2013年12月1日

今月の花(31)
12月の花――ナンテン


プロログ
 とうとう今年ももう、今月で終わり。最近は『春』と『秋』がなくなって、今年も強烈な暑さの翌日から冬になった、という感じです。この感覚は植物たちも同じとみえ、多くの落葉樹がいつ紅葉しいつ落葉しようかと迷い、花たちも開く時期に戸惑っていました。
 そんな中で、確実に季節を捉えて実を赤く色付かせ、この時期食料の乏しくなった鳥たちに提供している花木たちがあります。その大きな存在の一つがナンテンでしょう。昨年2012年の『花の章』12月1日付け『今月の花(19)』『千両と万両』で、なぜ同じ赤い実を付けるのにナンテンが『両』の名を貰えなかったか、と苦言(?)を呈した、そのナンテンです。
 ところで、このページは、ほぼ一年前の『つれづれ日記』の巻頭(日付は、そのページの月末)『つれづれの花』に載せた我が家の庭の花の話題を再編集したものです。この原本である『つれづれ日記』は、あくまで『日記』であって『花の章』とは性格が違うので、内容的に特性や栽培方法などについてはほとんど触れていなかったため、これに手入れなどについても加筆してここ『花の章』に移し、充実することにしたものです。また、『つれづれ日記』は原則、6か月から最長11か月でネット上から削除することにしているため、折角の花の記事が失われて勿体ない、と頂戴したメールにも動かされた次第です。ただし、これまでのとおり、発行した過去(大抵は1年前)の『つれづれ日記』の記事を編集する形になりますので、重複する部分があることをお断りしておきます。
 というわけで今月の花は、2013年1月1日版『つれづれ日記』の中の『つれづれの花――12月』(2012年12月31日分)に掲載した『ナンテン』に加筆、復活させたものです。

ナンテンの概要
 さて、そのナンテン(南天)は、『APG V』分類でメギ科(目木科:Berberidaceae)ナンテン亜科(Nandinoideae)ナンテン属(Nandina)の耐寒性常緑低木で、種名はナンテン(Nandina domestica)。ただし、花被、花粉、胚珠の形態、染色体数などが他のメギ科植物と異なっているため、別の科とする見方もあるようです。
 属名の『Nandina』は日本語の『ナンテン』そのものが語源で、種名『domestica』は『国内の、その土地産の』という意味だそうです。その名のとおりの日本原産、と思いきや、原産地は中国。ヨーロッパへは1712年に、江戸時代(1690年)に医師として来日し長崎の出島に赴任したこともあるドイツ人ケンペル(Engelbert Kaempfer)によって紹介されたそうで、日本へ渡来したのは更に古く、慶応義塾大学・磯野直秀の『明治前園芸植物渡来年表』によれば、鎌倉時代(1230年)とされます。日本では、国の天然記念物に指定されている山口県萩市川上の『川上のユズおよびナンテン自生地(1941年指定)』を初め、中部以南、四国、九州に自生するとなっているようですが、これらは中国から渡来した栽培種が野生化したものと考えられていて、ナンテンには他に地域による『方言』となる別名がまったくないことからも、まさに外来種ということになります。『南天』という和名も、漢名の『南天燭』あるいは『南天竹』を略したものだそうで、なあーんだ、という感じ。
 それでも『ナンテン』は『難転』つまり『難を転ずる』に通じる魔除け・厄除け・防火に縁起のよい植物で鬼門または裏鬼門に植えると良いとされ、江戸時代には様々な葉変わり品種が選び出され、以来、盛んに栽培されて、古典園芸植物として現在もその一部が保存栽培されているそうです。
 『難を転ずる』縁起もの、といえば、戦国時代には武将が鎧の裏にナンテンの葉を忍ばせたといわれ、また、今でも特にお正月には、南天の実と福寿草をセットに飾り付けた『難を転じて福となす』という縁起物があるそうですが、『難』とも苦しい感じです。更に子供の誕生には赤飯と共にナンテンの葉を添えたり、本物かどうかの詮索は後述に譲るとして南天の箸は無病息災を願うものとされ、赤ちゃんが初めてお乳以外のものを食べる儀式『お食い初め』ではナンテンの箸を用いる風習もあるようです。
 ともあれ、ナンテンは耐暑性にも耐寒性にも勝れ、乾燥にも強く、病気や害虫がほとんどなく、日陰に強く土質も選ばないので痩せ地に強く、潮風にも強い、など植え場所を選ばず、更に萌芽力が強いので刈込みに耐える、などなど、良いこと尽くめで、東北南部以西では昔から庭にもよく植えられています。秋に赤い実を付けることからアカナンテン(赤南天)とも呼ばれ、お正月の飾り付けなどにも利用されますが、鳥が食べない限りいつまでも枝に付いていて長持ちし、冬中見ることができます。そのことから、酒宴の席に最後まで残り、なかなか席を立とうとしない人のことを『ナンテン組』という地方もあるそうです。
 先に『日陰に強い』と書きましたが、本来は落ち葉の厚く積もった山野の林内に好んで自生する半陰樹で、確かに半日蔭でも育ちますが、日光が当たった方が実付きがよくなるようです。普通の種でも日当たりが悪いと冬の紅葉がきれいに出なかったりします。
 本来、暖かい地域に自生する樹木ですが、ある程度耐寒性もあるので、北海道以外ならば戸外で植栽できます。ただし、寒風の当たる場所は避けるようにしましょう。
 ナンテンは江戸時代に様々な葉変わり品種が選び出され、古典園芸植物として現在もその一部が保存栽培されていて、今では、淡紫色のフジナンテン(藤南天:Nandina domestica cv. 'Porphylocarpa')、あるいは、実は成りませんが高さが50cm程度と低く、丸くふっくらした広めの葉は真夏でも紅葉しやすく、冬は一層鮮やかに紅葉し緑色と混ざって五色に見える紅葉時の色彩が変化に富んでいることからゴシキナンテン(五色南天)とも呼ばれるオタフクナンテン(お多福南天:N.d.cv. Otafukunanten)別名オカメナンテン(お亀南天)、また白笹のような細い小葉の先が尖り葉柄が短く葉が密生し、黄色の可愛いらしい花のササバナンテン(笹葉南天:N.d.cv. 'Sasabananten')、株元に低い枝が沢山茂り、数本の枝だけが普通種と同じように立ち上がるチモトナンテン(千本南天:N.d.cv.'Chimotonanten')、葉柄が組み合わさって筏状になるイカダナンテン(筏南天:N.d.cv.Ikadananten)、葉が細く小型で生長が遅いキンシナンテン(錦糸南天:N.d.var.capillaris)など、ナンテンは赤いものだと決め付けていると、意外に沢山のバラエティがあることに驚かされます。
 ナンテンの幹は柔らかですが乾燥すると可成り硬くなり、強度も靱性も高くなるので、ある期間は使用に耐える木材となるようです。しかし、普通は直径2cmほどであまり太くならず、太さが5cmもあれば非常に珍しいうえに真直ぐな幹が少なく、また、中心部に比較的大きな髄があるため周辺部だけしか使えないなど、強度部材としては多くの欠点があります。そこで例えば、無病息災を願うとして『南天』と表示した箸についていえば、本物のナンテンの箸を大量に作るのは難しく、ナンテンとは何の関係もない箸をそう呼ぶ業界の習慣が古くから定着しているのだそうです。播州赤穂地方には『南天の木の箸を用いると中風にならぬ』という俗信があるそうですが、言葉の上だけのものである可能性があるともいわれます。また、『南天の床柱』といわれているものは、イイギリ(飯桐)など別種の材料であるとする見方があるそうです。このイイギリは、昔、その葉で飯を包んだためといわれ、(クロンキスト体系で)イイギリ科(Flacourtiaceae)イイギリ属(Idesia)学名をIdesia polycarpa という落葉高木ですが(APG植物分類体系ではヤナギ科に入れる)、果実がナンテンに似ているため、別名をナンテンギリ(南天桐)と呼ばれます。そうであれば、『南天の床柱』といわれても、まんざら、ウソ、と決め付けるわけにはいかないかもしれませんね。
 ナンテンの実(果実)は『南天実』と呼ばれる漢方薬として知られ、実を乾燥させたものは咳止めの効果があり、喘息、百日咳に用いられるようで、喉飴としても市販されていますが、本質的にナンテンは有毒で、庭から取ってきてそのまま生で食べたり、安易に試したりするのは危険ですから決してしないでください。毒は、実ばかりでなく、葉、樹皮、新芽など株全体に及び、知覚や運動神経の麻痺を引き起こし、痙攣、神経麻痺、呼吸麻痺などの毒症状が知られています。
 ただし、葉の方は『南天葉(なんてんよう)』という生薬で、健胃、解熱、鎮咳などの作用があり、ナンジニン(nandinine)という成分には殺菌効果があって、料理や弁当に添えるなど食品の防腐など殺菌、殺虫、合成原料に用いられます。もっとも、料理や弁当に葉を添えるのは防腐目的ではなく、単なる彩りや、食中毒から『難を転ずる』という意味であるとする説もあるそうです。
 詳しくは後記『ナンテンの効用と毒性』をご覧下さい。

ナンテンの形態と特徴
 枝分かれのない真っ直ぐな幹は高さが2〜3m、高いもので4〜5mほどで成長が遅く、あまり高くなりません。樹皮は濃い灰色で縦に溝が入っています。幹の先端にだけ集まって互生する広披針形の葉はやや艶がある深い緑色で、冬の低温に当たると紅葉しますが、5月ごろから葉色が戻っていくのはヒイラギナンテン(2012年3月2日付け『今月の花(30)―11月』参照)と似ています。
 年数が経つと根元から多くの幹が株立ち状に育ち、大きな株群になります。全体的にはコンパクトにまとまるので特別な剪定は不要ですが、大きくなり過ぎたと思ったときは、古い幹や弱い株から順に、根元から切り取るといいでしょう。
 花は初夏5〜7月、この先端の葉の間から円錐状の花序を上に伸ばし、径5〜6mmほどの白い花を付けます(左の写真)。花弁は6枚。雄蕊は6本。花弁の真ん中は黄色です(右下の写真)。この花が晩秋11月から初冬12月ごろにかけて丸い直径5mm〜1cmほどの赤色に実ります(トップの写真)。白あるいは薄黄色の実を付けるシロミナンテン(Nandina domestica var.leucocarpa)は園芸品種(変種)で、葉色は冬も変わりません。
 常緑性ですが、秋から春にかけては果実に葉の栄養を取られ、あるいは春風によって新芽が乾燥して傷みやすいため、特に苗木や幼木では盛んに落葉し、丸坊主になることもありますが、春に新しく芽吹いて成長するので心配は要りません。3〜5月は本格的に春の葉が生え替わる時期なので、最も葉が少なくなります。

 花言葉は、赤実では『良き家庭』、白実は『つのる愛』、一般に『福をなす』『私の愛は増すばかり』『機知に富む』など。
 11月25日、12月5日、12月29日、12月31日の誕生花です。

ナンテンを育てる
 耐暑性、耐寒性、耐乾性、耐病性が強く害虫も付きにくく、痩せ地、日陰、潮風に強く、萌芽力が強くて刈込に耐え、極端に大きくなって扱いに困るようなことがない――という、育てやすさ一番、魅力満点の花木です。真っ赤に熟した実ばかりでなく、秋は紅葉を楽しみ、春は新緑が美しいので、通年楽しむことができます。
 日陰でも良く育つので北側の目隠しにもお勧めです。最近は和風ばかりでなく、洋風の庭にも使われるようです。

【入手】
 ほとんど一年中、どこでも入手できるでしょう。しかし、少しばかり高くても、実の付いている3年苗以上を入手することをお勧めします。幹が太く強くしっかりしていて葉が豊かに付き、鮮やかな色をしている株を選びましょう。
 一番いいのは、ご近所の庭にある株を見定めておき、株分けか植え替えのときの予約をしておくと、品種も確実で、お勧めです。
 ただ、オタフクナンテンはあまり花屋さんに流通していないようなので、ネットで買った方が早いかもしれません。

【植え付け場所】
 日陰に強いとはいえ、やはり陽当たりを好みます。半日蔭くらいでもよく育ちますが、極端に陽当たりが悪いと、冬の紅葉を美しく見られなかったりします。また、軒下などで冬の寒風に当たりにくい場合も、あまり紅葉しないようです。ただし、花粉が雨や朝露で流れると受粉が妨げられるので、軒下の方が実付きが良いようです。
 水捌けは良い場所を選びましょう。

【植え付け・植え替え】
 基本的には暖かい地域の植物なので、植え付けは春3月〜入梅までか秋9〜10月までが適期です。ただ、暖地であれば真夏以外はいつでも可能なようですが、寒冷地では真冬の植え付けは避けた方がいいでしょう。
 土質を選ばない丈夫な木ですが、植え穴には完熟の腐葉土や、牛糞など堆肥を十分に鋤き込み、水捌け良く、浅めに植え込みます。
 鉢植えの場合、根詰まりすると極端に生育が悪くなるので、春か秋に植え替えをします。

【用土】
 土質はあまり選びませんが、堆肥や腐葉土の豊富な、水捌けと水保ちのいい、やや粘土質の土が適しています。あまりに水捌けが悪い土なら、腐葉土や川砂を混ぜて改良しましょう。
 鉢植えなら、赤玉土7、腐葉土3の割合で混ぜた土がいいでしょう。富士砂や矢作砂など粒状の水はけのよい砂の単土が最高、という人もいるようなので、試してみますか。その場合は乾かし過ぎないように注意が必要です。

【水遣りと肥料】
 露地で、雨が当たる環境で極端に乾燥しない場所であれば、特別水遣りの心配はありません。鉢植えなら、土の表面が乾いたときに、たっぷりと与えます。
 肥料も、ほとんど必要ありません。肥料が多過ぎると枝葉が茂るばかりで、花は付きにくくなります。ナンテンは、肥料が不足気味の方が花付き、実付きともに良くなりますから、花付きが悪いときは肥料を控え、木の周囲にスコップを入れて根を切り戻し、株の成長を抑制してみましょう。
 ただし、特に生育が悪いようであれば、2月ごろ、株の周りに穴を掘って、寒肥として油粕と腐葉土や鶏糞、堆肥など、9月頃に化成肥料を株元に一握り与えてみましょう。

【整枝・剪定】
 ナンテンは成長が遅く、放置しても邪魔な枝葉が張ったり、大きくなり過ぎたりすることは少ないので、通常は特別な整枝剪定作業は必要ありません。ただし、長く放置して幹だけ伸び、下葉が落ちたり枯れた枝や細くて弱い枝も、見苦しくなったら、2〜3月あるいは6月に切り戻しして樹形を整えます。
 根際から新しい孫生(ひこばえ)が次々と出て成長し、幹の数が多くなって大きな株になり枝葉が混み合って茂り過ぎたときは、下葉が落ちて見苦しくなった古い株を根元から順次切り捨て、幹の本数を5〜7本に整理するなど一定の大きさを保つと、すっきりして見栄えも良くなるでしょう。実を付けた枝は、その後3年ぐらいは花芽を付けにくくなるので、3月ごろに剪定して若い枝を伸ばすのもいいでしょうが、新しい株は次々と出るので、先端に花芽のない間延びした株は新しい株に更新する方が全体の姿を美しく保てると思います。
 また、樹高が高くなり過ぎて全体のバランスが悪くなったり、邪魔になったりした場合は、適当な高さの幹を残して地際から間引くか、幹を適当な高さで切り戻すと、そこから1〜3本の枝が出てきます。

【実付きが悪いとき】
 実付きが悪くなる原因の多くは、開花時期の長雨や日照不足といわれます。
 花の咲く時期が梅雨と重なり、雨の多い年は受粉が充分に行われないことがあるので、雨が続くときは花穂をビニール袋やテントなどで覆って雨を遮ってみましょう。ただし、完全に覆ってしまうと昆虫などが来なくなり、受粉に支障が出るので気を付けます。
 肥料の遣り過ぎも実付きを悪くする要因になります。特に油粕のような窒素肥料を多く与えると葉ばかり茂り花付きが悪くなるので注意しましょう。余程の痩せ地でない限り、肥料不足で花付きが悪くなるようなことはありません。
 ナンテンは自家受粉しにくいので、どうにも実付きが悪いというときは、近くに別種を植えてみましょう。
 それでもダメなら、幹の周囲にシャベルを入れて、根切りもしてみましょう。

【殖やしたいときは】
 株分け、挿し木、種蒔き、などが用いられますが、株分けが一番簡単で、早く花や実を付けることができるので、お勧めです。
 株分けは、春3〜7月までか秋9〜10月ですが、寒冷地では春先がいいでしょう。
 挿し木の適期は3月中〜下旬で、前年の枝あるいはそれ以前の枝を15cm前後の長さに切って赤玉土や鹿沼土に挿します。日当たりの良い場所で乾燥させないように管理すると2〜3ヶ月で根が出て生長を始めます。
 種蒔きは11月頃、赤く熟した果実の果肉の部分を取り除き、水で果肉を充分に洗い流して、そのまま直ぐに蒔きます。果肉には発芽抑制物質があるので、果肉が残っていると発芽しないことが多いですから注意します。発芽するのは翌春で、開花して実を付けるまでに4〜5年かかります。直ぐに蒔けない場合は、乾かさないように日陰で貯蔵し、翌春に蒔きます。

【病害虫】
 病害虫はほとんど心配いりませんが、カイガラムシが発生すると樹液を吸って木の生長を妨げるばかりでなく、その排泄物から煤(スス)病を併発することがあります。葉に真っ黒な煤のようなものが付いていたら、葉を洗い流すように消毒するか、切り取りますが、カイガラムシは薬剤が効きにくいので、枝や葉の付け根に直径1mmほどの白いものがへばり付いていたら、ブラシのようなものを使って手作業でこすり落とすか、枝を切り捨てる以外にありません。

ナンテンの薬効と毒性
 ナンテンの毒は、樹皮、新芽、葉、実、など株全体に及び、痙攣、神経麻痺、呼吸麻痺などの毒症状が知られています。
 ただし、葉に含まれる猛毒・シアン化水素(俗称『青酸』。化学式HCN)は含有量が僅かであるため、よほど大量に摂取しない限り危険性は殆どなく、『南天葉(なんてんよう)』という生薬になり、健胃、解熱、鎮咳などの作用があるそうです。食品の防腐にも役立つため、彩りも兼ねて弁当などにも入れられますが、これはむしろ、薬効よりも『難を転ずる』という食中り防止の呪い(まじない)の意味という説もあるようです。
 実も有毒ですが、漢方では『南天実』と呼ばれ、咳止め、喘息、百日咳に用いられます。含まれる成分としては、アルカロイドであるイソコリジン(Isocorydine)、ドメスチシン(domesticine)、プロトピン(protopine)、ナンテニン(nantenine)、ナンジニン(nandinine)、メチルドメスチシン(methyldomesticine)、配糖体のナンジノシド(nandinoside)などのほか、リノレン酸(Alpha-linolenic acid)、オレイン酸(oleic acid)が知られています。鎮咳作用をもつドメスチシンは、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こすため、素人が安易に口にするのは危険です。また、近年の研究でナンテニンに気管平滑筋を弛緩させる作用があることが分かったそうです。また、ナンジノシドは抗アレルギー作用を持ち、これを元にして人工的に合成されたトラニラスト(Tranilast) が抗アレルギー薬およびケロイドの治療薬として実用化されています。
 ただ、だからといって、専門知識のない人が試してみたりすることは、絶対に避けて下さい。

エピログ
 巻頭の写真の株は母が岡山から持ち帰ったもので、その母が眠る墓にも株分けして植えてあります。当家では南側の軒下にあるので陽当たりも良く、花粉が雨などに流されにくいのか、毎年よく実ります。しかし新しい株が、隣にあるエアコンの室外機の後ろに回って壁との隙間から生えてくるので往生しています。
 本来、ナンテンの実は、鳥たちが食べるものがなくなった最後に仕方なく食べに来る、まずいもの、とされるようですが、当家のナンテンは鳥の種類を問わず、見境なくたちまち食べ尽くされてしまい、年を越すようなゆとりはありません。一番はヒヨドリですが、ムクドリの集団に狙われると、あっ、という間にハダカにされてしまいます。当家の庭で最後まで残るのはマンリョウで、ヒヨドリが器用に取り付いて、年を越しても楽しんで(?)くれます。
 妻は、鳥たちが来るたびに愚痴をこぼし、口ではあれこれいいますが、それでも本心はそれも一つの楽しみに違いなく、しばらく来ないと心配になるのでした。

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