2006.11.27

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状況の認知絵カード 中高生版1


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指導事例

(1)「Aさん、Bさん、Cさんには、お土産を買ってきました」


「 この女の子はAさん、Bさん、Cさんにお土産を買ってきたようですね。この子がAさん、この子がBさんってことにするよ。この二人は、お土産をもらってうれしいだろうね。でも、このCさんを見て。お土産をもらっているのに、うれしそうに見えないね」
「・・・・・・」
「Cさんは、この女の子にタッチしているね。何かを伝えたいみたい。何を伝えたいのだろうね?」
「お土産のこと・・・・」
「そうね。『ちょっと、待って。今、お土産を渡すのはまずいよ』って伝えているのだと思う。何がまずいのかなぁ?」
「まずい? 学校に要らないものを持ってきたらだめです」
「ああ、そうね。あなたの学校もそう? 学校で止められているものを持ってきたら確かにまずいよね。この学校はそういう決まりがない学校なのかもしれないね。だから、この場合、他にも理由があるのよ。ほら、ここ、この右の方で立っている子、プレゼントをもらっていないね。
 この中でもらっていないのはこの子だけね」
「この子の分はないのですか」
「そう、ここにいる他の3人のはあるのに、この子の分だけないのね」
「何か、怒っていますね。 ほら、黒いもやもやが・・・」
「そうね。そうだろうね。同じ場所にいるのに自分だけもらえなかったら、平気ではいられないね。でも、おみやげは3つしかない。どうしたら良いのだろう・・・」
「困ってしまいます」
「どうしたら良いのか、裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



この子は、クラスの友だちの何人かにだけお土産を買って来たようです。もらった人はとても喜んでいます。でも、その場には、お土産をもらっていない人もいます。その場にいる他の人はみなもらっているのに、自分だけもらっていないのでは良い気持ちはしません。お土産は、買ってきた人だけが集まっている時に渡すようにします。集まる機会がなければ、一人ひとり別々に渡しても良いのです。
(2)「さっき、友だちにお土産を渡していたでしょう。どうしてわたしにはくれないの?」


「この子、自分だけお土産をもらっていないので、どうしてかなと思って友だちに聞いているのね」
「この子のいないところで渡せば良いのです」
「そうね。そうすれば良かったのにね。この子の分はないんだね」
「意地悪です」
「そうね。でも意地悪と言うより、初めからだれとだれに買ってくるか決めていたのかもしれないね」
「この子に買ってこないのは、意地悪です」
「・・・・・・。もしね、ここにクラス全員40名ほどいたとしたら、その子たちは全員お土産をもらえるのかな?」
「・・・・・・」
「お土産は、全員ではなく、一部の人だけに買ってくることがほとんどね。どんな時に、どんな人におみやげを買ってくるのか、裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」  


旅行に行った時などに、お土産を買ってくることがあります。沢山のお土産を買うにはお金も沢山必要です。持ち運ぶのも大変です。だから、お土産は、クラス全員にではなく、特に仲の良い人など一部の人だけに買ってくることが多いものです。
旅行に行った人みんなからいつもお土産をもらえる訳ではないのです。
もしも、友だちがお土産をもらっている場面を偶然見てしまっても「どうしてわたしにはくれないの?」と聞かないで、友だちがもらったことも気付かないふりをするのがエチケットです。
(3)「このお土産いらない!! 使わない!! 返す」


この右の子が左の子にお土産をもらったけれど、いらないから返すと言っている所です。返すと言われて右の子どう思ったみたい?」
「ガーン、悲しい」
「そうね。せっかくこの子のために買ってきたのに、いきなり返すと言われたら悲しいし、ショックだろうね。『いらないから返す』と言わないで、どう言えば良いと思う?」
「いらないけどもらう」
「・・・・。もらってもらえるのはうれしいね。でも、面と向かって『いらない』と言われるのは悲しいし、ショックだよ。 (いらない、欲しくない)と思うのは別に悪いことではない。でもそれは口に出さないで心の中でつぶやく方が良いことばなんだよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」



友だちがお土産を買ってきてくれたようです。お土産は、旅行に行ってきた報告の意味で渡すことがあります。また、以前お土産をもらったお返しやお礼のこともあります。
お土産の中には、もらってもうれしくないものもあるかもしれません。でも、だからと言ってそれを返してしまうのは失礼にあたります。欲しくないものでも「お土産ありがとう」と言って受け取るようにします。お土産を買ってきてくれたその気持ちを受け取るのです。また、ただ受け取るだけはでなく「楽しかった?」「どうだった?」と聞いてみると会話もひろがります。
(4)「本当は一万円だけれど、特別に千円にしておくよ」
「安い。買おう」


この子、『本当は一万円だけれど、特別に千円にしておく』と言われて安いと思ったのね。安いから買おうって。でも、一万円のものを千円で売ったら、お店の人が損をするよね。本当にもともと一万円するものなのかな?」
「違うの?」
「いつも同じ所で商売をしている店なら信用が大事だからそんなことはほとんどないだろうけれど、そこで臨時に商売をしているようなお店ならわざと始めに高い値段をつけて、いかにも安くしたと思わせるような値段の付け方はあるかもしれないよ。
もともと千円のものを千円で買うのは安いと思わないけれど、一万円のものが千円と言われたら、
同じ物でも安いと思ってしまうからね。」
「?」
「このお店だけではなく、他のお店も見てみると良いかもしれないね。同じようなものが、もしかしたらもっと安い値段で売っているかもしれないからね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」 



「このペンダントは本当は一万円だけれど、あなたには特別に千円にしておくよ」と言われ、買おうとしています。「一万円の物を千円で」と言われると、いかにも安くなったような気になってしまいます。
でも、はじめについていた値段が、本当にそれにふさわしいものであったかどうかはわかりません。中には、沢山売るために嘘をつく人もいるかもしれないからです。
商品は、そのものの価値にふさわしい値段で売り買いされるべきものです。割引率に惑わされることなく、本当に欲しくて気に入ったものが自分の納得できる値段で売られている時にだけ買うようにします。
(5)「○○さん、交通事故で大怪我をしたのですか。では、明日お葬式かもしれないですね」


「右の男の子の知りあいの○○さんが交通事故に遭ったんですね。大怪我だと聞いて、助からないと思ってしまい、助からないのなら、お葬式になるんだろうと連想してしまったのですね。大怪我をしたら、必ずその人は死んでしまうの?」
「入院して手術をすることもあります」
「そうね。この○○さんも今、手術をしている所かもしれないね。手術をしている時には、みな、
手術がうまくいけば良いなと思っているのだろうね」
「多分、そうです」
「手術が成功して、○○さんも一日も早く元気になって欲しい。そのことを伝えると良いね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



この子は、以前、知人が交通事故で亡くなってしまった経験から、○○さんももう助からないと思ってしまったのかもしれません。しかし、誰もが事故に遭ったら必ず亡くなるわけではありません。命にまで危険がない場合もあるのです。
病院で治療が行われ、家族は無事を祈っています。そのような時に、“亡くなる”とか“お葬式”という縁起でもない言葉を口にすることは、皆の気持ちを逆なですることになります。まるで、楽しみにしているかのように聞こえてしまうおそれもあります。
たとえ、交通事故からお葬式を連想してしまっただけだとしても、それを口に出すことは慎むようにします。
(6)「これ、とても安かったから、あなたのも買っておいたよ。はい5000円ちょうだい」


「右の女の子は自分の気にいったカバンをみつけて、左の子の分も買ってきて、お金を請求しているのね。左の子はそのカバンが欲しかったのかな?」
「わかりません」
「カバンを見て嬉しそうにしている?」
「何か・・・困ったような感じ」
「うん、先生も、そう見える。頼んでいたわけでもないのに、いきなりお金を請求されて、戸惑っているような顔ね。自分が気に入っても、だれもが気に入るわけではない。人それぞれに好みが違うからね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」  



「頼まれているわけではない物を買って来て、その代金を相手に請求しています。その商品を良い物と思うかどうかの価値判断は、人によってさまざまです。良いと思ったので友だちの分まで買ったというのは親切心からの行動かもしれません。しかし、相手がそれを欲しいと思っていなければ、本当の親切とは言えません。人の分まで買う時は、その人に確かめてからにします。
喜びそうなものをプレゼントすることは、あっても良いことです。しかし、その場合も、お誕生日やお祝い事など、何か理由があった方がもらう側の気持ちの負担も軽くなります。プレゼントをもらったらお返しをする習慣があることも、覚えておきましょう。
(7)(約束の時刻に遅れてしまった。でも、とても大事な用事があったのだから、待ってもらって当然。別に謝る必要はない。)
「さあ、行きましょうか」



「この右側の女の子は約束の時刻に遅れてしまった。大事な急用ができたのね。
 自分が悪いのではないから、遅れたことを謝る必要はないと考えているのだけど、それで良いのかな?」
「自分のせいではないのだから、謝らなくてもよいです。悪いのは急用。」
「そうね、確かにわざと遅れようと思っていたわけではないものね。この子もできたら時間通りに来たかったと思う。えっとね、今度はこの待っていた子のことを考えてみようか。この子は、右側の女の子が急用で遅れてくることを知っていたの?」
「・・・・・・。えっと・・・・わからなかった?」
「そう。この子は、右側の女の子が遅れているその理由がわからないまま、ずっと待っていたのかもしれないね」
「電話をしたら良いのに」
「そうね、そうすれば良かったのにね。待っていたということは・・・きっと電話連絡もできなかったのだろうね」
「ずっと待ってたのは可愛そうです」
「そうね。遅れた理由はどうあれ、相手はずっと待っていた。電話連絡もなかったのなら、何か事故にでも遭ったのではないかと心配していたかもしれないね」
「そうですね」
「そうよ。『待っていてくれて有り難う。ずっと待ってもらってごめんね』と伝えないとね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



「急に用事ができて、友だちとの約束の時刻に遅れてしまいました。その用事は、この子自身にとってはとても大事なものであったのかも知れません。しかし、友だちはずっと待っていてくれたのです。その間、何かあったのかと心配していたかもしれません。
理由はどうであれ、約束の時刻に間に合わなかったことを謝り、友だちが待っていてくれたことにお礼を言うのは、今後も互いに気持ちよく過ごすための大事なマナーです。
(8)「あなたのお母さんって、とても太っているね」


「別に・・・。わたし、このおばさんみたいに太っていない」
「そうね。太っていない人は太っていると言われても気にしないですむね。え〜っと、確か・・ついこの間、〜のことを言われていやだって言ってたよね?」
「あれは、あの人が悪いから・・・・。」
「そう。あなたが言われていやだ、許せないと思ったのはそのことだった。他の人は人で、また、ちがうことで言われていやなことがある。この女の人は太っていると言われることがいやなことかもしれないね。でね、絵を見たら、太っているねという言葉を聞いてムカ〜っとしているのはこの女の子の方だね。どうしてだと思う?」
「けんかした?」
「うん、そばの女の人のことを太っていると言ったのがいやだったのだと思うよ。この子はね、この女の人の子どもなのね。自分のことでなくても、自分の大切な家族のことを悪くいわれたら、同じようにいやな気持ちになるんだね」
「でも、女の人、おこってない」
「うん、特に大人になると、いやなことを言われても、いやだという気持ちを顔には出さない人も多いよ。だからといって別にいやな気持ちであることにはかわりはない。
 だからね、どんなことを言われたら人はいやな気持ちになるかをこれから沢山知って、決してそれを口に出さないようにしないとね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 


友だちのお母さんについて、思ったことをそのまま口にしています。
目の前でこのように言われたら、友だちの母親は当然傷つきます。友だち自身も、母親についてこのように言われるのは、心地よいことではありません。母親に限らず、他の身内のことについても同様です。
たとえそれが本当のことでも、相手を傷つけてしまいそうなことを口に出さないのはとても大切なことです。
(9)「アンケートです。記入してください」
「アンケートに、答えるだけで良いのね」


「ここは街の中。街で、アンケートに答えてほしいと声をかけられたのです。
 アンケートで、何を書かされていますか?」
「?」
「あっ・・・ここに書いてあることね、読んでみて」
「氏名、生年月日、電話番号、住所、学校名」
「そう。そういうのはね、個人情報と言って、その人個人のとても大切な情報。それはむやみやたらに知らない人には知らせない方が良いものなのです」
「・・・・・」
「例えばね、電話番号を教えてしまったら、後で電話がかかってきて、
必要のない物を売りつけようとする電話がひつこくかかってくるようになるかもしれないね」
「・・・・・」
「アンケートを取るときにも、所属や目的、その結果をどういうことに活用するかを明らかにし、それ以外には絶対に使わないという約束をしなければいけないということになっているのよ。それだけ、個人情報は、大切に守られなければならないだものということ。
こういう時には、はっきりと“答えたくない”と、断った方が良いですね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



世の中には、個人情報を得ることを目的に人に近づいてくる人がいます。
サービス向上や調査のために、アンケートに応じるように求められることはよくあります。しかし、名前、生年月日、電話番号、住所、学校名などは、記入しなくてよいものです。にもかかわらず、それを記入するようにしつこく求めてくるような場合は、個人情報の収集そのものを目的にしていることが疑われます。
このような場合は、絶対に自分や友だちの個人情報を伝えてはいけません。自分自身がしつこい電話勧誘や詐欺などの被害に遭ってしまうばかりか、家族や友だちまで巻き込んでしまうこともあるからです。
個人の特定につながる情報は、どうしても伝えなければならない場合にだけ教えるようにします。


(10)「そこの会社でアンケートに答えるだけ? すぐに終わるのなら行っても良いですよ」


「この男の人、何を言っているのだと思う?」
「アンケートに答えてください」
「そうですね。多分、ここでではなく、指さしている所の建物の中に入って
アンケートに答えて欲しいと言っているんだろうね。親切そうな人だから行って見た方が良い?」
「多分・・」
「そうね、親切そうな人に見えるね。でもね、相手に自分を信用させようという目的があったら、
 これをプレゼントするからと親切そうなことを言ったり、笑顔を作ったりぐらいのことはするものだよ。こわい顔をしたり、意地悪な話し方をしたら、信用をしてもらえないからね」
「そうなんだ」
「もし、ついて行って部屋に鍵でもかけられたら、自分一人では、もう部屋から出られなくなってしまうね」
「鍵をかけられるの?」
「物を買うまで出してくれなかったりすることはあるかもしれないね」
「この人、こわい人なんですね」
「こんな服を着たこんな人がいつも悪い人、こわい人というわけではないけど、街で知らない人に声をかけられても、すぐにそばを離れたほうが無難だろうね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」
  


街頭でアンケートを求められ、誘われるままついて行こうとしています。しかし、アンケートに答えるだけだと言って出入りが自由にできない個室に誘い込み、不必要な商品やサービスを高額で押しつけ、契約に応じるまでそこから出さない商法もあります。
街頭で声をかけられて、人通りのない建物の中に移動してまで求められるアンケートには、一切応じない方が安全です。
何かプレゼントをもらえるとか、無料で占いのサービスをしてくれるとか、何か見せてくれるなどと言って誘われた場合も同様です。
(11)「財布を落としたので電車代を貸して下さい」
(困っている人を助けるのは良いこと。)
「300円ならありますよ」


「このおじさん、財布を落として困っているの。それで、この女の子に、お金を貸して欲しいと言っているのね」
「あやしい」
「あやしい?この子からお金をだまし取ろうとしているってこと?先生もそう思う。
 でも、本当に財布を落として困っているとしたら、このおじさん、可愛そうだよね?」
「それは・・」
「でも、本当かうそかは確かめようがないね」
「どうして?」
「うその場合、『おじさん、落としたのはうそでしょう?』と聞いても、おじさんは『本当です』としか答えてくれないよ。本当の場合も、やはり同じように『本当です』と答えるだろうから区別はつかないね」
「そうか」
「別に、この子がお金を渡さなくても、困った人を助けるための方法は他にもあるよ。
交番や、乗る予定の駅に相談したら、適切な対処をしてくれるから、そういう所にまかせた方がよいね。こんな時には、ごめんなさい、お貸しすることはできませんとはっきり断って良いのです。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



「財布を落としたので電車代を貸して下さい」と言われ、お金を渡しています。困っている人を助けるのは良いことなのですが、本当に困っているのではなく、財布を落としたふりをしてお金をだまし取ったり、返す時の連絡先を教えて欲しいと言って個人情報を聞き出そうとしたりする場合もあります。
財布を落とした時は交番に届けたり、知り合いに連絡を取ってお金を借りたりするのが普通です。断ってもなんの差し支えもありません。
断るのは冷たい感じがして気まずいというのなら、交番や近くの公共機関に相談することを伝えるのも、一つの方法です。このような場合には、公共の機関で適切な処置をしてくれるものだからです。
(12)「バニラソフト 一つ下さい」

「ここはどこ?この女の子は、何をしているの?」
「アイスクリーム屋さん。バニラソフトを注文している」
「そうね。ここのこの人たちは、何をしている?」
「女の子を見ている」
「あ、そう見える? うん、確かに・・。でもね、この男の子、女の子を見て怒っているよ。
どうしてだと思う?」
「さぁ・・」
「えっとね、怒っているのは、この女の子が何かルール違反をしたから。
 実はね、この人たちも、このアイスクリームを買おうとして待っているんだよ。だとしたら、どんなルール違反?」
「順番抜かし?」
「そう。この女の子、アイスに気を取られて、待っている人たちに気がつかなかったんだね。
 レジなどでもそうだけど、良く周りの様子を確かめることは大事なことね。
 この場合も、お店の人が、『先にお待ちのお客さんがおられますので』と教えてくれると思うけど『すみません、気がつかずに・・』と店の人や他のお客さんに謝ることも大事だね。では、裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」 



ここは、人気のソフトクリーム屋です。お店の前にすでに何人かの人が並んでいます。
このように待っている人が列を作って並んでいる店では、その列の一番後に並びます。また、もし並んでいる途中にトイレに行くなどなんらかの理由で列を離れなければならない用事ができた時には、後の人に「すぐに帰って来ますので」と一言断ってから行くようにするのがエチケットです。
(13)「ここに入っていた財布がない! だれが私のお財布を盗ったの!」


「この子、何と言っている?」
「だれが私のお財布を盗ったの!!」
「そうね、だれかが、この子の財布を盗ったの?」
「だれだろう」
「ここ。 これがこの子の財布だよ」
「あったの?」
「そうね、初めから、だれかが盗ったのではなく、この子がここに置いたことを忘れていたのだろうね。あって良かったね。でもねぇ、この子は良かったけど、他の子たちは、良かったと素直には思えないのではないかな。理由は何だと思う?」
「・・・」
「この子、『だれが私のお財布を盗ったの!』って言ったよね。そばにいてそんなこをを言われたら、自分が疑われているような気になるかもしれないよ。“あなたたちの誰かが盗ったのでしょう!”という意味にもとれるよ。そんなことを言われたら、だれも良い気持ちはしないよ」
「・・・」
「この子、自分の財布がないと気がついた時、何と言えば、そばにいる人たちを傷つけずにすんだかな?」
「・・・」
「じゃ、このみっつのうちならどれ? 1)だれが財布を盗ったの? 2)だれかに財布を盗られた。 3)財布がなくなった 」
「財布がなくなった」
「そうね。この子にとっては、財布が見あたらないというのは事実だからね。そう言えば、周りの子も、『えっ、財布がなくなったの? それは大変、一緒に探してあげる』と言ってくれるかもしれないね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 


いつもかばんに入れている財布が見当たらないので「誰かが盗った」と叫んでいます。でも、財布は机の中にあります。どうやら自分がかばんに入れ忘れていたようです。
焦って、即座に「誰かが盗った」と言ってしまったのですが、このような言い方をすると、周りの人を疑っていることになってしまうのです。
いつものところに財布が見当たらないのなら、まずは「ここにあったはずの財布がない」という事実だけを口にするようにします。そして、落ち着いて探してみることです。そうすれば、周りにいる人たちが、すぐそばに財布があることを教えてくれたり、自分で気付いたりできるかもしれません。
(14)「わあ、すごい!」

「ここは、どこ?」
「電車」
「そうね。この男の子は何をしている?」
「なんか、エッチなのを見ている」
「周りの人はそれをみて良い気分だと思う?」
「いやだと思う」
「そうね、顔をみても、そんな顔だね。普通ね、こういう写真などの載った本は、こんな公共の場ではなく、家の中でそっと見るものなのね。だれもが見たいものではないし、見えてしまっていやな気分になる人も多いからね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



ここは電車の中です。この子は、電車の中でグラビアアイドルの写真集を見ています。このようなことは、家の中でするべきことなのです。電車の中でこのようなプライベートな行動をすると、周りの人が不快に思うことも多いし、自分の評判を落とすことにもなってしまいます。
多くの人のいる公共の場ですることと、家族しかいない家の中や誰もいないところでするべきことを区別して、使い分けることはとても大切なことです。
(15)「ぼくの家で少し休んでいかないか?」
「うん、ちょっと疲れているからひと休みしようかな」



「えっとね、この女の子がとても疲れているようなので、この男の子が自分の家で休んでいかないかって言っているところなの。 この男の子の家には、今、他にだれもいないのね。休ませてもらっても良いかな?」
「だれもいないのなら、迷惑にならないから良いと思います」 
「ああ、そうね、家の人には迷惑はかからないかもしれないね。でもね、小さな頃と今では、男の子と女の子のつき合い方のルールは変わってきているのよ。男の子も、女の子も、相手を友だちとしてだけでなく異性として意識し始めて、相手を好きだと思うようになることもある。反対に好きでもなく、相手も望んでいないのに抱きついてしまったりすることもあるかもしれない。そんな時、家にだれか大人の人がいれば、歯止めになって、そういうことにならないですむかもしれないよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



男の子に「ぼくの家で少し休んでいかない?」と誘われています。女の子は、本当に疲れていたので部屋で休憩しようと思ったのかもしれません。男の子も、疲れている様子を見て、親切心からこのように言ってくれたのかもしれません。
しかし、個人の部屋など閉じられた空間で異性と二人きりになると、相手の望んでいない行動をどちらかが起こしてしまう危険性があります。始めから、そのつもりで声をかけることもあるのです。異性の家に行く時には、他の家族がいるかどうかを確かめ、安易に二人だけにならないようにすることはとても大切です。
(16)「ああ、すわれて良かった。荷物も置けるぞ」


「電車の中だね。この立っている男の人、この男の子に何か言いたそうなのだけど、何を言いたいのだと思う?」
「そこにすわらせてくれないかって」
「そうね、この男の子がどうすればすわれる?」
「荷物をどけるとすわれる」
「そう。他にすわれない人がいる時に荷物を座席に置くのはマナー違反だね。電車に乗る時には、自分だけではなく、周りのみんなも気持ちよく乗られるように、マナーを守ると良いね。はい、では、裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



この子は電車の中で荷物をたくさん広げて座席を独占しています。その前には、立っている人がいます。座席に荷物があって座れないので咳払いをして注意を促しています。この子は、その様子には気づいていないようです。
座席は座るために作られたものです。立っている人がいる車内では、荷物はひざの上か網棚に置くようにします。大きな荷物がある時は、人の邪魔にならずに荷物を置く場所を確保できるような席を選んですわります。そうすれば、より多くの人が座ることができます。
(17)「他に一緒に帰る人がいないから、あなたと帰ろう。本当は、あなたとは帰りたくないけどね」


「この子ね、一緒に帰ろうと言って誘ったの。でも、友だちはむっとしたいやな顔をしているね。何と言ったから、友だちはむっとしたのだと思う?3つ言うから、当ててね。
 1)同じ方向だから一緒に帰ろう  
 2)他に帰る人がいないから、一緒に帰ろう。 
 3)他に帰る人がいないから、一緒に帰ろう。本当は、あなたとは帰りたくないけどね
 
「2)と3)は同じ?」
「3)は、最後に、『本当はあなたとは帰りたくないけどね』って付け加えたよ。本当はあなたとは帰りたくないと思っているのはうそではなく本当ね。本当のことだから、言うのはかまわない?」
「うそはよくないから・・・。」
「本当はあなたと帰りたくないということばにはね、あなたよりもっと他に帰りたい人がいるとか、あなたのことはあまり良く思っていないという意味もあるの。そんなふうに言われたら、良い気持ちがするかな?」
「いやだと思う」
「そうね、自分のことばで相手をいやな気持ちにさせたり傷つけたりすることのないように、事実でも口には出さないように気をつけなければいけないこともあるのね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



たとえ“一緒に帰りたくない”というのが事実でも、このように、それをそのまま口に出してしまうと、相手はいやな気持ちになります。
このような場合には「他に一緒に帰ってくれる人がいないから、一緒に帰ってくれない?」とお願いするような言い方をすると良いのです。
同じ学校にいれば、お互いにこれからも毎日のように顔を合わせることになります。今はあまり仲良くなくても、つきあいが深くなって友だちになることもあるかもしれません。
仲良くしたくない相手なら、はじめから誘わない方が良いです。そうではないのなら、相手が傷つくことばを使わないように気をつけます。
(18)「このケーキ、おいしそう。ふたつ取ろう!!」

「ケーキがおいしそうだから、この女の子は2つ食べようとしているのだけれど、そばにいる子が止めているね。どうして?」
「他の人のだから」
「他の人、だれもいないよ」
「これ、この人たち・・・」
「この人たちは、今はいなくても、後から来ることになっている人かもしれないね」
「この子は、そのことを知らないのかもしれないね。知らなかったらどうしたら良い?」
「聞けば良い」
「そうそう、こういう数えられる物はたいてい人数分を用意する。全員が同じ量を食べられるように、割り当てをよく見て食べるようにしないとね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



この子はおいしそうなケーキを見て、ふたつ食べようと手を伸ばしています。しかし、ケーキはその場にいる人の人数分だけあるのです。もしこの子がふたつ取ってしまったら、誰か一人は食べることができなくなってしまいます。
このように、みんなで一緒に食事やお茶をする時は、全員が同じだけ食べられるように各自が判断して、自分の割り当て分だけを取るようにします。数えられる物ならば、その場にいる人数で割れば、一人分の数がわかります。正確に分けられない物は、だいたい一人分と思う量を取って食べます。
人数分より多く用意してあるなどで余っている時にも「これ、おいしいね。わたし、大好きなのだけれど、もらっても良い?」と聞き、他にも欲しいと思っている人がいないことを確かめてから取るようにします。
(19)「何か書くものを持っている?」
「はい、持っています可愛いシャーペンでしょう!」


「この女の人、何と言っている?」
「何か書くものを持っている?」
「この女の子、書くものを持っているの?」
「はい」
「そうね、持っているから、持っているって答えたのね。この女の人は、女の子が書くものを持っているか持っていないかを知りたかったの?」
「?・・・・あっ、貸して欲しかった?」
「そうそう、ここにお知らせが書いてあるね。この女の人は、このお知らせをメモしたかったのね。それで、メモをするための筆記用具をこの女の子に借りたかったの。だから、こんな場合は『持っている?』ということばには、『持っていたら貸してと』いう意味が含まれているってことね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



「何か書くものを持っている?」と聞かれて、自分の持っているシャーペンを、自慢するように見せています。相手は貼ってあるお知らせをメモするために書くものを貸して欲しいと言っているのです。
持っているかどうかを確認するために「持っている?」と聞くのと同じ言い方ですが、この場面では“持っていたらそれを貸してください”という意味になります。どちらの意味で言ったのかは、相手の様子やしぐさ、その場の状況で判断することが必要になります。
分からない場合は、使いたいのかどうか相手にはっきり聞いてみてもよいです。「持っていますが?」と逆に聞き返すような言い方をすると、さりげなく相手の意図を確認することができます。
(20)「お金を持っている?」
「はい、持っています」


「この男の人たち、この子に『お金を持っている?』と言っているのだけど、この子が持っているかどうか質問をしているのかな」
「違う、違う」
「どういうこと?」
「持っているかどうか聞いて、持っていたらよこせと」
「うん、そんな雰囲気だね、この絵だと。でも、この子は持っているからとお金を見せてしまっているね」
「これではとられるよ」
「うん、相手は二人だからね、見せてしまったらもう負けてしまうね。見せないで・・・・・どうしたら良い?」
「逃げる」
「そうね、知らない人にそんな質問をされるのはおかしいからね、答えないですぐにその場から離れた方が良いね。知っている人だと、『お金を持っている?足りている?』と心配してくれている場合もあるかもしれないし、『お金を持っている?持っていたら貸して』という場合もあるよ。貸しての場合はどうしたらよい?」
「知っている人なら貸しても大丈夫」
「大丈夫だと、良いのだけど、そうでない時もあるよ。お金を貸した、貸さない、返して、返さない・・・といったことでトラブルになってしまうことも多い。だから、ずっと、友だちでいたいのなら、お金の貸し借りはしない方が良いと思うよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」  



街で会った知らない人に「お金を持っている?」と声をかけられ、お金を出して見せています。このように、知らない人がお金を持っているかと聞いて来た時は「持っているお金を寄越せ!」と言う意味のことがほとんどです。その場合は、すみやかにその場から立ち去るなどした方が安全です。
また、知っている人に「お金を持っている?」と声をかけられた場合にも、どうして聞くのか確認した方が良いことがあります。一緒に何かを買いに行く予定があるとか、お金が不足していないかどうか心配している場合もあります。しかし、「持っていたら貸してほしい!」と言おうとしている場合もあります。
たとえ知っている人でも、後々のトラブルを避けるためには、お金は貸したり借りたりしない方が良いです。財布を見せずに「いま必要なお金しかもっていない」と答えれば“貸せない”という意思表示になります。


(21)「かばんを無くしてしまったのです。中には、生理用のナプキンが入っています」

「この女の子、大事なかばんをなくしてしまって通りすがりの知らない男の人に、中には、生理用のナプキンが入っているんですって言っているんだよ。男の人は、何か変な顔をしているね」
「?」
「知らない人に、生理だとか、ナプキンだとかいう女の子のプライベートな話をすると、びっくりされるよ。知らない人に声をかけること自体も避けた方が良いしね。
お店で店員さんなどに探してもらうのはO.K。その時にはかばんの外見の特徴を言えば良いよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」  




赤かばんを無くして困ってしまい、男の人に助けを求めています。このような場面では、そのかばんの外見上の特徴や無くした場所を伝えるようにします。かばんの中身のことまで説明する必要はありません。特に、生理用ナプキンなど女性の性に関するものことを男の人に言うのはつつしみます。
性にかかわる話題はプライベートなものです。このようなことは異性に言うべきことではないのです。
(22)「わあ、いいなあ。この曲もこの曲もこの曲もききたい!」

「この子、友だちの携帯電話をさわって、着メロをダウンロードしているんだけど、友だちはどんなようすかな?」
「何かあわてた顔をしている」
「どうして?」
「勝手にさわっているから」
「それもあるかもしれないね。えっと、ダウンロードっていくらしても大丈夫なの?お金はかからないの?」
「あ、お母さんがお金がかかるって言っていた」
「うん。自分が聞くわけでもない曲を勝手にダウンロードされたら、お金を勝手に使われてしまったのと同じだからね。だから、友だちもちょっと、やめてっていうようにあわてているんだね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



この子は、友だちの携帯電話で、着メロを何曲もダウンロードしてしまっています。CDを聴くのと同じ感覚なのかもしれません。
しかし、携帯電話の着メロのダウンロードの際には、電話代だけではなく曲そのものの代金を支払わなければならないこともあります。それらの代金は、すべて、携帯電話の持ち主である友だちかその家族が支払うことになるのです。
友だちの携帯電話を操作する時には必ず、触って良いかどうかの確認をするとともに、無断で有料のサービスに接続することは避けます。

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