を果たしているとも言われています。


■“いのちのゆりかご”を後世に

 猫実川河口域は多種多様な生き物が生息する重要な浅海域です。大潮の干潮時には広大な泥干潟が現れます。県の生物調査では、動物195種、植物15種が確認されています。そのなかには、県レッドデータブックに掲載されている希少種も11種が含まれています。まさに、ここは三番瀬の中でもっとも生物の多い海域であり、東京湾漁業にとっても大切な“いのちのゆりかご”となっています。
 また、この海域には、5000m2のカキ礁も存在します。カキ礁は、水質浄化機能が高いだけではなく、魚礁としての機能も高く、波消し効果もあり、海外においてはその価値が高く評価されています。
 そんな海域をつぶして人工干潟(=疑似自然)を作ることは、「自然再生」の名による埋め立てであり、自然破壊以外の何物でもありません。三番瀬の生態系にも重大な影響を及ぼします。
 埋め立て反対運動をつづけてきた三番瀬保護団体(8団体)は、そんな再生事業に反対し、貴重な三番瀬をそっくり後世に残すため、さまざまなとりくみをしています。

(2006年11月)  








猫実川河口域は、潮が引くと広大な泥干潟が現れます。







猫実川河口域には、約5000平方メートルの天然のカキ礁も存在します。







カキ殻にびっしりはりついたイダテンギンポの卵
カキ礁では、イボニシ、ケフサイソガニ、ヤドカリ、ギンポ、ウネナシトマヤガイなど
たくさんの生き物を発見できます。







アナジャコの穴。
猫実川河口域にはアナジャコもたくさん生息しています。






猫実川河口域の生き物たち






三番瀬海域をつぶして石積み傾斜護岸を建設中







県は、「再生」という名で三番瀬埋め立て計画の復活をめざしているといわれています。
その目的は第二湾岸道路を猫実川河口域に通すこと。
「三番瀬再生」という名で人工干潟を造成する際に
沈埋(ちんまい)方式などで道路を埋め込む、というのが県の考えと言われています。
人工干潟の下に道路が隠れるので、
「三番瀬再生」と第二湾岸道は整合するというわけです。







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