ADHD  指導と配慮

それでは、この子たちにはどのような対応が望まれるのだろう。

乳幼児期の様子と家庭での対応

●乳児期(0歳〜1歳)
・手がかからないおとなしい子どももいるが、すでに多動を示す子
 どもがいる。

●幼児期前半(2歳〜3歳)
・多動の他、ことばの遅れ、人とのかかわりの希薄さが目立つ。

●幼児期後半(4歳〜5歳)
・多動性、衝動性、注意集中困難、注意の転動性(注意の移りやす
 さ)、などが目立つようになる。集団生活の不適応、対応のむずか
 しさが問題になってくる。

失敗や出来ない事の多さに自信を失いがちな子どもたちである。
これはできると言う何かをみつけ、自信を回復させてやること、他の
だれもとってかわる事は出来ない掛け替えのない自分の存在に気づ
かせてやること。

そのためには、

・得意な事等で成就感を味わわせ、自己有能感をもたせる。
・ほんの少しでも、進歩したことは、大いに誉める。
・ルールを決めて、出来たら例えば褒美のシールを貼るなど成果が
 本人にもわかるような工夫をする。
・役に立つ仕事を分担させ、家族の中でそれを評価する。
・きつい叱責、くどい叱責は避け、指示は穏やかに手短に行う。
・善悪、基本的なマナーや常識を、根気良く、理由を納得させて教える。
等が考えられる。

学校での様子と対応

家庭との違いは、それらが社会的な枠組みの中でなされることであろうか。家庭では受容される事も、社会生活の中では、そうであるとは限らない。だからこそ、それを学ぶためにソーシャルスキルというものの学習も必要になってくるわけである。


●学童期
低学年では、多動、注意集中困難、注意の転動性が著しく、学習面でも支障を来たすことが多い。情緒も未熟で不安定なため、興奮しやすく、対人関係のトラブルも多い。
中、高学年になるに従い、ほとんどの子どもの多動や注意力困難などは目立たなくなる。しかし、それまでの対応が不適当で二次障害としての情緒の障害をもっている場合、低学年時より対応が困難になってくる場合も多いようである。

■教室での配慮
1)「叱る、注意をする」よりも「認め、励ます」
2)「できないこと」ではなく「できること」「すきなこと」「やりたいこと」をみつけ   る。
3)リストや一覧表や掲示やスケジュール表等の工夫で注意を喚起する
 機会を増やす。
4)視覚的、聴覚的な不要な刺激をシャットアウトした学習環境の整備 
5)読み書きの容易な板書の工夫
6)学習意欲の喚起と持続が有効な具体的でわかりやすい目標設定
7)課題の細分化で達成感を持たせる工夫
8)簡潔な言語指示とフラッシュカード等の注意の集中力を高めるため
  の教材教具の工夫 
9)集団のルールの理解、セルフコントロールの力を育てるためのとりくみ
10)理解をうながすための他児への指導と他児からの援助の働きかけ
11)家庭との連携

■個別指導(ソーシャルスキルトレーニング)
1)自己認知と対人認知
    ・・ADHD児は注意散漫や刺激の入りにくさから自己と他者の関係
     のモニターが困難であると言われる。

 自分は何ができ、何ができないのかを理解する力。(メタ認知)
 相手がどの様な人であるかということを理解する力。
 対人、社会的文脈の中で、
   自分がどの様な状況であるのかを理解す力。 (セルフ・モニタリング)                                         
2)役割行動
 社会的文脈の中で期待される行動を理解する力。

3)社会的スキル
 自分の考えや感情を相手に適切に伝える力。
 相手の感情を理解する力。
 
 非言語性のLD児は社会的認知障害があるとされるが、ADHD児は
 どの様に行動すればよいのかは分かっているが,衝動性の高さゆえ
 実際場面で不適切な行動をとる事が多いと理解されているようだ。

4)情報活用能力
 学習スキルのトレーニング。(暗記、ノートのとり方、まとめ方、読み方、
 間違いの見つけ方等)
 友達や大人、本やTVからの情報を活用する力。

 非言語性のLD児は視空間認知や社会的知覚の障害があるとされ
 る。また、言語性LDや自閉性障害児は聴覚刺激の入力の弱さや
 注意や記憶の問題が関係するという。要はインプットに重点をおくア
 プローチが必要ということである。
 ADHD児にはその子の認知の能力がこれらのどのタイプに属するの
 かを見極め、その入力や活用の方法を獲得させていくことが必要
 だという事であろう。

5)自己決定力
 自分自身で自律的に何かを行うことのできる力。
 この事は自分にはこのようなことができるという自己有能感の育成に
 もつながる。



これらの力を育てる事を目当に、従来からことばの教室で取り組んできている
「状況の認知のための学習」
「ロールプレイ」
「社会的ルールを学ばせるためのゲーム 」
「クラスでのトラブルなどの事実確認とその解決法を考える学習」
等を充実させていくと共に、今後は
「新しい情報の取り入れとその活用の場」や
「自律的な自己決定の場」等の模擬的設定場面での学習の取り組みも進めていかなければばらないと考えている。

ADHD、実に個性的な子ども達です。
個性を自然に受け入れ、それを重んじる社会では、むしろそれは希少価値ともされるものかもしれません。
「窓ぎわのトットちゃん」はこのADHDもしくはLDであると良くいわれますが、ひらめきや個性が重んじられる芸術や芸能関係等にはこのタイプの人が多いのでしょうね。
とは言っても、社会的なルールをはじめ、この社会で生活していくための最低限のスキルの獲得はさせていかなければならないでしょう。
と同時に、個性を大切にすることがそのまま自然に生きていく事につながるという社会にむけて、皆が小さな一歩を踏み出せればとも考えている私です。



 
 お願い
このページの文については、今までに参加した研究会、学習会、ウェブ上、実践障害児教育1月号等を元に、私なりのまとめや現在の思いを綴っています。勉強のための作文です。思い違いなどご指摘頂けると有り難いです。

ADHDに戻る