2008.3.4

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状況の認知絵カード 中高生版2


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指導事例

(1)可愛がってくれた祖母が亡くなった。
  「明日は、映画を見に行く予定になっている。前売券も買っている。
   お葬式には出られない」


「この子が持っているのは、何?」
「映画の前売り券」
「そうね。明日の券なのだけど、明日、映画に行くのかな?」
「明日の券なら、明日、行く」
「この子のお祖母さんが亡くなったみたい。明日はお葬式があるよ」
「お葬式があったら行けない?」
「こういう時は、お葬式の方が大切だからね」
「映画は?」
「明日のお葬式は、お祖母さんと最後のお別れをする式。明日は映画には行かずに、お祖母さんと最後のお別れをするほうが良いと思うよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



身近な人のお葬式などは、個人的な用事よりも大切にしなければならない行事の一つです。
映画を見に行くというのは、個人的な事です。たとえ日程を決めて前売り券を用意していたとしても、“より大切にしなければならない用事”があればそれを優先して、予定を変えることも必要になってきます。
可愛がってくれた祖母のお葬式は一度きりです。映画は何回か上映されます。後でテレビやDVD等で見ることもできるかもしれません。
今は、予定していた映画はキャンセルしてお葬式に参列し、祖母と最後のお別れをするとよいです。



(2)「お腹が痛〜い。うんこ、行ってくるねぇ!」

「今、お弁当の時間だね。食事中に、席を立って、何をしようとしているの?」
「食事中?弁当時間中・・・」
「そう、お弁当の時間も食事中ね。その食事中に、何をしようとしているの?」
「うんこに行くって・・・言葉、悪いね。トイレとかお手洗いとか言えば良いのに」
「そうだね。食事中に、そんなこことばを聞くと不快に思う人もいるかもしれないね。トイレ、お手洗いということばも、食事中に聞きたくないという人もいるよ。どう言え

ば良いのかな」
「トイレ、お手洗いはどうしてだめ?」
「名前をそのまま口に出すと、その場所を想像してしまうからね。こんな時には、はっきり口に出さないで良いのよ。『ちょっと』とか、『ごめん』とか言って、席を立てば、たいていの場合、それで大丈夫。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」





この場面のようにトイレに行くために席を立つ時に、このように排せつに関する言葉を使うと、周りの人に不快感を与えてしまいます。この場合は、「ちょっとごめんなさい」などの表現を用いて、直接的な言葉を避けるのがマナーです。
尚、何人かでテーブルを囲んで一緒に食事をする時などは、用事はできるだけ事前に済ませておき、食事中にはできるだけ席を離れないように心がけます。もし、途中で用事ができてしまった時は、そばの人にひとこと声をかけてから席を立つようにするとよいです。




(3)「ぼくは疲れているんだ! そこ、どいてください」

「この子、座りたいので代わって欲しいと頼んでいるのね。座りたい時は、いつでも、こんなふうに代わって欲しいと頼んで良いのかな?」
「それは、図々しいでしょう」
「そうね、図々しいという考え方もあるね。どうして図々しいの?」
「知らない人に、なれなれしい」
「そうね。でも、知っている人でも同じ。普通は、先に座っている人に優先権があるので、自分から代わって欲しいとは言わないものなのね。この絵の女の人に対しての場合は、特に言うべきではないのだけど、どうしてだかわかる?」
「妊娠しているから」
「そう。お腹に赤ちゃんがいると疲れやすいよ。お年寄り、怪我をしている人、乳児連れの人、そんな人に優先的に座ってもらうために優先席というのを設けてある。その人たちは、疲れやすかったり、立っているのが大変ってことね。この子は、席が空くまで、待ったほうが良いね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 





“疲れている時には座りたい”のはたいていの人が持つ自然な気持ちです。しかし、公共の場の座席では、先に座っている人に優先権があります。
又、電車やバスなどの乗り物には優先席が設置されています。お年寄やハンディのある人、怪我をしている人、病気で体調の悪い人、お腹に赤ちゃんがいる人など、立っているのが困難な人が優先的に座ることができるようにと配慮された席です。
ひどく疲れている時や、人よりも疲れやすいというハンディがあるのなら、そこを使わせてもらうのも一つの方法です。しかし、そのような場合でも、自分が座るのが当然と言うような態度を示してまで座るものではないのです。





(4)「通り道に荷物を置いたのが悪い。ぼくは悪くないのだから謝る必要はない」


「この子、他の人のものを踏んでしまったみたい。でも、踏んだ自分が悪いのではなく通り道に置いていたその人の方が悪いと言っている。そうなのかな?」
「通り道に置いてはいけないでしょう」
「それはそうね。ということは・・・通り道に置いてあるものなら踏んでしまっても、謝る必要はない?」
「ない。置くほうが悪い」
「それはそう。でも、わざとではなく、不注意で置いてしまうこともあるかもしれないね?」
「不注意でも悪い」
「不注意はだれにでもあるかもしれないよ。不注意で置いてしまうことも、不注意で踏んでしまうこともある。不注意であろうとなかろうと、踏んでしまったことは確かなのだからそのことは謝る。お互いに気をつけなければならないことだから。 裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」


この子は、人の荷物を踏んでしまったのですが、通り道に置いた方が悪いと主張しています。このような時は、荷物の置き場所がどうであれ、踏んでしまった事を謝るようにします。
確かに、人の通りそうな場所に荷物を置くのは配慮に欠けた行動です。しかし、自分がその荷物を踏んでしまったことも事実です。だから、この場合の謝罪は、人の荷物を踏んでしまったという事実に対しての謝罪なのです。
尚、謝罪すること自体は、決してそのまま“自分の負け”“自分はだめ”なのだと言うことを意味することでもありません。もし自分の行動にも改めた方がよい所があれば改め、お互いが自分はどうすれば良かったか、今後はどうすれば良いかを考えるきっかけにもなる大切な行為なのです。


(5)「バスの中では、静かにしなければいけない。赤ちゃんがとてもうるさい。静かにさせ  るよう、母親に注意しよう」


「赤ちゃんが泣いているね。この男の子は、お母さんに赤ちゃんを泣かせないようにと言っているのね。公共の場所では静かにしなければいけないですよって。この男の子の言っていることは正しい?」
「原則的には」
「どういうこと?」
「静かにできる人は静かにするべきだけど、赤ちゃんでは無理でしょう」
「と言うことは、この子はお母さんに無理を言っているのね。じゃ、どうすれば良いのかな?」
「赤ちゃんは泣くものだから仕方がないですねと言う」
「それ、口に出さないで、心の中で言うと良いことばだね。バスの中で会っただけの知らない人だから、直接は声をかけない方が良いよ。この場合は、心の中で大変だなぁとつぶやく。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」





この子は、“公共の場所では静かに”というルールをいつも守りたいと思っています。そして誰もがそのルールを守るのがよいことだと思っているようです。
しかし、まだお話のできない赤ちゃんは、お腹がすいた、暑いといったことを泣いて表現します。我慢することもできません。だから、母親がどんなに手を尽くしても赤ちゃんが愚図って泣きやまないこともあるのです。
たいていの場合、母親も公共の場所では静かにしていたいと思っています。だから、今、この母親は、いたたまれない気持ちでバスに乗っているかもしれません。
母親が、赤ちゃんを泣きやませるために努力をしているようなら、そっと見守ってあげると母親はとても助かります。
(6)「すみません。トイレを貸してください」
 通りがかりの知らない家だけど、ここでトイレを借してもらおう。

「この男の子、トイレを貸してと言っているけれど、女の人はびっくりしているね。どうしてだと思う?」
「さぁ・・・」
「この女の人、この子のことを全く知らないの。つまり、この子は知らない家でトイレを借りようとしているというわけ。 トイレって、全く知らない家で借りたことある?」
「ない」
「そうね。たいていは知らない家では借りない。どうして、知らない家では、借りないのかな?」
「失礼だから」
「それもあるね。突然知らない人に何かを貸してくださいとは言わないものね。ましてや、知らない人の家というプライベートな所に入り込むものではないね。そういう暗黙のルールがあるのね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」
 


個人の家のトイレはプライベートな場所です。遊びに行った友だちの家などで、家の人に許可をもらってトイレを借りることはよくはあります。しかし、知らない家にわざわざ訪問してまでトイレを借りるのは避けるべきことです。誰しも、知らない人を家の中に入れるのは不安です。だから、それは不審な行動と見なされることでもあるのです。
外出中にトイレに行きたくなったら、公衆トイレを探します。役所や公民館や図書館、コンビニやスーパーなど不特定多数の人に開放されているトイレならば、そのような心配をせずに使うことができます。
(7)「明日1時に、○○に来られる?」
 「1時? 行けると思うけど」

「これ、明日の1時に来られるかどうかを質問しているの?」
「・・・・多分」
「これだけなら、そう思うよね。だったら、『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』と言ったとしたらどうかな。それも質問?」
「1時に集合できるかどうかを聞いている」
「聞いているだけ? 来ても、来なくてもどっちでも良いと思っているの?」
「さぁ・・」
「ここに書いてみるよ。(『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』と書いて)読んでみて!」
「『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』」
「来ても、来なくてもどっちでも良いと思っているの?」
「あっ、来て欲しいのか」
「そうそう。『一緒に来て欲しいな』『来て欲しい時刻は1時だよ』ってことね」
「そういうこと」
「この絵の『明日1時に、○○に来られる?』ということばの中には、『来て欲しいな』という意味が込められているってことね」
「それなら、そう言えば良いのに・・」
「そうだね、そう思う。でも、実際には、この絵のような言い方をする人は多いよ。覚えておくと良いね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



「右の男の子は、1時に行けるかどうかの都合を聞かれただけだと思い、家でのんびりしています。
相手がこのような言い方をする時は、来ることが可能かどうかを聞いているのではなく、「来られるのなら来て」という意味で言っている場合が多いです。前後の会話やしぐさで「来て欲しい」という願いを示していることもあります。
それらを考え合わせても、まだ、都合を聞かれただけなのか来て欲しいという意味なのかがはっきりわからない時には「行けると思うけど・・行けばいいの?」と確かめてみるとよいです。
(8)「男の人の言う通りにしているだけで、お金をもらえるんだよ」


「この子、この男の人からお金をもらっているのだけど、どうしてだかわかる?」
「?」
「難しいよね。この男の人はね、この女の子にお金をあげて、性的な関係を求めようとしているの。この女の子は、お金をもらえるから良いかと思っているのかもしれない。 ここにいる他の女の子も良いことだと思っているように見える?」
「思っていない」
「どんな顔をしている?」
「ひそひそと、悪口を言っているような顔」
「そうね。人からも、非難されること。援助交際と呼ぶ人もいるけれど、売春という名の犯罪行為。でも、一番問題なのは、それは、実は、自分の心も体も傷つけてしまう行為であること。絶対に避けるべきことね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



お金が欲しいからといって、お金をもらって異性と安易に性的な関係をもつのは危険です。妊娠や性感染症などの恐れがありますし、心に大きな傷を負ってしまうこともあります。
 自分はもう大人だ、自分の責任でお金を稼いでいるのだから誰にも迷惑をかけていない、と思うかもしれません。本当にそうかどうか、又、自分が後悔することはないかどうかもよく考えてみるとよいです。一度負ってしまった心の傷を消すのは大変難しいことです。
お金で買える物品は、この先、大人になった時に、手に入れることもできます。今は、金銭目当の安易な性的関係は避け、自分を愛してくれる周囲の人を信じる気持ちや、その人たちとのかかわり合いを大切にしたいものです。



(9)「水泳部の部室から、あの子の下着を持って来れば良いんだね」


「この絵、どういうことだか説明をして」
「こっちの人が、こっちの人にあの子の下着を持って来てって頼んでいる」
「下着は、どこにあるの?」
「タンスの中」
「うん、普通はタンスの中にあるね。この絵の女の子はこの水泳部の部室で下着を脱いで水着を着たのね。では、今、その下着はどこにある?」
「ここで着替えたのだから、この中?」
「そういうこと。女の子に下着がこの中にあるはずだから、それを持ってきてって言っているの。この女の子のものを、勝手に持ってきてよいの?」
「だめに決まっている」
「そうね。人のものを本人に許可をもらわずに勝手に持ってきたら泥棒になるものね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



「下着を持って来る」と言っています。しかし、それが自分の物でもなく、持って来るように頼んだ人の物でもないのならば、他人の持ち物を取ってくるということであり、明らかに窃盗という犯罪です。盗んだ物が下着ということであれば、性犯罪でもあります。
勝手に他人の持ち物を持って来るように言われた時は、「できません」ときっぱりと断るようにします。


(10)「えっ、パンを買ってくるの? 」
(次の授業が始まるけど・・・でも、たのまれたことは やってあげないといけないから)

「先生が『どこへ行く』って聞いているね。この子、どこに行くの?」
「・・・」
「絵を見たら、どこかにヒントになることが書いてあるよ」
「授業が始まるぞ。今すぐパンを買ってきて!!・・。パンを買いに行く?」
「そう、そう。誰のパン?」
「先生の・・・違うな・・・。買ってきてと言ったこの人の」
「そうね。この人が、買ってくるように言ったんだね。今すぐ、買いに行った方が良い?」
「やめた方が良い」
「どうして?」
「先生が・・・・止めているから」
「『先生は授業が始まるぞ』の後に何と言いたいの?」
「どこへ行く」
「どこへ行く。授業が始まるぞ、はやく・・・教室に・・続きは?」
「入りなさい」
「そうだろうね。いくら頼まれても、今は、行かないほうが良いね。この場合、授業が始まるからと、きっぱりと断ることが大切だね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」
 


“頼まれたことはすべてしなければならない”ということはありません。
今は、授業が始まる時間です。授業が始まることが分かっているのにこのような用事を頼むのは、明らかに、おかしいことです。「今はできない」と断るようにします。このような用事を頼む人は、この子を頼りにしているのではなく、使い走りとして利用しているだけの場合がほとんどだからです。
日頃から、間違っていることや嫌なことがあれば「それは嫌だ」と言えるような友だちとつきあうようにするとよいです。
(11)「さっきAさんが先生は教え方が下手だと言っていました。もっと、教え方を工夫した 方が良いと思います」
(先生は知らないかもしれないから教えてあげよう)


「この絵は、どういうことか説明して」
「Aさんが、先生は教えるのが下手と言った。先生が赤くなって・・・怒っている」
「Aさんがそう言ったのね。Aさんがそう言ったと先生に話したのはだれ?」
「・・・・この男の人」
「そう、この男の子ね。これって、先生に話した方が良いことなのかな?」
「・・・・」
「先生は、それを聞いていい気もちになる?」
「いや、怒っている」
「Aさんは、先生にそのことを伝えたかったと思う?」
「さぁ・・」
「では、Aさんは、どうして先生に直接、伝えないのだと思う?」
「・・・・」
「Aさんは、言ったら先生はいやな気持ちになることを知っているのではない?」
「あ・・・そういうこと」
「思っていても言わない方が良いことも、知っていても言わない方が良いことがあるんだね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



教師にもいろいろな人がいますし、得手不得手もあります。また、生徒との相性もあるので、授業が分かりにくく教え方がうまくないと感じる教師がいるかもしれません。生徒同士で、教師の教え方について話したり、不満を言いあったりすることは良くあることです。しかし、実際に、直接、教師にそのことを伝えることはほとんどありません。教師を傷つけたり、自分が教師に嫌われたりするようなことはしたくないと思うものだからです。
尚、この場面の男の子のように教師に「Aさんが言っていた」という言い方をすると、Aさんの告げ口をしたことになります。Aさんを裏切り、教師をも傷つけるこのようなことは決して言わないようにします。
(12)「晩ご飯を作っているようだ。 栄養のバランスについて教えてあげよう」


「緑の服の男の子、よその家の台所に入って、その家の人に何か言っているの。何を言っているか読んでみて」
「栄養の配慮たりない」
「この子、栄養について詳しいのかな。だから、教えてあげているつもりなのかもしれない。でも、この家の人、教えてもらって感謝しているかな?」
「ムッ・・としている。怒っている」
「うん、ムッとしているね。どうしてムッとしているの?」
「教えてもらっても、感謝していないから」
「感謝はしていないね。教えてもらっている気もしてないかもしれない。勝手に入ってきて、勝手なことを言って、感じ悪いなと思っているのかも。こんなふうに、よその家の台所に入ったり味見をしたりすることは許されること?」
「かなり、失礼なこと」
「そうね、よその家では、その家の人に許しを得ていないところには勝手に入らないということも大切だね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



たとえ自分に料理や栄養に関する知識があったとしても、この絵のように、勝手に味見をしたり、批評をしたりするのはマナーに反することです。
 たいていの場合、あまり親しくない人に台所に入られるのは気分のよいものではありません。ましてや、家族のために作っている晩ご飯を、すすめられてもいないのに食べてしまうことは許される行為ではありません。
 友だちの家では、許可なく他の部屋に出入りするのは慎み、失礼のないように接するように心がけます。
(13)「ぼくは安物のクッキーはあまり好きではありません。今度は高級店のケーキにしてください」


「どっちが、この家の子?」
「さぁ・・。シマシマの子かな・・」
「どうして、そう思う?」
「普段着を着ているから」
「あ、なるほど。すごい推理力。ことばにもヒントがあるよ。どのことば?」
「・・・『たべろよ、おいしいぞ』と、すすめている」
「そう、そう、その通り。すすめられて、どう答えているの?」
「安物のクッキーは好きではありません。これ、かなり失礼」
「うん、かなり失礼だね。どう言えば良いの?」
「高級なクッキーですね」
「まあ、それは口に出しては言わなくても良いよ。大事なのは、たとえ自分の好みの物ではなくても、出してくれたことに対して有難うございますとお礼を言うこと。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



人にはそれぞれ好みがあります。友人の家で出されたクッキーはこの子の好みではなかったようです。でも、このクッキーは友人の家の人が好意で出してくれているものです。「好きではない」と口に出すと、その好意を無にすることになります。食べなくても、おやつを出してもらったことに対して「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えるのがマナーです。
また、出されたものを安物と言ったり、高級なものを要求したりするのは失礼にあたります。その場にいる人が不快になったり、自分の印象も悪くなったりするので、言わないようにします。


(14)うるさいので泣きやませようとしたただけ。殴ったけど、けがをしてしまうほど強く は殴っていない。


「小さい子を殴っているね。理由は何だと思う?」
「生意気だから」
「うん、そういう理由で殴ることもあるけど、この絵の場合は何と書いてある?」
「静かにしろ!!」
「小さい子がうるさくしていたのかな。だから静かにしろと言って殴っているんだね。小さい子は、殴ったら、静かにするの?」
「まさか・・。ますます泣いてうるさくなる」
「そうね。逆効果だね。それに殴るという暴力そのものも問題。特にこのように、大きな子が小さい子を殴ることについては絶対に避けなければね。理由はわかる?」
「お母さんが怒るから?」
「お母さんはどうして怒るの?」
「自分の子が殴られているから」
「大きな子に、殴られているからね。理由はどうであれ、特に両者の力に差がある場合は、力の強い方が、暴力での解決を避けるように工夫をすることは大切ね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



小さい子どもは、よく泣くものです。この子は小さい子を黙らせるのに、殴るという方法を使いました。しかし、殴ることは、泣きやませる為の手段としては適切な方法とは言えません。小さい子どもは、軽く押しただけで転んでしまったり、けがをしてしまったりすることもあるものです。決して手を出してはいけません。
小さい子どもに泣きやんでもらいたいなら、まず泣いている原因を考えます。どこかが痛かったり何かいやなことがあったりしたのかもしれません。まだはっきりと言葉で表現できないこともよくあるので、理由は分かりにくいものです。どうやっても泣きやまないなら、その場から離れて、子どもの扱いに慣れている他の人にまかせるという方法もあります。





(15)電車に乗っている間にお化粧するといいね。


「この女の子たち、何をしているの?」
「髪をといたり、なんか目につけたり・・」
「ここは電車の中だけど、こんなふうに電車でお化粧したりするのを見たことある?」
「ある・・・ような気がする」
「見ていてどんな気がした?」
「別に・・、何をしているのかなと見ていた」
「そうなんだ。気にならない人もいるものね。では、どう? この絵の中の立っている人も気になっていないかな?」
「じっと、見ている」
「面白そうに見ている? 特にこの女の人は?」
「いやそうな顔?」
「うん、相当、不快っていう顔だよ、これは。どうして不快なのだと思う?」
「さぁ・・」
「前に、公共の場でのルールについて話をしたことがあるね。公に対する言葉は私。
 色々な人がいる公の場では、皆が快適に過ごせるように、私的なことで慎んだ方が良いことがあるという話だったね。化粧も私的なことだから、それを見て不快に思う人は、多いかもしれないね。家で済ませるとか、公の場だけれど、私的なスペースとしても認められている化粧室を使うとかしたほうが良いだろうね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



お化粧は、人前に出る時の身だしなみの一つです。身だしなみは、家でするもので、電車のような公共の場でするものではありません。
公共の場には、色々な立場の人が互いに気持ちよくその場を共有できるように一定のマナーがあります。人前でプライベートな行為をする事に不快感を持つ人も少なくありません。又、揺れる電車の中では、ファンデーションの粉が飛び散ったり、マスカラや口紅が隣の人の服に付いてしまったりしてしまうかもしれません。
目的地に向かうために家を出る前にお化粧を済ませるのがよいのですが、どうしても間に合わない場合は、化粧室(公共トイレ)のような場所でするという方法もあります。



(16)「ぼくが小さい頃から親切にしてくれた近所のお姉さん。大好きだから、ずうっとつい  て行こう」


「この女の人は、この男の子が小さいころからの知り合いなの。それで、この男の子は、いつも、この女の人を見ると近づいて行ったり、後を追いかけて行ったりしている。それに対して、この女の人は、『いいかげんにして!!』と言って怒っているの。いいかげんにしてって言うのは止めてほしいということね。何を止めてほしいの?」
「・・・・?」
「道で会ったら近づいて挨拶をする。これは止めてほしい?」
「いいえ」
「道で会ったら近づいて、用事もないのに黙って後を追いかけていく。これは止めてほしい?」
「さぁ・・」
「用事もないのに、後を追いかけられるのは止めてほしいことだよ。止めてほしい時、たいていは、『ちょっと、急ぐので』とか『またね』とかの合図になることばを言ってくれるので、それを機に離れるようにすると良いよ」
「用事があったら?」
「自分は大事な用事のつもりでも、相手はそれは嫌な事かもしれないからね。ともかく相手の都合を優先する。相手が嫌だということを、このまま続けたら、本当に嫌われてしまうかもしれないよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」


【パターン1】小さい頃と同じ気持ちでいる場合
 小さい頃から可愛がってくれたお姉さんに、きょうだいのような気持ちがあるのかもしれません。しかし、年齢も体型も大人に近づいて来ると、いつまでも以前と同じではいられなくなるものです。お姉さんも、いつも後をついて来られるのは迷惑だと感じることも多くなってくるかもしれません。恐怖を感じれば、“ストーカーなどの犯罪行為”とみなされてしまうこともあります。
よその家の人に対しては適切な接し方があります。このお姉さんとの関係で言えば、道ですれ違ったら「こんにちは」と挨拶する程度が、適切と言えるかもしれません。


【パターン2】思春期になり、恋愛感情を抱くようになった場合
 思春期になって異性に興味を持つのは自然なことです。小さい頃から可愛がってくれたお姉さんに、異性としての感情が芽生えることもあるかもしれません。しかし、相手も同じように思っているとは限りません。後をついて来られるのは迷惑だと感じることも多くなってくるかもしれません。恐怖を感じれば、“ストーカーなどの犯罪行為”とみなされてしまうこともあります。
よその家の人に対しては適切な接し方があります。相手が異性の場合は特に、お互いの気持ちを確かめ合いながら順を追って親しくなっていくものです。今は、道ですれ違ったら「こんにちは」と挨拶するにとどめて、お姉さんの反応を待つ方がよいかも知れません。



(17)(知らないお姉さんだけど)
   あの胸をさわりたいな。


「女の人の、胸や身体を触りたいと思ったことある?」
「ありません。それはいけないことですから」
「そうね。どうしていけないことなのか教えて」
「痴漢になります」
「そうね。では、どうして痴漢はいけないことなの?」
「犯罪だからです」
「そう、犯罪ね。触ることは犯罪ね。では触りたいと思うことも犯罪なの?」
「思うこともよくないことです」
「そうなの? でも、好意を持っている人と仲良くなりたい、触れ合いたいと思うこと自体は自然なこと。よくないことではないよ」
「・・・・」
「ただ、自分が仲良くなりたいと思っているだけで、相手はそう思っていない。そんな時に、相手を無視して無理やり近づいたり、触ろうとしたりすることはよくない。それこそ、場合によっては犯罪と見なされることもあるかもしれない。相手の都合を考えること、相手を尊重することが大事ということね。難しいね。少しずつ勉強していこう。 裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



異性に興味を持つようになるのは自然なことです。男の子が若い女の人の胸に興味をもって、触ってみたいと思うのも自然な気持ちです。しかし、男性が女性の胸を触るというのは、性的な行為です。この絵の場面のように、自分の思いに任せて胸に触ることも、足やお尻などに触ることも痴漢という名の犯罪です。
尚、応援していたチームが勝った時など、喜びの気持ちからお互いの身体を触ったり、軽くハグしたりといったスキンシップの方法もあり、通常はそれは性的な行為とは言いません。しかし、そのようなスキンシップでも、相手が嫌がっていればセクシャルハラスメントという名の犯罪になることもあります。
相手は物ではなく人です。自分の思いのままに行動してしまわないようにすることは、とても大切なことです。
(18)「元気そうだって? うそつき。やせているし、青白い顔をしているじゃないか!」


「この絵の場面の説明をしてみて」
「この人が入院していて、この子たちがお見舞いに行った。それで、この子がうそをついたのですかね」
「そう。どんなうそかと言うとね、この入院している人はやせて顔色も悪いのに、この子が『お元気そうですね』って言ったの」
「うそをついたらだめですよ」
「そうね。この女の子も、できたらうそなんかつきたくないだろうね。でも、この場面では、本当のことを言ってしまわない方が良いと思ったのだろうね」
「どうしてですか」
「もし『やせてきましたね。青白い顔で、元気ないですね』って言ったら、この入院している人は、良い気持ちがする?」
「落ち込んでしまいそうです」
「そうでしょう? たとえ、それが本当のことでも、そう思ったとしても、それをそのまま口には出さない方が良いこともあるのね」
「そんなものですか」
「この女の子の場合は、思ったことをそのまま口に出さないだけでなく、逆のこと、つまり元気そうには見えないのに、『お元気そうですね』と言ったね。どれは、どうしてなのかな?」
「元気と言われたら、良い気持ちがするから」
「そう、多分ね。でも、そう言われて、良い気持ちにならない人もいるかもしれないけどね。でも、少なくともこの女の子は、相手に良い気持ちになって欲しくてそう言ったんだろうね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」



病気の人をお見舞いに行った時は、元気になって欲しいという願いを込めて、実際にはそうは見えなくても「お元気そうですね」と言うことがあります。
病気で入院している人は、普段より気が弱くなっていたり、ちょっとしたことに傷つきやすくなっていることがあります。お見舞いには、入院している人を元気づけたり気分転換をしてもらうという目的があります。“顔色が悪い”“元気がない”などの否定的なことばはその目的には相応しくはありません。だから、そういうことばは使わないようにするのがエチケットなのです。


(19)「飾り付けが終わったので、帰ります」


「文化祭の準備だね。もう終ったの?」
「多分」
「どうしてそう思う?」
「『飾り付けが終わったので、帰ります』って、先生が言った」
「『飾り付けが終わったので・・』そう言ったね。何が終わったの?」
「飾り付け」
「そうね。終ったのは、準備そのものではなく、飾り付けね。文化祭の準備そのものはまだ終っていない。分担の飾り付けが終ったら、まだ終わっていない所を手伝うようにすると良いね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 



皆で文化祭の準備をしています。この子は自分の分担の仕事が終わったので帰ろうとしています。しかし、周りでは、まだ作業が続いています。自分の仕事が終わっても、文化祭の準備は、まだ終わっていないのです。
このような時には、「自分の分は終わったけれど、何か他にすることはない?」と聞いてみるようにすると良いです。



(20)「下着が見えていますよ」 
 (この人、下着が見えているのに気付いていないらしい。教えてあげなくては)


「この女の人の下着、見えている?」
「見えていない。紐が見えている。」
「そうね。下着の紐、ストラップが見えているね。わざわざ教えてあげているのだから、男の子は親切?」
「さあ・・」
「実は、この女の人にしてみれば、それは迷惑なことなの」
「えっ?」
「これは、人から、特に男の人からは言われたくないことなのよ。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」
  


こんな場合、相手が異性の場合は特に、気がついていても、見て見ぬふりをする方が親切です。
本来、下着は隠れているもので、それが見えていたことに気付くだけでも恥ずかしいのに、それを、指摘されたとなると、二重の意味で恥ずかしく感じてしまうものだからです。
尚、同性からのさりげない指摘なら、比較的、受け容れやすいものですが、異性からの指摘だと、恥ずかしさだけでなく、いやらしさをも感じてしまうものです。
最近は、見せる下着や下着のように見える服もあります。いずれにせよ、口に出さないで見て見ぬふりをする方がよいです。



(21)「“押してください”と書いてあるので、押してみよう」


「ここに押してくださいと書いてあるね。何があったときに押すの?」
「何がって・・・?」
「いつでも押して良いものではないからね。ここを読んでみて」
「緊急時。押してください」
「そう。このボタンは緊急時に押す為のボタンね、緊急時っていうと、このエスカレーターのそばでどんなことが起きた時だと思う?」
「段から落ちてしまう」
「そうね、ほかにも物がはさまったり、転んだりなど事故が起きたり、起こりそうな場合ね。そんな時、それ以上,被害が大きくならないように、一旦、エレベーターを止めるためにあるのね。だから、このボタンは、普段はさわってはいけないものね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう」 
 


これは非常停止ボタンです。近くに“緊急時に”または“非常時に”と書いてあるのが普通です。緊急時というのは、物や身体の一部がはさまるなどの事故が起きた時のことです。このボタンを押すことによって、エスカレーターを止めたり、係の人に知らせたりして助けを呼ぶのです。
このようなボタンは目立つようになっていることが多いので、目をひきやすいし興味をもつかもしれませんが、緊急時に使うためのボタンですから、むやみに触らないように気を付けます。



(22)「この本、順番通りにならんでいない!」


「この子、何をしているの?」
「本の・・・順番が違うから、揃えている」
「きれいに番号順に並んでいると気持ちが良いものね。では、こっちの男の子は? 何を言おうとしている?」
「電車が来るよ」
「電車が来るから、どうしようって?」
「電車が来るから、乗ろう」
「そうね、焦っているように見えるから、この電車に乗らなければならない理由があるのかもしれないね。でも、こっちの子は、今、本の順番を揃えるのに夢中。困ったね、こんな時はどうしたら良いかな?」
「止めて、電車に乗れば良い」
「止められると良いね。でも、きちんと最後までやりたいし・・こんな時は止められないかもしれない・・」
「でも、止めないと・・・」
「うん。でも止められない・・。何か良い方法がないか、裏の説明文を読んでみよう」



シリーズ物の本の番号が、順番にきれいに並んでいると気持ちの良いものです。それ
で、この子は、本屋さんで本の順番を揃えているのです。しかし、一緒に来た友だち
は、 もうすぐ来る電車に乗らなければならないので焦っています。今、優先しなけ
ればならないのは、遅れないように電車に乗ることです。
店の人も、売り物の本をいつもきれいに順番通りに並べたいと思っているものです。
でも、その作業をする時間が取れない時もあります。後は、店の人にまかせるように
します。
尚、本屋には、本が順番通りに並んでいることの多い開店直後に行くようにすれば、
気になる事を少しは避けることができるかもしれません。

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