【 安 食 奇 行 】

〜幼き日の記憶を求めて〜


12時頃、千葉県の印旛沼の北に位置する「安食(あじき)駅」にて下車。
おお、駅舎は全然変わっていないじゃねぇか。
これは目的地まで一直線にたどりつけるんじゃないかい?
と、思って改札を抜けたところで「?????」・・・・・・・。
ひとまず、駅前にあった観光案内図を見てみる。
あ、「酒直」・・・・・。そうか、「さかなお」は地名だったんじゃね。
でも、範囲は広そうだな。
ひとまず、酒直方面に歩く。
安食駅周辺はキレイに整備されていたが、200bも歩くと田舎の臭いが高まる。
20分ほど歩けば、見渡す限りの田んぼが広がる。
表札やら地名が解る場所があればいいのだが、全くない。
自分がどこを歩いているのかも解らない。
ふと、気付いて立ち止まった。 何も聞こえない。
そう、「無音」なのだ。
都会に住んでいると外に出ていて無音ということはありえない。
やがてスズメの鳴き声が響き無音状態は5秒程度で終わり再び歩き出した。
そういえば、寺は山の中にあったなぁ。
とりあえず遙か彼方に見える丘を目指す。

やがて、道の幅が狭くなり、小高い丘のふもとを歩く。
ふと草むらがガサガサと鳴る。 と、ヒョッコリとタヌキが躍り出てくる。
タヌキ「・・・・・・・・・・・・・」
俺「・・・・・・・・・・」
お互いに数秒見合った後、タヌキは草むらに吸い込まれていった。

で、更に歩く。
道が山へと入っていく。
途中、集落を見つけるが、雰囲気が違う。臭いが違う。
と、そこに観光地図が。
おおう。 ここは麻生だ。 酒直はもうちょっと南だ。
しっかしまあ、ここまで歩きまくって見つからないんだから、
また今度来てもいいな。 結構いい場所だし。
そろそろ酒直に着く頃かなぁって思った時、草むらがガサガサっとなった。
「お? またタヌキか?」と思った瞬間、ニワトリが出てきた。
俺「・・・・・・・・・・・・・」
ニワトリ「・・・・・コーー・・・・・・」
1分ぐらい同じ空間を共有した後、ニワトリは反対側の草むらに消えていった。
左右を見てみる。 草むらしかない。
「・・・・・・・・・野生?」と、口に出して言ってしまった。

更に歩くと、道幅が広くなった。
どうやら、開発されつつある場所に辿り着いた。
ふと、右に道があった。
心臓が高まる。 見覚えがある。 懐かしい臭いがする。
ああ・・・・・・・三叉路だ・・・・・・・。
あはは。 あははははははははははははは!!!!!!!
声に出して笑ってしまった。 通りかかったおじいさんがいぶかしげにこっちを見ている。
こんなに・・・・・・こんなに狭かったのか?
寺に行ってみる。 あの時のままだ・・・・・・・・・。 17年前と同じに残っている。
同じ敷地内にちょっと新しい寺が出来ていたけど、全部当時のまま残っている。
大きい木も残っている。 夏になると蝉の抜け殻だらけになったよなぁ。
「ひさしぶりだね」 小声でつぶやいて寺を一周してみる。
森は無くなっていた。 声は聞こえない。

30分ぐらい、敷地内をウロウロした後、もう一回、寺に挨拶をしてから立ち去った。
今度は、姉も従兄弟も連れてくるから と。

石段を下りる。 子どもの頃はあんなに長く感じた石段だったが、今数えてみれば、16段じゃないか。

見覚えのある道が、見慣れた道が遠ざかっていく。
あそこの三叉路周辺だけが時間が止まったように景色は動いていない。
何度も何度も振り返った。

ふと、草むらがガサガサっと鳴った。
・・・・・・・・・なんだ? 次はなんだ?
農家のおばあちゃんだ(笑)
俺「・・・・・・・・・こんちわ」
婆「ハイ。こんにちわ」
おばあちゃんは5bほど先に行ってまた、草むらの中に入っていった。

「・・・・・・・・・・・・野生?」