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▼沢のほたる▽待宵花集(巻一)▼




■ 巻一 ■


月やあらぬ春やむかしの春ならぬわが身ひとつはもとの身にして

在原業平

美しい人が美しい歌を詠んでいる情景にクラクラ。
業平さまってば、何をしても絵になるお方。もちろんお歌も極上ですワ。
月よりも業平さまにうっとり。お側近くで慰めてあげたい〜。


空や海うみや空とも見えわかぬ霞も波も立ちみちにつつ

源実朝

この素直な詠みが、たまらなくいじらしくて・・・。
霞がかった夜明けの海の地平線が、すぐ目の前に浮かぶようじゃありませんか。
彼女「ホラぁ、私をつかまえられるかしらぁ〜?」
彼氏「言ったなぁ〜 よぉし、待ってろよぉ〜!」
砂浜で二人仲良く、「うふふ・・・」「あはは・・・」の世界で。(何故!?)


この世をばわが世とぞ思ふ望月のかけたることもなしと思へば

藤原道長

暴走しちゃってる道長さん。もう誰にも止められなかったのでしょうねぇ。
どうしょーもなく傲慢な歌なのに、逆にそれが気持ちいいと思えてしまう不思議。
どうせやるんだったら、ここまでやらなきゃあ、を具現化してくれた1つの例。
三条天皇をあんなにいじめた張本人なのに、なぜか憎めないんですよ。


くだきけるおもひのほどの悲しきにかきあつめてぞさらに知らるる

建礼門院右京大夫

ああ、もうっ。やってくれるわ。もらい泣きだわよー。
余計な装飾のない叫びだから、かえって真っ直ぐ直撃で伝わってくるじゃないですか。
愛しい君と交わした御文やお歌を整理しながら、涙が洪水。あるいは一粒として出ないか。
どれだけあの人のことを愛しているのか、自分でも見えなくなってる。
和泉式部も同じような想いを持ったんじゃないかなぁ・・・。
和泉さまと右京さま、二人で語り合ったら話しは尽きないんじゃないかしら。
自分を抑えきれない恋がいい。情熱に思いっきり溺れて。どれだけつらくても、ね。


心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな

三条院

シブい〜ん。ドキドキするほどシブいっすよ。抱きしめちゃいたいわ!(笑)
この上品さ、この優艶さはどうです? お育ちの良さが偲ばれます。
しかも、詠まれた背景を知るほどに、いぶし銀の魅力が全開なのだわ。
帝の位につかれたものの、道長から執拗な「引退しろ攻撃」で圧迫を受ける毎日。
暗く沈むお胸のうちを、このたった31文字に託された三条天皇。
同じ月を詠んでいるのに、道長の望月の歌とあまりに対照的。
(陰陽の理をこんなところでしみじみ感じてしまったりして)
哀しく、そして美しい。水鏡に映りし蒼い月影、落つる涙の波紋に滲みて。


夜をこめて鶏のそら音にはかるとも世に逢坂の関はゆるさじ

清少納言

まずは、「百人一首」解説本にあるこのお歌の項をどうかご覧になって下さい。
それでぇですね、ワタクシ、何が気になるっていったら、
羨ましい展開もさることながら、このひと言に終結されます。
「どーしてせっかくのお誘いを突っぱねちゃうかなぁ〜!?」
(実際はこの後どうなったかなんて、知りませんけどね・・・)
全国1000万人の行成さまファンの皆さま(そんなにいないって)、
そうお思いになりませんか!?
これに対する行成さまの超美麗な手蹟で書かれたお返事は、
「逢坂は人越えやすき関なれば鶏鳴かぬにもあけて待つとか」
鶏が鳴かなくても、門はいつでも開いてるとか〜・・・なんちゃって、ね〜。
いかにもマズいお歌です(笑)。
少納言殿にぺしゃんこにやられて平常心を失い、オタついておられます。
そんなかわいらしい行成さまが愛おしくてたまらないのっ!愛してます!


我が恋は行方も知らず果てもなし逢ふを限りと思ふばかりぞ

凡河内躬恒

今がよければすべて良し!・・・(って解釈は極端だけど)素敵よぉ。
果たせそうもない未来の約束をされるよりも、
「これからどうなるかわからないけれど・・・、
君にこうして逢えること、これが一番の幸せなんだって思ってる・・・」
こんな風に言ってもらえたら、心とろける幸せだわ〜。
情けないとか薄情とか、そうは思わないです。
素敵な未来を作るのは、素敵な今の積み重ねなんだからさっ。


形見こそ今はあだなれこれ無くは忘るる時もあらましものを

よみ人しらず

泣けます。
残された者の苦しみ。先に逝っちゃったモン勝ち?(爆)
はかなくなった恋人からの御文を料紙に漉き直して、
それにお経なんかを書いて気持ちを込めて供養するの。
その料紙にあの人の見慣れた水茎の跡がまだ残っているのを認めると、
いたたまれず心が波立って・・・。右京さまもそう言ってます。
でも、この昔の習慣ってすごくいいなと思います。
形見に思って大切にしたところで、想い出に縛られるだけなら、
何も残ってないほうがいい。
いっそのこと、自分の手で何もかも破壊して無くしてしまうほうが・・・
わかってるんだけど、わかってるんだけど、さ。
和泉さまみたいに、それが我が身そのものだったらどうしよう?
生への執着とも。死への手引きとも。

って、勝手にお相手をあの世に送ってしまいましたが、
このお歌の真相は・・・伊勢物語でどうぞ!(笑)


かき乱す寝くたれ髪のまゆずみもうつりにけりな小夜の手枕

西園寺実兼

君の眉墨が俺の袖に移っているね。
今宵は我が手枕。明日は誰のだろうか・・・。
ぐったりと身を任せてきた君を、寝乱れ髪をも愛しく思う。
だが、その心までは俺のものじゃないのだろう?
とうに他のヤツに移っている。この眉墨みたいに、な・・・。

ヤバイでございます。なんというダークな艶っぽさでしょう。
私もやってみたいわ。実兼さまに愛の刻印っ(おいおい・爆)
うああ、どうしよう〜 (←どうもせんでよい)


はかなくて今宵明けなばゆく年の思ひ出もなき春にやあはなむ

源実朝

実朝さま2首目。折に触れて気になりますのよ。
いじらしさに、も〜〜〜惚れっ。

ゆく年の思い出が何もないんだよぉ!!!
宵が明けたら、来る年の春だってのにさーーーっ!!!

そんなこと言って、孤独の影をユラユラさせて・・・。
ものすごく寂しかったのでしょうね。
とびっきりの素敵な思い出を作って差し上げたくなってしまうわ。
きっとそれは鎌倉の海で、ね♪(さしたる根拠なし)



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