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▼沢のほたる▽待宵花集(巻二)▼




■ 巻二 ■


今宵君いかなる里の月を見て都に誰を思ひ出づらむ

馬内侍

情感溢れるお歌を詠み、ほぅ…と吐息する彼女。
愛しい君への想いに胸を焼き焦がし、
独りどっぱーんと盛り上がっている。

ちょうど同じ頃、その想われし色男は、
つい最近新たに通い始めた女の家で、
宵の月に先日垣間見たつれない女の面影を眺め、
都に住む古いつき合いの女に思いを馳せている・・・

なーんちて、そんなわけないでしょ!たぶん♪(笑)
(きゃー。馬内侍さま、許して〜)


嵐吹く空にみだるる雪の夜に氷ぞむすぶ夢はむすばず

藤原良経

優しい貴女はそこで見ていて下さい。
涙が氷となってむすぶ夜を。
夢が雪となって乱れ散る嵐の空を。
私にこれ以上近づいてはいけませんよ。
凍てついた心の欠片が貴女を傷つけようとも、
それを癒す手立てを私は知らぬゆえ・・・。

あ〜〜〜
またお耽美乙女趣味なことを書いてしまったわ。
もっと高尚な解説とかは・・・できませんの(笑)。


恋死なむわが世のはてに似たるかなかひなく迷ふ夕暮れの雲

藤原良経

良経さまにホレたハレたで愛の2連発です。
このお方は恋に死ぬことなんてありえない。
なんとなくそう思います・・・。
美しく澄んだことばは、何者をも拒む透明な壁。
醒めた眼差しには死神さえも一目置きそう。

こんなお方とすれ違いざま
焚きしめた香がふわりと漂ってきたら・・・
しかもそれが男(もちろん美形)にしては甘めの
伽羅の香りだったりしたら・・・
───(まったりと妄想中)───
そのギャップの素敵さに私が恋死にするわ〜!


君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる

紀友則

君だけだよ・・・君だけなんだ・・・君にだけ!
花は色づき優美に香り、僕は極上の歌を詠ずる。
な? 君ならわかるだろう?
皆、君に愛されたくて春を待ち焦がれていたのさ。

(彼ったら熱いわ! 口説かれちゃおうかしら〜)

他には誰もいないよ。
君が見てくれないなら、僕は梅の木を枯らす。
まったく・・・罪だね、君って人は。

(ちょっと脅迫めいてる? ん…どうしよっかな〜♪)


春の夜は吹きまよふ風の移り香に木毎に梅と思ひけるかな

崇徳院

香しく、妖艶なのです。
それは月明かりのあやしい夜のこと・・・
(お得意の妄想モードON!)
あちらの木からこちらの木へと、
美しい貴公子が渡り歩く姿のなまめかしさ。
迷える彼の探し求めるのは、麗しの梅花の精。
木から木へ、女から女へ・・・。

「木」に「毎」と書いて「梅」。
これは!・・・おやりになりますわね〜(笑)。


恋ひ死なん後は何せん生ける日のためこそ人は見まくほしけれ

大伴百世

恋に死ぬことが何だってんだよ。
後のことはどうだっていい。恐くないぜ。
大事なのは、いま生きている俺。愛しい君。
肌を重ねて愛し合うだけさ・・・!

忍んで涙に濡れる恋もあはれで良いけれど、
抑制を捨てきって突っ走る恋も大好きなのだわ〜。
(やや違いますが、躬恒さんの「我が恋は」とかもソレ)
恋暴走を好む自分を改めて自覚。
燃え尽き症候群・・・なのかしら??

宇治十帖で匂の宮がこのお歌を詠じております。
他人の情熱って、時として周囲に迷惑かも(笑)。


吹く風ぞ思へばつらき桜花こころと散れる春しなければ

大弐三位

あなた、桜の心をご存じ?

───全身全霊を傾け咲かせた花の生命。
自ら願って散らしているはずなかろう。
吹く風がつらい。
この身をちぎって奪う風が憎い・・・。

うふふ。聞こえたかしら?
桜花は、ほのかに血の色に染まっているわ・・・。

紫式部の娘さんのお歌です。
実は気が強い姫さまだったんじゃないかな〜
と、個人的には思っております。(根拠なし)
せっかくの優しいお歌なのに、
私の中ではあやしい怪奇モノに。


五月雨の空なつかしく匂ふかな花橘に風や吹くらん

相模

湿った空の中に、ゆらゆらと吹いてきた風は花橘。
昔、堅く封印を誓ったはずの記憶。
あっさり解放されて、甘美に脈打ち出す。
「・・・なつかしい」
ただ一言、風に添えてみる。
胸の奥底から沸き上がってくる
言い尽くせない想いをぎゅっと詰めて。


道知らば摘みにもゆかん住の江の岸に生ふてふ恋忘れ草

紀貫之

貫之センセ、私もそこに連れてって。
忘れてしまいたい想いがあるから・・・。
一緒に道を探しましょう。
疲れたらひと休みして、美しい景色を眺めましょう。
恋に憑かれた胸の苦しさを語らいましょう。

一体どこにあるんでしょうね? 恋忘れ草。

見つける頃には花が咲いているかも。
新しい恋が待っているかも。


橘の匂ふあたりのうたた寝は夢も昔の袖の香ぞする

俊成女

「さつき待つ〜」の派生歌は、どれも好きです。
俊成女の橘の香は、素敵な思い出につながるのかしら?

私の場合、何らかの五感をともなった夢というのは
胸の痛くなる憂きものが多いです。
ああ、これは夢なんだ・・・って
半分わかっていることもあります。
はっとして我に返って目を覚ますと、
ボロボロに泣いている自分に気がついたり・・・。



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