埋め立て論理を断ち切り、

 陸側での湿地復原計画を立てていただきたい

   〜堂本暁子県知事への手紙〜


三番瀬を守る署名ネットワーク 代表 大浜 清



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 8月23日の千葉県主催「第1回三番瀬シンポジウム」で意見発表した大浜清さんが8月26日、堂本知事あてに手紙をだしました。
 手紙では、三番瀬で今も漁をつづけている漁師の生の声を紹介し、埋め立て論理を断ち切り、陸側での湿地復原計画を立てるよう求めています。







 県民シンポにお越しになり、「埋め立て計画はなくなったのだ」と明言なさいましたこと、うれしく伺いました。県議会など難関はあるでしょうが、知事が確信をもってお示しになれば、保全の道は開けます。県民をしっかり味方になさるのはこのときです。期待しております。

 県民シンポにおける私の発言、心にお留めいただけたでしょうか。要旨は、
 「猫実川河口域の泥質は、三番瀬のいきものたちにとって重要な栄養の供給源であり、生物多様性を支える環境多様性として重要な存在である。浸食のおそれすらあり、埋め立てどころか、保全を考慮しなければ、やがて三番瀬が砂質化し、栄養が乏しく、単調になり、谷津干潟でみられるように生物量の減少を来すかもしれない。環境差別化のような埋め立て論理を断ち切り、陸側での湿地復原計画を立てていただきたい」
 というものです。
 漁協側からは(特に番外発言の船橋漁協の二人の役員からは)、三番瀬はすでに言われるような豊かな海ではない、との強調がありました。私はそれを、行徳漁協の三番瀬改造計画への支援発言と聞いておりました。
 ところが内実は、江戸時代からの専業漁民である船橋漁民と、戦後に漁業権を獲得した半農半漁の行徳漁協(今は農も漁もやめてしまった人が多い)とでは、大きな意識格差があるようです。陸に上がってしまっている漁協役員と、毎日海に出て魚を追う“漁師”とも明らかな格差があります。
 そのことを、私は昨8月25日、船橋漁民の船に乗せてもらって、“漁師”自身の忌憚のない意見を聞かせてもらって改めて痛感するとともに、私の意見は、細部では素人であるかもしれないが、基本的には正しいことを確信いたしました。
 その漁師の意見をご紹介します。
 「猫実川河口の泥をヘドロだなんてとんでもねえよ。ヘドロってのは、田子の浦に製紙会社が排出したあれから始まったんだ。猫実川の泥は全くちがうよ。生きものはいっぺえ棲(す)んでんだ。だいたい、今の三番瀬は砂質化が進んでしまってアサリも減ってるんだ。だから、おれたちは泥が逃げねえようにしかけを工夫してる。それを大浜さんに見せっぺえと思って、今日案内するんだ」
 それは、竹竿をたくさん並べてコの字形に囲った浅瀬に、網を沈めて海底をおおい、さらにコアマモなどを植えつけたりして、泥の流出を防ぐとともに、いろいろな生物の付着を助けているのだそうです。
 「三番瀬の真ん中に市川航路を掘ってこせえてからだよ(1979〜81年)。泥質が流れて流れてしようがねえ。干潟は低くなっちゃうしよ。それに、アサリは砂とシルトがちょうどあんべえよく混じってなきゃだめなんだ」
 私も、行徳漁協の言い分についひきずられて、アサリは砂質砂質とつい思い込んでいました。
 「三番瀬をいじくるんだったら、真っ先に市川航路を埋め戻してもらいてえよ。市川の工場にでっけえ船がへえる訳じゃねえんだ。陸上輸送で十分だべえ」
 「猫実川河口の泥は保全しなきゃなんねえ。江戸川放水路は泥を供給してくれやしねえ。市川航路を掘ってからは、大雨が降って水門を開けても泥が三番瀬に供給されずにまっすぐ沖へ出てっちまうんだ。生下水の有機質だって少しは必要だよ。この干潟が、養分にしてきれいにして食っちまうんだから」
 「バクリックアクセスだか何だか、やたらに市民利用、市民利用っていうけどよ。おれは反対だな。市民にやりたい放題に利用させたら、たちまち海はダメになっちまう。おれたちの管理が必要なんだよ」
 私たちの目の前を水上オートバイが波をけたって走り廻っていました。
 「網は切られっちまうし、資源なんておかまいなしだし」
 「とにかく、猫実川河口の泥は大切にしてもらいてえ。夜の大潮の時に行って見な。ゴカイがパーッと花のようになるよ」
 夜ではありませんが、私も6月24日大潮の日、猫実川河口域の泥質地に降り立って、表面は泥であるが、泥深くはないこと。アオサの害を宣伝しているが、アオサの間にはアナジャコ、ドロクダムシ、アカニシ等々といった底生動物がいっぱいいて、タイワンガザミ、イシガニをはじめとする大型カニ類の生体や脱皮したての殻をいっぱい見つけました。魚影も濃い海でした。
 「自然保護団体がよ。猫実川河口を埋めてもらいてえなんて、とんでもねえよ」

 漁師Q氏の意見をなるべくそっくりお伝えしました。御参考になれば幸いです。
 では、三番瀬のため、ラムサール条約・生物多様性条約推進のため、堂本さんの本領発揮を待ち望んで。

  2001年8月26日


 






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