発達診断 
     たかが検査
          されど検査

●知能とは

目的的に行動し、合理的に思考し、能率的にその環境を処理しうる総合的、全体的力 (ウエックスラー)

●診断では

子どもの発達の水準と特性を明らかにすると共に、有効な援助の方法や内容、発達の予測等についても応えることが要求される。
すなわち、検査・診断は療育、教育の場で子どもに働きかけていくための指針作りのためにこそ使われるべきものである。
 
 


個人的には、自分が検査にかかわる前までは、検査そのものが好きではなかったのです。勿論、今でも好きでしている訳ではないですが。

それまで、検査ということばでイメージしていたのは、平均からどれ位差があるかという偏差や、選別の考え方。
ひとりひとり違って当然という、私自身の価値観からすれば相入れないものであるわけです。
そんな私がひょんな巡り合わせから、検査者にもならなければならないという立場になってしまったのです。

そして、
何度かの検査の中で、いつしか直感だけでは捉えられなかった子どもの様々な面が見えてきて、検査も捨てたものではないなと思うようになってきました。
勿論、検査は万能ではない。子どものすべての認知機能を測定できる検査などおそらくはないだろうし、検査で数値化できない部分にこそ、子ども理解の大きな鍵があるのでは・・・・・という思いもなくなったわけではありません。

今思うのは、
「たかが検査、されど検査」
検査ですべてがわかるわけではないですが、個人の可能性を知り、指導の指針をたてるためには、やはり一番有効な手段だろうな・・・・・と。

WISC-R知能検査法 日本版WISC-R知能検査法(日本文化科学者)

適用(6歳〜16歳11ヶ月)
ウェクスラーによって作成された児童用知能検査。動作性尺度と言語性尺度2つから構成されており、それぞれ動作性IQと言語性IQが算出される。総合した値より全検査IQが算出される。ほかに幼児を対象としたWPPSI(3歳10ヶ月〜7歳11ヶ月)と成人を対象としたWAIS-R(16歳〜74歳)がある。
言語性と動作性の問題からなる。その差や各検査評価点のプロフィールを見ることで知的能力の偏りがわかる。
LD児の診断のためのテストバッテリーとして組まれることが多い。

WISC-III知能検査法 日本版WISC-III知能検査法(日本文化科学社)

適用(5歳〜16歳11ヶ月)
WISC-Rに改訂を加えた検査法
WISC-Rの10の基本検査「知識」「類似」
「算数」「単語」「理解」「絵画完成」「符号」
「絵画配列」「積み木模様」「組み合わせ」と
2つの補助検査「数唱」「迷路」に 
改訂で「記号探し」が加えられた。
言語性IQ 動作性IQ 全検査IQの他に因子分析の
結果から特定された 4種類の郡指数(言語理解、
知覚統合、注意記憶、処理速度)が求められるように
なった。
  
それぞれに異なる多種の知的能力を測定するが、すべ
ての下位検査を統合すると、こどもの一般知能が測定
できるように構成されている。


新版K式発達検査 新版K式発達検査実施手引き書(京都国際社会福祉センター)

適用(新生児〜14歳過ぎ)
ゲゼルの発達診断をもとに、ビネ式検査などの検査項目を参考に作成された全般的な発達段階を評価するための検査。
(1)姿勢運動 (2)認知適応 (3)言語社会の3領域
に大別され、各領域と全領域について子どもの到達している発達年令段階を測定する

新版K式発達検査2001 新版K式発達検査2001実施手引き書
  (京都国際社会福祉センター)

適用(新生児〜成人)
新版K式のいくつかの項目が削除されたが、新たな項目も付け加えられ、計328の検査項目からなっている。削除された項目は欠番にされ、新設された項目には連続する新しい番号が付与されている。又、発達の同一の側面をみるための追加項目には既存の番号の後に英小文字をつける等して連続性が考慮されている。

ITPA言語学習能力検査 ITPA言語学習能力診断検査手引き(日本文化科学社)

適用(3歳〜8歳11ヶ月)
言語学習能力として3つの次元を仮定。言語学習能力を
特定の回路を通る、特定の水準における、特定の過程の
能力としてとらえている。
結果は評価点によるプロフィールと言語学習年令で表す。


(1) 回路・・感覚刺激を受け取り処理して反応する情報伝達の通路。
 
聴覚ー音声回路
聴覚ー運動回路
視覚ー音声回路
視覚ー運動回路の他、理論的には

触覚ー運動回路
触覚ー音声回路等も、考えられる。


ITPAでは
ことばの習得に関係の深い
聴覚ー音声(聞いて話す)
視覚ー運動(見て行動する)
             の2回路採用


(2) 過程・・ことばを習得して用いるための3過程。

(受容過程)見たもの聞いたものを認知し理解する能力
(連合過程)認知、理解した概念や言語シンボルを内的に操作する能力
(表現過程)考えをことばや動作で表す能力 


(3) 水準・・コミュニケーション行動が個人の内部で組織化されているレヴェル

(表象水準)シンボルを扱う複雑で高度なレヴェル
(自動水準)意識せず、自動的反応が行われるレヴェル
視覚構成、聴覚構成、知覚の速さ、配列を再生する力、
機械的学習、音の単語への合成 何度も繰り返した経験
の利用等はこの水準。 


絵画語い発達検査(PVT) 絵画語い発達検査手引き(日本文化科学社)

適用(3歳〜10歳)
語彙の理解力を基本的な指標と考え、その発達を短時間
で正確に測定しようとする検査
「教育基本語彙」を母集団とする語彙の選択過程や本格
的な標準化だけでなく、子どもの応答傾向を考慮し、当
て推量による誤差を小さくする修正得点の採用などがな
されている。

P-Fスタデイ P-Fスタデイ解説(三京房)

適用( 児童用・青年用 ・成人用)
24の欲求不満場面によって構成される。人物の表情な
どは省略し絵の印象で答えを暗示誘発する事を避けて
いる。場面を見て最初に浮かんだ反応語にその心理が
投影されているとされ、その反応、心の動きを検討分析
し解釈する。
欲求不満場面でのアグレッション(攻撃的反応? 主張
性?)の方向や型を明らかにするわけである。アグレッ
ションの方向としては他責・自責・無責、型としては障
害優位型・自我防衛型・要求固執型があげられている。
 

PRSテスト PRS手引き(文教資料協会)

LD児診断のためのスクリーニングテスト
平均的な知能で、聴覚、視覚などにも問題がないのに、
その力に応じた学習の結果が得られない子どもたちの
スクリーニングを目的とする。
次の5領域で評価する。下位項目は24ある。


(1)聴覚的理解と記憶
学習上必要な聴覚的認知、情報処理能力
「単語の意味を理解する能力」「指示に従う能力」
「クラスでの話し合いを理解する能力」
「情報を記憶する能力」


(2)話し言葉
聴覚的受容言語と表出言語はその能力が一致しない
場合もある     
「語彙」「文法」「ことばを思い出す力(特に名辞)」
「経験を話す能力」「考えを表現する能力」


(3)オリエンテーション
自分の周囲を認知する能力、一つの場所から他の場所
に行くにはどうしたらよいのか、時間と方向を判断する
にはどうすればよいかを示す能力
「時間の判断」「土地感覚」「関係の判断」「位置感覚」
       
(4)運動能力
運動の協調性、巧緻性
「一般的な運動」「バランス」「手先の器用さ」
      
(5)社会的行動
社会的行動上の能力。寡動、不注意、多動、いらだち、
注意散漫、保続、抑制不全
の課題など、行動を統合できにくい結果を招く。   
「協調性」「注意力」「手はずを整える能力」
「新しい状況に適応する能力」「社会からの受け入れ」
「責任感」「課題を理解し処理する能力」「心遣い」  


K−ABC心理教育アセスメントバッテリー K・ABC 心理・教育アセスメントバッテリー解釈マニュアル(丸善メイツ)

適用(2歳〜12歳11ヶ月)
指導に直結する知能検査を目指し、カウフマン夫妻により作成された。
認知処理過程として継時処理と同時処理に分類し、子どもの得意な認知のスタイルを知り指導に役立てる事を目標とする。
知能(問題解決に要する情報処理能力)と習得知識・技能(情報処理能力を応用して獲得された知識や技能)に分けての測定がなされる。
両者間にアンバランスを示すLD児などの診断と指導に有効であるとされる。

フロステイック視知覚発達検査 フロステイック視知覚発達検査実施要項と採点法手引(日本文化科学社)

適用(4歳〜8歳)
視知覚障害に対する援助の手がかりを掴むことを目的と
する
視覚と運動の協応・・ 目と手の協応動作の検査
図形と素地・・順次複雑になっていく素地から図形を知
       覚する検査
形の恒常性・・図形の大きさ、線の濃淡の変化、構成、
       空間における位置など条件の異なる幾何
       学図形を知覚し、それを類似の幾何学図
       形と弁別する検査
空間における位置・・ 反転、回転している図形を弁
       別する検査
空間関係・・ 単純な形態や模様を分析することを含
       む検査


子どもの視知覚能力に困難のある領域や程度を正確
に捉える事は、その子どもの生活や学習上での
効果的な援助や指導の方法を探る事に役立つ。

S-M社会生活能力検査 日本文化科学社


適用(1才〜13歳 ただし生活能力遅滞者では年齢以上でも可能)
社会生活能力を測定するために、日常生活のなかで
容易に観察ができ、しかもそれぞれの発達段階の社会生活
能力を代表する130の生活行動項目で構成。それらの項目
は大体発達順序に沿って配列されてはいるが、個人差面へ
の配慮のため,厳密に難易度に準じて並んでいるわけではな
い。

社会生活能力の構成領域については、下記の6領域を設定。

1、身辺自立
  衣服の着脱、食事、排泄などの身辺自立に関する生活能
  力。

2、移動
  自分の行きたい所へ移動するための生活行動能力。

3、作業
  道具の扱いなどの作業遂行に関する生活能力。

4、意志交換
  ことばや文字などによるコミュニケーション能力。

5、集団参加
  社会生活への参加の具合を示す生活行動能力。

6、自己統制
  わかままを抑え、自己の行動を責任を持って目的に方向
  づける能力。

この検査では、社会生活年令や社会生活指数、すなわち子
どもが現在身につけている実生活の処理能力の程度をしめ
す。
これらは、知能の働きを必要とする側面もあるが、社会環境
の中での学習により獲得し、身につけていける部分も多い。
言いかえれば、指導による発達の可能性が大きい能力であ
る。


障害児学級(知的障害等)における生活を共にする小集団で
は、この能力の個別の指導における力の伸長が大いに期待
されるように思う。

  

津守式乳幼児精神発達検査 大日本図書


適用(0才〜7歳)
乳幼児の発達を運動、探索・操作、社会、食事・排泄、生活習慣、理解・言語の5つの領域から評価する。検査は対象児の年齢により、1〜12ヶ月、1歳〜3歳、3歳〜7歳の3種類に分かれる。

新訂版 ことばのテストえほん 日本文化科学社

適用年齢(幼児−小学校低学年)
言語障害児のスクリーニング用検査
4つの下位検査(ことばの理解力・ささやき声での聞き分け・発音・声や話し方その他の表現力)

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