行徳野鳥観察舎の存続を求める

〜千葉県自然保護課と話し合い〜



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 行徳野鳥観察舎を(2015年)12月28日から休館にする──。これを県が突然発表しました。県民はそれを12月11日の新聞報道で初めて知りました。
 県はまた、同観察舎の廃止方針案を県行政改革審議会に諮問しました。廃止・休館の理由は「行政改革」と施設の老朽化です。

 そこで、三番瀬保全団体と千葉県野鳥の会のメンバー、市川市民は12月25日、行徳野鳥観察舎を担当する県自然保護課と話し合いました。
 話し合いの目的は、野鳥観察舎の休館と廃止方針を決めるにいたった経過や自然保護課の考えを聞くこと。そして、行徳野鳥観察舎の早期再開・存続を求めることです。話し合いには、行徳湿地(行徳鳥獣保護区)や行徳野鳥観察舎を利用している16人が参加しました。県自然保護課は副課長など4人が出席です。

 参加者は、行徳野鳥観察舎がはたしている重要な役割を説明し、野鳥観察舎の存続を強く訴えました。
 こんな意見がだされました。


◆行徳野鳥観察舎は千葉県が誇るべき施設

 「私は、行徳野鳥観察舎がオープンした40年前(1976年)からこの野鳥観察舎にかかわっている。その当時は、全国でも野鳥観察舎はここしかなかった。この観察舎は千葉県が誇るべき施設である。全国の野鳥愛好家や自然保護活動家の間では、行徳野鳥観察舎を知らない人はいない。だから、野鳥観察舎を廃止するという方針は全国的な話題になっている。利用者の意見を無視し、たんに金がかかるというだけで廃止するのはやめてほしい」

 「行徳野鳥観察舎はたいへん重要な役割をはたしている。一つは観察機能だ。行徳湿地の鳥を観察舎から観察できる。観察舎に置かれている資料をみながら観察できる。二つめは管理機能だ。行徳湿地を管理したり、傷病鳥を収容したりしている。三つめは利用者の休憩機能だ。行徳湿地にやってきた人が館内で休憩したりトイレを利用したりすることができる。この3つの機能を備えた恒久的な施設をつくってほしい。行徳湿地と傷病鳥収容施設(野鳥病院)は今後も維持するとなっている。それらを維持・保全するために、3つの機能を備えた建物をぜひつくってほしい」

 「休館を決める場合は、利用者のことを考えるべきだ。千葉県野鳥の会は行徳湿地の観察会を毎月開いている。地元の人たちも行徳湿地を利用している。私たちは、私的にも観察会をひんぱんに行っている。そのときに、野鳥観察舎を急に休館にされると、利用者はたいへん困る。休憩場所もない。トイレもない。行徳湿地や傷病鳥収容施設(野鳥病院)を管理している職員たちも、管理機能をはたせないのではないか。休むところがない。データの整理ができない。事務もこなせない。したがって、そのような最低限の機能をはたせるような施設を緊急につくるべきだ。それをしないで急に休館したら困る」

 「管理機能は管理人棟に移すと言われたが、管理人棟は古い民家だ。たいへん狭い。そんなところで本来の事務はできない。しかも、トイレは一つしかない。私たちが行徳湿地で開いている観察会は、多いときで120人ぐらい参加する。トイレが一つでは、使いものにならない」

 「行徳野鳥観察舎の役割は、湿地を保全することの大切さを実験的に証明していることだ。行徳野鳥観察舎は、生物多様性の重要なポイントを歴史的に担ってきた。日本のなかで、そういう場所がほかにあるのか。ないではないか。行徳野鳥観察舎は、湿地の浄化能力の高さも実験で明らかにした。この野鳥観察舎は、いくら金をだしてもいいくらいの、たいへん重要な施設である。だれもやれないことをやってきた」

 「宮城県の伊豆沼・内沼はラムサール条約湿地である。そこで湿地保全活動を行っている方から千葉県知事に要望書がだされていると思う。この方はこう述べておられる。『行徳鳥獣保護区(行徳湿地)は日本の湿地保全の象徴です。各地で湿地を保全したり自然を観察したりしている人々の心の支えとなっています。湿地を保全するためには、人が集うことのできる施設が必要です。そこで人の気持ちがつながるからです。私は東日本大震災の被災地に住んでいます。津波によって建物がなくなっても、仮設の施設で集まることができれば人はつながれることを実感しています』。だから、行徳野鳥観察舎を休館したら、すぐに代替施設をつくってほしい。プレハブでもいい。休館のまま放っておくと、全国からクレームがつくと思う。日本の自然保護行政の感覚は地に落ちてきたな、と判断せざるをえなくなる」

 「船橋市内の中学校の先生方が、校外学習として行徳野鳥観察舎に生徒を連れてくることがある。ある先生からこんな話を聞いた。『野鳥観察舎に連れていくと、生徒はすごく興味を示す。自分としては、野鳥観察舎を含めた行徳湿地をさらに充実させてほしい』」


◆文化面・環境面も考慮すべき

 「文化的なものはカネがかかるからもうやめるというのはおかしいのではないか。野鳥観察舎は市川市民の方が日常的に利用している。また、全国から行徳湿地を見に来る人もいる。経費だけでなく文化面や環境面も考慮すべきだ」

 「金の面でいえば、幕張メッセも行政改革審議会の検討対象になっている。しかし、メッセはそのまま存続になっている。毎年、県が2億円とか3億円を一般会計から赤字補てんしている。つまり、幕張メッセのような施設は、一般会計から何億円も赤字補てんして存続させる。ところが、行徳野鳥観察舎のような施設は、年間で2000万円しかかからないのに廃止するという。耐震工事するとしても、幕張メッセの赤字補てん額(年間)の半分以下でできる。そこになにがあるのか、ということだ。自然保護課は自然環境や文化の重要性をいちばんわかってくれる部署である。その自然保護課が、全体の流れに巻き込まれて『県全体の方針だから仕方がない』と言うのでは困る。自然環境や文化を守るという立場にたって、県庁のなかでがんばってもらいたい。いっしょにやりたい。そういう趣旨できょうの話し合いをもった。立場があるので、いろいろとたいへんところがあるだろう。しかし、自然保護課が発信しなかったら、だれも言わなくなる」

 「行政改革を進める立場からすれば、利用者が減ったとか、費用がかかるとか、耐震性能が低いというような理由をあげる。しかし、自然保護課の立場としては、今後も存続させるべき施設ということを理解しているのではないか。そういう立場から発言し、理解してもらうようにがんばっていただきたい。そうしなかったら自然保護課の仕事もなくなってしまう」


 1時間やりとりしたあと、自然保護課はこう述べました。
 「いただいた意見は、ひとつの材料としてきちんと受けとめさせていただく」
 「つぎの行革審議会は1月19日に開かれる。最終方針案が決まってからパブリックコメント(意見公募)にかかる」

 行徳野鳥観察舎を愛する者一同は「行徳野鳥観察舎の再開と存続を求める」署名を進めています。



行徳野鳥観察舎の存続を求めて県自然保護課と話し合い=2015年12月25日



行徳野鳥観察舎=2015年12月27日撮影



親子連れや野鳥愛好者などで大にぎわいの行徳野鳥観察舎=2015年12月27日



観察舎から行徳湿地(鳥獣保護区)の鳥を観察する来館者=2015年12月27日



行徳湿地(行徳鳥獣保護区)



傷病鳥収容施設(野鳥病院)



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