エッセー集「近くて遠く男のつぶやき」

52、株投資の生きた教科書

 流行語にもなったひところの”新人類相場”に比べると株式市場は最近少し落ち着いている。
 それでも「自分の小遣いぐらいは株で稼げ」とばかり、人気のほどはまだ寝良い。

 証券会社の店頭に女性の姿が目立つのも、その表れだろう。
 鹿島建設、富士火災、東急デパート、安田信託銀行、三井造船、日本航空・・・。

 株式会社の一覧ではない。
 これらの会社の三十代未婚女性が中心になり、二ヵ月ごとにワインの会が開かれている。

 この会に私も時折参加して、彼女たちの新鮮な話題から、それぞれの業界が現在置かれている状況をつかむヒントを得ている。

 証券会社勤務の友人の勧めで始めた私のささやかな投資の尺度は、ワインの会に負うところが大きい。

 何気なく離す彼女たちの言葉に、真実が隠されているからだ。
 私が欲におぼれない限り、彼女たちは生きた教科書、感謝すべき神様だ。