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* Football Report (2002 FIFA Worldcup)

6月13日

韓国最後の朝も10時起床。衛星放送で朴賛浩とイチローの試合を見ながら朝食を食べ、イテウォンに向かった。イテウォンというのは有名なショッピングモールらしく、ワールドカップ期間なので賑わっているとのことだ。たまたまホテルから歩いてすぐのところにあったので、何か買い物でもしようと思ったのである。幸い日本への出発の時間は夕方だ。ロクに観光ができなかった今回の旅行で、唯一ともいえるまとまった自由時間。
 噂に違わず、イテウォンは外国人観光客で溢れていた。記念にユニフォームでも買おうと思っていたので、乱立するユニフォームショップのひとつに入った。何もない部屋にユニフォームをひたすら並べただけの、いかにもワールドカップ期間限定というような所だ。もちろん正規の品を置いているわけもなく、ほとんどすべてが模造品。ちゃんと複製するだけならまだいいのであるが、中にはそれらしい色の服に背番号と名前のシールを貼っただけのまがい物も溢れている。まあ今に始まったことではないが。しかしこういうバブリーな雰囲気も活気があってなかなかいい。というわけで、ちょっとデザインが怪しいような気がするユニフォームをおみやげとして30000ウォンで購入してしまった。うむ、やっぱりちょっと変だ。
 正午を過ぎソウルは汗ばむほどのいい天気。にわかに空腹を覚えたが財布の中身も空っぽに近づいていたので、目の前にあったケンタッキーに入ることにした。ファストフードで思い出したのが、韓国ではマクドナルドよりロッテリアの数のほうが多いという話。確かにマクドナルドはほとんど見なかった。ケンタッキーも珍しいのではないかと思う。メニューを見て日本には無さそうな「プルコギバーガーセット」というのを注文。4日目になり、だいぶハングルも読めるようになってきた。ハングルというのは、ひとつの文字がいくつかのパーツの組み合わせになっている。そのパーツが大体アルファベットに対応しており、例えばキムという文字は「K」を表すパーツと「I」を表すパーツ、そして「M」を表すパーツを組み合わせてひとつの文字にする。個々のパーツさえ頑張って憶えてしまえば、あとは表音文字なのでなんとか読むことはできる。さすがに韓国語固有の単語などは読めても意味がわからないが、日本とある程度共通する外来語、例えば「ダンキンドーナッツ」とか「コーラ」とか「プルコギバーガー」とか、そういうのは読めてしまうのだ。慣れてくると、工事現場にある「安全第一」といった漢字由来の単語も読めるようになってくる。語順もほぼ同じらしいし、日本人が学びやすいという理由がわかった気がした。
 肝心のプルコギバーガーはというと、不味くはないのだが、どうもつくねを連想させる食感だ。肉がとても淡泊なハンバーガーといった感じ。てっきり焼き肉のようなものが挟まっているのだと思ったのだが…。「プルコギ」への知識が浅かったのか、韓国のファストフードに期待しすぎたのか。結局、「まあ鶏肉屋だし…」という結論になり店を出た。今思えば、あれは鶏肉を使ったプルコギ風バーガーだったのかも知れない。
 これはイテウォンに限った話ではないが、商店街を歩いていると必ず「オニサン、オニサン、オミヤゲドー?」とか、「ヤスイヨー、チョットミテイッテヨ」と日本語で呼び込みをされる。観光客が行きそうな所は大抵日本語が通じるのだ。呼び込みのフレーズだけかと思いきや、会話のほうも実に達者である。日本人はかなり重要な客なのだろう。そんなイテウォンを後にし、地下鉄に乗って有名な東大門市場に行くことにした。


ホテルからの地下鉄最寄り駅は緑沙坪(ノクサピョン)。そこから三角地(サムガクチ)を経由して東大門(トンデムン)の駅へと乗り継ぐ。東大門駅から地上へ出ると、有名な東大門が目の前に姿を現す。門といっても周囲は道路で囲まれていて、例えるならフランスの凱旋門のような雰囲気だ。今でこそソウルという名だが、昔は漢城とか京城と呼ばれていた都市だったので、多分その城壁の名残なのだろう。ちなみに中国ではソウルのことを未だに漢城と呼ぶらしい。
 東大門市場はその東大門の目の前にある有名な問屋街だ。デパートのようなものかと勝手に思っていたのだが、実際は文字通りの卸問屋街。服の生地とか鞄とか台所用品など、ものすごい量の品物が雑多に並んでいて、イトーヨーカドーとドンキホーテをミックスしたような雰囲気。驚いたのはその規模で、東大門から4〜5ブロック先までひたすら問屋の建物が延々と続いていることだ。そしてその向こうにも別の問屋街が続いているらしい。じっくりと回るつもりだったのだが、あまりの広さに回る気が失せてしまい、ざっと見ただけで後にしてしまった。次に向かったのは、そこから3分ほどのところにあり、若者が大勢集まるというショッピングビル、ミリオレだ。ミリオレの外見はいかにも若者向けという感じで、形こそ全く違うが、さながらラフォーレのような雰囲気だった。中はというと、ファッション系の問屋が1間くらいのスペースごとに所狭しと並んでいて、それがデパートのように何フロアも上に続いている様子。この辺りの例に漏れず、値段は交渉次第で融通が利くらしい。上の方のフロアは食事ができるようになっていて、そこでしばし休憩。となりでは若者が昼間から石焼きビビンパをうまそうに食べている。この暑い中…。


ホテルに戻り、いよいよ帰国のため空港へ向かう。バスは市内を流れる漢江沿いをひた走る。対岸に見える大きな丘は、かつてゴミの山だったそうだ。あまりにゴミが増えすぎたために、法律で「使い捨て」を禁じてしまった。韓国の飲食店で金属の箸を使うのはそのためだ。どこでも金属製の箸なのかと思ったが、一般家庭では日本と同じく木製の箸を使用しているとのこと。そのゴミ山も現在では公園へと姿を変え、大スクリーンが設置されてサッカーの試合を観戦する場になっているらしい。すぐ隣にはフランス対セネガルの開幕戦を行ったソウル・ワールドカップスタジアムがある。
奥の白いのがスタジアム、左のがゴミ山漢江越しに見るソウル・ワールドカップスタジアムは非常に綺麗だった。とりわけいい演出なのが川から高く上がっている噴水。川と噴水とその向こうのスタジアム。なかなかの景観だ。この噴水は2002年を記念して2002メートルの高さまで上げる予定だったが、「ちょっと無理だった」ので202メートルの高さにしたらしい。2002メ−トルの高さの噴水とは、やる前から不可能なのがわかりそうなものだが、とりあえずやろうとしてしまった彼ら。そして202という微妙すぎる数字で妥協してしまった彼ら。例の居眠りの一件もそうだが、ここの人々は良くも悪くも単純すぎる一面があって面白い。観光地も食事もよかったが、何よりも「ひと」というのがかなり印象的だった。シンプルで直感的な国民性。短絡的だが行動的。この国のサッカーもそういう性格だ。難しいことをやろうとすると駄目。その代わりシンプルな放り込み作戦は異常に強い。日本とは正反対のおもしろさがある。そのことが実感できただけでも有意義な旅行であった。



韓国は初めてだったが、最も感じたのは非常に近いということ。週末に焼き肉を食べに…なんてこともじゅうぶん可能だ。日本語が溢れていたのも驚きであった。日本語の看板なども少なくない。もちろん、「うどん」が「ラどん」になっているとか、そんなのは日常茶飯事だがそれはそれで味わい深かった。観戦した3試合はいずれも好ゲームで、すべての試合、すべての瞬間に鳥肌が立った。こんな経験は今までになかったし、これからも滅多にないと思う。そのおかげで観光はほとんどできなかったのだが、食事がうまいところもいくつか憶えたので、改めて来るのもいいかなと思った。
 帰国してから数日後、テレビのニュースを見て仰天した。初日に通ったあの高速道路で観光バスが横転し、ちょうどワールドカップ観戦に来ていたアメリカ人などを含む数名の死傷事故があったのだ。僕は冷や汗をかいたのと同時に、真っ先にあの運転手のオッチャンが脳裏をよぎったのは言うまでもない。彼は無事だろうか…


( 完・長ったらしい文章を最後までありがとうございました。 )