イラスト・壁紙・テキストのサイト。ややシュール。
Home About
Wallpaper Text
Guestbook Links

* wc-top * 6/10 * 6/11 * 6/12 * 6/13 *

* Football Report (2002 FIFA Worldcup)

6月12日 Spain v South Africa

昨日の晴天が嘘のような雨。ソウルの天気は移り気だ。今回最後の試合は夜からなので、夕方までソウル市内に出てみた。
 叩きつけるような激しい雨の中、昼食を食べに参鶏湯の店に行く。参鶏湯(サムゲタン)というのは、小さいニワトリの中に餅米を詰め、小鍋で朝鮮人参などの薬草と一緒に煮込んだものである。実はここに来るまで全く知らなかったのだが、非常に有名な食べ物らしい。やわらかくなった鶏を崩して餅米とよく混ぜ、粥のようにして食べる。あっさりとしていて「辛くない料理」なので、これは日本人向けかもしれない。さっぱりした鶏ガラスープと餅米がすばらしくマッチしており、毎日食べても飽きないくらいである。韓国人サラリーマンの昼食としても一般的らしく、昼時は彼らで込み合っていた。

小雨が降る明洞明洞(ミョンド)は韓国の渋谷のようなところと聞いていた。しかし実際に来てみると、渋谷よりも雑多な印象だ。それは別に明洞に限ったことではなく、いい意味でアジア的な色合いがあるということである。ただ、ほかの都市と異なっていたのは、スターバックスがあったこと。ここにもあったかスターバックス。
 休憩もかねて入ってみると、ワールドカップ中ということで、店内にはサッカーボールの大きいオブジェが飾ってあった。オブジェにはペンで自由にメッセージが書き込めるようになっていて、様々な人が思いおもいのメッセージを書いている。もちろん日本語の書き込みもある。いや、むしろ日本語の方が多いのだ…。やはりスタバに飛びつくのは日本人ばかりなのか、と思っているところにすごい書き込みを発見。「中田がんばれ」「日本がんばれ」などの中に突然「FC東京」。もちろん毎週応援に行っている、あのFC東京。おいおいこれは関係ないだろうと思いつつさらによく見ると、そこらじゅうにFC東京ネタの書き込みが。アマラオだとか宮沢だとか、Jリーグをよく見ている人でもたぶん知らないだろう地味な選手の名が、なぜかソウルのスタバにひたすら書いてあるのである。御丁寧にクラブエンブレムのシールまで貼ってあり、改めてアホなやつらだと思いつつ、しっかりと裏側に「F.C.TOKYO」と書き足してしまったのはサポーターの宿命。FC東京海外進出の第一歩だ。僕はこの裏側に書きましたその後、南大門市場で少し買い物をして、いよいよ大田(テジョン)へ向かう。

大田(オオタではない)はソウルの南、韓国のほぼ中部にあり、だいたい東京−甲府ぐらいの距離である。ソウル−釜山を結んで南北に通る京釜高速道路は、途中、大田を経由して5時間で釜山に至る。釜山方面に行かずに、大田から湖南高速道路というのに乗り換えてさらに南に向かうと、例のビビンパ発祥地・全州に着くのだ。
 なお、5時間かかるというのは道が空いている場合の時間であって、盆と正月は渋滞で丸1日かかることもあるらしい。このあたりは日本とよく似ている。しかし渋滞対策としてこの国が考えたのは、なんとバス専用車線の設置。一番左側(センターライン側)の車線はバス以外に通ってはならないという、5〜6年前にできたこのシステムは、混雑時のソウル−釜山間を8時間で結ぶことを可能にしたということだ。1車線つぶれる分、交通量が圧縮されて余計に渋滞しているのではないかと思ったが、それは言うのはタブーなのかもしれない。拡張工事のおかげで渋滞している日本の高速道路事情と似たようなものだ。このバス専用車線を一般車が走るともちろん罰金を取られるわけだが、もちろん彼らは平然と走りまくっているし、もはやそれに驚くこともなくなった。
 一般的に、韓国の道路は日本に比べて割と幅が広く、横断歩道が少ない。これは滑走路としての使用に備えたものである。それは高速道路も同じで、センターラインは日本のように植木やガードレールで区切られておらず、取り外し可能なブロックで仕切られているだけ。今でも道路を通行止めにして訓練に使うことがあるそうだ。アウトバーンみたいなものか。

個人的に今回最大の目玉チーム・スペインは、すでにトーナメント進出を決めていた。対する南アフリカは3位パラグアイに勝ち点で3ポイントリードしており、引き分けても自力でトーナメント進出が決まる状態である。凡戦になりうる条件はそろっていた。もしイタリアやイングランドなど、計算高い国々の試合であったら、確実にスコアレスドローになっている条件だろう。一方、スペイン人はこういうときでも手を抜かない。リードしていても決して守りに入らないのだ。スペインの国内リーグが面白いのもこういう理由による。このようなメンタリティでは、得てして油断から勝ち試合を落としてしまう場合も多々あるのだが、それはご愛嬌。そこもまた陽気なラテンの魅力である。
 スペインはイエロとプジョルを温存し、ナダルとクロ・トーレスを入れた4バック。中盤はバラハを使わずにシャビとアルベルダ、左のメンディエタに右のホアキンで構成し、トップはラウールとモリエンテス。南アフリカは、フォーチュン、ラデベ、マッカーシーを中心としたベストメンバーである。

スペイン国歌斉唱中両サイドを大きく開かせてスペースをうまく作り、そこを効果的に使いながらボールを回して攻めていくスペインのサッカーは、狭いテレビ画面で観るのと実際に観るのとでは迫力がけた違いである。特に中心選手ラウールの動きは本当にすばらしく、ボールのもらい方のバリエーションの多さ、一連の動きの無駄の無さは予想以上。守備陣はたまらないだろう。生で観てこその選手だ。右の若手ウイングプレイヤー・ホアキンが効果的な突破をし、背後のシャビと左のメンディエタがゲームメイキング。予想されていたとはいえ、圧倒的にボールを支配されている南アフリカは、やや前掛かりであるスペイン左サイド、ロメロの裏を突いてカウンターを狙うのみ。
 先制点はあっけなく入った。前半4分、相手キーパーへの何でもないボールに詰め寄ったラウールだったが、それに慌てたキーパーがセーブミス。無人のゴールに難なくラウールが押し込み得点。負けると危ない南アフリカは31分、絶妙なクロスに足を伸ばしたマッカーシーが何とか押し込んで同点に追いつくものの、前半ロスタイムに直接フリーキックをメンディエタに決められて、再びリードを許してしまう。前半は2−1で終了。このとき他会場では、パラグアイがスロヴェニアに1点リードを許して0−1で前半を終了し、しかも退場者を出して1人少ないという、パラグアイにとって絶望的な状況だった。

後半開始直後、南アフリカはコーナーキックからラデベのヘッドが炸裂し、同点に追いつく。このまま終わりたい南アフリカであったが、同点に追いつく時間が早すぎた。そのスコアはわずか3分しか守りきれず、カウンターから抜け出したラウールが、縦パスを頭で直接押し込んで三たびリード。負けるとパラグアイの結果待ちという状態になってしまう南アフリカは、中央から個人技で崩そうとするもナダル・エルゲラのセンターバックは強固であり、得点には至らずに結局そのまま試合終了。スペインは3連勝という完璧な結果でトーナメントに進むこととなった。南アフリカは負けたとはいえ、「パラグアイが3点以上を取って勝利し、なおかつ得失点差が2以上でなければ南アのトーナメント進出」という条件は依然として絶対的に有利なものだった。
 しかしパラグアイ−スロヴェニアの結果は、退場者を出しつつ前半1点リードされていたパラグアイが、なんと後半に3点を取り3−1で勝利。奇跡的な大逆転で南アフリカを蹴落とし、トーナメント進出を決めたのであった。他会場の経過がリアルタイムで入ってきていたであろうが、昨日のウルグアイのようにがむしゃらに攻めず、力無く負けてしまった南アフリカの戦いぶりには疑問符が付いた。

* next page * Page top *