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 蜻蛉日記をご一緒に
田辺聖子 著/講談社文庫

田辺先生が某カルチャーセンターでの講義をまとめ、さらに加筆修正されたものです。
全編を通しておしゃべり調で、講義の楽しい雰囲気まで伝わってくるようです。
蜻蛉日記は、兼家さんのサムいダジャレが満載で楽しいのでございます。(笑)

 中世炎上
瀬戸内晴美 著/新潮文庫

鎌倉時代の女性、後深草院二条の残した「とはずがたり」が原典です。
よりドラマティックに小説化されております。長い小説ですが、次へ次へと展開に
引き込まれて、一気に読んでしまいました。原典にはない、二条の母・典侍大と
後深草院(御所さま)のエピソードから、この物語は始まるのです。とても効果的。
雪の曙――実兼さまの素敵っぷりに、うっとりでございます。

 逆髪
杉本苑子 著/集英社文庫

復讐物語が12編揃った短編集です。事情は様々で、救われない結末を迎えてしまう
お話もございます。胸に疼きが残ります。
タイトルの「逆髪」は、直毛長髪が美人のお約束だった時代に、天然巻毛に生まれ
ついてしまった姫君の物語です。念願の復讐を果たし、はじめて晴れやかな笑顔を
みせる彼女の髪は……。

 私本・源氏物語
 春のめざめは紫の巻
 恋のからたち垣の巻
田辺聖子 著/文春文庫・集英社文庫

シリーズ3冊をまとめてしまいました。すみません。
天下の「源氏物語」のパロディ小説です。
六条御息所は愛すべきオバサマの実態をさらけ出し、花散里はナゴミ系の美食家に
生まれ変わっておりますよ。(笑)
笑えるのは女性陣だけではありません。色男であるべき源氏の君も総崩れで…。
巻を重ねるごとに原典から離れ、オリジナル要素が強くなってゆきます。
あの華麗な世界観を壊されたくない方には、おすすめできません。

 祇園女御
瀬戸内晴美 著/講談社文庫

白河院の御寵愛の厚さ故に、正式の女御ではないけれど人々に「祇園女御」と
呼ばれた女性…。
けれど、読み終えても、私には、この祇園女御の印象は淡くしか残っておりません。
彼女よりも、「あかね」という女房に、私は心を奪われました。
他にも、プライドが邪魔して素直になれない女性、己の魅力を極限まで武器として
利用する女性など、様々なタイプの女性達が重い運命を背負って登場します。
そして、それらすべての女性の人生に濃く薄く影を落とす存在、白河院…。
この物語の主人公が誰になるのか、それは読む人によって決まるのでしょう。

 建礼門院右京大夫
大原富枝 著/講談社文庫

平資盛を愛し、生涯を捧げた女性が右京大夫です。(彼女は藤原行成さまの子孫)
右京が残した「建礼門院右京大夫集」が、著者の細やかな愛情に包まれて小説化
されております。2冊を並行して読むと、それがどれほど深いものなのか、よく分かります。
和泉式部を月に例えるならば、右京大夫は星のような女性。実際、「星夜讃美」の歌人とも。
右京大夫、私、大好きです。本の中で彼女と一緒に平家の武運を祈り、涙しました。

 有明の別れ
南條範夫 著/講談社文庫

当時の書物によってその題名のみ知られ、原書は長い年月を経る間に散逸してしまったかと
思われていた物語です。それが幸運にも第二次大戦後に偶然発見されました。素晴らしいです!
現在までに発見されたのはその1冊のみ。とても孤独な本なのです。
とある高貴な、男装の麗人をめぐる物語です。男装という点で「とりかへばや」と
通じる部分もございますが、私はこちらの物語のほうが好きです。
風にも揺れる仄明かり…甘美で妖しい雰囲気に酔いしれました。
「有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし」 壬生忠岑のほろ苦いお歌を胸に…。

 新とはずがたり
杉本苑子 著/講談社文庫

「とはずがたり」の世界が、うるわしの西園寺実兼さまの視点で語られた物語です。
後深草院に対する競争心のようなものから始まった恋が、いつしか真実の愛に育って
ゆくのでございます。うまくいきそうでいかない二人に、ついもどかしさが…!
実兼にとって二条は、手を伸ばしても伸ばしても決して捕らえることのできない存在。
だからこそ、永遠に想う人であり続けるのでしょうか。では反対に、二条にとっての実兼とは?
私は、ますますわからなくなりました。ああ、深い…!
瀬戸内氏の「中世炎上」と読み比べるのも面白いです。

 女人平家
吉屋信子 著/角川文庫

平家物語を、平清盛の妻である時子(二位尼)の目で綴ります。
この物語では、平家に悪者はおりません。巷の悪評も、邸の奥深くに暮らす時子や
平家の姫君の耳まで届くことは希だからです。彼女たちは、ただ普通に暮らしているだけ。
それなのに、優しいあの人も、この人も、みんな戦に散ってゆく……。
少女小説でならした吉屋信子さんは、甘酸っぱい恋の描き方が絶妙でいらっしゃいます。
平家の姫君と大江広元の恋も! この二人の恋模様の行方が、気になって気になって…。
建礼門院右京大夫もちらりと出ております。



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