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社内文書/報告書

会社員のみなさんも、公務員のみなさんも、文章にお困りではありませんか。
とくに学生の頃、レポートの提出義務のなかった人たちにとっては深刻な問題です。
ビジネス文書にはきちんと決まった形があり、それに沿って書けばいいだけなのですが、
いざ応用して書こうとなると、前置きの能書きだけ書いて先に進まなくなってしまいます。
そんなあなたのために、ビジネス文書の書き方をくわしく説明いたします。
また営業成績や売り上げ結果などを上司に報告するときに欠かせない報告書の書き方も網羅。
いい文章を書くキャリアを身につけると、上司からも一目置かれるかもしれませんよ。

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1.ビジネス文書のしくみ
 ●文書の書式 社内文書に限らず、「ビジネス文書」全体のおおまかなルールを説明します。社内文書の書き方では「基本の基本」ですから、まずここをお読みください。全体のしくみを知っておくだけでも、ビジネス文書は誰にでも立派に書けるようになるものです。ここをスタートとして、さまざまな文型について解説していきます。
 ●頭語と結語の関係 「拝啓」「前略」と「敬具」「敬白」との間には、以外にも厳密な取り決めがあります。知らなかったでは、書き手の教養すら疑われかねません。ここでしっかりと勉強して、日本人としての最低限の常識を身につけてください。
 ●時候の挨拶を使おう 時期に合った時候の挨拶を入れるのは、日本にしかない、実に美しい風習です。こうした遺産を守っていくためにも、時候の挨拶をもっと多用して、しかも多彩に使い分けましょう。ここでは季節ごとの時候の挨拶について説明します。
 ●安否の挨拶と感謝の挨拶 ビジネス文書では、「ますますご清祥のことと…」といった安否の挨拶と感謝の辞は欠かせません。単なるルールというだけでなく、無味乾燥な文書に、一服の清涼感すら与えてくれます。こうした知識も、進んで持っておくべきでしょう。
2.社内文書を書こう
 ●通知書/指示書 上の立場から部下に通知する、そういうための文書です。書くことになった人も多いのではないかと思います。ここで基本をしっかり勉強しましょう。ダミーですが、実際の文例もついています。
 ●稟議書 会社の経費を使って物品や設備などを購入したりするのに使う文書です。審査の対象となるものですから、できれば慎重に書きたいものです。簡潔ですが、ここで基本を学ぶことができます。
 ●業務報告書/出張報告書 こうした報告書も、社内的には立派な公的文書です。一日たりともおろそかにはできないはずです。呼びつけられて書き直させられないようにするには、ここを読んで基本をバッチリと学習することが肝要です。
 ●企画書 専門家には及びませんが、ここに記載されているのは、南風流の企画書作成法です。いきなりこういう文書を書かなくてはならなくなった方など、初心者には大変ためになると思います。ダミーの文例つき。
 ●議事録 会議に出席したときに、持ち回りになっているのが議事録の作成でしょう。ここでは具体的な書き方だけでなく、書くことになった人がするべきメモの取り方など、前段階から説明しています。ダミーによる文例が掲載されています。
 ●始末書/顛末書 できれば書きたくないものですが、サラリーマンである限りは、こうしたものを書かなければならない場面に直面することもあります。慌てないで、まずここで基本を勉強しましょう。ダミーによる文例を挿入しましたので参考にしてください。
 ●退職届/進退伺 書かなくてよいものなら、書きたくはありません。しかし、そういうものがあるということだけでも知っておきましょう。そして、もし深刻な事態に陥ったときには、迷わずここを参考にされることをおすすめします。

1. ビジネス文書のしくみ

●文書の書式
 このコーナーは「社内文書/報告書」について扱うと銘打っていますが、まず最初は、社外文書も含めた「ビジネス文書」全体のしくみについて勉強していきましょう。それを基礎知識として、お話を進めていきたいと思っております。
 以下の図をご覧ください。ここにあげた例は完全な架空のものですが、「冷温蔵機器メーカーが、取引先の商事会社に納品品目の変更と更新をお願いしている」という主旨の社外文書です。この例は社外文書ですが、社内文書もまた、制度的には私文書ですが、社内的には公文書ですので、こうした社外文書をもとにして作られるものなのです。ですので、まずは社外文書の一般的な形について勉強してから、社内文書へと話を進めましょう。
社外文書の一般的な形です(架空ですが) 左図を見てください。ビジネス文書は大まかに、「前付け」「前文」「主文」「末文」(前文〜末文までを「本文」と分類することもある)「記書き」「後付け」の6つの寄り集まりであることがうかがえると思います。これは誰が決めたというものではなく、いつの間にか日本における公文書のスタンダードとなっているものです。多分、欧米の影響ではないでしょうか。
 では、丸数字について順を追って説明していきましょう。
 ちなみに、この本文では丸数字を使用しません。Macintoshでご覧の方々には(月)(火)という文字化けで表示されてしまうためです。ご了承ください。
1. 文書記号番号
 最近はコンピュータによる一括文書管理も進んでいますので、そうした流れに対応すべく、文書に記号をつけることが多いようです。記号番号の付け方はそれぞれの企業によって違うと思います。決まった規格などありません。できれば悪用されないようにパスワード形式にしたり、アルファベットと数字との組合せにすることをお勧めします。
 こうした記号番号は、社外的には取引先とのやり取りにのみ、または社内文書にのみ付けるべきもので、挨拶状や賀状などの儀礼的なものには必要ありません。
 また記号番号をつけることで、しっかりした文書管理を行っている企業として取引先に信用を与えることにもなります。公文書の権威付けとしての側面も忘れられませんね。
2. 発信年月日
 体裁的な意味もありますが、後日何らかのトラブルがあったときの証拠ともなりますので忘れずに。日付は「ポストへの投函日」です。上司の決裁を得た日や取引先への到着日ではありませんので、日付の選定には注意しましょう。
3. 受信者名
 1行目に相手の所属する社名や団体名を書きます。その際、略称や愛称などを用いずに、きちんとした正式名称で書きましょう。また「(株)」や「(財)」という略号ではなく、「株式会社」「財団法人」と書きます。また、相手先の「株式会社」が、○○株式会社なのか株式会社○○なのかどうかということも重要です。間違えると大変失礼です。きちんと調べておきましょう。
 その団体そのものに宛てる手紙で、特定の誰かではない場合は、1字空けて「御中」と書くだけでけっこうです。
 特定の誰かに宛てる場合は、改行して2行目に書きます。その際、1字だけ空けてから書き始めます。所属部署と個人名との間にも、やはり1字分の空きを置きましょう。
 敬称は、社外文書である場合は「様」を使うのが無難です。複数の人に宛てるときは「営業○課各位」としましょう。「各位様」というのは二重敬語になりますので使ってはいけません。また連名で何人もの名前を並べるときでも、「様」は兼用せずに、各人につけます。その場合、所属部署名に思わず「〃」という記号を使ってしまいがちですが、失礼ですのでやめましょう。
 社内文書では、役職を持っている人には敬称はいりません。役職を持っていない人だけで充分です。また敬称も、「殿」でいいでしょう。
4. 発信者名
 社外文書はそれ自体が公的なものですので、会社を代表しているものと受けとられるのが一般的です。なので、ここでは自分の名前は出さずに、直属の上司、または職権をもつ管理者の名前を書いておきましょう。もし自分の名前も相手に認知してもらいたい場合は、後付けの最後に「担当・○○○○」という形で付記します。社外文書で発信者を誰にするのか、といったことは社内規定としてルール化されていることが多いので、書く前に確認しておきましょう。
 社内文書ではいきなり自分の名前を書くことが多いのですが、あえて自分の名前は出さずに、所属部署名だけを書く場合もあります。その文書の性格によって発信者名も変わりますので、その都度、上司に確認するといいでしょう。
5. 件名
 その文書の内容を端的に表す言葉を、題名として選びましょう。まずは本文を書いて、それから件名を考えると楽だと思います。
 件名はあまり長くならないように気をつけましょう。余計に長ったらしいと、その内容までつまらないものだと受けとられかねません。しかし、その文書の内容をきちんと網羅したものでなくてはいけないことも事実です。
 件名だけは目立たせるために、ゴシック体にしたり、大きくしたりする工夫も必要です。その場合は、前付けや本文を明朝体にして、重要度を区別しておくと目立ちやすいでしょう。
6. 頭語
 頭語は社外文書でのみ使用します。詳しくは次章を参照してください。
 頭語を入れる際は、1字下げをしないで、いきなり書き始めましょう。また、頭語と時候のあいさつとの間には1字空けるとすっきりします。
7. 結語
 結語は頭語とワンセットになっています。頭語を選んだときに、どういった結語が来るのかも知っておく必要があるでしょう。
 入れるときは、本文が終了したら改行して、次の行の右揃えにするのが位置としては一般的です。
8. 記書き
 具体的な商品名を示したいときや、本文だけでは用件を伝えきれないときには、「記書き」を使うと親切でしょう。記書きは通常、箇条書きにしてわかりやすくしておきます。記書きまで文章にしてしまうくらいなら、最後まで本文で書いてしまえばいいのですから。
 書き終えましたら、最後に文末を表す「以上」を入れましょう。決して失礼な表現ではありません。

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●頭語と結語の関係
 「頭語」は文の冒頭に入れるもので、出す相手によって使い分けるという、日本に古来からあった手紙文におけるルールでした。それだけに種類も数多くあり、現在では失われてしまったものも少なくありません。しかし、現代の頭語は、一般用、丁寧、返信などシチュエーションによって使い分けるものへと変化しています。「結語」は頭語と対になるもので、頭語を書いたときには必ず結語を入れなければならないのが最低限のルールです。また、使った頭語の種類によっても、結語は変わってくるのです。

ケース 頭   語 結   語
一    般  拝啓、啓上、呈上、拝呈、一筆啓上  敬具、拝具
丁    寧  謹啓、粛啓、恭啓、謹白  敬白、謹言、敬具
返    信  拝復、拝答、復啓、謹答、
 謹んでご返事します、
 お手紙拝見しました
 敬具、拝具、敬白
急    ぎ  急啓、急白、急陳  草々、不一
重ねて出す  再啓、再呈、追啓  敬具、拝具
前 文 省 略  前略、冠省、略啓、略省  草々、不一、不備、不尽

 左の表をご覧ください。ビジネス文書のケース別に、頭語と結語との関係を簡単にまとめたものです。
 「一般」というのは何気ない報告、案内、通知などに使うといいでしょう。さし当たって緊急性のない文書に向いています。
 「丁寧」は初めて手紙を出す相手や目上の人、自分にとって上の存在である人などに出す文書に使います。最大級の丁寧表現です。
 「返信」は、もらった手紙に返事を出すときに使います。たとえかなり失礼な文面に対しても、こうした頭語と結語を使うのが大人というものだと思います。
 「急ぎ」は緊急性を要する事項、相手にとって損になる事項で、すぐに伝えなくてはならないときなどに使います。現代はインターネットや電話が発達して、こうした急ぎの用件を手紙で伝えるということはあまりないのですが、まったく滅んでしまったというわけではありませんので覚えておきましょう。
 「重ねて出す」ときは、一度出した案内の手紙で追加事項があるとき、または前回の手紙に不備があってそれを訂正する必要がある場合、などです。
 「前文省略」は、お悔やみの手紙やお見舞いの手紙、または親しい間柄の相手(または家族)に出すときに使うもので、これまでの頭語の後には時候の挨拶がついているのに対して、すぐに本文に移ることができるという特徴をもっています。面倒くさくなくて簡単なのですが、ビジネス文書、とくに社外文書では失礼にあたりかねません。使うときには細心の注意が必要です。
 こうして見てきた頭語と結語ですが、頭語には多くのバリエーションがあるのに対して、結語にはそれほどの種類がないのにお気づきでしょうか。
 また、かつて女性が使っていた「かしこ」は、ビジネス文書には向かないのでしょうか、排除されています。こうしたことにも、男性中心のビジネス社会というものが投影しているものなのだと感じますね。
 

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●時候の挨拶を使おう
 時候の挨拶を手紙に入れるというのは、実は日本にしかない風習です。
 四季の変化がはっきりしている日本だからこそ、季節の移り変わりに心をとぎすまし、また相手とそれを共有することによって融和をはかる、という日本人独特の美徳が生んだ文化なのでしょう。こうした美しい文化は、ぜひ残していきたいものですね。

漢語表現
「○○の侯」
やわらかい表現
1月 初春、厳寒  寒さ厳しい折から…
2月 立春、余寒  暦のうえでは春とは申しながら…
3月 早春、春陽  ようやく春めいてきましたが…
4月 仲春、春暖  あげひばりの鳴く季節となりました。
5月 初夏、新緑  若葉の美しく映える季節となり…
6月 薄暑、梅雨  山々の緑も日ごとに濃くなってきましたが…
7月 盛夏、酷暑  近年にない暑さですが…
8月 晩夏、残暑  秋暑厳しい今日このごろですが…
9月 初秋、新涼  朝夕涼しくなりましたとはいえ…
10月 中秋、秋冷  秋晴れの快い日が続いておりますが…
11月 晩秋、向寒  朝ごとに冷気が加わって冬もそこまでという…
12月 初冬、寒冷  今年もあとわずかとなりました。

 左の表は、時候の挨拶を月ごとに並べてみたものです。もちろん、ここにあるのはほんの一部で、まだまだたくさんの表現があります。これはその代表的な例にすぎません。
 時候の挨拶には、大きく分けて、「○○の侯」から始まる漢語表現と、より日本語らしい、やわらかい表現の2種類があると思ってください。どのような場面で使い分けるのかに決まったルールはないようですが、やはり社外文書には漢語表現、手紙文にはやわらかい表現、と行きたいものです。
 漢語表現にある季節の表現方法には、ところどころに実際の季節感と合わないものがあると思います(たとえば2月の「余寒」、10月の「秋冷」など)が、およそこの時候の挨拶が旧暦をもとにしているために起こったものです。これでも、まだ現代の新暦に対応した方なのです。もしわからないときは、「慣用句辞典」とか「歳時記」などの書籍を参考にするといいでしょう。
 また、日本は南北に長い国です。沖縄はもう暑くても、北海道はまだ肌寒いという特殊な気候風土をもっています。そうしたときには「時下」を使いましょう。どんな季節にも使える、オールマイティーな挨拶です。これを使うときは、ただ「時下」とだけ書いておけばOKです。
 表内にある「…」は、その後に安否の挨拶を続けて書くという意味です。
 また、社外文書において、あまり字数が多くなりすぎるという場合や、すぐに用件に切り出したいときには時候の挨拶は省略してもよいことになっています。
 さらに、お悔やみの手紙やお見舞いの手紙など、相手を気づかう必要のある文書では、時候の挨拶を入れてはいけません。相手にとっては季節感を愛でている余裕などないということを察するという意味があるからです。
 

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●安否の挨拶と感謝の挨拶
 ビジネス文書、とくに社外文書では、頭語の後に「貴社ますます…」で始まる「安否の挨拶」を入れなければならないことになっています(一部の例外を除く)。またその後に、「平素は格別の…」という「感謝の挨拶」が続くことになっています。本題に入る前にこれほど長ったらしい挨拶を加えなければならないのが、日本のビジネス文書なのです。

個人あて  ご清祥、ご健勝、ご活躍、ご多祥、ご壮健、ご勇健
会社あて  ご清祥、ご清栄、ご隆昌、ご隆盛、ご清栄、ご発展

 左の表は、安否の挨拶の代表的なものを列挙してみたものです。
 個人あてのもの、会社あてのもの、それぞれで気をつけなければならないのは、相手の状態です。就職が決まらなくて悩んでいる相手に「ご活躍」もないものですし、経営が苦しい会社に宛てて「ご隆盛」は失礼にあたります。安否の挨拶は総じて「縁起のいい」「威勢のいい」表現が一般的になっていますが、相手の状態がわからないときはどうしようもありません。そういうときは安否の挨拶は飛ばして、いきなり感謝の挨拶に行ってしまうというのも手です。
 また、お悔やみの手紙やお見舞いの手紙では、安否の挨拶は威勢がいいので失礼です。入れてはいけません。
 感謝の挨拶は、特には決まっていませんが、だいたいは以下のパターンを流用できると思います。
・平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
・日頃は格別のご愛顧を賜り、まことにありがとうございます。
・毎度格別のご用命を賜り、厚く感謝申し上げる次第でございます。
 言っていることはだいたい同じです。ただ、「いつ」「何に」「どのくらい」感謝しているのかを書くことは必要でしょう。また、「格別の」は相手に対する最大級の感謝であり、言われた方もいい気持ちがするものです。
 

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2.社内文書を書こう

通知書の実際の例です。●通知書/指示書(左図)
 上の立場にいる人が、部下に対して行う連絡、または指示を文書化したものです。
 まず宛名は、社内の、しかも部下に出すものですから敬称はいりません。ただし、役職がある人にはその役職名くらいは書きましょう。
 題名には「(通知)」「(指示)」などと、その文書の性格を括弧書きするといいでしょう。それだけで、読む相手に文書が持つ意味が伝わります。また、この場合も題名があまり長くならないように注意することが必要です。
 いくら上司でも、部下に対して命令口調で書くことは時代に合いません。通知書などの場合、主文を「です・ます」調、記書きを「である」調にするだけで権威がぐっと増すと思います。また、主文を見て疑義が生じないよう、主な事項は記書きに譲って、主文は簡潔に書くことも重要です。
 記書きはできるだけ、箇条書きにしましょう。また日時・場所などの詳細が決まっているときは、決まっている範囲で細かく書くといいでしょう。すべてが決定してから書くのもいいのですが、通知書である限りは、実施までに多少の時間的猶予が必要だからです。
 申込書形式にするときは、書き込み欄をできるだけ大きく。また「□」にチェックを入れるときは、その上に必ず「希望の○○にチェックを入れてください」と書き添えましょう。
 この文書はワープロで作成しても大丈夫です。
 

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●稟議書
 稟議書とは、会社の経費を利用して何かの設備を購入したい、または何らかのイベントを開催したい、というときに提出するものです。経費使用許可伺い、とでもいいましょうか。多くの会社では、特定のフォームがあると思います。そういうときはそれに従って書けば、それほど難しいことはありません。
 会社の経費を使うのですから、何に使うのかの目的、それによって得られる効果、できれば費用対効果なども書いておくと決済を得やすくなると思います。
 購入したい品物の正式名称、価格などはきちんと調べてから書くようにしましょう。会社によっては事後調査が入ることがあります。架空稟議書による横領を防止する必要からです。商品の写真を添えるとなおいいでしょう。
 稟議書が必要になる金額は、それぞれの会社によって違ってくると思います。きちんと調べてからにするか、上司と相談して社内規定と照らし合わせた上で、提出するかどうかを決めましょう。記書きは箇条書きで簡潔に、主文はあまり丁寧になりすぎず、あくまで事務的に書くのがいいでしょう。丁寧に書きすぎると逆効果になることもあります。

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●業務報告書/出張報告書
 業務報告書は、営業をなさっている方々にとってはなじみ深く、それ以外の業務に携わっている方々にとっては見慣れない文書であると思います。わたしは残念ながら後者に属する者ですので、ここでは簡単なルール、セオリーなどについて記すにとどめましょう。
 外回りをされている営業の場合、時間を正確にすることは絶対条件です。また商談実績はできるだけ詳細にしなければならないので、一件終えたら、とりあえずどこかでメモを取っておくといいでしょう。メモする内容は、お客様からの苦情、要望、提案はもとより、同業他社情報、誉められたことなど何でもいいでしょう。記載事項に関する社内規定でもない限りは、何でも書きましょう。ただし、箇条書きにすることは忘れずに。
 メモは様式化すると便利です。たとえば行き先、所要時間、交通費など書かなければならないことは事前に表にしておき、記憶が薄れないうちに書きとめられるようにしておきましょう。退社するときに思い出すのではいけません。お客様からの情報なども同様です。また、出先に行く前に「今日はこういうことを提案しよう」と自分で決めておけば、受け答えもスムーズになるのではないでしょうか。
 営業ではなく製作サイドの業務報告書は、どうも無味乾燥になってしまいがちです。時間や処理事項、処理数量について正確を期すことはもちろんですが、もし連絡欄など自由に書き込めるスペースがある場合は、積極的に利用することをお勧めします。
 出張報告書を書くときは、つねにメモを絶やさない努力が必要です。会議などに出席するための出張ではなおさらです。
 プレゼンテーションなどに参加したときは、資料は必ずもらってきましょう。報告書に添付するためです。また、それに対する自分の意見も考えておくといいでしょう。出張報告書に書くときは、まず聞いてきた、話し合ってきた議題について客観的に記してから、感想として私見をまとめて書きます。その際、もらってきた資料は「詳しくは添付資料を参照」という形で利用できます。また、数値的なデータは正確に書きましょう。推測はいけません。

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企画書はこうして書きましょう。●企画書(右図)
 企画書は、それを業務にしている方々にとってはまさに独壇場であると同時に、もっとも頭を悩ませている書類のひとつではないかと思います。ここでは、企画書の基本的な書き方を説明します。
1. 「5W2H」を明確に
 企画書を書くとき、「5W2H」が秘訣だということを習った人もいるのではないでしょうか。
 「何を・いつ・どこで・だれが・なぜやるのか、どうやってやるのか・経費はいくらかかるか」ということなのですが、これを守って書いている人は、そうはいないのではないでしょうか。
 しかし、企画の発案動機や関連部署、経費見積もりなどはだれでもやったことはあるはずですから、その辺からアイデアをふくらましていけばいいだけのことです。会社によっては書式も決まっているでしょうが、そうでない場合は、自分でまず、あらかじめ「何を盛り込むべきか」というガイドラインを設けておけばいいと思います。
2. 事前調査を大切に
 せっかく企画し、通った案件でも、いざ実行するという段になって「実は実現不可能である」などというのでは話になりません。まずやっておきたいのは、関連部署への打診と経費の計算です。
 新商品の開発をしたいのだが、自社の技術だけで実現できるものなのか、それとも他社の技術が必要だから業務提携をしなければならないのか。それはとても大切なことです。「そんなことは分かっているよ」とおっしゃる方も、奇抜な案を追い求めるあまりにこうした基本を忘れてはいませんか。
 また、開発予算が下りなければ実行にも移せません。経費計算は厳密に行いましょう。もちろん、推測で計算してはいけません。虚偽申告はたいていの企業で厳罰をもって臨むことが多いからです。きちんとすり合わせをしてから書きましょう。
3. 無理をせず、別紙を使う
 「これは」と思う企画ができても、あまり長々と書かれてしまっては、読む気がなくなります。読む方も人間なのですから。
 何も、A4判1枚にすべてを掲載することはありません。詳細については別紙に譲ればいいのです。たとえば表組は、別紙にした方がいいものの最たる例です。グラフや図表だけを本紙に入れ、その根拠となった計算式や表組だけを別紙にするというのも手です。
 ただし、市場調査などをした結果については、必ず別紙でその経過を残しておくことも重要です。
4. 箇条書き・図表などで見やすく
 最後に、「合格する」企画書を書くためには、箇条書きをする癖をつけておくといいでしょう。書き下し文でもいいのですが、読むのが苦痛になってもいけません。文章を書くときに念頭にあらねばならないのは、「読者がいる」ということです。
 箇条書きを練習する場は、いくらでもあります。外出する前に予定を立てるとき、書き下しでメモする人はいませんよね。さらに出先でのメモでも箇条書きを練習しましょう。極言すれば、日記帳だって箇条書きでもいいのです。
 さらに、企画書全体を図表化してみるのもいい試みかもしれません。四角や楕円、矢印などを使ってじょうずにデザインすれば、目にとまることは請け合いです。ただし、図表でも「手書き」はいけません。パソコンを使って描きましょう。グラフィックスソフトが市販されており、安価で購入できます。最近では、インターネット上にアマチュアプログラマーが作ったフリーソフトが出回っています。それを使うのもいいでしょう。
 図表の描き方は、ここでは残念ながら割愛いたします。
 

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議事録の理想的な書き方です。●議事録(左図)
 数ある社内文書の中でも、議事録は誰にでも書かなければならないときがあるものの、最たるものではないでしょうか。かく言う南風も、ほかの社内文書は書いたことがないくせに、議事録だけは何度も書かされた経験があるほどです。初めて書いたときは何度もダメを出され、苦い経験をしたものですが、今ではダメも出されず、上手だとほめられる(?)ようにまでなりました。その秘訣をお教えしましょう。
1. 題名をはっきりと、身元も明らかに
 何の会議の議事録なのか、題名にしっかり盛り込むことが大事です。ただ「議 事 録」だけでは、題名とは言えません。これを読む人は、会議の出席者ではないのです。このことは重要です。この後の説明にも関わることですので念頭に置いておいてください。
 さらに作成日と作成者、このふたつは文書の身元を明らかにし、公文書(企業内だけですから厳密には私文書ですが)としての属性を付与してくれます。わたしも、これを忘れることが何度もありました。議事録をテンプレート化して、このふたつを初めから入れておくと忘れないでしょう。
2. 日時・場所・出席者名を最初に
 日時と場所は、メモの段階から忘れないように書いておきましょう。忘れやすいといってまず思い浮かぶのは、南風の経験からしても、やはり「終了時間」でしょう。後から営業日報なんかを引っ張り出すのでは時間のムダです。忘れないで。わたしはこれしか言えません。
 出席者名には、肩書きが重要です。記載する順番で神経をすり減らすこともしばしばだからです。
 役職者が出席する場合は、身分が高い順に書きます。あとは部長、課長、係長…と順番に書いていけばいいのですが、困るのは同列の人たちです。左の図でも、営業部長以下はみんな課長ですよね。こういうときには会社の組織図を見て、部署間の上下関係で判断しておけばいいでしょう。
3. 議事は箇条書きに、過去形が基本
 議事を書くために大事なのは、時系列をしっかりと骨組みに置くことです。まずテーマを最初に書き、それに対する決定事項を、決まった順に書いていくのです。これは大して難しいことではないでしょう。難しいのは、余計なことを書かないようにする「推敲」作業です。再度言いますが、これを読むのは会議の出席者ではありません。余計なことは必要ありません。「○○課長が○○という意見を出したところ、○○課長がそれに反論し…」などという実況中継は、この際不要です。冷たいようですが、決定事項だけを冷静に並べる、これだけでいいのです。時系列を把握するのに最適なのは箇条書きですから、「会議の節目」のようなものもしっかりと感じ取る努力が必要ですね。
 また、決定事項は過去形が基本になりますが、「これからの継続審議」である事柄については、無理して過去形にすると長ったらしくなってしまいます。過去形と現在形、そして未来形の入り混じった文、それは日本語においては、決してタブーではなく、むしろ美文の基礎であることを覚えましょう。
 

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始末書は、できれば書きたくないですね…●始末書/顛末書(右図)
 自分の失敗で何らかの損害を生ぜしめた場合には、上司および関係先にその一部始終を報告し、謝罪しなければなりません。その目的のもとに、始末書と顛末書が存在します。ちなみに始末書と顛末書はどちらも自分の失敗を報告するための文書なのですが、始末書が丁重な謝罪文が主体で記書きも丁寧文であるのに対し、顛末書は謝罪の気持ちではなく、ひたすら事実関係を報告するためのものです。始末書が重大な過失、顛末書がそれほどでもない失敗、こう覚えておくのもいいでしょう。
1. まず事実関係をしっかり調査
 あまり前のことになると思い出せないかもしれませんが、それでもできる限り、事実関係は正確に、かつ詳細でなければなりません。明らかにするべきなのは原因、経緯、結果、(あれば)損害額などです。内容が過失である場合はその経緯が重要になりますし、一方、内容が不祥事であるならばその動機(原因)が何より重要になるはずです。
2. 文体の選択が重要
 始末書と顛末書で異なるのは、お詫びの有無だけではなく、文体の丁寧さもそのひとつです。基本的に始末書は許しを請うために書くのですから、文体は全体を通して丁寧語です。しかし、顛末書は事実をありのままに報告するためにあるのですから、本文部分は「です・ます」調でも、記書きの部分は「である」調でもかまわないのです。この区別をきちんと把握しましょう。
3. 始末書は手書きで、顛末書はワープロで
 これも始末書と顛末書の性格の違いについてなのですが、始末書をワープロで書くのはあまり感心しません(社内規定で決まっていれば話は別ですが)。ペンで書いて提出されたほうが、真心がこもっていると思ってもらえるものです。こういう場面で、字がきれいな人は得をしますね。字が汚いと自覚している人は、今のうちに直しておいたほうがいいですよ。
 それに対して、顛末書はワープロで書いてしまっても大丈夫です。これは「詫び状」ではなく、報告書としての性格を持っているのですから、手書きにする理由も手間もありません。
4. 始末書/顛末書の流れ
 自分が犯してしまった失敗を隠さずに述べるのが始末書/顛末書ですが、これにも決まった文章の流れがあります。
 まず最初に、起こったことの概要と経過を書きます。これを最初に持ってこないと、何を言わんとしているのかが伝わりません。その次に来るのが「原因究明」です。原因がわからず、ただの不注意だったときでも、「私の不注意により」と書くだけでもいいのです。そして原因を述べた後に「対策」を考えます。もう二度と同じミスを起こさないという誓いの表明でもあります。もし不注意で起こしてしまったことであっても、不注意に陥らせる何事かがあったはずなのです。ただしその対策も、継続して実行していかなくては意味がありません。ですので、立てる対策は自分なりに継続していけそうなものにとどめるべきです。
 最後に「詫び」を入れます(始末書のみ)。みずからの進退にかかわる重大なことになる可能性もありますが、謝るべきときには謝っておきましょう。ただ、何度も言うようですが、謝ることは誰にでもできます。今後、どのような対策のもとで再発防止に努めていくか、これが大事ですね。

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●退職届/進退伺
 最後に、退職届と進退伺について説明します。これらの文書は、会社にとどまりたいなら絶対に書きたくないものではありますが、いつ、そういう状況に追い込まれるとも知れません。知識として持っておくといいでしょう。
 まず、退職届は基本的に手書きです。また、横書きフォームと縦書きフォームがあります。会社側でフォームを用意しているところもあります。
 退職届では、なるべく簡潔な記述にとどめましょう。基本要素は「日付・宛先(たいていの場合は社長)、退職理由、自分の氏名と所属」だけです。退職理由はいろいろ考えられますが、退職届に書くべきではありません。「一身上の都合で」とするのが一般的です。詳細な退職理由は上司との話し合いの過程ですでに上層部に伝わっていることが多いからです。そうしたことも、書く前に上司と綿密に交渉しましょう。今、社会問題ともなっている「リストラ」にともなうのが、いわゆる「肩たたき」とも言われる退職勧奨です。そうしたオファーがあったときは、退職届にも「退職勧奨を受け入れ」と明記しておきましょう。サラリーマンの精一杯の抵抗です。
 退職日が決まってから、少なくとも2週間前までに提出しましょう。また、残務連絡などのために、退職後の自分の住所・電話番号などを付記するのも忘れないことです。退職金の支払いにも影響します。
 次に、進退伺ですが、これはさらに深刻です。
 一般には、始末書でも済まないような重大な過失、たとえば取引先との不和による取引停止、事故による企業の社会的信用を失墜させたときなど、自分の職すらも危うくなるほどのミスを起こしたときなどに書かれるものです。これも、ワープロは禁止です。手書きで丁寧にしたためましょう。
 進退伺は、自分で退職を決定する立場にないほどの深刻な状況になったとき、退職届に同封する形で提出します。受理されれば、すぐさま退職ということになりますが、そういう場合は「懲戒免職」ということになり、退職金が支払われない企業がほとんどです。
 こういったものを書かなければならない立場にある人は、中間管理職と高級経営幹部です。部下の不始末の監督責任を問われるからです。ミスの程度が軽微だったときは減給や訓戒ですむこともあります。
 始末書と違うのは、くどくどと弁解文を書かないことと、今後の対策を書かないことです。こうした場合では、事故の原因はさておいて、まず自分の進退について上層部の決裁を仰ぐからです。自然と、文章は短くなります。まず事故の状況の概略を書き、「私の不注意により」「私の監督不行届により」と簡潔に原因を述べ、「…申し訳ございません」と謝ります。ここで改行します。ここまでで50〜100字くらいです。
 最後に、自分の進退を仰ぐ文章を入れます。「…以上の不始末はすべて私の責任ですので、ここで職を辞し、責任を明確にいたしたいと存じます」と書きます。改行後、「つきましては、辞表を同封いたしますので、何ぶんのご処置をお待ち申し上げる次第でございます」で結びます。
 全体で200〜400字程度にまとめましょう。文体はくどくせず、さっぱりと潔さを強調しましょう。また「職を賭しても悔いはない」という態度を打ち出すことで、もしかしたら「辞職には及ばず」がもらえるかもしれませんよ。
 状況はお察しします。ご自分の職を賭けた重大な文書ですので、がんばって書いてください。

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