TEACCH その3

環境の構造化

 自閉症児・者自身の認知、適応力を高めるだけではなく、理解しやすいように周囲の環境の方を作り替えるといった作業が重要とされる。それが構造化である。


●空間の構造化
 机や戸棚や衝立などの配置でエリアの工夫をし、それぞれに独自の働
 きをさせる。空間的、視覚的境界を明確にする。始まりや終わり、状況や
 場面の理解にも役立つ。又、余分な視覚的聴覚的刺激が入り気が散る
 ことも防ぐことができる。
 
 療育区域
   グループエリア
   プレイエリア
   トランジション・エリア(活動間の中継場所、スケジュール表を配置)
   ワークエリア(個別指導の場、自立学習の場)
   
 
●視覚的構造化
  絵や色、文字による指示等で自分で判断して行動できるようにする。
●時間の構造化
  日課表
   いつ・どこで・どのような・次は・見通しは等、予測ができる
   ・具体物の並び
   ・部分日課 絵カード、写真
   ・全日課  絵カード
         絵と文字リスト
         文字カードと文字リスト      
 
   視覚的手がかり(具体物、絵、写真、文字)日課表の長さ(部分か全
   日か)の選択、
   また、中継区域を設けてカードを持って移動するなど、一人ひとりの子
   どもの理解レベルに合う日課表を個別に作る。

●手順の構造化(個別ワークシステム)
  療育者の指示なしでひとりで作業に取り組めるようにする(自律、自発)
  作業時間(量)の長さ
  作業の内容
  終わりの認識と次の課題の認識
  達成感や次への意欲を引き出すための褒美も用意
  行為(作業)と結果(褒美)とを結びつける事は終わりの認識を強調させ
  る事にもなる。
 
 すなわち、なにを、どのように、どのくらい、すればよいか、終わった後は
 どうするかが理解できる個別化したワーク・システムが必要とされるわけ
 である。
 1. 左から右のシステム(材料を左に完成品を右に)
 2. 色あわせのシステム(カードと材料箱を色で対応する)
 3. シンボルによるシステム(文字や数字のカードと材料箱を対応させ
  る。)
 4. 文字によるシステム(どんな作業をどのくらいするか単語や文で提示)
 
●材料の構造化
  視覚的に作業の内容や流れの情報、手順やまとまりがわかるように
  箱、色、ラベル等の工夫をする。


 指導の場でも、家庭でも様々な工夫ができそうですね。「ぜひとも
 TEACCH」をと大上段に構えなくとも、一人ひとりの子どもに理解しやすい
 ように家庭の中や、指導の場を整理してみたら、結局「TEACCH」で提案
 しているのとよく似た状態ができあがった等の話は以前から聞いた事が
 あります。それでは、
 「TEACCH」を意識して、お子さんに合わせた家庭内構造化、逆統合の取
 り組みをされているお母さんのページにリンクをさせてもらいます。

TEACCH@takumiへ
  それぞれに「今、何ができるか」考えていきたいですね。

コミュニケーションスキル

 TEACCHでは言語スキルにこだわることなく、まずはコミュニケーションスキルを育てるという考え方に立っているようである。
言語機能だけではなく、コミュニケーション機能そのものに困難さをもつのであれば、まずは、コミュニケーション・スキルを育てることが必要であり、PEP評価に基づき、一人ひとりの機能水準に合わせて、日常的、実用的なコミュニケーション機能・能力の発達促進を言語スキル獲得の基盤にするという事であろう。

●コミュニケーション機能の障害
 認知機能の障害
   対象物、環境等の意味理解の困難さ
   象徴的な意味理解の困難さ
   役割など関係の概念理解の困難さ
   探索、実験、冒険的活動の困難さ
   見通し、原因と結果の関係の理解の困難さ

 情緒や社会性の問題
   対人関係欲求の乏しさ
   感情表現のしかたの乏しさ、激しさ、唐突さ
   情緒的、共感的な感情の交換の乏しさ
   集団的、社会的活動への関心の乏しさ


 上述の表象、象徴機能や共感協調的感情等の発達の未熟さは、言語機能の発達には高いハードルとなるであろうことは容易に理解できる。
ゆえに、音声言語のみでなく表情、しぐさ、身振り、ジェスチャー、指さし等の非言語性のコミュニケーション機能の習得や使用にも困難を来す。いわゆるクレーン現象も、それらの媒介を介してのコミュニケーションが困難ゆえに、直接的な行動にでてしまうことの結果であると解される。おうむ返し(エコラリア)についても、必ずしも言語を理解した上での反応という訳ではなく、むしろ「理解できないよ、助けて」という訴えだと解釈するほうが妥当な場合も多いとのことである。

●コミュニケーション機能の要素
 (要求)物質、行為の要求や許可。ジュースが欲しい時コップ、冷蔵庫等
     を示したりする。
 (注意喚起)大声や直接的行動で自分に注意をむけさせる。
 (拒絶)大声、直接的行動の他自傷行動などで当惑や不安を表す場合も
     ある。
 (説明 )自分や相手、特定の物についてその様子、特徴を指摘する。終
      了を伝えたり、買 ってもらったものを人に見せたりするなど。
 (情報提供)相手が知らないであろうことを知らせる。又、その質問に答
         える。
 (情報請求)自分が知りたいことを教えて欲しいと意思表示する。
 (感情や共感の表現)自分の身体的、心理的な感想を表現したり、あいさ
               つをしたりする。


●コミュニケーション手段

レベル
1. 泣いたり、叫んだりの要求(教えるわけではない)
2. ジェスチャー(人を連れていくといった直接行動、指さし、バイバイなどの
  挨拶 等)
3. 物を使って意志表示(コップを示してジュースが欲しい。靴を示して公園
  に行きたい等)
4. 絵カード写真を使う(他の要素の少ない概略的な絵のほうがわかりやす
  い)
5. 文字を使う(話しことばの習得は困難でも文字カードなら入りやすい子
  に)
6. サイン言語(抽象性が高く理解しにくい為、あまり取り入れられていない
  のが実状)
7. 音声言語(最高の目標)

 それぞれのコミュニケーション能力を把握し、必要な子には、音声言語に代替するコミュニケーション手段をえらび、それを獲得していった子にはそれがより社会的かつ相互的なものに発展していけるように、指導の目標と計画が組まれていくわけであろう。

最後に
●諸先輩からの?技術の伝授を?!(ある講演で頂いたレジュメに書かれ
 ていたものを要約したものです。)

1.子どもの利用しやすいコミュニケーション手段を見極める。
2.新しい状況の理解は自閉症児には思いの外困難な場合がある。一度に
 一つだけ教える事の方が結局は速い場合もある。
3.言語の理解と使用のスキルは子どもによって大きく異なる場合がある。
 その場合は別々に教える。
4.高機能自閉児のコミュニケーション能力は過大評価されやすく、低機能
 自閉児のその能力は過小評価されやすい傾向にある。
5.意味のある状況でコミュニケーションを教えることが重要であり、その意
 味でおやつや食事の場面でのコミュニケーション指導には効果も大き
 い。
6.低機能自閉児には、コミュニケーションシステム、手段そのものを教える
 必要がある。
 高機能自閉児の場合は、対人的状況の中でのコミュニケーションの仕
 方を習得させていくことが課題になる。
7.確立されたルーティンの中で、しかも子どもが求めていることを制止する
 ことによる環境操作やモデリングは一般に効果的であることが多い。

 お願い
TEACCHについての記述は、
今までに参加した研究会、講演会(門 眞一郎先生)、ウェブ上、佐々木正美先生の著書等で学んだことを元に、私なりのまとめや現在の思いを綴ったものです。勉強のための作文です。思い違いなどご指摘頂けると有り難いです。    

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