ADHD(注意欠陥多動性障害)の原因は詳しくは分かっていない。行動や思考をコントロールする脳の機能の発達が未熟で不注意で落ち着かない行動が目立つとされている。周囲の環境に応じて自分自身をコントロールできにくいわけだから、日常生活の様々な場面で困難に直面してしまう事が多い。
診断は、医師によってなされる。診断基準では「不注意」「多動性」「衝動性」の3つが評価項目としてあげられている。こうした子供は,学齢期の児童の3〜5%ともいわれている。

ADHD

●不注意(inattention)
 物事に対して綿密な注意を向ける事が出来にくかったり、その注意力を
 持続することが困難といったりする状態がある。注意が持続しないと、当
 然、すぐに物事に飽きてしまうわけである。
 しかし興味のもてる事には、難なく注意を向けることが出来るという面も
 ある。ADHDは集中力が足りないのではなく、好きなことにしか集中でき
 ないのだという説もあるようだ。ということは、好きな事には、並外れた高
 い集中力をみせ、その力はわが道を見つけた時に最大限に生かされる
 といった事も期待される。
 しかし、一般的には、注意深く意識を集中して何かをまとめ上げたり課題
 を成し遂げたりといったことは難しい課題であろうとは思われる。

●多動性(hyperactivity)
 身体活動の多い幼稚園,保育園では目立たなくても、就学の段階では問
 題が大きくなる子もいるかもしれない。小学校に入学すると、45分間、椅
 子に座っていることが要求される。教室でもじっと座っていることが出来
 ない。立ち歩き、絶え間ないお喋り。たとえ座っていても、もじもじしてい
 たり、または足をゆらゆら動かしたり、色んなモノに触ったり、鉛筆で騒々
 しく音を立てたりといったことが考えられる。
 
●衝動性(impulsivity)
 その瞬間の行動を抑制できず、考える前に行動に移ってしまうといった
 状態がみられる。

しかし、
これらの反応は多かれ少なかれ、わたしたちが皆もっているものでもあるように思う。その誰もがもっている部分がその年代にしては過剰,頻繁であったり、長期、継続的、広範囲に渡ったりするなど、 診断基準を充たしてしまう場合、ADHDということになってしまうのだろう。

要は、この子たちは、活動水準に偏りが見られ、衝動的傾向も併せ持ち、環境に合わせて自分の行動の抑制をするのが不得手な子どもたちということなのだろう。( ↑Mの得意な単純化思考です。・・・A^^;)

ところで、学童期には 活動水準の偏りというと、

離席や学習態度の悪さ等の             「多動性」
言語活動での、多弁、まとまりのない話し方等の 「多動性」
気が散りやすく注意の集中時間が短い       「転導性」
ぼーっとしていることがある              「停滞性」 等がある。

「転導性」「停滞性」はともに注意力が持続しにくい、あるいは飽きやすいといった状態像をもたらす「注意・集中力の問題」と考えられる。
単純に考えれば
「転導性」のある子には「多動性」のある子が多そうだが、
「停滞性」のある子には「多動性」より「(寡)動性」のほうが問題になりそうだ。

両者を活動水準の「両極端」として考えれば良いのではないか。
こう見ていくと「のび太・ジャイアン症候群」で司馬理英子医師が
「ボーッとしていることが多く、グズグズしている」
「落ち着きがなく、忘れ物も多く、先生からよく注意される」
など、マンガ「ドラえもん」ののび太もジャイアンと同様にADHDであると書かれている事の意味がわかってくる。
のび太型の子はDSM-Wの診断基準で言えば、「注意欠陥/多動性障害、不注意優勢型」という事になるのだろう。


また、上述の「活動水準の偏り」が「衝動性」だけでなく「対人的、社会的認知能力」や「情緒的な不安定さ」と重複すれば、突発的な行動、対人的トラブル も起こりやすいという事にもなる。
ADHD児にトラブルを起こしやすい子もいるということは、こういう事なのだと考えて良いのではないか。


●ADHDの診断基準

世界的に影響力の大きい二つの診断分類の体系がある。
ICDー10(WHOの国際疾病分類)とDSMーW(アメリカ精神医学会の診断基準)である。 DSMーWは以下の通りである。


DSM―Wの注意欠陥・多動性障害 (Attention-Deficit・Hyperactivity Disorder )診断基準(1994年)

A.(1)か(2)どちらか

(1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応性で、発達の水準に相応しないもの:

不注意

  (a)学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意する
    ことができない、または不注意な過ちをおかす。
  (b)課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
  (c)直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える。
  (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げ
   ることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではな
   く)。
  (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
  (f)(学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事すること
    をしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
  (g)(例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要
    なものをしばしばなくす。
  (h)しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
  (i)しばしば毎日の活動を忘れてしまう。

(2)以下の多動性-衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ
 月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しな
 い:

多動性
  (a)しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
  (b)しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れ
   る。
  (c)しばしば、不適応な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりす
   る(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知
   れない。)
  (d)しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
  (e)しばしば“じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされるように”
   行動する。
  (f)しばしばしゃべりすぎる。

衝動性
  (g)しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう。
  (h)しばしば順番を待つことが困難である。
  (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)。


B.多動性-衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害
  を引き起こしている。
C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校[または
 仕事]と家庭)存在する。
D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在
 するという明確な証拠は存在しなければならない
E.その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、またはその他の精神病性障害
 の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例えば、気分障害、不
 安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

「注意欠陥/多動性障害、混合型」 :
     過去6ヶ月間A1とA2の基準をともに満たしている場合。
「注意欠陥/多動性障害、不注意優勢型」 :
     過去6ヶ月間、基準A1を満たすが基準A2を満たさない場合。
「注意欠陥/多動性障害、多動性-衝動性優勢型」:
     過去6ヶ月間、基準A2を満たすが基準A1を満たさない場合。

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