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「ホーホケキョ・となりの山田くん」
1999年 104分 徳間書店・スタジオジブリ・日本テレビ・博報堂
監 督:高畑 勲
原 作:いしいひさいち
脚 本:高畑 勲
音 楽:矢野顕子
声の出演:朝丘雪路、益岡 徹、荒木雅子、宇野なおみ、ミヤコ蝶々、柳家小三治、五十畑迅人、富田靖子、古田新太、斎藤 暁、矢野顕子、中村玉緒、他
朝日新聞に連載中の四コママンガを元にして、スタジオジブリが劇場映画化した作品である。ジブリ・ファンの靖子さんは端役で声の出演を果たしている。「となりのトトロ」「もののけ姫」のような大ヒットを狙ったものの、興行的には失敗してしまった。とはいうものの、セルを一切使わずにフルデジタル処理によって水彩画のような雰囲気を出している。(この点に関しては評価できる。)
中年夫婦と兄妹、祖母の五人家族であるごく平凡な山田家の日常を、俳句を絡めたエピソードの数々で描いている。
Written By MEICHIKU
脱線メモ:「ホーホケキョ・となりの山田くん」
原作は、いしいひさいちの四こま漫画「となりの山田君」。スタジオジブリの名作「となりのトトロ」にひっかけて、「となり」シリーズ第2弾などという冗談めいた宣伝もあったが、タイトルの“ホーホケキョ”とはいったい何か。命名者は、どうやら宮崎駿らしい。命名理由は、高畑監督作は「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」などタイトルが“H”で始まる作品がヒットする、という原則(?)に従ったらしい…
完全主義者高畑勲は、スケジュールが遅延することは有名な話で、このとき会社側とスタッフの間を取り持つのが宮崎駿のプロデューサーとしての仕事のようである。本作も第1弾の予告編から、宣伝コピーは「製作は順調に遅れています」という、事情通はニガ笑いし、当事者には(おそらく)肌寒いものであった。
ともかくも公開日に間に合った本作であるが、なんとも奇妙な出来の作品となった。例えば、初雪を背景に家族写真を提案する父に反し、他の家族は「寒いから」外に出ることを拒む。結果サッシを閉めた向こう側でしかめ面をする父をバックにコタツで温まる家族を室内のカメラが撮影するというのが落ちなのだが、原作は4コマ目で外と内の対照的な情景を切れ味よく見せるのに対し、映画では父親が外に移動する過程まで描写する。よって落ちはその過程で見えてしまうため、笑いのタイミングが観客それぞれでずれてしまうのだ。わざわざ原作で省かれていることを描きこみ、笑いの間合いを外し、日本アニメ独特の綿密な描きこみと対照的な、どこか間の抜けた水彩画調の色彩にするため実は通常の3倍の原画を必要としているという、手間とお金をかけわざわざ空疎な空間を作り出すという変な製作方針をとった作品である。
正直、筆者は本作で心から笑うことはできなかったが、その盛んな実験精神は評価されてしかるべきと感ずる。“月光仮面”のエピソードなどは、現代日本の荒廃を憂える高畑監督の切実な思いの表れであろう。
なお、ジブリ大好きの富田さんはゲスト出演ながら、本作が待望のジブリ初出演(役柄は受付嬢)である。
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