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レイヤーを新規作成5. 色分けをする
 さあ、今度はついにメインイベント。歴史地図には欠かせない、国別の色分けです。でも、そんなに難しいことはありません。根気よく、ひとつひとつ塗りつぶしていきましょう。
 まず、国それぞれに新しいレイヤーをつくりましょう。そうすることで、ぐっと管理しやすくなります。面倒くさがらずに、そういうことは今のうちにやってしまいましょう。また、あらかじめ作ることもありません。その都度作れば結構です。
 全部を説明することはできませんので、ここでは中でも最大で重要な国、神聖ローマ帝国を例にしましょう。同国は当時すでに形骸化してはいましたが、現代のアメリカのように、世俗世界においてはまさに超大国でした。本稿で扱うには持ってこいですね。
 レイヤーは、地図の下地のすぐ上に作ります。間違っても、海岸線の上に作ったりはしないでください。地図下地のレイヤーをクリックして選択し、パレット右下にあるボタンの右から2番目が「新規レイヤー」ですのでそれを押します。左画面例ですと「レイヤー8」という名前になりますので、すかさず「神聖ローマ帝国」と名前を入れておきましょう。別に「Holy Roman Enpire」でも「Heilige Romische Reich」でもかまいませんが(いないかそんな人)。

 Illustratorはドローソフトですので、色を塗るには一定のルールがあります。「3. 海岸線を描く」でもちょっとさわりを説明しましたが、ここで詳しく説明いたします。
神聖ローマ帝国だけ完成 色を塗れるのは、「線」と「その内側」です。線の外側に塗りを入れたり、油絵のように繊細なタッチで筆書きをしたりすることは基本的にはできません。原則として、色は「パス」と呼ばれる線か、それに囲まれた領域にしか適用できないのです。
 それを理解された上で、左に掲げました画面をご覧ください。
 ここで塗りを入れているのは「神聖ローマ帝国」「デンマーク王国」「スウェーデン王国」の3カ国だけです。
 どれもきちんと塗られていますが、すべて、閉じられたパスの内側だけに塗られているのです。パスである線は、色を適用してありますので見えません。このように描くには、レイヤー機能と「変形」パレットを駆使しなければなりません。手順を追って説明します。
1. 海岸線のレイヤーから、海岸線全体をコピーします。
2. 「神聖ローマ帝国」のレイヤーに切り替え(関係のないレイヤーはロックしましょう)、そこに海岸線のパスだけをペーストします。線の色はわかりやすいように、青以外の明るい色(赤とか緑)に変更しておきます。
3. 位置を「変形」パレットに入力して調整します。その際、海岸線の座標を事前にメモしておきましょう。
4. 神聖ローマ帝国で海に面した部分だけを、「はさみツール」で切り取ります。「はさみツール」はパスを途中で切断することができる機能です。ここでは、上方の北海・バルト海沿岸、そして下方のアドリア海に面したわずかな範囲だけを切り取ります。
5. 今度は鉛筆ツールを選択し、他国との国境を描き込みましょう。北にあるデンマーク王国との国境(わずかですが)は、デンマーク王国のレイヤーからパスをコピーしてきて、極力新たには描かないようにします。そうすることで、ズレによって白い部分が出ることを防ぐことができます。
色塗り終了時点のレイヤーパレット6. 国境線を描いたら、残しておいた海岸線のパスと連結させましょう。海岸線のパスを赤色に、国境線のパスを緑色にしていた場合、連結が成功しますとどちらかの色に同化します。これを繰り返して、神聖ローマ帝国を一本の線で描ききります。
7. 終わりましたら、色を塗りましょう。「カラー」パレットで塗りのボックスをダブルクリックしますとカラーチャートが表示されます。初期設定ではソフトについているAdobe標準のカラーチャートが出ますが、Windowsをお使いの方で、今までのWindows標準がいいとおっしゃるならば、そちらを使うことも可能です。
 さあ、これからは実践です。これを繰り返して、その他の国々も描いていってあげましょう。
 右にあるのは、色塗りが終了した時点でのレイヤーパレットです。結局、全部で23枚ものレイヤーを作ることになってしまいました。この程度の地図でこうなのですから、もっと複雑になると、さらにレイヤーの枚数が増えることになるでしょう。でも、それぞれの要素をレイヤーに配分するという作業は、一見面倒なようですが今のうちにやっておけば、あとでさらに面倒なことにならなくて済むでしょう。もしあなたがレイヤーパレットなんて面倒くさくてやってられないと言いつつ一枚のレイヤーだけで描いていった場合、おそらく作業の半分も終わらないうちに、その間違いに気がつくでしょう。
 レイヤーの重なり順はとくに決まってはいませんが、海岸線と河川はつねにいちばん上にあること、そしてビザンティン(ビザンツ)帝国は必ずオスマン帝国の上に位置させること、この2つだけは例外です。
 海岸線を下にした場合、青い線が国境線の下に隠れてしまいますので、線の太さが半分になって表示されてしまいます。海岸線は必ず上にしましょう。もしこうした歴史地図でなく、電車の路線図を描くという場合でも、線だけでできているもの(線路や道路)はレイヤーを上位にすることが大切です。
 それと、どうしてビザンティン帝国をオスマン帝国の上にするかというと、歴史通の方にはもうお分かりのことと思いますが、当時、両国は領土係争の状況にあり、旧勢力であるビザンティン帝国の領土は徐々に新興のオスマン帝国に切り取られ、地図にある14世紀時点では、首都周辺とペロポネソス半島に少し、という状況になっていました。蚕食されつつある国を上のレイヤーにすれば、余計な線を描かなくてもすむからです。

色塗り完成です これを繰り返して、国境線を完成させてください。
 左に示したのは、色塗りが完了した時点です。まだ文字がありませんからどんな地図なのか想像もつきませんが、現代の国境とはまったく似ても似つかないものであることはお分かりと思います。
 先にも説明しましたが、国境線を描く際は、隣接する国の国境線、そして海岸線、河川が国境になっている場合は河川のパスを必ずコピー・ペーストし、それをはさみツールで必要な部分だけ切り取って使う、という方法に徹してください。そうしないと国境線がピッタリと合いません。また、余計な時間をかけなくてもすみます。
 ひとつの国が描けましたら、その国の座標を調べておきましょう。
 座標は、選択ツール(黒い矢印)で選択し、バウンディングボックスを表示させたときの座標をメモしましょう。絶対に、ダイレクト選択ツール(白い矢印)で選択したときの座標を使わないでください。
 コピーするときも、パス単位ではなく、全体を黒い矢印の選択ツールで選択し、バウンディングボックスごとコピーしましょう。

 さあ、できましたでしょうか。
 これができるようになれば、あなたもIllustratorに関しては中級程度の技量を備えたことになります。修得に際して印刷やデザインに関する基礎知識はとくに必要ありません。必要なのは、じっくり練習して覚えるための時間と、「うまくなりたい」というあなたの学習意欲だけです。

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