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OZ DISCオーナー 田口史人が 選ぶ 今月のレコード

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▼2001年10月号


井上敬三/PASSIONATE AGE
(Ohrai/SICH-1010/CD)

ひっそりと出たフリー・ジャズ界の大大重鎮、井上敬三先生の新作。御年、今年で79歳。リーダー作はこれがなんとまだ4作目!東京初ライヴが53歳なんだから遅咲きっていうか、戦前ブルースマン並みに再発見されたって感じでしょうか。「インティメイト」('79/COLUMBIA)、「Keizo in Moers '81」('81/TRIO)、「ボーイズ・ビー・アンビシャス」('84/COLUMBIA)に続いてなんで17年ぶり。バックは山下洋輔、坂田明、渡辺香津美、吉野弘志、原田依幸、竹澤悦子、不破大輔、翠川敬基、大友良英、中村達也の面々。オーソドックスなスタイルながら太い。メロウな曲の太さこそが真骨頂か。「春の月」の管を吹き抜ける空気の「気」にクラリと来て、あまりにでっかい大団円「サンバッパ」に繋がる後半は素晴らしすぎ。


久下恵生/KUGE
(Bumble Bee/BBCDE-13/CD)

古くはフィルムスやパンゴ、最近ではパラダイス・ガラージのバックなど叩いていたドラマー、初のソロ・アルバムは自身のドラム・ソロと声、それをドライ&ヘヴィーの内田がダブ処理をするというもの。兇悪な作品。スネアの一発一発が明朗に殺気立っている。いったいこれはなんなのであろうか。


TWIGY/The Legendary Mr.Clifton
(TOKUMA JAPAN/TKCB-72228/CD)

ユー・ザ・ロックをフィーチャーしたいけいけのパーティー・チューンが先行シングルだったんでその路線なのかと思っていたら、前作以上にイカレ切ったアヴァンギャルドな内容にびっくり。トラックの隅から隅まで妖しい紺色のぬめりを持った怪盤。本人のルックスもどんどんヤバくなってる。ゴンゾさんに近いのでは。


TV's HIGH
(VICTOR/VIBF-97/DVD)

宮藤官九郎と木村祐一が制作で組んでるってだけでもスゴイのに、青島幸男から木村拓也、YOU、果てには宇多田ヒカルまで出演した近年の深夜番組では傑出したばかばかしさと緻密さとブラック・ユーモアを含んだ傑作番組がコンプリート商品化。クレイジー・キャッツとモンティー・パイソンを21世紀の深夜番組で濾過したような面白さ!


シェシズ/約束はできない
(ALCHEMY/ARCD-135/CD)

84年作のシェシズ・ファースト・アルバムが当時のライヴ2曲をボーナス・トラックに加えて初CD化!当時のメンバーは向井千恵(胡弓,vo)、工藤冬里(g,p,vo)、西村卓也(b,vo)、高橋朝(perc,vo)。ほとんど向井&工藤の双頭バンドと言ってもいいバランスで、工藤冬里が効いている。ボートラ最後の「星」などはハレルヤズ、マヘルへ直結だ。 サイケデリックとヨーロッパのジプシー文化が日本に「洋楽」として入ってきたときの妖しさと熱気がごちゃまぜになってパンクとニューウエイヴの空気の中でハレーションを起こしている。このアルバムでは奇跡が起こっているのだ。聞かねばならない1枚。


シバ/コスモスによせるRECOVERED
(Seals/SEAL-17/CD)

シバのセカンド・アルバムにして最高傑作として名高い「コスモスによせる」はシバの全アルバム中でも最もレアな1枚としても知られていますが、それもこれもソニーがCD化を渋っている上に権利の貸し出しもしないからで、まったくソニーの無神経ぶりにはほとほと呆れるけれども一番可哀想なのは当のアーティストで、どんな要望があっても自分の作品をCD化することもできないから実質的には封印されたようなものになっちまう。で、当人の取れる手段としては年末に出る「四人囃子ボックス」みたいにアルバムのデモとか当時のライヴを出しちゃうとか、または本作のように作り直すほか無いわけです。しかし、こうして「名作」とほまれ高いアルバムを丸ごとやり直すってのはこれは勇気がいりますよ。あの時代でしか出しえなかった「何か」が詰まっているからこそこのアルバムは名作なわけで、それには遠く及ばない、と考えるのが普通かもしれませんが、このアルバムは特別かも。越えてる越えてないという話ではなく、ここにはまったく同じ曲で今でしか成し得ない「何か」がきっちり詰まってる力作です。


ステージ101/ステージ101ベスト
(SOLID/CDSOL-1043-4/2CD)

ピコ、シング・アウトと来て、当然次はこれですよね。70年代初頭に数々のヒット曲とアイドル・スターを輩出した歌と踊りのバラエティ番組のベスト・アルバム。当時からのファンが選んだヒット曲集と土龍団が選んだレア曲集の2枚組。


ヒカシュー/ヒカシュー・ヒストリー
(TZADIK/TZ-7235/CD)

「ヒカシュー1978」とはまったくの別編集、全曲未発表曲で追ったヒカシュー・ヒストリー。プレ・ヒカシュー時代も入ってます。


VA/asian takeaways
(QDK MEDIA/CD-38/CD)

70年前後のアジアにスポットを当てた怪歌謡曲集。ファズが乱れ飛び異常な音響処理でロック熱からの影響をあらわにしながらもどうあがいても血の濃さからは逃れられないという素晴らしい作品だらけ。



vol.1


vol.2

VA/カルトGSモンスターズvol.1
(CROWN/CRCP-20278/CD)

VA/カルトGSモンスターズvol.2
(CROWN/CRCP-20279/CD)

もうなんにも無いだろ!と突っ込み入れたくなるGSのCD化。しかしこの2CDはちょっとスゴイ。なんたってジェノバ、プレイボーイ、レンジャーズ、ターマイツといったカルトGSの極点にいるバンドたちの未発表曲がごっそり…。さすがは黒沢進&サミー前田仕事!



加地等


双葉双一

加地等/僕はフォークシンガー
(HOMESICK/HOME-1/CD)

双葉双一/双葉双一に気をつけて
(Oooit!/ORCA-102/CD)

共に70年代に確立した「日本のフォーク」のスタイルを聞かせる新世代。加地等はラブクライの三沢洋紀の個人レーベルからのリリース。気持ちいいくらいにストレート。言葉で勝負しているその姿勢も当時のフォーク・シンガーに直結。エロねた多し。一方の双葉双一はインパクト勝ち。70年代日本のディープ・フォークを現代にズボッと強引にはめてしまった力技。言葉の感覚は完全に2001年なんだけど、言葉の乗せ方、メロディーのセンスなんかは完全にあの時代のもの。こりゃ話題になっても仕方無い。おもろいもん。


place called space/place called space
(GYUUNE CASSETTE/CD95-21/CD)

売れそう(というのも危険な物言いだが)。すでにアンダーグラウンドではその美貌とともに有名になっている大木美佐子のエレキ弾語り。そのギターの太い音と女の子らしいポップでロマンティックなメロディー、コンパクト・サンプラーを駆使した独特なプレイ・スタイルですでに自己のスタイルを完成させています。


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