ホスピス・緩和ケア病棟はどんなところ?
 
<ホスピスとは>

 ホスピスの事を、日本では「緩和ケア病棟」と言います。
 在宅でホスピスケアを受ける場合の事を「在宅ホスピス」と言う事もあります。
 またご自宅で静養中の場合に「緩和ケア外来」を活用する事もあります。
 ホスピスの主な役割は、ご病人の身体や心、その他の苦しみを少しでも軽くする
(緩和する)為に努力する事です。
 また、家族のサポートも行っています。
 ホスピスの対象になるご病人は、がんの進行に伴う様々な症状を抱えている方で、
がんの治癒のための積極的な治療が効果を発揮出来なくなった状態の方々です。
 そのような段階では、例えば“痛み”や“息苦しさ”“吐き気”などの苦痛な症状が
出ることがあるので、それらを緩和する事を目的とした病棟や外来です。
 また、精神的な辛さや苦しみ、不安な気持ちに対してもその気持ちを理解し受け止める
対応をします。しかしがん患者さんすべてがホスピスでの対応を必要とするわけではありません。
 ホスピスには、癌の症状緩和の方法や精神的な問題に対応する専門的知識や技術をもった医師や
看護婦、ソーシャルワーカーや宗教家などがいて、援助を行います。
 「ホスピスでは心のケアや宗教的な面の援助を受けられますか?」と質問される事があります。
 ホスピスの中には、キリスト教や仏教等の宗教団体が基盤となっている病院の緩和ケア病棟が
あります。そのような病院およびホスピスには、牧師やシスターなどがおり、必要に応じて
宗教的な面での援助を行います。しかし同じ宗教を持っていることを入院の条件にする事はありませんし
入信を強要されることもありません。
 ご病人自信の宗教や考えを尊重します。


<入院のための条件>

 入院が必要になるのは、苦痛な症状を外来通院でコントロールするのが困難になった場合です。
 痛みや息苦しさ等の症状が強くなり、在宅生活が困難になった場合です。
 “がん”と診断されているだけでは、すぐ入院を受け入れられません。
 医療保険上は、予後(残された期間)が大体6ヶ月程度とされています。ただし「緩和ケア外来」を
設けているホスピスの場合には、症状コントロールが必要になった段階から緩和ケア外来での医療を
受ける事が出来ます。
 早い時期に緩和ケア外来を受診することで、苦痛が無い状態で自宅療養を継続する事ができ、
状態が変動したら入院して体調をコントロールし、落ち着いたら再度自宅療養に切り替えるという事を
繰り返す事ができます。
 入院の条件として、癌である事や病状について、ご病人ご自身がどれだけ知っているかと言う事に
ついて、各ホスピスによって求める事が異なります。
 ご本人が充分に真実を知っている事を入院時の条件にしているホスピスもありますが、必ずしも
知っていなければどこのホスピスにも入れないと言う事ではありません。
 ただしほとんどのホスピスの方針は、ご本人が病気についてホスピスの医師や看護婦に説明を
求められたときには、ご本人に与える心理的な影響を考えながら、できるだけ真実を伝えるという
関わり方をします。




<緩和ケア病棟とのつながりを作る方法・入院の手続き>

 緩和ケア病棟とつながるためには、直接その病院の代表番号に電話をして、電話に出た方に
「緩和ケア病棟についての相談を受け止める担当者に電話をつないで欲しい」と頼みましょう。
 相談日が決まっていればその曜日を教えてもらえますし、すぐつないでもらえる場合もあります。
 相談者に状況を話し、できれば直接行って相談するよう予約をするとよいと思います。
 行って相談すれば、見学する事もできるでしょう。

 入院するためには、まずホスピスのある病院の緩和ケア外来を受診することが必要です。
 ホスピスによっては、緩和ケア外来の受診予約をとらなければならない所があります。
 混んでいる所では、受診予約日まで1〜2週間待たなければならないところもあります。
 受診するときは、主治医に紹介状を書いていただき、緩和ケア外来受診時に持参すると
よいでしょう。そうすればこれまでに受けた治療や検査の結果・病状についての情報が、
緩和ケア外来担当の医師にすぐ伝わると、スムーズに問題に対応する事ができるでしょう。
 主治医からの紹介状が無い場合でも、緩和ケア外来を受診できます。
相談の結果で緩和ケア病棟の入院手続き・登録をすることになるでしょう。
 “登録”とは、緩和ケア外来を受診した時点で、すぐに入院できる場合ばかりではないので、
入院するためにあらかじめ入院の申し込みをしておくことです。

<緩和ケア外来の活用>

 ホスピスのある病院には、たいてい「緩和ケア外来」があります。
 普通の外来の場合と同じように、自宅療養をしている場合に定期的に通院して、症状の
コントロールを中心に、精神的な悩みなどについても患者さん・ご家族の方と医療者が、
ともに話し合いながら在宅生活がより安定した状態で過ごせるよう対応します。
 大体2週間に1度通院する事が多いようですが、ご病人ご自身で通うのが大変な場合は、
ご家族だけで外来に行って相談したり、お薬の処方を受けることができます。
 上手に緩和ケア外来と連携する事で、ご自宅で過ごせる期間を長くする事ができます。

<緩和ケア病棟と一般病院との対応の仕方の違い>

 緩和ケア病棟と一般病院とはどこが違うのでしょうか?
 もしあまり違わなければ、遠い緩和ケア病棟に移る必要は無いかもしれません。
 今かかっている病院の主治医や看護婦との人間関係が上手くいっている、痛みその他の
体の苦しみを上手く緩和してもらえている、入院が必要になった場合の病院の環境が
それほど悪くない、というような条件が整っていれば、そのままなじんでいる病院でずっと医療を
受けても良いと思います。
 あえて、緩和ケア病棟と一般病院のどこが違うかを質問されれば、以下の点が違うと思います。

1・心身の苦痛緩和に力を注ぐ(その専門家がいる)

  がんの病状が進行した段階で発生する“痛み”その他の身体の苦痛に対する対応の仕方には、
特別な知識や技術が必要です。
  ホスピス・緩和ケア病棟の医師や看護婦は、一般病院の場合より経験豊富です。
  また精神的な問題に対応する臨床心理士やソーシャルワーカーもいます。

2・検査や処置が少ない 
  
   病状の変化を観察するためにいろいろな検査を行う事をなるべく少なくするように
配慮しています。また管を入れたり、たくさん点滴をするなどの処置は、苦痛をとるために
必要な最小限度に抑えるようにします。

3・面会時間の制限が少ない

   いつでも家族が面会できるように、面会時間の制限がないところがほとんどです。

4・家族が宿泊しやすい設備がある

   家族が休息したり宿泊するための家族室が必ずあります。
   また病室の中にソファーベットやリクライニングチェアーがあり、ご病人のそばで寝る事が
  できやすい設備があります。
   また、ご家族が食事を作るキッチンがあったり、入浴できるところもあります。

5・家族が使用できるキッチンがある

   ご病人の口に合うような食事やおやつを作る事ができるキッチンが備え付けられています。
   もちろんご家族の為に食事を作る事もできます。

6・面談室があり医師や看護婦などと話しやすい

   ご病人やご家族と医師や看護婦などが、気兼ねなく話しやすいようにする為に、面談室が
  設けられています。周りに気を使わずに、落ち着いて質問したり相談しやすい環境が
  用意されています。

7・デイルームでくつろぐことができる 

   デイルームで音楽を楽しんだり、面会にきた友人や知人と話を合ったり、お茶会で他のご病人と
  お茶を飲みながら、雑談を楽しんだりする場所があります。
   熱帯魚の水槽や音楽を楽しむピアノやレコードプレーヤーがあり、気分転換もできます。
   ミニ・コンサートが開かれたり、季節の行事も、ご病人・ご家族も参加して楽しめます。

「全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会」に問い合わせると、最新の情報が得られます。

全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会