道路は地方を衰退させた

〜活力を奪い、疲弊させるケースが多い〜


公共事業と環境を考える会



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 道路は地方の活力を奪った──。(2008年)2月13日の『朝日新聞』の「声」欄で、千葉市のある方がこう書いています。
    《私の出身地は房総半島の中ほどにあります。昔から町の中心を1本の県道が貫いており、両側の商店街は繁盛しておりました。
     ところが、バイパスができたために、酒屋も呉服屋も洋品店も眼鏡屋も時計屋も八百屋も魚屋も肉屋も旅館も食堂も売れ行きが激減し、閉店または開店休業となりました。
     バイパスが町を活性化したのではなく、反対に衰退・疲弊させ潰してしまったのです。》
 まったくそのとおりです。
 「地方の活性化」をうたい文句にし、大型道路や高速道路が、いまも全国あちこちで建設されつづけています。しかし、高速道路が建設されると、「活性化」ではなく、地方を衰退・疲弊させるケースが圧倒的に多いのが実態です。


■東京湾アクアライン開通で木更津市の経済は壊滅状態

 たとえば、東京湾アクアライン(横断道路)です。これができると、木更津・君津地域など南房総の人口が増え、経済が活性化するといわれていました。

 しかし、実際に開通すると、木更津市などの経済は壊滅状態です。人口も減る一方です。対岸の神奈川や東京から人がやってくるどころか、逆に、木更津・君津の市民が東京湾アクアラインを利用して神奈川に買い物にでかけるという事態がおきました。つまり、アクアラインはストロー効果を果たしているのです。

 昨年(2007年)2月11日の『朝日新聞』はこう記しています。
    《木更津は江戸時代から江戸と房総を結ぶ商業地。明治〜戦前は軍隊、戦後は湾岸開発と続き、長らく内房きっての商業都市として栄えた。しかし、商圏の君津、富津、袖ケ浦の3市に商業施設ができたこともあり、バブル崩壊後はJR木更津駅西口前にあった木更津そごうが倒産、ダイエー、西友、十字屋も撤退し、商店街は閉店が相次いだ。
     輪をかけたのが東京と横浜への時間距離を一気に短縮したアクアライン。大量の消費者が流出しているとみられる。
     木更津商工会議所の統計によると、小売業の販売高は、91年の1713億円から、04年の1231億円まで13年間で500億円近く減少。商店数、従業員、売り場面積ともに大幅に減った。同市の市街地の現状は食品、日用品の買い物すら便利とはいえない商店過疎状態。》

    《市民の間では「ちゃんとしたものを買いたくても、売っている店がない」(企業経営者)との不満が強く、若者は「欲しい物はアクアラインをひとっ走りして東京、横浜で買う」のが現状だ。》


■高規格道路は人口流出のストローの役割を果たしている

 本間義人氏(法政大学名誉教授、国土・都市・地域政策)も、自著『地域再生の条件』(岩波新書)でこう書いています。
    《国が地方に奨励し、また国自身が地方を対象に展開してきた政策は、農山村の近代化政策でした。具体的には道路と橋梁を建設することであり、「道橋政策」と呼ばれるものです。(中略)
     これにより、たしかに地方の公共施設は整備されました。しかし、それによってもたらされたのは主に高速道路やバイパスを利用する巨大交通であり、高規格道路は人口流出のストローの役割を果たすだけでした。
     また不必要なハコ物がつくられ、従来からの生活交通や近隣コミュニティは駆逐されていきました。農山村(漁村もふくめて)はあたかもゼネコンの利潤追求の場と化して、鉄とコンクリートが集中的に投下され、その結果として弱者の定住環境としての地域が衰退していくことになったのでした。これでは地域が衰退から崩壊への一途をたどらざるをえなくなるのは当然といえましょう。》
 ご覧のとおりです。


■高速道路はおいしい「金のなる木」

 ところが、国交省や道路族議員、そして全国の知事や市町村長らは、道路整備の財源である揮発油(ガソリン)税などの暫定税率と道路特定財源の堅持を求めて血眼となっています。千葉県の堂本知事も同じです。
 この人たちは、「地方を活性化するために大型道路の建設は今後も必要」と宣伝しています。しかし、それは建前にすぎません。
 実際は、族議員や土建業者、国交省などにとって、大型道路や高速道路はおいしい「金のなる木」となっています。地方が衰退しようが、自治体が破綻しようが、また国が滅びようが、彼らにとってはどうでもいいことなのです。
 これが、高速道路などをつくり続ける本当の理由ではないでしょうか。

(2008年2月)








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