英米文学講義
                

(0) シラバス

 


 ●前期 ●2単位 ●18

 英語・英米文学特殊講義A

 

授業の到達目標及びテーマ

  アメリカン・ゴシック研究A。アメリカ文学の形而上的傾斜と関係をもちながら今日の小説にまで続いているゴシック・ロマンスの伝統を歴史的・構造的に考察し、アメリカ小説の特性を考える。

 

授業の概要と方法

 前期(A)では、歴史的な概観が主となる。18世紀中葉にイギリスで起こったゴシック小説がアメリカに移入されて、作家たちにどのように受容・変容されたか、同時により大きな文化史的な文脈でのゴシックの変化(推理小説やサイエンス・フィクションの派生、世界観の変化など)とアメリカ的なゴシックの特性を概説する。プリントを配布し、クラスとの議論をまじえつつ講義してゆく。イギリスのゴシック小説についても言及する。

 

テキスト

プリントを使用。

 

参考書

初回に文献リストを配布する。とりあえず日本語で読めるものとして、ドナルド・リンジ『アメリカ・ゴシック小説19世紀小説における想像力と理性』(松柏社、2005)、八木敏雄『アメリカン・ゴシックの水脈』(研究社、1992)、小池滋『ゴシック小説を読む』(岩波書店、1999〔岩波セミナーブックス〕)、E・バークヘッド『恐怖小説史』(牧神社、1975)、など。

 

授業計画

(前期)

英語・英米文学特殊講義A

各回のテーマ(目標)

各回の内容

第1回

イントロダクション

序論。参考文献リストの配布。

第2回

ゴシック・ロマンスのはじまり

Horace Walpole, The Castle of Otranto.  ウォルポールの小説観。

第3回

アメリカ小説のはじまり

Charles Brockden Brown のゴシック小説。「中世」をもたないアメリカにおけるゴシックの可能性について。

第4回

ゴシックの美学的背景

The beautiful, the sublime, the picturesque と恐怖。

第5回

ゴシックの変化(1)

ゴシックのパロディー。Washington Irving のユーモア・ゴシック。Jane Austen Northanger Abbey

第6回

ゴシックの変化(2)

ゴシックと科学・擬似科学。サイエンス・フィクション。Nathaniel Hawthorne の小説におけるマッド・サイエンティストたち。

第7回

エドガー・アラン・ポー

ゴシックの多様性。人種問題とゴシック。推理小説のメカニズムと神秘主義の底流。

第8回

ハーマン・メルヴィル

思想小説とゴシック。

第9回

19世紀女性作家とゴシック

大衆小説とゴシック。幽霊小説。

10

19世紀末思想とゴシック

オカルト・リヴァイヴァルとゴシック。

11

ウィリアム・フォークナー

南部ゴシック。

12

パルプ・フィクション

SF、探偵小説、ミステリー。

13

カウンター・カルチャー

伝統的認識論への懐疑。

14

トマス・ピンチョン

現代文学のゴシック。

15

アメリカン・ゴシック

新たなゴシック的意識の広がり。

 

成績評価基準

  平常点およびペーパー (平常点20%、レポート80%)

 

その他

  後期(B)は具体的に作品を読んで議論を深めたい。継続履修が希望される。

 


 ●後期 ●2単位 ●18_

 英語・英米文学特殊講義B

 

授業の到達目標及びテーマ

  アメリカン・ゴシック研究B。アメリカ文学の形而上的傾斜と関係をもちながら今日の小説にまで続いているゴシック・ロマンスの伝統を歴史的・構造的に考察し、アメリカ小説の特性を考える。

 

授業の概要と方法

 後期(B)では、具体的にくわしく作品を読んで、構造的な考察と議論をこころがける。中心的なテクストは、ワシントン・アーヴィングとエドガー・アラン・ポー。人数にもよるが、レポーターを立て、報告をもとにクラスとの議論をまじえつつ講義していきたい。

 

テキスト

  プリントを配布する予定。

 

参考書

「幻想」について――ツヴェタン・トドロフ『幻想文学論序説』(東京創元社、1999)。探偵小説について――ハワード・ヘイクラフト『娯楽としての殺人――探偵小説・成長とその時代』。ポーについて――八木敏雄・巽孝之編『エドガー・アラン・ポーの世紀』(研究社、2009)。「オカルト文学」について――Peter B. Messent, Literature of the Occult: A Collection of Critical Essays (Prentice Hall, 1981 [Twentieth Century Views Series]).

 

授業計画

(後期)

英語・英米文学特殊講義B

各回のテーマ(目標)

各回の内容

第1回

イントロダクション

講義Aをふりかえって。

第2回

アーヴィングの「リップ・ヴァン・ウィンクル」

フォークロアと超自然の物語。幻想小説。トドロフの幻想論。

第3回

アーヴィングの「スリーピー・ホローの伝説」

ロマンスのパロディーと中世騎士道物語とアメリカ的風土。explained gothic.

第4回

アーヴィングの『旅人の物語』(1)

フレーム・ワークの問題。

第5回

アーヴィングの『旅人の物語』(2)

ambiguous gothic.

第6回

アーヴィングの『旅人の物語』(3)

宗教問題。

第7回

フィッツ=ジェイムズ・オブライエンの「それは何?」

スピリチュアリズムと幽霊。supernatural gothic.

第8回

ホーソーンの「若いグッドマン・ブラウン」

魔女狩りと悪魔。

第9回

ポーの「ベレナイシィ」

アーヴィングからの技法的延長と形而上的パロディー。

10

ポーの「ブラックウッド風の記事の作法」(1)

小説作法と「引用」。

11

ポーの「ブラックウッド風の記事の作法」(2)

諷刺とパロディーの問題。

12

ポーの「アッシャー家の没落」

錬金術と構成の哲学。

13

ポーの庭園もの

美学と宇宙論。

14

ポーの推理小説

超自然の排除。

15

ホーソーンの小説論

ロマンスとゴシック

 

成績評価基準

  平常点およびレポート (平常点30%、レポート70%)

 

その他

  前期(A)との継続履修が望まれる。