読む力、書く力

文を読むために必要な能力は何だろうか。順を追って考えてみた。

1.まず、書かれている文字の形を視覚的に認知、弁別する力が必要である。
  そして次に、その形と聴覚的に認知、弁別した音(読み方)とを結びつ
  け、その事を記憶し、必要に応じて想起する力が必要となる。

  (あ)という文字の形を認知し、<あ>という、音(読み方)と結びつ
   け、そのことを記憶しておき、その再現場面で<あ>と読む。
  (あ)と(め)、(わ)と(れ)等の視覚的な認知の困難さは傍目から
   見ても理解されやすい。又、聴覚的な認知、弁別、記憶、想起も、濁
   音半濁音、長音、撥音、拗音、拗長音等々、低学年段階では困難な子
   も結構多い。
   見過ごされやすいのは、視覚と聴覚認知の結びつけが困難なタイプの
   子であろうか。一定整った形で文字の視写もでき、ことばの理解力も
   あるのに、ひらがながいつまでたっても読めない子はこのタイプに属
   する。文字の形と音を意識的に結びつけさせる指導が必要である。
   

2.文字のつながりの視覚、聴覚認知 ⇒ 文字の並びを追いかける(走査)

  (あさがお)という4文字を視覚的に一まとまりとして認知し、聴覚的
   にも<あ・さ・が・お>ではなく一まとまりの読みとしてとらえる。
   音節が増えれば増えるほど困難になる子がいる。<お>と読み上げた
   時にはもう最初の<あ>が残っていなければ、当然ひとまとまりとし
   ての認識は困難である。飛ばし読みや作り読みの多い子にはこの文字
   の取り込み処理がうまくできない子が多いのではないかと思われる。
   短期の記憶の弱さも関係するであろうが、当然前述の一音だけの認知
   に弱さがあれば、これも困難であろう。

   ・(あさ〜あさがお〜あさがおのつる)    音節を増やしていく
   ・(あさがおの花〜あさがおのつる〜あさがおのはっぱ)
                       同じ文字を繰り返し読む
   ・(が)(あ)(お)(あ)  音節分解したものを並べかえさせる

             等々の指導が有効なのではないかと考えられる
              
    
3.一まとまりと認識した単語への意味づけ⇒知識との結びつけ

  (あさがお)と書き<あさがお>と読む一まとまり単語と、知っている
   あさがおという言葉の意味とを関連づける。
   理解、表出言語の多い子は、ここが結びついたら意欲も高まるようで
   ある。<あ・さ・が・お>と一文字一文字 切りながら読み、自分で、
   もう一度復唱して初めて、 [あさがお]の事だと理解できたある子は、

   「ああ、あさがおか・・」
   と、納得の笑顔を見せてくれた。
   読んで見ようと言う意欲を喚起するためには、関心のある内容の教材
   を用意するのが一番である。虫が好きな子、電車が好きな子、戦車が
   好きな子(;^_^A ・・結構特別な興味の対象がある子は多い。


4.意味づけした単語のつながりを文として理解

   同じように認識した(きょう)(はな)(ひとつ)(さく)等の単語
   を合わせて
   ・(あさがお)が(ひとつ)(さく)
   ・(きょう)(あさがお)の(はな)が(ひとつ)(さき)ました
   
   等の文として認識する。これも理解、表出言語の多い子は、意欲も高
   まる場面である。
   

5.文のつながりの理解と記憶の力が必要な文章理解

   文の連なりが文章である。接続詞などを手がかりに文と文のつながり
   を考慮しながら読みすすめる。1文1文の理解は出来ていても、この
   関係を捉えることが困難であれば読解も難しい。又、当然ながら、前
   の文の記憶の把持が弱ければ、読解は困難である。
   
   ・場面を絵で表す。
   ・動作化する。
   ・キーワードを抜き出して図式化する。
   
   実は、私自身もこの弱さをもっているもので、普段でも結構、メモを
   とりながら読んだりする事があるのです。(;^_^A
   
  
   
それでは書くために必要な能力は何だろうか。

視写・・視覚認知、目と手の協応運動ができれば、読めなくても視写は可能
    ではある。しかし、これは本当の意味の「書く」力とは言えない。

聴写・・これが出来ると言うことは、視覚、聴覚認知、記憶ができていると
    いうことではある。

1.単語に文字を当てはめていく。視覚認知だけではなく手との協応運動が
  うまくいかない場合は

   ・指で文字をなぞる。
   ・まがる、はねる、おれる等々ことば化しながら書く。
   ・ノートに補助線を入れ線の左右、上下など確認しながら形をとる。
  
2.単語を連ねて文を書く。
  
  語彙の少なさが表現力の幅を狭める。語彙の少なさは単なる経験不足と
  言う言葉では説明できない場合も多いように思う。
  ITPA言語学習能力診断検査でいう聴覚的受容、連合の力の弱さ、その他
  記銘力等々どこかに落ち込みがあるはずである。
  しかし、この弱さを補う方法としては実体験や経験が有効である訳で、
  生活の幅を広げてやる事の重要性に変わりはない。

3.文と文を連ねて文章を書く。

  文章展開のまとまりのなさ、貧困さ等がネックであるが、これは話し言
  葉のつまずきと一致しやすいという。
  読み手(聞き手)を意識し、書く(話す)べき一まとまりの内容を適切
  に表現する力が必要ということになる。


このへんの指導については言語発達遅滞のページの「言語の指導・わたし教
室では」という項にも書いています。
そちらも読まれてご意見、ご感想等頂けると有り難いです。
  



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