ノンステップバス論2004.8.12  before next

 大型ノンステップバスは現在国内の4メーカーの全てが市販している。97年に三菱と日産ディーゼル(以下日デ)が試作し、翌年には日野といすゞもノンステップバスに対応した。このうち、いすゞと日デはいろいろ事情有ってフルフラットノンステ以外に、ワンスベースのノンステを製造している。ワンステベースのノンステについては後で述べる。
 フルフラットノンステは、センタードロップ式アクスルによって後部の低床を実現している。このドロップアクストルは後輪の車軸を車輪の中心の高さから、タイヤハウス内のギアで床下まで落として左右の車輪をつないでいる。そのため後部ドアのあるノンステップ仕様も可能となり、前後扉ノンステにも対応できる。(ただし前後扉のノンステップバスは車いす対応が難しいためサンプルカーおよびサンプルカーがバス事業者に売却された車両を除き、導入例はなく聞いた限りではバス事業者の発注例もない。ただし前中後の3ドア仕様は三菱と日デが名古屋市交通局などに、日野が神戸市交通局などに導入例がある)
 ドロップアクスルは三菱日野両社が国内製で、いすゞ日デの両社が海外製となっている。いすゞがハンガリーのRABA社から、日デがドイツのZF社からの輸入となる。

 バスのエンジン(直列6気筒の場合)は通常車体最後部に、車体の前後方向と同じ向きに置かれ(縦置き)、三菱車を除き、エンジン自体を横倒しにした粋へ意識エンジンとなっている。これがリアアンダーフロアエンジンで、車内の最後部まで座席にすることが出来、スペース効率に優れている。三菱車と最近の日野車の場合は、エンジンは垂直式となっている。
 これに対しノンステのエンジンは日野車といすゞ車の場合、最後部にバスの左右方向に横置きで垂直配置されている。エンジンの回転軸は、車体の左右方向となるため、いったん90度変化しデフに伝えられる。この方式はエンジンの手前の床を落とし込む形でタイヤハウス部を除き低床構造を実現している。しかし、最後部の1列分がデットスペースとなり、スペース効率は悪い。いすゞの場合、エンジンはコンパクトな中型車のエンジンをベースにターボ化し、出力を確保している。日野の場合は、トラックなどに用いられていたターボエンジンをノンステップバス用に改良して搭載し、大型ワンステップバスも次のモデルチェンジ時にこのエンジンに変わった。
 三菱車の場合はエンジンを運転席側にオフセットし、偏心デフを用いることにより、従来の構造から少ない変化で低床構造を実現しデットスペースも少ない。 日産ディーゼルの場合は、富士重時代のフルフラットノンステは日野いすゞ車に誓い構造であったが、西日本車体工業に製造が移ったとき改良が行われ、三菱車に近い構造となった。ただしエンジンのオフセットの向きは三菱車とは逆で、ドア側となり後部ドア付き仕様には対応できない。三菱西工製日デともエンジンは、大型ワンステップバスと同じ物を搭載している。

 ノンステップバスの後部の座席は三菱車と西工製日デ車の場合、中ドアよりも後ろに座席を5列確保でき、スペース効率にも優れているが、エンジンが床下にある分、後部の床が高くバリアフリーとはほど遠いひな壇となる。逆にいすゞ車と富士製日デの場合、4列しか確保できずスペース効率が悪いが、通路がスロープになっており三菱車よりもバリアフリー度は高い。日野車の場合、ホイルベースをのばしノンステップエリアを広げ、リアオーバハングを縮めたため中ドアより後ろは3列となり、ひな壇となっている。ノンステップエリアは日野車が一番広いと思われる。

 こういった状況で、ノンステップバスは専用の部品やエンジンを使い、価格も構造が特殊な、日野いすゞの場合約2300万円、従来型をベースとした三菱日デも約2000万円(ワンステップバスの価格は会社によって価格差はあるが約1600万円から1800万円と言われる)とかなり高価であったため、西日本車体工業(西工)から安価な新たな大型ノンステが提案された。日デのワンステップバスのホイルベース間のみをノンステップ化し、バス後部は2段の段差をもうけて高床にしたバスである(別名お手軽ノンステ)。この方式の場合、エンジンやリアアクスル部分は通常のワンステップバスの部品を流用し、ノンステップバス専用部品は極力抑えられ、価格も2000万円前後と安価に大型ノンステを作ることが出来る。またエンジンが通常のバスと同じになるためメンテナンス性にも優れる。
 三菱以外のフルフラットノンステの場合、トランスミッションは構造上トルコンATのみの設定で、この点でも車両の価格を押し上げている。(西工製日デの場合、エンジンが縦置きのためMTの設定も可能に思われるが、今のところはトルコンATのみのようだ) それに対し、このお手軽ノンステの場合、トランスミッションは標準がMTとなり、トルコンAT導入が難しい場合にMTを選択することが出来る。
 ここからは評価が分かれるところだが、車内の後部はフラットな空間が広がるが通路に2段の段差ができる。バリアフリー度を考えると、フルフラットタイプに比べて若干劣ると思われるが、逆にタイヤハウス部の段差が少なく座席へのアクセスは優れている。スペース効率の面ではこちらが優れており、1列多く座席を確保出来る。
 このお手軽ノンステ、当初は西工のみの製造であったが後に富士重も対応しバス製造中止までの2年ほど製造されている。このお手軽ノンステがGタイプ、富士重製のフルフラットノンステがFタイプと呼ばれて区別されている。なお西工製フルフラットノンステはNタイプと呼ばれている。
 このお手軽ノンステは、日デのみの存在であったが、いすゞも2000年のエルガへのモデルチェンジ時に対応し、モデルに追加している。お手軽タイプのノンステをtype-A、従来のフルフラットノンステをtype-Bとしている。

back