十六日目(4/20:木曜日)
今日も、空は今にも雨が降りそうなどんよりとした天気です。
今時期は北海道でもそうですが春前後は雨が多く、かえって雨がたくさん降る事で雪解けも進んで、結局は春が来るのを促進しているようなものなのですが、やっぱり山が見えないので残念です。雪を抱いた山の景色はとっても綺麗なんでしょうね・・・。
窓からの町並みを確認してから、食堂に降りて行きました。朝食はパンフにも出ていましたが、なかなか美味しそうなバイキング形式です。昨日に引き続きラッキー!一人旅の人が多いのか、テーブルが一人にひとつあたっています。コーンフレークなんかもあってひととおり食べ尽くすには、なかなか大変でした。それでも、個装されたチーズを2つ失敬して、チェックアウト(880S)
今回の旅行で一番高い一泊料金でした・・・(日本円で約7000円)
列車の時間まで間があったので、凱旋門を見に行きました。これから、また列車に乗って今日はスイスまで行きます。
一等車のコンパートメントは全然人が乗っていないので8人乗りが貸し切り状態でした。食堂車初体験をしようと、コーヒーを頼んで30分くらい過ごしてから(28S)チップはどういうタイミングで渡すんだ、とか、チェックした時にあわせて払うんだったとか、余計な事をいろいろ考えていると、隣の人が両替ついでにチップを置いて帰っていきました。よし、これだ、と、私も真似して両替をしてもらい5Sテーブルに置いて逃げるように車両に帰ってきました。今ひとつチップは難しいです・・・。
フェルトキルヒに着きました。ここからはバスの乗り継ぎでリヒテンシュタイン経由でスイスに行きます。リヒテンシュタインは独立した国ですが、主な収入源は切手とオフィス誘致などです。税金があまりかからないので外国から支店を国内に作って拠点とするらしいのです。スイスに経済的な事を任せている事もあり、お金はスイスフランを使用しています。
バスに乗っていると、国境で警察官らしき人が乗ってきて、パスポートチェックをしました。初めてのバスでのチェックにちっょとドキドキしましたが、ものの2.3分で乗客全員のチェックをすると、オーストリアからリヒテンシュタインに入国です。ドイツの時は、そんな事忘れるほど何もチェックなしの状態でしたね。EU統合前は同じような事がたくさん行われていたのでしょう。
ここまで来ると、アルプスの真ん中にいるのかなぁ、という気分になります。
360度全て高い山々に囲まれて、自然がいっぱいののどかな国でした。
リヒテンシュタイン国の首都(?)ブァドゥーツに着いてすぐに銀行に行き両替をしました。日本からお守り代わりに持ってきていた一万円です。明日ウィーンに戻るまで、ホテル代からバス代から全部入れて一万円分で何とか乗り切るつもりですが、どうにもならなければ最悪カードを使おう。一万円は153.75SF(スイスフラン)になりました。
となりは大きな郵便局です。早速記念切手でも買おうかなー、と中に入りま
したが、そこはに小包がいっぱい!切手は売ってくれるんだろうか・・・。中でウロウロしていると、スカーフを被った現地のおばさんがやって来て切手を買っていきました。よし、買える!そして手に入れた切手がこれです。
 |
| リヒテンシュタインの切手 |
お土産やさんでサバイバルナイフのようなものとハガキを買って、近くのベンチに座りながら手紙を書きました。ひとつは自分に、そして友人にも・・(切手1.8SF×2・ハガキ19SF×2・おみやげ19SF×2)
近くに時計塔があり、上にはリヒテンシュタイン城が町を見下ろしています。道路の脇にはタンポポがいっぱい咲いていて、春の雰囲気が漂っていました。
しばらくの間ひなたぼっこをして、サルガンス行きのバスに乗ってスイスへ向かいました。(往復7.2SF)田園風景がずっと続く中、いつのまにかスイス国境を越えていたのですが、ここではパスポートチェックはされませんでした。さすがスイス側の国。サルガンスに着くと今度は汽車に乗ります。
トーマスクックをじっと眺めていると、時刻にマークのついているところがあり、もしやこれは祝日は運休というマークでは・・・と心配になりました。以前JCBのウィーン支店の人に聞いた記憶がよみがえってきました。イースターの休みが、オーストリアでは祝日になっていないが、ドイツやスイスなどは祝日になる日もある・・・。今日は20日で明日は21日。もしかすると明日は祝日では?今日、あわよくばスイスに泊まろうと思っていたのですが、明日が祝日運行となると明日中にウィーンに帰る事は不可能です。
となるとリヒテンシュタインかオーストリアに戻って泊まる方法しかない。
・・うーん。悩んでいると駅員さんが通りがかったので早速聞いてみました。
「心配ないよ、明日もこの汽車は出るよ」そう駅員さんは言いました。が、よく見るとその人は駅員さんではなく、駅の作業員のようです。ますます訳がわからなくなりましたが、取り敢えず案内所に行って両替をしてからマイエンフェルト行のチケットを買いました。(往復6SF)
そして明日の運行スケジュールを確認しようとすると、駅員さんがあわてて「汽車が来るから早くホームへ!」と言うので、肝心な事を聞けずにホームに走りました。ホームに出るとすぐ汽車が到着しました。飛び乗るようにして乗り込むと汽車は1分位停車しています。
こんな事なら走らなくても良かったなぁ、と思っていると、ホームに8歳くらいの男の子がお父さんと一緒に立っているのが見えました。男の子はかわいいブーケを両手で持ち、ちょっと緊張した顔で誰かを迎えに来ているようです。すると、かわいい女の子とお母さん風の人が汽車から降りて来ました。女の子にブーケを渡すのかなと思って見ていると、男の子はつかつかとお母さんの方に近づいて、何か言いながらブーケを渡しました。その後、男の子は女の子と手を繋いで駅の方へ走っていきました。・・・かわいいっ!
ほんわかした気分で汽車は発車しました。二つ目の駅がマイエンフェルト。
ハイジの舞台になった村です。一つ前にラガッツという町があり、温泉宿で有名な観光地のようでした。クララがアルムの山に来た時に旅の疲れをこのラガッツの温泉で癒したと物語りでも書かれてあります。次回はここで温泉に入ろう、と、もう次の目標にしてしまいました。
そうこうしているうちにすぐにマイエンフェルトに着きました。駅を降りて村の反対側を見て愕然としました。遠くに見える山が、とっても大きく壁のように並んでいます。そしてアルプスの少女ハイジに出てくる舞台がそこにありました。
 |
 |
 |
| (左)時計塔 (中)村の道。奥がハイジホフ (右)村の町並み |
村を歩くとヤギの群れがいて丸太でつくったような水受けが道々にあります。ぶどう畑が永遠に続き、タンポポは一面黄色い絨毯のよう。ネコものどかにお昼寝していたり、木のアーチをくぐってちょっとした森を散歩しているような気分になります。
 |
 |
| いちめんのタンポポ |
ハイジに出てきた水受けのよう |
 |
 |
| 木のトンネル。左の牧場にはヤギと牛が・・・ |
窓に座るマイエンフェルトのネコ |
そんな「ハイジの道」と名づけられたハイキングロードを、お土産やさんにおいてあった日本語パンフを見ながら散策しました。ハイジの泉にたどり着いた頃は、リュックが重いし日差しが強くて、寒いと思って着込んでいたセーターが暑くてギブアップ寸前でした。
・・・すると、突然目の前にクララのような女の子が飛び込んできました。ヨーゼフのように大きい犬と一緒に走りまわっていたのと服装はハイジの様でしたが、姿形はまさにクララです。泉にあるハイジの石像の頭に黄色い花を飾ろうと一生懸命でした。微笑ましく見ていると、お父さんとお母さんが近くにいて、見かけない人種と見たのか近寄ってきました。
「観光ですか?」と聞かれたので、私は「はい」と返事をしました。
「そちらはピクニックですか?」聞くと「そうです」お母さんが答えました。
お母さんはもともとドイツの人ですが、お父さんはイタリア人でドイツ語とイタリア語しかわからないらしく、もっぱら会話はお母さんと英語オンリー。娘さんはスイス生まれなので、インターナショナルな家庭のようです。でもそんなのは一般的なのでしょう。お母さんは日本語が少しわかるらしく「さよなら」とかカタコトの日本語を話してくれました。
私は調子に乗って娘さんと写真を撮らせてください、とお母さんにお願いして、照れる女の子と一緒にハイジの泉で写真を撮ってもらいました。その後女の子は犬と遥かかなたに走って行ってしまいました。
最後に女の子に何かあげたいと思い、折鶴と切手とコインを袋に入れてお母さんへ渡しました。「娘さんにあげてください」お母さんはとっても喜んでくれました。リュックをしょって出発しようとした時、いつのまにか女の子が近くにいました。手にはハイジの石像に飾ったのと同じ黄色い花が握られています。「娘があなたにって」お母さんが笑って言いました。
 |
 |
| クララとのツーショット(左の石像はハイジ) |
ハイジの道の赤い案内版 |
お父さんも、寡黙ですが別れるときにかすかに手を振ってくれたので本当にいい気分で出発しました。
「ハイジの道」には2つのルートがあり、初心者用が1時間半ほど、牧場まで行くと5時間ほどかかってしまい、登山靴が必要らしいです。私は初心者用が時間的にも体力的にも限界ギリギリだったので、泣く泣くハイジの牧場は諦めて村の周りをひとまわりするルートにしました。それでも、ハイジの冬の家は博物館になっていて見学できるようになっていたり、お土産屋さんもできています。観光地化されてきているのがちょっとだけ寂しかったです。
 |
 |
| (左)ハイジの冬の家。どっちかというと右の廃屋のほうがそれらしいと思いました |
それでもいろいろお土産や切手を買い、景色の良い窓際の席で手紙を書いてお土産屋さんから投函しました。ここでハイジスタンプを押してくれます。ここまで来ると、だいぶ村から登ってきたんだと実感しました。近くに山が聳え立っていて急な坂から転げ落ちそうになりながらあぜ道のように細い道をしばらく歩くと「ハイジホフ」という小さなホテルがありました。今日もしも泊まる事が出来たなら・・・と微かな期待を寄せていたホテルです。
すると、大勢の人が表に出て遊んでいました。家族連れが多く車もたくさん
泊めてあります。イースターの休暇でホテルは満室でした。ホテルの窓から真っ赤に燃える山を眺めたり、朝目が覚めたときにハイジの山小屋での風景を見る事ができたならどんなに良かったでしょう・・・。
これは、ラガッツ同様、次回必ず来なければ。駅に戻ってから時刻表を見ると、帰りの汽車があと20分くらいで到着するところでした。他に泊まれるホテルがないかなぁ、と探しながら山を下ったのですが、満室かイースターでホテル自体がお休みらしく全然見つからず。
ホームで一緒に汽車を待っていた人に、明日のタイムスケジュールを聞くと、やはり祝日運転のため朝一番で乗ろうと思っている汽車は出ないので、今日中にリヒテンシュタインかオーストリアに戻った方が良いと言われました。
後ろ髪を引かれる思いでマイエンフェルトを後にして、汽車とバスを乗り継でブァドゥーツに戻りました。
このまま一気にオーストリアへ!とバスターミナルで時刻表を見て呆然。
・・・最終バスはもう出発した後・・・しかも、明日は8:58のバスに乗らなければ、次のバスは午後3時!祝日スケジュールなので、バスが一日3本しか走らない事がわかりました。もう残された道は、ここで泊まるしかない。早速山歩きでフラフラになった足を引きずりながらホテルを探しました。2.3件回っても、満室ですと断られたり、1週間以上の滞在ではないと受け入れないとか、一泊2万円もする所だったりと、全然みつかりません。
途方に暮れているとホテルのフロントの人が「あそこに行ってごらん」と教えてくれたのがここです。(100SF)
部屋の鍵を渡されて、部屋に入ってからぐったりとベッドに倒れました。
朝食つきかどうかも聞くのを忘れるほど疲れていたようです。荷物を置いて財布の中身を確認してみました。もう時刻は夜の8時近く、でもまだ空は明るく、そろそろ夕焼けが始まろうとしています。残金は50SF日本円で3000円弱です。サルガンスで再度両替をしたけれど、ホテル代を除くとこれだけしか残っていませんでした。なので、ホテルでディナーというわけにもいかず、またしても悲しい夕食になりました。非常食は絶対必要と実感。
少し安心したので暗くなる前に散歩に行きました。まだ人々はテラスで夕食
をとったりお茶を飲んだり、と思い思いのくつろぎ方をしています。よくよく町を歩くと至る所が工事中でした。バスターミナルの周りも遠回りしなければ道路を渡れなったり、ジャリ道で足をくじきそうになったりもしました。ふと、小さな建物を見つけました。よくよく見ると、入国スタンプをここで押してもらえるとの事。ガイドブックでちゃんとチェックしていた筈なのにすっかり忘れていました。もうお店は閉まっていて、明日は10時開店。・・・その頃は、もうオーストリアに戻っている時間です。失敗!
落ち込んでいると公園のベンチがあったので、そこに座ってまたアルプスの山が燃えていくところを見ていました。
「エクスキューズミー?!」いきなりドイツ系の老夫婦に声をかけられたのですが、2人は何かいろいろジェスチャーで話すと自分達の車に私を連れて行き、中からたくさんの本を出してきました。
・・・押し売りかい?と思い逃げる用意をしていると、おじいさんの方がニコニコ笑いながら一冊の本を差し出しました。よく見るとキリスト教の本で、しかも中国語で書かれてあります。私がアジア系だと見て、この本を渡したかったのでしょう。私は本を返しながら「アイム、ジャパニーズ、ディスイズ、トゥー、チャイニーズ」と言って帰ろうとすると、また呼び止められてまた別の本を渡されました。
今度はハングル文字でした。首を振ると次ぎはインドの文字の本。埒があかないので「ソーリー」とおじぎをしてその場から立ち去りました。後をつけられては困るので、念の為に遠回りをしながらホテルに戻りました。人の良さそうなおじいちゃんおばあちゃんでしたが、宗教関係はちょっと・・・。
ここのホテルは古いのですが、バスタブがあったので久々のお風呂を満喫できて疲労も回復しました。窓を開けて外を眺めるとリヒテンシュタイン城がすぐ上にあります。
今日が無事に過ごせた事に感謝しつつ早めに寝ました。
十五日目(4/19)へ 十七日目(4/21)へ

旅行記トップへ
|