三番瀬円卓会議(再生会議)は

アリバイ作りのセレモニー?

〜第二湾岸道路を棚上げ。自然環境問題は議論なし〜


石井伸二



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 「日本生態学会ニュースレター」(2005年12月)の書評で、三番瀬についてこんなことが書かれているそうです。書評の対象は、小野・宇野・古谷編(2004)『海辺の環境学:大都市臨海部の自然再生』(東京大学出版会)です。
     「三番瀬問題については、かつて私自身も県の環境問題検討の委員の一員としてかかわったことがあった。当時の公共事業の検討に関しては、今日ほど全開的な市民参加はなく、会議そのものも非公開であった。しかし、いま思えばそのぶん会議関係者の社会的責任は重大であり、開発側と市民の代表そして研究者とが一体となっての腹をわった膝詰めの議論ができたように思う。したがって、地域の将来と自然保護の整合を真剣に考えていた当時の開発行政の担当者は、三番瀬問題の最大の論点である国の第二湾岸道路計画について多くのデータを示し解説してくれた。このような互いの信頼関係に基づくプロセスで完成したのが、三番瀬環境保全にあたっての土地利用の必要性の再検討を軸にした知事への答申(H13.3 千葉県環境会議)であった。そのなかの第二湾岸道路計画についても最新のデータに基づいての交通量予測の見直しの必要が盛り込まれた。しかしその後の新しい知事のもとに作られた三番瀬円卓会議では、第二湾岸道路に関する議論は棚上げにされてしまった。いくら公開の市民参加でも、そもそもの開発の必要性を先送りした議論は、単なるガス抜きアリバイ作りのセレモニーになりかねない。
     自然再生や循環型社会の看板のもと、経済至上主義から抜け出せない日本の頑強な開発プロ集団がいまもなお着々と進める危うい計画に対し、資金・権限もない市民や研究者がいかに対処すべきかの課題はいまも変わらない」
 この指摘はまったく正論です。


■「計画策定懇談会」などは第二湾岸道問題などを徹底議論

 県は1998年10月、「市川二期地区・京葉港二期地区計画策定懇談会」(計画策定懇談会)を発足させました。これは、三番瀬埋め立て反対の世論が高まったため、計画の見直しを目的としたものでした。また2000年には、埋め立て計画の妥当性などを審議する「県環境調整検討委員会」(県環境会議の下部機関)が開催されました。
 「策定懇談会」も「環境調整検討委員会」も非公開でした。しかし、指摘されているように、論議はかなり中身の濃いものでした。三番瀬の生態系がどうなっているか。その生態系は、埋め立てや人工干潟造成によってどのような影響を受けるか。埋め立ての目的となっている第二湾岸道や下水処理場は本当に必要なのか。──こうした問題を、かなり踏み込んで侃々諤々(かんかんがくがく)と議論したのです。第二湾岸道や流域下水道計画などに関する最新データや県の考え方も、たくさん提示させました。
 会議は非公開だったものの、議論の内容や会議資料は三番瀬保全団体にもすべて伝えられました。
 「策定懇談会」では、開発法子氏など“環境派の委員”も、三番瀬の生態系を守る立場から大奮闘しました。「環境調整検討委員会」では、県が主張する埋め立て計画の妥当性などを一部の委員がきびしく批判しました。


■円卓会議や再生会議は単なるセレモニーと化している

 その後、2001年春の知事選で三番瀬埋め立て計画が最大の争点となり、選挙戦の終盤で「白紙撤回」をかかげた堂本暁子氏が当選しました。そして、同年9月に埋め立て計画が白紙撤回されました。
 しかし、堂本知事は、「第二湾岸道(第二東京湾岸道路)は必要であり、建設すべき」ということを知事就任当初から言いつづけています。この道路は三番瀬で中ぶらりんとなっているため、三番瀬を通さないと開通しません。
 そこで、堂本知事は、2002年1月に「三番瀬再生計画検討会議」(円卓会議)を発足させました。円卓会議は市民参加や完全公開が“売り”です。
 しかし、第二湾岸道の問題はいっさい議論させません。三番瀬の自然環境に関する議論は、円卓会議では一定程度されたものの、「三番瀬再生会議」(円卓会議の後継組織。2004年12月発足)では、自然環境の議論もまったくといってよいほどされません。
 その一方で、県は、第二湾岸道の陸域部分の拡幅工事を進めたり、早期具体化を国(国交省など)に要望しつづけるなど、建設に向けた動きを強めています。
 要するに、円卓会議や再生会議は「単なるガス抜きアリバイ作りのセレモニー」になっているといっても過言ではないでしょう。


■自然破壊計画に市民らがどう対処すべきかは今も変わらない

 繰り返しますと、前出の書評ではこう書かれています。
     「自然再生や循環型社会の看板のもと、経済至上主義から抜け出せない日本の頑強な開発プロ集団がいまもなお着々と進める危うい計画に対し、資金・権限もない市民や研究者がいかに対処すべきかの課題はいまも変わらない」
 まさにそのとおりです。
 ちなみに、三番瀬では、何人もの知識人(学者・専門家・研究者)が「開発プロ集団」の片棒をかついでいます。

(2006年2月)   






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