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雑誌・広告

雑誌や広告などは、もっとも人の目に触れる機会が多いメディアです。
したがって、その性格上、文章のミスは完全に排除しなくてはなりません。
ここではそんな商業印刷物の分野にかかわる方々のために、
草稿の起こし方から細かな文章の書き方、そして校正にいたるまで、
どんな初心者でもみるみるうちに素晴らしい文章が書けるようになる、
そんな大それた目標を設定したページです。
「売れる」文章が一日も早く書けるようになるように、ともに努力しましょう。

「文章の書き方」カテゴリー別リンク
文章の書き方トップ社内文書/報告書研究レポート・卒業論文小説/随筆


お読みになりたい項目をクリックしてください。ジャンプします。

1. 雑誌/社内報/会報
 ●草稿の起こし方 取材を終えてオフィスに戻ってきたとき、いちばん気が重いのは草稿を起こす、つまり下書きをする作業なのではないでしょうか。しかし、難しく考える必要はありません。あれこれ悩むより、題材に沿って書いてしまえばよいのです。ここでは書くにあたっての注意点を、例を示しながら解説します。
 ●読みやすい文章にするために いくらいい取材をしても、それを伝える文章が難解であったり、読みにくかったりしたら失格です。「て・に・を・は」に代表される助詞/接続詞の使い方とかな漢字混じり文における漢字占有率を主題に、すらすら読んでもらえる文章を書くことを目標に注意点をいくつか紹介します。
 ●校正のやり方 執筆後のチェックはぜひ行いましょう。ここではもっとも陥りやすいミスを「ら抜き言葉」、「二重敬語」、「『です・ます』と『である』の混在」、「括弧の閉じ」、「表現の『揺れ』」に分けてひとつひとつ解説します。これまでに似たようなミスをしたことがある方は、かならずここをチェックしてください。
2. 広告/チラシ/パンフレット
 ●コピーライティングとは 広告に掲載する文章を作ることは、普通に文章を書くのに比べればはるかにレベルが高く、プレッシャーもかかります。あなたが安心してキャッチコピーを考えることができるように、ここでは執筆前にしておかなくてはならないことを、わたしの経験に即して述べております。広告文執筆を担当する方々、どうぞお読みください。
 ●「かっこいい」売り文句を さあ、実際に資料をもとに書いてみましょう。ここでは例として、パソコンの新製品を紹介するキャッチコピーを掲載しました。専門用語の扱いから、「うまい」と言わせるための表現技法の数々を併記してあります。今までにいくつかの仕事を経験された方でも、参考になるように紹介してあります。
 ●原稿作成の注意点 できあがった原稿は、パソコンに入力して文字データにしたものを渡すというのが主流になりつつあります。ここではそうした作業を初めて行う方々を対象に、デザイナーさんにスムーズに文字データを支給するにはどうすればいいかを紹介しています。多少、わたしの希望も入っています。


1. 雑誌/社内報/会報

●草稿の起こし方
 取材を終えてオフィスに戻ってきて、まずしなければならないことは、これから掲載するべき題材についての大ざっぱな骨組み、つまり構成を考えることと、それをもとに実際に文章に書いてみる、草稿を起こすという作業でしょう。
 やり方は人それぞれですが、初心者でも比較的やりやすいのは、取材メモを見ながらレポート用紙に自由に書き殴っていくことではないでしょうか。その際、字数などは考える必要はありません。字数はあとで推敲をしながら、増減などの調整をしていけばいいのです。最初から字数を考えながら文章を書くなどは、よほどのベテランでなければ不可能なのです。もしレポート用紙がパソコンに変わっても、基本的には同じことです。字数など気にしないこと。キーボードなら手が疲れませんので、その点は有利でしょう。
 草稿を起こす上で、注意しなければならないのはだいたい次のようなことではないでしょうか。
 1. 見て、聞いてきたことは余さず書くこと。また、余計な脚色を加えないこと。
 2. その記事でいちばんに伝えたいことは何か、を考えながら書くこと。本題の位置はどこでもよい。
 3. きちんと真実にもとづいて書かれているか。想像だけで書いている場所はないか。
 4. 図版などがある場合、それと関連した記事になるよう整理されているか。
 こんなところだと思いますが、書いている分野によっては、まだまだあるかも知れません。
 ちなみに、これはわたしの考え方ですが、最初に見出しをつけるというのはあまり感心しません。まず本文を書いてみて、それによって伝えたいことがきちんと書けていて、それを前提にして見出しを決めても遅くないと思います。見出しには、文章中で使ったフレーズにある程度の色をつけたものを選ぶといいと思います。また見出しを最初に決める場合でも、柔軟に変更できる環境であることが望ましいのです。
 図を描いてみるのもいい方法のひとつです。伝えたいことは何か、またそれに付随する文章の位置、そういった大まかな構成がひと目で分かるようになると思います。ただし、それはあとで清書するのが自分自身であるときに限ります。他人が見ても、図で表された草稿ほど分かりにくいものはないからです。またくれぐれも、それを原稿にして、他人に草稿の書き起こしを依頼しないようにしましょう。とんでもないものが出来上がるか、質問攻めに遭うかのどちらかしかありません。
 ここで、例をひとつ示しましょう。
 わたしは、ある街のミニコミ誌の執筆者です。発行者に依頼されて、観光リンゴ園の取材をしました。農園主と観光客へのインタビュー、リンゴ園への行き方の地図、そしてリンゴを試食させてもらった(役得…)ときの感想などがネタです。
<例>
 リンゴ園の賑わいは、秋の風物詩といえる。リンゴ園がオープンしてから、この半ばさびれた農村地帯も、一挙に活気づいたかのようである。訪れる人は大半が首都圏から車でやってくる家族連れで、駐車場を見ると、そのナンバープレートの地域表示はまさに多彩そのものである。
 しかし、農園にはそれなりの悩みもある。農園主のAさん(51)にお話を伺った。
「観光リンゴ園を始めたのはいいのですが、今度はやってくるお客様が満足していただけるように維持管理する、そっちの方にばかり費用がかかるようになってしまいました。今のところは近所のおばさんたちに助勢を頼んでいますが、いつかは人件費が発生してしまうのではないかと心配です。でも観光農園は絶対に存続させたいと思います」
 しかし訪れる観光客にとって、観光リンゴ園は、甘くておいしいリンゴをいくらでももぎとり、その場で食べることができるという数少ない場所であるため、欠かせない観光スポットなのである。神奈川県から訪れた会社員のBさん(34)から話を聞くことができた。
「そりゃ、これだけ近い場所に、これほどの大規模な観光リンゴ園ができたんだから、一度は来てみなくちゃね。でも雑誌で紹介されたりしたから、人が多すぎてまいったよ。少し日をずらせばよかったかな」
 観光客にとっては、リンゴの味よりも、近郊に手頃な観光スポットができたということのほうが大事だったようである。しかしリンゴも捨てたものではない。みずみずしいリンゴを一口かじっただけで、独特な酸味と蜜の甘さが口腔いっぱいに広がった。きちんと整地された果樹園で育てられたリンゴほど、観光客を呼び込むための宣伝材料にまさるものはないであろう。
 交通のアクセスは、付図のとおりである。駅からも比較的近いが、高速道路のインターに直接通じているというのが強みである。

 とりあえず、見てきたことはすべて書いてみました。ただし、細かい描写までは入れてありません。
 さて、まずいところはどこでしょうか。まずは、余計な脚色と思われる表現方法です。「半ばさびれた農村地帯」というのは、明らかにネガティブな表現です。また「近所のおばさん」というのも蔑称ととられかねません。おばさんと言われてうれしい人などいるはずがないのです。表現するというのは大事なことであると同時に、読者の心証にも配慮する必要があるのです。
 またここでは、想像で書いている箇所が明らかにひとつあります。「その場で食べることができる数少ない場所」というくだりです。
 それは果たして、きちんと調査したうえで出てきた文章なのでしょうか。もしその通りならばいいのですが、想像だけで書いて、実際には2キロ先にも観光リンゴ園があったなどということが知れたら、どうするのでしょうか。虚偽記事になってしまいます。想像で書いたりせずに、とくに地理的・統計的なことはきちんとした裏付けが必要になります。

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●読みやすい文章にするために
 さて草稿がそろったら、今度は清書をしていきましょう。下書きは、草稿として書いた書き殴りでかまいません。
 前節にかかげた例では、構成も考えて書いてみました。具体的に書き下してみると、「リンゴ園の描写」(導入)→「農園主と観光客に対するインタビュー」(主題)→「リンゴ園の立地の分析・味見」(展開)→「交通のアクセス」(結語)というぐあいでしょうか。
 大まかな骨組みができたら、今度は描写を加えて、文章に肉付けをしていく作業に入ります。またこのとき、不要だと思える場所はきっぱりと捨て去ってしまいましょう。意識的に字数稼ぎをしているところは、ちょっと読んだだけではわかりませんが、二度、三度と読んでいるうちに何となくわかってしまうものなのです。上の文章では、「リンゴの味」というくだりは明らかに取って付けたような感じがしますね。もし必要だったとしても、味の表現だけで充分でしょう。
 描写については、小説や随筆のページに譲ることにしましょう。ですが、雑誌のルポルタージュは多くの場合、写真やイラストがついているものです。必要以上に細かな描写を文中で施すことは、あまり重要な作業とは思えません。写真ほど、情景を雄弁に物語るものはないからと考えます。余計な描写は、もし書き手の文章がまずかった場合、駄文を露呈するうらみすらあるのです。

 では、今度は助詞・接続詞の使い方と漢字占有比率のお話です。
 助詞や接続詞はよく、「て・に・を・は」という呼び名で通用したりします。どれも、文節と文節とをくっつける接着剤としての役割を果たしています。もちろん、それだけではありません。端的な例は、ドイツ語の格変化です。1格から4格まであるのですが、その目的語に合わせて冠詞や語尾が変化します。わたしも1格が「〜が」、2格が「〜の」、3格が「〜に」、4格が「〜を」と覚えたものですが、ドイツ語では格を変えるだけで、実に多彩な文体を生み出しているわけです。
 ですが、日本語や英語には、格変化はありません。英語はそれを、数多くの熟語や副詞、助動詞などでおぎなっています。日本語は助詞や接続詞を使って、語と語をつなぐことで文章を作っています。
 実は日本語とほんのわずかの言語だけが、「動詞が最後に来る」という特異な形式をもっています。しかしそれに限らず、日本語には「倒置法」「比喩法」、または「体言止め」など、いろいろな技法が存在しています。ここではまず、助詞・接続詞の使い方を勉強しましょう。
 よく、「が」や「の」が重複すると読みにくくなると言われます。
 たとえば、「私のシャツのシミの抜き方」という文では、「の」が3つも出てきますね。これでは読みにくくなって当然です。名詞が4つ並立しているのですから当然です。
 では、こう直してはどうでしょう。「シャツのシミの抜き方」、もしくは「私のシャツにあるシミの抜き方」。前者は「私は」という主語をあきらめた例。後者は「シャツの」という2番目の名詞の語尾を変えた例です。
 このように、同じ系列の品詞が並立しているとき、語尾を変えることでゆるやかな文章に作りかえることができるのです。もし重複表現が気になるというときには、思い切ってどれかの語尾を変えてしまうのがいいでしょう。
 余談ですが、重複表現にもいろいろあります。よくみられるのは、同じ言葉を一文のなかに2つ以上並立させるミスですね。
 「新たに開発した洗剤は、省エネのために開発されたものだ」とか、「これをクリックして選択可能にすることで、先に進むことが可能になる」とか。
 こういうときは、代替表現を使うのがいいでしょう。たとえば前者の「開発」には、「作りだされた」とか「創造された」とかの類語がありますね。また後者の「可能」にも、「できる」というもっと平易な類義語があります。「類語辞典」などを使って語彙力をつけるといいでしょう。

 文章の中に漢字が占める割合の上限は、だいたい35パーセントが目安だといわれます。それ以上あると、今度は読みづらくなってしまうのです。
 それを避けるためには、必要以上に漢字を入れないことと、語彙力を振りかざして漢語の名詞を多用しないことがいちばんでしょう。
 たとえば、「達」「頃」「事」「時」…などの副詞は、できるだけ漢字にしないほうがいいでしょう。「そのこと」と「其の事」では明らかに重みが違いますよね。その場合、漢字の配置にも気を配りましょう。「驚いたことに」と「おどろいた事に」では、ニュアンスすら変わってきてしまいます。
 実は、漢字になっているものは最小限の漢語類を除いても、ひらがなでもきちんと文章が成立するのです。ここでいう漢語とは、熟語や名詞など、どうしても漢字でなくてはならないもののことです。実はわたしのこの文章でも、ちょっと漢字が多めかもしれないのです。
 ここで、漢字で使われている語の中で、ひらがなでも違和感のないものを紹介しておきましょう。
 ・下さい(ください) ・出来る(できる) ・我々(われわれ) ・僕(ぼく) ・付く(つく) ・始め/初め(はじめ) ・予め(あらかじめ) ・迄(まで) ・達(たち) ・例えば(たとえば) ・先ず(まず) ・難しい(むずかしい)
 これ以上にも、数え切れないほどあるでしょう。熟語や漢語を使わない名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・助動詞など多くの品詞は、おそらくほとんどがひらがなでも表現できると考えています。

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●校正のやり方
 清書ができたら、次は書いた文章を自分でチェックしてみましょう。
 使う道具は、赤ペンと辞書だけです。最近はパソコンの画面上でも校正ができるようになってきましたが、わたしはきちんとプリントアウトして、紙の上でチェックすることをおすすめします。やはり目の届く範囲が違いますし、画面上よりもじっくり、落ち着いて作業できるという利点があるからです。
 また、できるならば自分でチェックすることをおすすめします。
 ここでチェックする項目について、ひとつずつ追っていきましょう。

1. 「ら抜き表現」「さ入り表現」
 近年は文体の多様化もあって、言うなれば表現の「亜流」も認められるようになってきました。ですが、文章上では美しい文体を維持するため、無理のある亜流は極力、取り除いておかなくてはなりません。亜流の代表は、やはり「ら抜き表現」と「さ抜き表現」です。
 「食べれる」というのが「ら抜き表現」、「作らさせていただきます」というのが「さ入れ表現」です。どちらもよく見られるパターンですが、文章にしてしまうと見苦しいものです。数は多くありませんので、チェックして直しておきましょう。
2. 二重敬語
 「お通りになられる」とか「お茶をお入れいたします」というのは「二重敬語」といい、美しくない文体だとされています。この場合は「通られる」「粗茶をお入れいたします」など、丁寧語と謙譲語の使い分けをするように心がけましょう。多くの場合、二重表現は打ち消しあう関係にあるからです。
3. 「です・ます」と「である」の混在
 ついやってしまうのが、「です・ます」調と「である」調を混在させてしまうことです。これは執筆中に注意していれば防げるのですが、ちょっと席を立って、執筆を再開したりだとか、途中にそれを崩すような表現(話し言葉など、「です・ます」調が適用できない部分)があったりするとつい忘れてしまうのです。これは、事後のチェックで見つけるしか方法はありません。気をつけていても、ポロッと見つかるものです。
4. 括弧の閉じ
 これも、ついやってしまいます。最初に「(」をつけても、最後に「)」を入れるのを忘れてしまうのです。最近のパソコンに搭載されている日本語変換ソフト(IME、Input Method Editor)にはこれを回避する機能が組み込まれるようになりましたので、パソコンをお使いの方はそれを利用しましょう。
 また、かっこには和文用と欧文用の2種類があります。これはパソコンをお使いの方に気をつけてほしいのですが、入力モードの違いによって括弧の形が変わってしまうのです。画面上では判別できませんが、印刷するとわかります。注意しましょう。
5. 表現の「揺れ」
 実はこれがいちばん難しいのですが、長い文章になると、どうしても文中に表現や漢字/非漢字の違いが出てきてしまいます(「中」と「なか」が混在している、等)。特に考えて一部分だけ表現を変えているのでしたら問題はありませんが、近距離にあまり多くの例があると、文章がヘタであるととられかねません。できるだけ直しましょう。

 あとは、今まで骨だけだった文章に肉付けをし、または不要な部分を削除して「良い文章」に仕上げていくだけです。さきにわたしは「できれば自分でチェックを」と書いたのですが、その理由は、自分の文章ならば誰に気兼ねすることなく、自由にいじれるからです。思い切って「ボツ」にすることも、自分の文章だからこそ可能なのです。
 校正の作業は大事な工程のひとつです。ぜひ実行していただいて、よりよい文章に仕上げていきましょう。これで、文章の作成は終わりです。

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2. 広告/チラシ/パンフレット

●コピーライティングとは
 よく「コピーライター」という職業がもてはやされたりしますが、彼らは広告に掲載する商品紹介の文章を考えたり、売れ行きが伸びるように「キャッチコピー」という見出しを考えてくれる人たちです。商品知識や市場動向の知識はさることながら、高い語彙力をそなえていないとつとまらない職種だと思います。売り上げに直接かかわるだけに、プレッシャーも相当なものだと拝察します。
 ですが、そういったプロフェッショナルに依頼できるのは、ほんのひと握りの企業にすぎません。多くは、それを売る営業マンが考えたり、広報の人が頭をひねりつつ考えているものです。
 コピーライティングをしなければならない立場に追い込まれた方々の参考になるように、わたしの経験をまじえながらいくつかの技法について解説していこうと思います。ここで仮に、あなたは新型のパソコンをセールスするための内覧会用チラシを作ることになったと想定します。

1. 商品についての知識を得る
 最初のステップは、紹介を任された商品についての正しい情報を得ることです。カテゴリーとしては、以下の3つに分かれるでしょう。
・性能について知る
 ここで大事なのは、性能のすべてを理解する必要はないということです。まず、開発担当者からは「新機能」を確認しましょう。そして、以前のモデルとどこが違うのかを「数値的に」聞くことです。また、それによってどんな効果がエンドユーザーにもたらされるのかも大切な要素です。もしそれが開発者の勝手な思いこみであったとしても構いません。
・訴求対象は誰か
 今度は、その新製品を売り込む相手を確かめることです。同じパソコンでも、若者向けにデジタルカメラが内蔵されているものを売り込むのか、あるいは高齢者向けにキーボードの刻印が大きいものを売り込むのか、訴求する相手によってキャッチコピーの調子も変わってきてしまうからです。またその訴求対象が、パソコンに対する認知度をどのくらいもっているかということも重要です。専門用語の占有割合にかかわります。
・開発者の「押し」を聞く
 「押し」とは、その製品を開発するにあたって掲げていたコンセプトのことです。たとえばブロードバンドを前面に押し出したモデルである場合、それを実現するための新機能は何なのか、また費用対効果についても質問しましょう。価格が決定していなければ、その必要はありません。プレゼンテーションのときに使った資料などがあるとなおいいでしょう。
2. 基本的なレイアウトを決める
 今度は、デザイナーをまじえて基本的なレイアウトを考えましょう。どうしてこれが大事になるかといえば、大まかなレイアウトを知っていればどのくらいの字数が必要かがわかりますし、図や写真が用意されていれば、それにつけるキャプション(説明)も考えやすいからです。しかし、決めるといっても、あまり厳格にしないようにしましょう。デザインに対する自由度が下がりますし、また自分もそれに拘束されてしまうからです。あくまで、ここでは基本的なところにとどめましょう。
3. 他社のモデルについて情報を得る
 これは絶対に必要ではないのですが、競合他社がこれまでに発表したモデルのパンフレットなどがあると、それと比較することでより斬新なキャッチコピーが生まれると思います。また競合他社の訴求相手やコンセプトなどを知ることにより、自社はそれを踏まえたセールスプランを確立することができるからです。あなたがもし販売担当の営業マンだったとしたら、ぜひこの作業を盛り込んでください。


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●「かっこいい」売り文句を
 さあ、今度は実際に文章を考えてみましょう。
 あなたの手元には、開発チームがプレゼンテーションに使用した資料があります。あなたはこれをもとに肉付けし、あるいは省略しながらパンフレット用に書き換えて行かなくてはなりません。その作業を「リライト」と呼びます。
<例>
プレゼンテーション用資料:
 筐体の徹底的な軽量化とCPU/HDDの小型化により、無線LANの筐体への内蔵を実現。結果、オフィス内における既設LAN環境に即し、各クライアントに内蔵無線LANを増設することにより、ほぼ800kbps〜1Mbpsの通信速度を確保することに成功。またOSとドライバとのシームレスな連携により、これまで通信環境の保守に多大な労力を必要としたシステムアドミニストレータ、システムエンジニアの負担を軽減。TCOにすぐれたソリューションを提案する。

コピーライティング後の文章:
 これまで不可能とされていた無線LANの本体への内蔵を、業界で初めて実現。
 すでに設置されたLAN(Local Area Network、内的ネットワーク)の環境があれば、簡単に導入できます。
 その点、通信速度は最高1Mbps(従来モデルの約3倍)もの超高速。
 そのうえ配線が不要なので、システムの保守のための専門技能は必要ありません。
 煩雑な保守に追われていた技術者のみなさんの負担は、決定的に軽減されます。


 まず大きな違いは、段落を多用して読みやすさを追求したことです。ずっとつながった文章より、細かくリズミカルに切れた文章のほうが視覚的にも整理された印象を与えます。
 そして訴求相手は、一般企業の設備投資担当者にすえました。システムエンジニアではない彼らは、専門的なことまではわからないはずです。そこで「筐体」「CPU/HDD」「シームレス」といったマニアックな用語は排除しています。また、これまでに行った設備投資をベースにできる、ということをさりげなくアピールしています。「LAN」という用語はどうしても捨てきれませんが、わかりやすくするため意味を併記します。
 また効果を、数値でも提示します。ですが、通信速度が1Mbpsになったからといって、現行システムの速度まで把握していないことを想定して、「従来モデルの約3倍」という注釈をつけました。その際、最低速度は隠しておきましょう。
 内覧会ではなく一般購買者に向けたパンフレットを作る場合は、もっと表現をなめらかに、かつ漢字と専門用語を減らす必要があります。

 ここで、相手をうならせる「かっこいい」売り文句を作るための技法を、いくつか紹介しましょう。
1. 句読点の配置
 句点(「。」)と読点(「、」)の位置を巧みに変えることで、インパクトのある文章を生み出すことができます。
 たとえば「きょう飼っていた猫が死んだ」という文章があったとします。今のままではどうも無感動、冷たい感じがしますね。ですがそこに読点をひとつ置いて「きょう、飼っていた猫が死んだ」とすればどうでしょう。この場合は、出来事があった時間に対して思い入れを感じさせます。また「きょう、飼っていた猫が、死んだ」とすれば、今度は時とその出来事に対してインパクトを与えることができます。コピーライティングの世界では、強調したい語句の前に読点を置いて訴求力を高める、という使用法があります。
2. 体言止め
 「体言」とは名詞、代名詞といった「活用の存在しない品詞」のことをいいます(活用があれば「用言」)。体言止めとは、文章を名詞や代名詞でぷっつりと切ってインパクトを与えようとする技法のことです。
 たとえば、上に掲げた例のなかの1行目、「業界で初めて実現。」は体言止めを使っています。もし体言止めを使わずに「業界で初めて実現しました。」としてみても、インパクトはそれほど高まらないはずです。普通の話し言葉と同じだからです。ですが、あまり使いすぎないことです。もし全行に体言止めがあったら、どこを強調しているのかわからなくなってしまうからです。
3. 「!」を使う
 感嘆符(エクスクラメーション・マーク)を使えば、簡単に文章にインパクトを与えることができます。またアクセントのひとつとしても使えるでしょう。ですがこれもあまり多用すると、逆にインパクトを阻害してしまいます。それにもしつけるならば、文末がいいと思います。文中にあった場合だと、そこで文章がすっぱりと切れてしまうからです。


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●原稿作成の注意点
 さあ、これで原稿を書く準備ができました。
 あなたはデザイナーに渡すための原稿を、手書きではなくパソコンを使って文字データごと渡さなくてはなりません。実はこういった「文字データを支給する」という原稿の交付方法は、最近では主流になりつつあるのです。手書きの原稿を渡した場合、それをまた他人が入力しなければならないので、その分コストがかかってしまうからではないでしょうか。
 ここでは、文字データ(一般には「テキストデータ」と呼びます)を作るうえでの注意点をいくつか申し上げます。

1. 段落をきちんとつける
 段落とは、一文が始まる際に一字下げを行うことです。文章にアクセントをつける「形式段落」と、場面の転換など文章上の理由でつける「意味段落」とがありますが、このさい、そんな中学時代の無駄な知識は捨てて、「文の始まりには一字下げをかならずやる」という意識をもっていただくだけで結構です。
 よく、最初だけ一字下げをして、あとはそんなことはお構いなしにすらすら書いている人や、[Enter]キー(Macintoshでは[Return])を押して改行していながら、次の行で一字下げをしない人などがいます。内部文書ならば「忘れちゃった」でもいいでしょうが、商業印刷物の世界では、そのような拙劣なミスは許されません。書いたあとにきちんとチェックして、おかしいところを直しておきましょう。
2. 推敲はデータを渡す前に
 文字を入力する前に手書きをなさる方も、そうでない方も、文章のチェックはデータを渡す前にやるようにしましょう。
 データをデザイナーに渡せば、とりあえずそれを使ってレイアウトを組んでくれます。でもその後からあれこれと変更を加えるのでは、せっかくできあがったレイアウトを崩してしまう恐れがあります。推敲には字数の増減が避けられないからです。
 また、できあがったゲラ(普通紙にプリントしたもの。「台校紙」ともいう)に赤字を入れるときも要注意。入れる赤字は最小限にしないと、入力をミスする可能性がそれだけ増大します。自分はミスしていなくても、真っ赤にしてしまったためにミスをされてしまったのでは、あなたに責任が及ぶことになりますよ。
3. データを渡すにあたっての知識
 Windowsをお使いの方々へ。
 文字のデータは「テキスト形式」がベストです。なぜなら、テキストデータは文字だけでできているため、MacintoshでもUNIXでも、日本語が使える環境ならば同じように再現できるからです。HTMLにしようとか、エンコーディングしようとか、余計なことはしないでください。やり方は、お使いのワープロソフトの説明書をお読みください。それと、テキストデータですから、圧縮などしなくてもけっこうです。400字詰め原稿用紙いっぱいに書いても、1KBにもならないのですから。
 Macintoshをお使いの方々へ。
 「拡張子」というのをご存じでしょうか。WindowsやUNIXにおいて、そのファイルが何を使って作られているかを判別するための2〜4文字の記号のことです。以下のような例がありますので参考にしてください。
・「.txt」…テキストデータ ・「.doc」…Microsoft Wordで作成 ・「.xls」…Microsoft Excelで作成 ・「.eps」…EPS(Encapsulated PostScript、印刷用の画像データ形式) ・「.jpg」…JPEG圧縮 ・「.psd」…Adobe Photoshopで作成 ・「.ai」…Adobe Illustratorで作成 ・「.qxd」…QuarkXPressで作成
 メールを使って送るとき、もし極秘の内容であった場合は、セキュリティレベルを上げてからにしましょう。それでも不安でしたら、フロッピーディスクに落として、ご自分でデザイナーへ届けてもいいでしょう。

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