読売新聞社主筆渡辺恒雄氏は、2007年秋、日本新聞協会の「新聞文化賞」を受賞しました。10月16日付の「新聞協会報」には受賞インタビュ−が掲載されましたが、「激論の末、社論確立」と題する記事は、その見出しも、記事内容も虚偽に満ちていました。そこで、
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日本新聞協会への要請書
2007年11月7日
日本新聞協会「新聞協会報」編集部
出版広報部主管
長谷川恵一様
謹啓
新聞協会報の編集発行業務に日々ご精励のことご苦労様です。個人的にも、毎号有益な情報に接し、感謝申し上げております。
この度は、長年にわたる貴協会との信頼と親交に反し、不愉快なお知らせとお頼みを致さねばならないこと、誠に残念に存じます。
しかし、誤った情報が、権威ある貴新聞の記事を通じて、真実として定着し、記録・保存されることは、ジャーナリストの一員として納得できませんので、是非、事実を精査の上、記事内容の誤りを、然るべき手段・方法で是正し、広く周知されるよう念願して止みません。
なお、付言すれば、「意見論評」あるいは「客観引用」の場合でも、その中に含まれる事実に関しては、真実の証明、あるいは真実と誤信する証明がない限り、名誉毀損の対象となることは、ご存知の通りです。
問題の記事:「新聞協会報」2007年10月16日付け3781号、6面『新聞文化賞 受賞者に聞く 渡辺恒雄氏』の記事。とくに2段8行目から3段5行目の以下記述に関して。
自衛隊一つをとっても「編集局総務のころ、前任の論説委員長と激論を戦わせた。社論と反対の社説を執筆した論説委員に執筆を禁じたこともあった」
周知といえる事実:
「編集局総務のころ、前任の論説委員長と、江川卓選手の巨人入団の是非について激論を戦わせた。自衛隊一つをとっても、それまで社論に沿った社説を執筆してきた論説委員に執筆を禁じ、新たに自論を社論とした」
関連資料:
A雑誌「世界」2000年1月号所載の前澤猛著『渡邉恒雄氏におけるジャーナリズムの研究』、171〜172頁の記事コピー。
B単行本、魚住昭著「渡邉恒雄 メディアと権力」、310頁のコピー。
以上の件について、これまでEメールや電話でお知らせしましたが、本日に至るまで応答がありませんでした。メディアの信頼維持のために、貴編集部および日本新聞協会が、速やかに適切な配慮と措置をとられるよう念願して止みません。
敬具
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参考: 上記「周知といえる事実」を記載した刊行物の追加
・単行本、本田靖春著『我、拗ね者として生涯を閉ず』 抜粋(526頁〜531頁)
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内容証明郵便
2007年12月13日
日本新聞協会
事務局長 鳥居元吉殿
165-0025
東京都中野区沼袋3−14−2
電話・Fax:03-3389-0731
takeshim@fd5.so-net.ne.jp
謹啓
新聞界の発展のため日々ご精励のこと、ご苦労様に存じます。小生もこれまで微力ながら、貴協会のお役に立つよう努めてまいりました。しかし、本日、このような双方にとって不愉快な文書をお送り致さねばならないこと、誠に残念に存じます。
小生は、さきに、貴協会機関紙「新聞協会報」2007年10月16日付け3781号6面掲載の記事「新聞文化賞 受賞者に聞く 渡辺恒雄氏」中の誤った情報によって小生および読売新聞社の名誉が著しく毀損されたと判断し、さらに、その情報が真実として社会に流布、定着することを避けるため、別紙の文書を差し上げました。しかし、以来1ヶ月余になりますが、いまだに善処の対応どころかご返事すら頂いておりません。
そこで、本日、改めて当該記事内容の訂正方をお願いする次第です。また、今回も引き続き速やかな対応やご回答がない場合には、小生の名誉回復のため、当該記事掲載公表にかかわる貴協会および関係者に対して法的手続きを取るとともに、関連事実と経緯を公表せざるを得ないと思量しております。
以上、メディアのアカウンタビリティ推進の中核である貴協会が、その権威のためにも事態を冷静に把握し、問題の円満な解決を図るための適切な措置をとられるよう、祈念いたします。
敬具
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新聞協会報編集長よりの返書
前 沢 猛 様
日頃から「新聞協会報」をご購読いただきありがとうございます。
これまで、お電話やお手紙をいただきながら、ご連絡を差し上げず、大変失礼をいた
しました。ご無礼の段、お許しいただければと思います。
こちらからご連絡が遅れましたのは、前沢さんご指摘の点について、編集部として取
りうる手立てがないと考えていたためです。
記事は、渡辺恒雄氏の新聞文化賞の受賞を記念して行ったインタビューであり、授賞
式が行われる第60回新聞大会に合わせて掲載したものです。
新聞協会が渡辺さんに賞を授与し、その理由を本人が語った部分ですから、機関紙で
ある弊紙としては、渡辺さんの発言を掲載するのは当然のことと考えています。インタ
ビューの時渡辺さんご自身が語った発言をそのまま掲載しております。
特に、前沢さんご指摘の社論に関する部分は、新聞文化賞の授賞理由に「社論の確立
に強力なリーダーシップを発揮した」ことが含まれており、この記事においても重要な
部分となっています。従って、前沢さんが要望された「適切な配慮と措置」の取りよう
がないため、苦慮していた次第です。
この記事が、前沢さんと読売新聞社の名誉を傷つけるために書かれたわけではないこ
とは、ご理解いただけるものと考えております。
ご返答が遅れましたことをお詫びしつつ、こちらの考えをお伝えいたします。
2007年12月21日
新聞協会報 編集長 長谷川恵一
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新聞協会会長あて内容証明郵便
2008年1月25日
日本新聞協会会長 北村正任殿
165-0025
東京都中野区沼袋3−14−2
電話・Fax 03-3389-0731
takeshim@fd5.so-net.ne.jp
前略 日ごろ、日本メディアの信頼と向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。
さて、すでにお聞き及びかと存じますが、2007年10月16日付け「新聞協会報」6面掲載の記事「新聞文化賞 受賞者に聞く 渡辺恒雄氏」の中の事実に反する情報によって、小生および読売新聞社の名誉が著しく毀損されました。そこで、その情報が真実として社会に流布、定着することを避けるためにも、長谷川恵一編集長に書面を、鳥居元吉事務局長に内容証明郵便を差し上げ訂正を求めたところ、長谷川氏より2007年12月21日付け以下要約の拒否回答をいただきました。
「新聞協会が渡辺さんに賞を授与し、その理由を本人が語った部分ですから、機関紙である弊紙としては、渡辺さんの発言を掲載するのは当然のことと考えています。インタビューの時渡辺さんご自身が語った発言をそのまま掲載しております」
「特に、前沢さんご指摘の社論に関する部分は、新聞文化賞の授賞理由に「社論の確立に強力なリーダーシップを発揮した」ことが含まれており、この記事においても重要な部分となっています」
同書状の要点は―
1)インタビューの相手が語った発言をそのまま掲載した、という説明ですが、それは、虚偽事実報道に対する「客観報道」に事寄せた妥当とはいえない弁解。2)協会報の掲載記事については(少なくとも当該記事に関しては)、編集長に編集権限がなく、報道の責任は協会にあるという弁明―ということでしょう。
さらに、「新聞文化賞」の授賞理由が「社論確立への強力なリーダーシップ」で、その理由の重要な事例を本人が語ったとあれば、その提示事実が虚偽の場合、新聞文化賞授賞自体が虚構に立つという理論的帰結に達するでしょう。
そこで、新聞協会会長として、可及的速やかに渡邉氏の当該発言の真偽を調査され、虚偽であると判断された場合は、記事内容を訂正するとともに、小生および読売新聞社に謝罪なさるよう、要請いたします。
なお、念のため、既に貴協会にお送りした書面のうちの要点部分を、以下に再録します。
問題の記事―「新聞協会報」2007年10月16日付け3781号6面「新聞文化賞 受賞者に聞く 渡辺恒雄氏」の記事。とくに2段8行目から3段5行目の以下記述。
自衛隊一つをとっても「編集局総務のころ、前任の論説委員長と激論を戦わせた。社論と反対の社説を執筆した論説委員に執筆を禁じたこともあった」
上記記事に関して周知といえる事実―
「編集局総務のころ、加藤祥二論説委員長と江川卓選手の巨人入団の是非について激論を戦わせた。自衛隊一つをとっても、社論に沿って社説を執筆してきた
関連資料―
1)雑誌「世界」2000年1月号所載の前澤猛著『渡邉恒雄氏におけるジャーナリズムの研究』171〜172頁の記述。
2)単行本、魚住昭著「渡邉恒雄 メディアと権力」310頁の記述。
3)単行本、本田靖春著『我、拗ね者として生涯を閉ず』526頁〜531頁の記述。
以上、ご検討いただき、早急に事実確認の上、訂正その他妥当な対応をお取りくださるよう念願いたします。そうでない場合には、小生の名誉回復のため、貴協会および関係者に対して法的手続きをとるとともに、事実関係を公表する所であることを、とくに付記させていただきます。
敬具