■土建業者・政治家は、下水道工事が延々と続くことを
望んでいる
ちなみに、不合理な流域下水道方式が相変わらず主流となっていることについては、宇井純氏(故人。沖縄大学名誉教授)がこんな指摘をしています。
《巨大化した流域下水道の非合理性を説いて来た私のところを訪れたある町議が、帰りぎわに言ったのは次のようなことだった。
「なるほどお話はわかりました。だが私たち田舎で政治をやっている者にとっては、大規模な下水道の計画が来れば、地主は水洗便所がつけられるので地価が上がり、票になる。土建業者は土の中の工事なので手抜きができて、その金の一部はこちらへ廻って来る。そして何十年もかかる事業だから、選挙のたびにあれは俺が取って来た工事だと宣伝できる。これがもし合併浄化槽などで計画されると、せいぜい4〜5年で全部普及してしまうから、選挙で使えるのは1〜2度しかないのですよ。」
なるほど、納税者から見て欠点と思われるところが、ある種の立場の人間にとっては全部利点になる、そういう世界に我々は住んでいるのである。
このごろはあまり流行らないが、階級社会というものが厳として存在し、その中に我々が生きているのだと思い知らされるような一言であった。
科学技術にもはっきりとした階級性、立場性があるのだということは、日本ではなるべく語られないように仕向けられているが、動かしがたい事実である。》
( 宇井純「ある化学技術者の足取り」、『公開自主講座「宇井純を学ぶ」』所収)