三番瀬再生計画素案


“はじめに土砂投入ありき”

〜投入の目的や目標が不明確〜

千葉県自然保護連合事務局



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 三番瀬再生計画素案の中でいちばん問題なのは、市川市塩浜2丁目の直立護岸を改修して、海に大きく張り出した石積み護岸をつくる。そして、その前面に土砂を投入して「干出域」をつくるということです。素案に対するパブリックコメント(一般市民意見)も、この点に批判が集中しました。


●なんのために土砂を投入するのかが不明確

 ところで、その土砂投入ですが、なんのために投入するのかが明確にされていません。なぜなら、土砂投入の目的や目標がきちんと議論されていないからです。要するに、“はじめに土砂投入ありき”です。
 第20回円卓会議(12月25日開催)で、磯部雅彦委員(東京大学大学院教授、海岸工学)はこう言いました。
「砂を入れることは合意されている。しかし、その目的については、詰めた議論がまだされていない。というのは、どんな土砂を使うのかが決まっていないからだ。比較的粗い砂で人(市民)が入りやすくするのか、あるいは細かい成分の入った砂にするのかによって目的が変わってくる」
 ご覧のとおりです。決まっているのは土砂を入れることだけであって、どんな砂を入れるのかとか、目標をどこにおくのか、はたまた、なんの目的で入れるのかは、まったく議論されていないのです。


●泥干潟をつくることと、市民がふれあえることはちがう

 「できるだけ環境にいいものを最後まで追究すべきだ」という後藤隆委員(一般県民)の意見にたいし、倉阪秀史委員(千葉大学助教授)は「環境をよくするために砂を入れることにした」と言いました。
 しかし他方で、砂を入れることは猫実川河口域の環境を大きく変えることになるのではないか」と述べた大浜清委員(千葉の干潟を守る会代表)にたいしてはこう反論しました。
 「市川塩浜護岸の前に砂を入れることについては、いろいろな方の思いがある。たとえば市川市の住民は、護岸前面にふれあえる場所がほしいという思いがある。そういう思いを調整して、海域の一部に砂を入れることが合意された」
 ここに見られるように、土砂投入の目的がメチャクチャです。「自然環境をよくするため」と言ったかと思うと、つぎは「市民が海にふれあえるようにするため」というのです。
 磯部雅彦委員(東京大学大学院教授)は、別の会合で、泥干潟をつくるということを述べています。しかし、泥干潟をつくることと、市民が海にふえあれるようにすることとは、かなりちがうはずです。散策や海水浴、潮干狩りなど、多くの人が快適に入れるためには、きれいな砂質の干潟や砂浜が求められます。そうした干潟や砂浜は、生物の生息の場としての価値はあまりありません。一方、底質が泥分の多い泥干潟は、多くの人が快適に入れるようなものではありません。「いったいどうなんだ!」と言いたくなります。


●砂投入で「理想的な」「万全な」状態がつくれるのか

 倉坂秀史委員は、土砂投入の理由として、今の猫実川河口域は「理想的な状態ではない」とか「万全の状態ではない」と述べています。磯部雅彦委員は「ベストな状態ではない」を強調しています。
 しかし、この海域は、素案の「三番瀬の現状」でも書かれているように、汽水性泥質干潟生物や泥質域に適応したアナジャコなどの生物が高い密度で生息している唯一の場所であり、「三番瀬の生物多様性の保全において特に重要な場所」です。
 そんな大切な場所に土砂を投入することで、果たして「理想的な」「万全な」「ベストな」状態にすることができるのでしょうか。これまでの全国各地の土砂投入の実例をみると、そんなことは絶対に言えないはずです。

 じつは、三番瀬円卓会議は、こうした全国各地の実例がいちども調査されたことがなく、議論もされていません。また、猫実川河口域は大潮のときに広大な泥干潟が現れますが、円卓会議はその現地視察をいちどもおこなっていません。ここにじっさいに足を踏み入れた委員はほんの数人です。
 これは三番瀬円卓会議がもつ致命的欠陥です。埋め立て(人工干潟造成)計画が中止になった藤前干潟の経験もまったく生かされていません。

 まさに、“はじめに土砂投入ありき”です。三番瀬円卓会議がなぜそんなお粗末なことになったのか。その理由はいずれ明らかになるでしょう。

(2003年12月)









三番瀬の現況図





「石積み傾斜堤+干出域(砂浜)」は土砂投入そのものが目的

三番瀬再生計画素案より











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