松浦亜弥『T・W・O』(セカンドアルバム)全曲レビュー
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松浦亜弥『T・W・O』(セカンドアルバム)全曲レビュー
『T・W・O』
松浦亜弥


全作詞曲、プロデュース:つんく♂(except M-10 作詞:加藤和枝)

約一年ぶりに発表された松浦亜弥のアルバム。

前作『First Kiss』は、個人的に「2002年に最も多く聴いたアルバム」であり、各方面でも絶賛の嵐でした。

そんなこともあって、このセカンドには当然のごとく過度な期待が寄せられたわけだが、果たして内容のほうはどうだったでしょう?ということで、一曲づつ簡単な感想を書いてみたいと思います。


  1. 「Yeah!めっちゃホリデイ」 編曲:高橋論一

    6thシングル。

    このテのタイプの曲に関しては、他の追随を許さないものがありますね。語尾の歌い回しに、余裕すら感じられます。

    ただ、このへんは好き嫌いの分かれるところで、“松浦、ちょっと苦手かも”という人にとっては、まず受け入れられずらい曲ではあるでしょう。ある意味ヲタ向け。



  2. 「The 美学」 編曲:鈴木秀行

    7thシングル。

    この曲がシングルでリリースされ初めて聴いた時、“つんく♂、なんか迷ってるのかな?”とか思ったもんですが。

    なぜリッキー・マーティンだったのか?

    同じリッキーネタでも、“アーチーチー”と郷ひろみに歌わせてしまった康珍化の狂いっぷりのほうが、商売人としてはウワテだったかも。

    サウンド面でも、パーカッション類は全て鈴木秀行による打ち込みで、中途半端な派手さがイマイチ。どうせやるなら、鳴り物5〜6人で一発録りとかして、もっと下世話に責めて欲しかったな。



  3. 「あなたの彼女」 編曲:高橋論一

    企画盤『FOLK SONGS』で荒井由実の「ひこうき雲」をカバーし、その出来の良さに対して、ユーミンからお褒めの言葉を貰った松浦亜弥。

    そしてつんく♂はどうしたかというと、三木聖子(石川ひとみのカバーが有名)の「まちぶせ」(作曲:荒井由実)を持ってきたと。ぬかりの無い男です。

    メロディーラインやコード進行にはそれほど影響は感じないけど、アレンジは間違いなく「まちぶせ」をベースにしてると思う。前サビの後のチェンバロ風サウンドとコーラスや、裏拍で入るカスタネットが、モロですね。

    高橋論一さんが、あいかわらずナイスな仕事してます。



  4. 「桃色片想い」 編曲:高橋論一

    5thシングル。

    個人的「2002年度ベストソング」。

    「高橋論一meetsブライアン・ウィルソン」とも言える本作品は、リリース当時からビーチ・ボーイズ・ファンの間で賛否両論でした。なぜなら、ビーチ・ボーイズの曲のフレーズを散りばめてあったからです。

    わかりやすいところだと、イントロのギターが「Dance Dance Dance」だったり、間奏とエンディングに「Good Vibrations」のテルミン風フレーズがでてきたり、といったあたりだと思うけど、「Amusement Parks, U.S.A.」のオルガンのフレーズが入ってることに気がついた時は、ビックリしたなぁ。

    イントロの(擬似)スプリングリバーブノイズ(「Wipe Out」風)や、コーダ部におけるギターのバッキング(「I Do」風)も、いい味出してます。

    どこまでがつんく♂の指示なのか、高橋さんが好き勝手にやったらこうなったのか、非常に興味のあるところではあります。つんく♂的には、「ビートルズもの」をやる時は永井ルイさん、「ビーチ・ボーイズもの」をやるなら高橋論一さん、と、アレンジャーの使い分けをしてるのかも?というのは、全て勝手な妄想です。



  5. 「ダイアリー」 編曲:酒井ミキオ

    シンプルなメロディー、コード進行、曲構成で、突飛な転調も無く淡々と進んでいく。けれど、なんかホッとするこの感じ。いいねぇ。

    間奏部分で、ビートルズの「Strawberry Fields Forever」を思わせるメロトロン風サウンドが隠し味に使われてて、技あり一本。このアレンジ、センスいいと思う。酒井ミキオは要注意だな。



  6. 「SHINE MORE」 編曲:小西貴雄

    サウンドの耳触りとは正反対に、メロディー自体はナゼか和風。10人祭の「ダンシング!夏祭り」と譜割りが似てる部分があったりして、つんく♂のルーツの一端を垣間見た気がした。

    サビで、世良正則とツイストの「銃爪(ひきがね)」と同じリフがでてくるのは、偶然だよね、小西さん?



  7. 「SHALL WE LOVE?」 編曲:鈴木秀行

    ご存知「ごまっとう」の、デビュー曲にして最新曲(そして最終曲?)の松浦ソロバージョン。

    ごまっとうにおける松浦のパートを聴いた時は、“やっぱ、ちょっと無理あるなぁ”と思ったものだが、全編彼女のボーカルで聴いてみると、アラ不思議。ちゃんと彼女の曲になってました。このへんの吸収力はさすがだね。

    後藤真希、藤本美貴も、それぞれのアルバムでこの曲を収録するらしいので、聴き比べるのが今から楽しみです。



  8. 「From That Sky 〜替え玉は硬メンで〜」 編曲:鈴木秀行

    一聴してわかるとおり、アレンジのベースになってるのはボン・ジョヴィの「Livin' On A Prayer」。左チャンネルから聴こえるトーキングモジュレーター風のサウンドなどは、ほぼそのままです。

    ところで、唐突にボン・ジョヴィがでてきて腰を抜かしそうななってしまったのだが、その訳は、2曲目の「The 美学」が布石となっていたのでした。

    「The 美学」の元ネタであるリッキー・マーティンの「Livin'La Vida Loca」を作曲した、デズモンド・チャイルドという人がいるのだが、この人はボン・ジョヴィとも非常に親交が深いワケですよ。「Hearts Breaking Even」なんて曲も提供してたりするし。

    デズモンド・チャイルドというと、エアロスミスやキッスに提供した曲が有名だけど、ボクにはボン・ジョヴィのイメージが強くて、「The 美学」を聴きながら、“次はボン・ジョヴィだったりして”なんてバカなことを考えていたのです。そしたらこの「From That Sky 〜」が聴こえてきたと...。

    ちゃんと繋がってるもんだね。

    ちなみに、この曲で聴けるパワフルなドラムは、『First Kiss』に収録されていた「絶対解ける問題 X=ハート」でも見事なプレイを聴かせていた、そうる透氏です。

    そしてハモンドオルガンは、元:すかんちのサポートメンバーだった小川文明氏、という強力ラインナップ。

    にも関わらず、全く負けてない松浦のボーカルったらどうよ?



  9. 「デート日和」 編曲:高橋論一

    つんく♂のブギーものといえば、モー娘。の「Mr,Moon Light」が有名だけど、あれはおそらくブライアン・セッツァーあたりがヒントなんだろうね。

    で、この「デート日和」はどうだろう?

    右チャンネルから聴こえるギターの3連は、レス・ポール〜チェット・アトキンス〜ジェフ・ベックなどが得意とする、黄金フレーズですな。これだけで、ボクなんかはKOですよ(何が?)。



  10. 「草原の人」 編曲:鈴木秀行

    8thシングル

    氷川きよしや山川豊が所属する、「長良プロダクション」社長の長良じゅん氏へ、故美空ひばりさん(加藤和枝)が宛てた詩が、27年の時を経て「曲」としての命を吹き込まれた。長良社長の偉いところは、自分とこのタレントで商売しなかったことだね。

    ほとんどの人もそうだと思うけど、つんく♂の曲作りというのは、まずメロディーから作って、それに歌詞をハメ込んでいく、というやり方が大半とか。いわゆる「曲先」です。 しかし、この「草原の人」の場合は、 当然「詞先」なワケです。

    曲作りをしたことのある人なら分かると思うけど、「詞先」と「曲先」では、まるで自由度が違うんですよ。いつもより広めの音域になってしまったのは、そのへんの苦闘の表れでは?なんて気がします。

    しかし、そんなプレッシャーを跳ね返して、つんく♂&松浦は素晴らしい仕事をしたと思う。これは贔屓目じゃないと思うよ。



  11. 「ナビが壊れた王子様(LOVE CHANCE)」 編曲:小西貴雄

    ファーストアルバムに入ってても、おかしくないような曲。

    小西貴雄ってイマイチ苦手なんだけど、この曲に関しては無難にまとめてますね。かといって特筆することもないというか、そんな曲です(なんだそれ?)。



  12. 「元彼」 編曲:河野伸

    お待ちかねの河野伸アレンジにして、ラストナンバー。

    前作のラスト曲「初めて唇を重ねた夜」はちょっと大袈裟なアレンジだったけど、こちらはスッキリといい感じでまとまってますね。

    「佐橋佳幸プロデュースの松たか子ナンバー」と、非常に近い世界感を感じます。松浦が20歳くらいになったら、もう一度歌って欲しいかも。

    それにしても、彼女が発する“パパ”という単語のニュアンスは絶品だなぁ。

    またもや河野さんは、一曲だけでした。


『First Kiss』という名盤のあとだけに、やりづらい部分もあったかもしれないけど、十分に水準以上(何の?)だと思いますよ。ただ、曲順に難があったかなぁ、って気がしないでもないです。

キャッチーでとんがってるシングル曲と、M-3やM-5のようなタイプを一枚に共存させるのって難しいと思うけど、こればっかりは仕方ないことなんだろうな。

彼女が器用なばっかりに、イマイチ統一感に欠ける作品になってしまったかもしれないが、これもまぁ、贅沢な悩みですね。



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