市川市の「市税1%支援制度」に異議あり

〜貧しい市民の政治参加を制限〜


石井伸二



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 市川市が昨年(2005年)からはじめた「市税1%支援制度」は、先駆的な試みとして全国の自治体から注目されています。
 この制度は、ハンガリーの「1%法」にヒントを得たもので、納税者が活動に共感を持ったボランティア団体やNPO法人を選んで指定するものです。納税者の市民税1%分が積算され、指定された団体・法人の活動費として交付されるシステムとなっています。
 支援を受けているNPO法人などはこの制度を評価しています。しかし、批判的な意見もだされています。たとえば、神野直彦氏(東京大学教授)は、「市民の政治参加を制限し、民主主義を後退させる」ものだとし、この「市民1%支援制度」をきびしく批判しています。
 氏は、「『市税1%支援制度』は市民の政治参加を制限し民主主義を後退させる」(『日本の論点 2006』文藝春秋)の中でこんなことを述べています。


■直接税の納税額に応じて政治への参加を認めた制限選挙の復活

    《「市税1%支援制度」も「公」と、「公」を支える民主主義を葬り去ろうとする、邪知に長けた企みということができる。社会の構成員の「共同の財布」である財政は、社会の構成員の共同意思決定にもとづいて運営されなければならない。》

    《市民団体に補助金を出すとしても、どの団体にどれだけの補助金を、「市民の共同の財布」から支出するかを決める権利は、すべての市民に平等にあるはずだ。ところが、「市税1%支援制度」のもとでは、住民税の納税者にのみ権利が認められる。しかも、納税額の多寡に応じて、財政の決定権限が左右されてしまう。》

    《住民税を納税していない貧しい市民に歳出の決定権限を認めないことは、富裕な市民である納税者に限って政治への参加を認め、納税額の多寡に応じて権限を変えていくことになる。それは直接税の納税額に応じて、政治への参加を認めた制限選挙の復活といってもよい。しかも、住民税を納税していない貧しい市民は少なくとも間接税では、逆進的にむしろ重い負担を強いられている。そうした重い負担に喘(あえ)ぐ市民には、貧しいが故に政治への参加を認めないのが「市税1%支援制度」である。》

 正論だと思います。

(2006年12月) 









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