ADHDとLDどんな指導を?

LDとADHDは合併しやすいという。調査者によって多少数 値が違うがADD/ADHDの50〜70%がLDをもつとも言われ ている。
日本でのLDの定義についての検討も、そう言ったことと 関連しているのだろうか。つまり、社会的適応性に係る 能力の弱さをもったLDと言う包括的な捉え方から一歩踏 み込んでその部分はADHDとしての特性だと言うことで分 けて考え、指導の内容や配慮をより明確にしていくとい う意図があるという事なのだろうか?

しかし、状態像そのものが連続したものであるなら、指 導の内容も配慮事項も、そうそう変わるわけではない筈 で?定義がどう変わろうと、個々の特性を把握した指導 をしていくという事には変わりはないですね。


ところで本題 (^^ゞ
1.2年生の頃は教室飛び出しが多かったA君も3年から4年 にかけてそれらも徐々に減り、教室内での離席のみの状 態になっていった。
担任の話に注意の集中はできにくい状態ではあったが5年時には何とか離席もせず、話が聞けないときは(本人は 聞きたくない時と表現した)机に顔を伏せるなどして自 分をコントロールしながら、授業に参加できるようにな っていった。
まだまだ、注意は散漫で、ノートなどもとれたりとれな かったりの状態ではあったが、そんな自分の状態を自己分析 し、
「それでも、集中できる通級教室より友達のいる自分の
 教室で勉強したい」
と相談を持ちかけてくれたA君。その時点で本人の希望を優 先し、通級教室での学習は週1回に減らしていった。
 しかし、週に何回か遊び時間に顔を見せてくれ
「先生、○曜日に来るしな。外でドッチボールしてくる わ。」
と、言い残して立ち去って行っていたA君であった。

まだまだ問題は山ほどかかえていたA君、担任の先生を悩ませる事も多かったのだが・・。


以下3年から5年まで(6年時には転任)の指導の内容です。是非ご意見を下 さい。



●A君の課題
 知的水準は中に位置するが個人内差が大きく知的能力の アンバランス
 が大きい。WISC-Rでは第3因子に関 与する下位検査に大きな落ち込
 みが認められ、短期記憶 力と注意集中力に課題があることが示唆され
 る。数を扱 う能力、系列化能力の弱さも、算数の学習能力の弱さと合致
 する。

●指導の内容
 3年時前半は好きな事・得意な事を盛り込みながら、後 半はやや苦手
 なこと・もう少しでできそうな事も交えて 学習への意欲を持続させること
 に重きをおいた。情緒的 な不安定さ、衝動性、対人的な社会的能力の
 弱さもあわせ持つ児童であるため、ソシャルスキルの獲得の第一歩とし
 て、一対一でルールを作りながらのゲームにも数多くとり組んだ。
 教科にかかわる学習としては、国語と算数の学習に臨む上での基礎的
 な課題にとり組んだ。

【国語】 
読書そのものは大好きなのだが、内容の読みとりについ ては(著しい勘違い)が目立ち、まず本人にその勘違い の多さを自覚させ、一字一句に注目させる手だてとして (文を読んで絵を描く学習)が有効であったように思う。


つくえの下に小さなボールがあります。
    ↓
机と椅子を大きく丁寧に描いた後、その下に大きなボー ルを描く。
「小さな の部分に気がつかなかった」と後で本人は話していた。


きいろいつみきの下にあおいつみきがあります。
    ↓
円筒の積み木の横に角柱の積み木を描いてうすく黒い鉛 筆でぬった。
これも又、(下に)の部分を読み落とした ようだ。色も本人曰く
「自分で黄色、青のつもりでぬった」
という事で、他の人にはどう見えるかは関係なく自分の ペースで行動
する普段の行動パターン通りの絵であった。


パンやのまえに、ひとが5人 ならんでいます。
    ↓
パン屋の前に無造作に5人の客を描いた。
「もう1度、読んでごらん」
と、指示すると、
「あっ、そうか」
と言って、あわてて列に見えるように客を描き足すと共 に、列からはみ
出したように見える一人のそばに、
「いらっしゃい、いらっしゃい」
というせりふを書き込んだ。
「うーーーん、やるなあ」
と、思わず唸ってしまった。


読みとりの学習については、A君の興味対象の範疇の短 い説明文を使用した。シリーズになった文を使うと、そ の1,その2と分けてはあっても結果として長文を読ん だことになり、内容的にもA君の知的欲求を充足でき、 達成感もあったようである。
ローマ字作文にもとり組んだ。ワープロのローマ字入力 も字はともかく操作自体はすぐに覚えたが、作文が苦手 であるため、残念ながら、期待していたほどの成果はみられなかった。
しかしパソコンを使っての学習も含め、
「こんな事もできた」
という成就感はその後の彼の意欲につながっていってくれたのではないかと思う。

【算数】
算数の文章題についても、文からその状況を思い浮かべ ることが難しいようであったので、1年生のように絵や半具体物から始め、次第に線分図を使って考えていくよ うにしていった。
大きな数を使用しても計算自体はできるが、思考の負担にならないように1桁か2桁の数を使用した。
しかし、本人のプライドや達成感をもたせるという事にも配慮し、意味理解ができた時点で、同じような問題の 大きな数や分数、小数の文章題にもとり組ませていった。
通級教室の学習場面では、
「一人で解いてみたい」
という意欲も旺盛で、少し早くヒントを出そうものなら
「先生、黙ってて。今、考えているから。」
と、制止をするほどであった。



【学習への意欲、態度】
4年生時のクラスでの放課後の個別指導では、他に何人 か残っている時には全く集中することは出来ないが、最 後の一人になった時点で人が変わったように学習にとり 組む姿勢が出来ると担任が話してくれた。

5年生時、本人は
「算数は文章問題もわかる、ノートもとっている。
 でも、国語はだめ。自分では一生懸命聞いているんや
 けど、どんどん進んで行く感じで、わからんようにな
 るねん。そしたら、どうでもよくなるねん。」
 と、真剣な表情で語ってくれた。
「すごいやん、算数はノートとってるの。今度見せてく れる?」
「ええで。」

蛇足だが、本の音読でも作り読みやとばし読みの多いA 君、校内の放送係で読み聞かせをしていた。彼なりに頑 張っているのがよくわかり、私としては満足だったのだが、 放送係としての力不足は否めない。しかし読み聞かせ以外の他の放送はしっかりできていた。

「あれも、原稿を読んでるの?」
と聞くと、だいたい覚えているのだと言う。
「読み聞かせも、他の放送ぐらい上手になろうよ。ここ
 での読みとり問題、声出して読んでみて。」
と言うと、
「わかった」
と、今まで、間違いの指摘をおそれてか、いくら勧めても黙読をして声を出してくれなかった彼が、声を出して読んでくれた。
案の定、アバウトな読み方で助詞や接続詞等、とばした り替えたり・・。
「ほら、やっぱり読み間違いしてそうやんか。」
そう、言うと
「えへへ」
と照れ笑いをして、続きを読んでくれるA君であった。

本当は、ことばの教室での勉強をもっともっとさせたかった。彼の課題の克服の為にはその方が早道であったろうとは思う。
でも・・・。例え遠回りでも自分でさがして歩く道の方が良いのではと思えた。
彼にはその時点で、もう自分で道をさがす力自体はついてきて いたのだから。

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