B君の言語指導

B君への指導

まず、関係作りをするところから指導を始めた。

● トーキングトレーナーを使用しての、発音を明瞭にすることを
目的とした遊び。


パソコンのようなディスプレイにすぐに関心を持った。「あ」「い」「う」「え」「お」「みぎ」「ひだり」「まえ」「うしろ」等の単音または短い音節のことばをはっきり発音すれば、画面上で自動車が動いたり、橋が向う岸までかかったりする。操作の仕方も教え、課題の選択も自分でさせた。かっこいい事が大好きなB君、興味も意欲も持続できたようである。

● ミニカーと絵の積木を使用しての、命名しながらの発音遊び。

文字も良く覚えており、プリント学習も可能なB君であるが、机上学習への抵抗感がある。そこで、絵の積木とミニカーを使用してみた。
積木の絵を見て、担当の私にもはっきりわかるように名前を伝えることができたら、ミニカーを走らすことができるというルールである。私も発音のお手本を示しながら、6メートルほど離れたところに走ってきたそのミニカーを送り返す。
ミニカーが二人の真ん中で止まったり、ぶつかったり、よそに行ってしまったりと、結構、操作自体も手を抜けないのだが、力のコントロールの仕方もとても上手なB君。
「次は、果物にして。」
「今度は電気で動くもので、お掃除に使うもの。」
等々、積木の絵を指定したり、クイズを出したりの発音以外の要素も取り入れ、
「今度、右の方に行くよ!! キーパーになってや。」
等々、広い空間を目いっぱい使っての発音遊びである。

● 漢字5択ソフトを使用しての発音遊び。

プリント学習は好きではないようだが、生活経験が豊富で、日常生活で見聞きする漢字等かなりの数覚えている。野球の選手の名前ならおまかせである。一年生用の漢字の5択のソフトを使いゲーム感覚で漢字の正しい読み方(発音)を定着させる事にも取り組んでみた。
その5択ソフトは名の通り、書かれた5つの読みの中から正しい読みを選ぶものだが、正しいと思うものを、必ず声を出して読まさせてからパソコンのキーをたたかせるようにした。
まだ、長い音節になると音がとんだり発音が不明瞭になったりするが、このゲーム感覚のソフトは、机上のプリント学習が苦手な本児にはかなり有効であるようだ。覚えていなかった漢字もかなり定着してきた。おまけの効果付きの発音練習になっている。

上述のことば遊びを続けながらも、絵カードや文字カード、プリントを使用した机上での勉強も少しずつ増やしていっている。

● 音節分解を意識したことば作り学習。

「ま」「ら」「く」「さ」の4つの文字カードを用意する。
この4文字を使ったことばを考えさせる。
「さくら」「まくら」「さら」「くさ」等、できたらプリントに書かせる。慣れたら、初めからプリントを使う事も可能になった。日常会話で音節が良くとんでしまう本児に、それを意識させるためには良い方法だと思ったのだが、前述の発音遊びの魅力には勝てず、
「これやるし、ミニカーさせてな。」
と、B君から交換条件をつけられてしまう。どうも、魅力のない勉強であるらしい。 A^^;


●絵カードを使用し、助詞を意識させながらの短文作りの学習。

名詞は沢山知っている。動詞も日常の動作については良く知っている本児だが、課題は助詞の使用である。普段の会話でも助詞抜き、音節とばしの早口。
助詞を意識させる事を目的に絵カードを使って文作りの学習をしている。
りんご(絵カード)を → 食べる。 りんご(絵カード)の → 皮をむく。
りんご(絵カード)は → おいしい。
ケーキ(絵カード)に → いちごを →のせる。
ケーキ(絵カード)が →テーブルの →上に →ある。
複雑な文になると助詞の使い方がわからなくなるのだが、その時は
「あ、そうか」
という表情で私の言葉をそのまま復唱してくれている。

● さいころを使用した、ことば集めと文作りの学習。

20面体の自作のサイコロに文字を入れたものを使い、まずは、ことば集めをする。
「ふうせんガム」「ぬいぐるみ」「けいろうの日」「きもだめし」…・
語彙の豊かなB君からは次々にこんなことばが出てくる。それを、12マスプリントの最上部に並べて書かせ、それをあたまにした短文を作っていく。助詞の使用はB君の苦手な分野である。


ふうせんガム を → かう。  
ぬいぐるみ  は → だく。  ブッブー!!
         は →かわいい。
けいろうの日 は → ?
             「何月?カレンダーを見て。9月15日ね。」
         は → 9月15日です。


といった調子で学習をすすめている。しっかり文字も書く事ができている。

●20面体さいころを使った音節を意識させる為のゲーム

長い音節のことばになると2つも3つも音がとんでしまうB君。
「うでたてふせ」はいつの間にか「うでたてせ」に。文字と音との一対一対応はできているので、このすごろく遊びは有効である。ゲームの後、音がとんでしまったことばを文字と対応させながら書かせてみて確認させることにしている。(右の写真をクリックしたら大きな写真が見られます。 → )

●助詞の学習をゲーム形式で。

さいころの数の目だけ進んでいきながらシールの絵を見て短文を作っていく。
「花を畑にさく。」
「虫をとんで・・・つかまえる。」
長いお話のできるB君だけど、こんな文がどんどん出てきてしまう。普段の会話の中ではB君の伝えたいことをこちらがくみ取る事も大切。楽しいお話しを思いきりしてほしいから。だから、助詞の勉強はこのゲームで。ゲームの中ならこちらもためらわずに言いなおしをさせる事ができる。
( ← 左の写真をクリックしたら大きな写真が見られます。)

● 文字と音の対応を意識化させるためのカルタの音読。(カルタ遊び)

定番はアンパンマンのカルタ。文も読めるが、やはりここでも頻繁に音節がとんでしまう。
時々、文字と音を対応させるよう指示はするが、読むことの楽しさを味わわせてやる事も大切。
「ふーーん、ぬかるみのどろからへどろまんがでてきたの?」
と本児が理解できていないと思われる部分を復唱してやりながらも私はカード取りに専念することにしている。


● 発音練習。

構音の検査をしたところ、「つ」が「ちゅ」、「ひゃ」行が「しゃ」行になっているなど、何音か間違いも見られた。
しかし「つ」はまだでも「す」は出ており、「ひゃ」行も出かけているので、直接的な構音指導はもうしばらく保留することにした。
他には、「き」が「ち」になる事もあるが、「き」自体の発音はできている。これは以前「き」が発音できなかった時期に「ち」になっていたのが習慣化してしまったもののようだ。物の名前を文字と対応させる前述の学習の中で改善が見込まれるものと考えている。

精神発達遅滞へ