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* Football Report (2002 FIFA Worldcup)

6月11日 Uruguay v Senegal

韓国2日目の朝は10時に目が覚めた。昨夜のような出来事はもう願い下げと言いたいが、幸い今日の試合会場はソウル近郊の水原(スウォン)というところなので、電車移動である。ではバスより電車の方が安全なのかと問われると、何とも返答に困る。何しろ初めての国なのだ。韓国に関する情報で、現時点で僕の頭脳にインプットされている事実はただひとつ、「韓国人、夜に弱すぎ。」だけなのだ。もう何があっても驚くまいと胆に誓って切符を買う。

韓国の地下鉄は、すべて駅に番号がついている。それぞれの路線にも番号がついており、路線番号+駅番号による数桁の数字ですべての駅が表せるようになっているのである。だから駅名に疎い外国人にとっては非常に利用しやすい(もちろん駅名にはアルファベット表記も併記されているが)。
 その地下鉄を4回ほど乗り継いで水原の駅に着いた。外は昨日とはうって変わり、サングラスが必要なほどの快晴である。ちょうど正午をまわっていたので、駅前で昼食をとることにした。料理の名前は忘れたが、味のついた豚肉やキムチなどの野菜を、辛い味噌と一緒に白菜に包んで食べるというもの。これも例によってかなりの辛さに参った。しかしこれもまた同様に、よく味がついていてなかなかうまいのだ。それにしても食事のたびに新しい種類のキムチが登場するのには、さすがに恐れ入るというもの。もともと厳しい冬を越すための保存食であったキムチは、そのまま北に行くほど種類が増える。現在、韓国では60種類のキムチがあり、北朝鮮では130もの種類があるのだという。逆に釜山(プサン)など、比較的暖かい南部の都市におけるキムチの質は、北方育ちの人間からすると「イマイチ」なのだそうだ。
 ビールも飲んでほろ酔いになり、どうやら絶好の観戦日和になりそうである。ちなみにビールのことは「メクチュ」という。これだけではあまりピンとこないのだが、漢字で書くと「麦酒」となり、ここで納得。実際の発音では「メッチュ」と聞こえるので御注意を。
 駅前のロータリー周辺には、長蛇の列ができあがっていた。スタジアムまでの無料送迎バスを利用する人々の列だ。あまりの混雑のために、スタジアムに到着して席に着いたのは、もうキックオフの直前であった。

記念すべき第一回のワールドカップを地元で制した、古豪ウルグアイ。彼らに挑むのは、今回が初出場とはいえ初戦でフランスを撃破したアフリカの新星、セネガルだ。対照的な両チームによる渋い好ゲームを予想させたが、試合の展開は意外なものとなった。序盤からどこかおかしいウルグアイに対して、訪れたチャンスをことごとくものにしたセネガルが、前半だけで3点を先制したのだ。ここまで1勝1分けのセネガルに対し、1分け1敗のウルグアイは、この試合を2点差で勝たなければグループ敗退が決まってしまう。つまり、彼らは残りの45分で5点を取らなければならなかった。
汗ばむほどの快晴、水原スタジアム。 後半の開始直後、まだハーフタイムで席を立った観客が戻りきっていない中で、長身FWリカルド・モラレスが最初のシュートをいきなり決め、ウルグアイがまず1点を返す。ようやく目を覚まして怒涛のように攻め込むウルグアイを目の当たりにし、前半からややセネガル贔屓だった観客も、次第に水色の選手達へ声援を送るようになっていった。そしてディエゴ・フォルランの鮮やかなミドルシュートが決まって1点差となってからは、完全にウルグアイペース。ダリオ・シルバの突進、アルバロ・レコバのフリーキックが次々にセネガルゴールを襲うが、紙一重のところで得点には至らず、時間だけが刻々と経過していく。ここまで必死に守ってきたセネガルであったが持ちこたえられず、ついにモラレスをエリア内で倒してしまう。PK。レコバがようやく同点ゴールを決めた時、時計はすでに43分を回っていた。
 ロスタイムで2点。サッカーの世界ではそうあることではないが、それでもそういう試合はごく稀にある。チャンピオンズリーグの決勝でもあった。3−0から追いついたこの日のウルグアイには、奇跡を起こす雰囲気が漂っていた。与えられた時間は4分。なりふり構わず攻め込むウルグアイ。しかし決定的なチャンスを何度か作るものの、ことごとく外してしまう。すっかりウルグアイ贔屓になっていたスタンドが見守る中で全員攻撃を仕掛け続けたが、ついにタイムアップ。グループ突破が決まって喜ぶセネガル選手の脇で、力なく倒れこむウルグアイ選手達。すべての観客は総立ちとなり、スタジアムを包み込むほどの拍手をもってその健闘をたたえた。ありがとう。我々はこの日のウルグアイを決して忘れないだろう。
 目の前で繰り広げられた素晴らしいドラマによる感動と、フランスのグループ敗退決定の報による驚きとが入り混じり、えもいわれぬ興奮状態でスタジアムを後にした。

韓国といえば焼肉。いかにも素人丸出しだが、ラーメン屋でラーメンを注文するのと同じで、韓国に行ったならばとりあえず焼肉なのである。ということでソウル市内にある焼肉屋へ。この店、いわゆる地元人間の御用達店というやつで、少し値は張るのだが味は折り紙つきということだ。
 店内にはさすがに観光客らしき姿は見当たらない。席に着くとキムチがずらり。もう見慣れた光景である。とりあえず塩カルビを注文したのだが、少し驚いたのがハサミ。係の人が、持ってきた大きなカルビの肉をアミの上に置いて、大きなハサミでジョキジョキと切りだすのだ。日本式の焼肉しか食べたことのない人間にとって、これは新鮮である。少し面食らったが、客の前で切ってみせるのが韓国式なのだろうと、半ば強引に納得。そば打ちだって実演を見たあとのほうがうまく感じる。つまりはそういうことだろう。果たしてハサミ効果があったのか、どの肉も柔らかくて最高にうまかった。
 少し意外だったのが冷麺だ。てっきり盛岡冷麺のような、ゴムのように固い麺だと思い込んでいた。しかし韓国の冷麺は、柔らかくてそうめんのように細いのだ。味付けもあっさりしていて、肉料理の合間に食べるのには最適だった。ちなみに、冷麺もしっかりハサミでジョキジョキされる。目の前で麺の塊をこまかく切ってくれるのだが、やはりハサミには違和感が…

本場の味に舌鼓を打つ一方で、どうも気になることがあった。向かいの席にいた2人連れだ。彼らが日本人であることは、携帯電話で話しているその言葉ですぐにわかった。しかし周囲がほとんど韓国人の中、大声で日本語をしゃべっているのに加え、水色の頭髪にパンキッシュな衣服とくれば、目立つなというのが無理な話だ。あとで聞いた話によると、その派手な男はどうも作家の馳星周だったらしい。代々木公園でアクセサリーを売ってそうなオーラが出まくっていたが、そう言われればなるほどそんな感じだったかもしれない。