第9地区
テーマ
脚本×2 9(18)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 83

監督:ニール・ブロムカンプ 
公開年:2009年
前にも書きましたが、私は映画を見る前になるべく事前情報を仕入れない方針です。この映画も「宇宙船に乗った大勢のエイリアンが地球に流れ着いて難民となり、その対応にてんやわんや」といった内容かな、程度のスタンスで見ました。ところが、これは良い意味で予想を裏切ってくれる映画でした。
なんといっても面白いです。「アバター」みたいに、変に「人種問題」や「環境問題」を絡ませなかったところが正解。普通の映画は、物語の展開がある程度読める場合が多いですが、この映画は、次から次に思わぬ展開となり、特に後半は一気呵成。「キングコング」(もちろん記念すべき第1作目)をほうふつさせるようなたたみかけです。かなり無理なご都合主義の展開で持っていく映画が蔓延しているなかで、もちろんこの映画もご都合主義の展開はあるにしても、脚本がよく練られているため、それを感じさせません。
「第9地区」は、ブロムカンプ監督が以前に作った短編映画を長編化したものだということで、まさに練りこみ十分といったところでしょう。長編デビュー作ということですが、演出の方も見事です。人間側に感情移入が出来ない代わりに、宇宙船に帰ろうとしているエイリアン親子に対して感情移入し、最期にはエイリアンに「がんばれ!」と応援している自分の姿に気づくことでしょう。
エンディングもベタといえばベタですが、「王道」といったほうがいいでしょう。
舞台をアメリカの都市にしなかったのも正解です。南アフリカのヨハネスブルグの空気感がよくでていて効果的です。もし、ニューヨークが舞台だったら、どこかで見たようなつまらない映画になったかもしれません。
実際のニュース映像を流用した部分もあり、随所にニュース画面や監視カメラの画面などが映し出されるなど、ドキュメンタリータッチの構成も、今回は大いに効果的です。この監督、本当にうまいと感じました。「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が制作になっていますが、監督という点ではブロムカンプ監督のほうがうまいのではないかとも思いました。
宇宙船の存在感もいいし、驚異的な破壊力を持つエイリアンの武器とか、最期に活躍する搭乗型二足歩行ロボットなど、SFテイストも満点。一方、この映画では、悪役になる人間側も、傭兵部隊や第9地区に巣食うギャング集団なども、なかなかのファイトを見せてくれ、映画を盛り上げます。
久しぶりのSF快作。お勧めです。
一点だけ、気をつけなければいけないところ。この映画は、かなりグロテスクです。エイリアンの造形は問題ないんですが、牛の頭を切り刻んだり、ブタをばらばらにしたり、主人公の人間は、黒いへどをはきまくるし、エイリアンの武器に撃たれた人間は ばらばらになったり。その方面に弱い人はご注意です。でも、私の妻は、「SF物なので、キルビルよりは見られた」と話しておりました。
南アフリカが舞台とあって、武器は珍しいものが続々出てきます。南アフリカ製のベクター・アサルトライフルは白い塗装ででてきます。また、イスラエルのガリル・アサルトライフルを南アフリカがライセンス生産したR5アサルトカービン、それに各種のAKなど多数でてきて、銃撃戦はかなり派手です。また、対地雷用に車の底をV字型にした、南アフリカ独特の装輪装甲車も映画では初めて見ました。
最期に、ギャング集団を「ナイジェリア人」といっていましたが、実際に南アフリカにナイジェリア人ギャングがいるんでしょうか。ナイジェリアの人がこの映画を見たら憤慨するのではないでしょうか。それが心配です。


対独パルチザン戦線1943〜ナチス虐殺の島〜
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 57

監督:リカルド・ミラニ 
公開年:2006年
第二次世界大戦でギリシアのケファロニア島に駐留していたイタリア軍の姿を描くTVムービー。日本ではなじみの薄い、大戦中のイタリア軍ですが、最近では映画「炎の戦線 エル・アラメイン」や、イカロス出版の「イタリア軍入門」なども出て、日本でも資料的に少しだけですがそろってきたような気がします。
映画の方は、ドイツ軍と一緒に駐留していたイタリア軍が、イタリア政府の休戦条約締結に伴い、「戦争が終わった」として帰れるものを喜んだのもつかの間、一転して、ドイツ軍と敵対関係になります。そして、軍事的な小競り合いがあったあと、イタリア軍は、戦力に勝るドイツ軍に降伏。ドイツ軍は「イタリア兵は反乱者であり、正規の軍人とは認めない」として、パルチザン扱いとなり、大量虐殺が行われるという内容です。
これまで、あまり描かれてこなかった、ギリシア・ケファリニア島の悲劇。そして、休戦からドイツ軍に対する戦い、そして投降、虐殺という流れの中での、イタリア兵の心の揺れ、勇気と失望などが描かれており、「大迫力戦争映画」ではないものの、なかなか良い味を出しています。
ガチガチの戦争映画というのではなく、中年のイタリア兵と地元で暮らすイタリア女性、そしてその娘やアメリカに渡っていた夫などを絡めたメロドラマ仕立てで、「戦争メロドラマ」といった感じですが、TVムービーとしては、これもありかなと思いました。
まあ、なんと言ってもこの邦題「対独パルチザン戦線1943〜ナチス虐殺の島」(資料ではナチス包囲の島となっている)は、すごいですね。メジャーな戦いでもない劇場未公開作品ですので、レンタル店で何とか手に持ってもらいたいという配給側の思いが、この邦題に表れているんでしょうが、いかにも「B級ドンパチ・アクション戦争映画」か「C級キワモノ戦争映画」といった感じです。映画の内容は、上にも書きましたように、「戦争メロドラマ」といった感じで、戦闘シーンもあるんですが、メロドラマの方に重点が置かれています。「前編」「後編」の2本に分かれていて、いくぶん話の展開が散漫なところはありますが、あの戦争でイタリアの人たちがどのような状況だったかの一端は分かったような気がします。
振り返って、昨今の日本の戦争映画は、「特攻」一辺倒! 確かに、観客の涙腺を絞るには格好の題材ではありますが、私としては、大多数のもっと普通の日本兵が、どのように戦い、死んでいったか、どのような思いだったのか、というところを描いた映画を見てみたいです。そうすると、日本軍の侵略的な部分も出てくるため、なんとなく戦争の被害者みたいな感じで描かれる特攻の方が、やりやすいのでしょうけど・・・。
銃器や車両については、ハーフトラックはアメリカ製だったぐらいで、ほかはドイツのキューベルワーゲンなども出て、まあまあといったところです。急降下爆撃機スツーカは、当然CGなんですが、これが簡単にできるようになったのは、昔を描く映画にとって、ありがたいことだとおもいます。銃器はさすがに小銃がイタリアのカルカノ小銃で、サブマシンガンは、ひょっとしたらイタリア製のベレッタは配備されていなかったのかもしれませんね。ドイツ軍のMP40のオンパレードでした。これは仕方の無いことだと思います。
まあ、最終的にはドイツ軍と戦うということで、映画としては作りやすいのかもしれませんが、TVムービーとしては、なかなか力の入った映画でした。


ダイ・ハード4.0
テーマ
脚本×2
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 39

監督:L.ワイズマン 
公開年:2007年
前作の「ダイ・ハード3」から12年。久しぶりのシリーズ第4作。1作目の「ダイ・ハード」は、なかなか面白かったものの、2作目、3作目と、どんどん派手になって荒唐無稽路線に走り、いまいちだったので、あまり期待はしていませんでした。ですから、これを見たのも、映画館ではなく、旅行中の飛行機の中でした。
ブルース・ウイリス扮するマクレーン刑事は、相変わらずのキャラクター。「これは、お約束ですから、OK」。ぼやきながら男を連行するという仕事に出向いたところ、のっけから銃撃戦に巻き込まれ、訳が分からないまま男と一緒に逃走する羽目になります。「これも、つかみとしては良いんじゃないですか」。このあとは、次から次にトラブルが発生し、アクションからアクションの連続。画面から目が離せません。ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。「アクション映画の第4作目としては、なかなかがんばっているんじゃないかな」と思えるようになりました。「ひょっとしたら、これアクション映画としては、なかなか良い出来なんじゃないかな。うん、70点以上あげられる出来だよ」と思って、中盤まで見ていましたが・・・・。
確かに、退屈もしないし、はらはらドキドキで、アクション映画の王道を行くともいえるし、「それでいいんじゃない」という人には、特に文句をつける必要もないし・・・・。
でも、途中から、どんどんアクションがエスカレートしていき、女悪役との対決でのエレベーターのシーンでは、そのアクロバティックな動きに、「スパイダーマン」ならともかく、生身の人間のアクションとしては、どんどん羽目を外していくようになります。極めつけは、ホバリング中とはいえ、飛行中のジェット戦闘機の翼に立ったマクレーン刑事の姿を見たときに思ったことは、「これは漫画『こち亀』の両津勘吉じゃないの?」。
漫画ならともかく、やりすぎ!あとは笑いだけです。
この「ダイ・ハード4.0」に限らず、最近のハリウッド製のアクション映画は、CG技術の進化に頼って、やりたい放題で、リアリティを無視しすぎです。ちょっと、考え直した方がいいんじゃないですか。


タイムマシーン
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 50

監督:S.ウエルズ  
公開年:
2002年

SFの大御所、H.G.ウエルズ原作の映画化。原作を読んだことがないので、よく分かりませんが、ある程度忠実に作ってあるのでしょうか。監督はウエルズの孫だそうです。
タイムマシーンのメカがいかにもそれらしくていい味だしていますね。それと、いろんな時代の風景がいいですね。例えば、昔のニューヨークの夜の風景。CGをうまく使って広がりのある絵を作っています。また、最後に行った未来の世界。ファンタジックで、まるでゲームの「MYST」や[EXILE」の世界の雰囲気があり(たぶん参考にしたんでしょうね)ワクワクしてしまいます。
「メメント」のガイ・ピアースは、変わり者の科学者という役に合っているような合っていないような・・・。いずれにしても「メメント」とは違います。
前半、タイムマシーンに乗って、次々に未来の世界に行くところは、SF映画の醍醐味をよく感じさせGOOD! 最後の80万年後の未来世界も基本的にはGOOD! でも後半がいけません。
住民たちを恐れさせている怪物が現れるところからあとは、アメリカ映画にいくらでも見られるおなじみのアクション映画でしかありません。怪物の造形などはCGでよく作られているんですが・・・。
同じアクションシーンでも、タイムマシーンという古典SFにあった作り方があるような気がするんですが。
また、最後に何でもお見通しのジェレミー・アイアンズが出てくるところは、余りにもご都合主義で無理があると思います。
それと、原作を読んでいないのはっきりしたことは言えませんが、主人公がタイムマシーンを作るきっかけとなった恋人との話は、後半への導入部という扱いで、後半では全く触れられていません。何らかの形で最後の方にちょっとでもいいから、恋人の話があって物語が終わったほうが余韻も残っていいと思うのですが。


ダーク・ブルー
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 57

監督:J.スヴェラーク  
公開年:2002年
第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されたチェコから脱出したチェコ人パイロットがイギリスに渡り、イギリスとドイツの航空戦力の戦いとして知られるバトル・オブ・ブリテンなどを戦い抜くという、実話に基づいた話です。
アメリカ製の戦争映画にはなかなか見られない、淡々とした物語の運びで、 それだけに実話っぽく見えます。
映像的には、実機のスピットファイアをふんだんに使った空中戦のシーンが、本物の迫力で迫ってきます。相手のドイツのメッサーシュミットもスペイン空軍で戦後使っていたエンジン換装型の実機で、映画ではおなじみの機体です。半世紀以上前の機体を実際に飛ばすという、イギリスを中心としたヨーロッパの物持ちの良さはさすがですね。
物語はチェコ人のベテランパイロットと若い新米パイロット、それにイギリス人女性の三角関係を軸に、イギリスでの戦いの様子、そして戦後母国に帰ったパイロットを待ち受けていた共産政権下での「投獄」という悲劇が、フラッシュバックで描かれます。
この映画で、どきっとしたこと。<ネタばれ注意>最後の若いパイロットの墜落シーン。劇的に描くことなく、本当にあっさりと描かれています。人の命が簡単に消えていく戦争のはかなさ、悲惨さにぐっと胸が詰まりました。
恋人をチェコに残してイギリスに渡った主人公が、イギリスで三角関係に悩み、戦後帰国すると、恋人はすでにほかの人に・・・。
この映画の軸になるのは、メロドラマです。
ですから、戦争映画というより軍隊生活映画の趣が少し強いようです。
チェコ人パイロットたちの戦いを軸にして、メロドラマは脇役の良い味付け程度に扱ったほうが、映画としては引き締まったのではないでしょうか。
それから、戦後帰国した後の「投獄」について一応説明はあるんですが、日本人にはなじみのない話なので、やはり分かりにくいですね。その部分が、何度もフラッシュバックで入ってくるので混乱してきます。
映画全体として、おもしろい題材なんですが、ちょっと甘いかな。


ダークナイト
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 56

監督:クリストファー・ノーラン 
公開年:2008年
アメコミを原作とした「バットマン」シリーズは、私の思い入れが全くないため、ティム・バートン監督の最初の2作以外は、これまであまり見ていませんでした。でも、今度の作品はすごいとの評判だったので、レンタルで見てみました。
冒頭の銀行強盗シーン。意外な展開と悪役ジョーカーの登場シーンなど、緊迫した映像が続き、つかみは満点。何回も繰り返して堪能しました。
内容は、「バットマン」が好きな人には、いかにもアメコミらしい設定や描写など楽しめるのではないでしょうか。
上にも書いたように、冒頭シーンが素晴らしかったので期待したのですが、中盤は、映画のタイトル通り、ダークな面が強調されたストーリーが展開されます。これが、本来のアメコミの「バットマン」らしいとは言えますが、私のような特別思い入れのない人間が見ると、くどくてまだるっこい感じがします。
悪役ジョーカーは、評判どおりの熱演、怪演です。でも、なんか「チンピラ」っぽい感じで、それがいいとも言えるのでしょうが、私には凄みが足らないような気がします。
いずれにしても、思い入れがあるかどうかで、評価は大きく変わると思います。


DAGON
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 54

監督:S.ゴードン  
公開年:2001年
「クトゥルー神話」または「クトゥルフ神話」を創造したH.P.ラヴクラフトの一連の作品の中でも代表作の一つ「インスマスの影」または「インスマスを覆う影」をもとにした恐怖映画。ラヴクラフトの小説は学生時代にいくつか読んだことがありますが、その中でも印象に残っている作品です。でも、たくさんあるラヴクラフト原作の映画の中で、見たのはこれが初めてです。というのも、原作の持つ味を映画で出すのは難しいのではないかと思っていたからです。
実際この映画を見てみて、意外とうまく作ってあると思いました。元来、ラヴクラフトの作品は、クライマックスでおどろおどろしいモンスターのようなもの(クトゥルー神話のなかではモンスターといっていいかどうか分かりませんが)が出てくる事が多く、どちらかというとパルプマガジンのようなB級の雰囲気がプンプンするものと私は思っていますが、この映画ではまさにB級映画ここにありといった感じでピッタリですね。
最後のモンスターのようなものも、まあ合格点といったところでしょうか。
「インスマスの影」の場合、闇の中に蠢く得体の知れないものに追いかけられる恐怖がポイントになります。所々でスプラッター趣味の映像などを折り込み、それなりに頑張っていると思いますが、もう少しショック、恐怖の演出が出来たのではないかと残念です。何が悪いんでしょうね。主人公の魅力が足りないのか、ネタをばらすのが早すぎるのか、村人たちの造形をもう少しどぎつくしたほうがいいのか・・・。
でも、ラヴクラフト原作の映画をもっと見てみたくなりました。失望するかもしれないけど・・・。


ターザン
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 67

監督:K.リマ  C.バック
公開年:1999年


一番面白かったのは、ターザンとジェーンが初めて出会うシーン。猿の大群に追いかけられて逃げまくる数分間の映像は、ハラハラドキドキ。コンピュータグラフィックを使ってスピード感のある仕上がりとなっています。最近アニメ以外の映画によく見られるコンピュータグラフィック多用という傾向については、疑問をもっている私ですが、ディズニーの最近のアニメはうまく使っていると思います。
ストーリーや演出の面では、子ども向けと考えると一応OKですが、大人の目からは少し物足りないかなといったところです。
同じディズニーアニメの「アラジン」と比べると、ちょっと落ちますね。いずれも物語の芯になっているのはロマンスですが、「アラジン」の方が描き方も細やかで、わくわくします。どこが違うかと言うと、「アラジン」の場合、ジーニの魅力に尽きると思います。「ターザン」の方は、このあたりの脇役の使い方が今一つかな・・・。


タイタニック
テーマ
脚本×2 2(4)
演出×2 2(4)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 44

監督:J.キャメロン  
公開年:1997年


若い人を中心に多くの観客をひきつけ、1年間のロングランを続けたこの映画。
恋愛の部分がだれてきたところで、すかさずスペクタクル部分に突入し、最後まで飽きさせずに見せる力量はさすが。評判のSFXも素晴らしいの一言です。

恋愛映画として見た場合、レベルはかなり低いと言わざるを得ません。「ロミオとジュリエット」の場合を持ち出すまでもなく、恋愛はその障害が大きければ大きいほど燃えさかるもの。そして、その障害を必死になって乗り越えようとする姿が感動を呼ぶものだと思います。
しかし、「タイタニック」での主役2人は、周囲に反対されていても、会いたいときには大した苦労もなく逢瀬を重ねることが出来ます。心理的な葛藤もそれほど大きくないように見えます。これでは、物語が盛り上がらないと思うのです。
2人の恋愛物語がしらけるだけに、かえって、2人の恋愛物語よりも、タイタニック号の沈没に至る悲劇の中で、人々を勇気づけるために演奏を続ける楽団の姿や、ベッドに横になり静かに最後の時を迎えようとする老夫婦の姿などに惹かれました。
それから、どなたかがウェブ上で書いていらっしゃいましたが、この映画の主演を、デカプリオではなく、女性の方だとして見ると面白いかもしれません。


TAXi2
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 60

監督:G.クラヴジック 
公開年:2000年


なんともお気楽な、ハチャメチャ、ドタバタコメディーですね。ハイテク満載の暴走スーパータクシーを運転する主人公に、日本から調印のため到着した日本の防衛大臣(警察庁長官ではないのかな・・・)や警備のお間抜けマルセイユ警察、大臣を狙う日本ヤクザ(何で狙うか目的が今ひとつわからないが・・・)それに勘違い続きの燃える恋人や日産のゴーン社長そっくりの恋人の父親などが絡んで、爆笑の連続です。
同じコメディーでもアメリカ映画とはまた違った味があっていいですね。こんなの好きです。
また、主人公も一見さえない感じなんですが、時々発する気の利いたせりふや脳天気さがいいですね。
フランスコメディー健在といったところでしょうか。
気楽に楽しめてそれでいいんじゃない・・・といえばそれまでですが、前半の快調さに比べて後半がいけません。
せっかくのリュック・ベッソン脚本にケチをつけて申し訳ありませんが、いくらドタバタコメディーとはいっても、後半は話を進めるためにご都合主義のオンパレードです。何でヤクザたちの倉庫がすぐわかるの?、パリのアジトもなぜそこだとわかったの?・・・強引な展開があちこちに見られます。また、主人公の車も007真っ青のスーパータクシーはやりすぎでは・・・。普通のプジョーで良かったような気がします。
くどいようですが、私はシリアスなドラマでも、奇想天外なSFでも、お子さま向け映画でも、お気楽なコメディーでも、それぞれにあったレベルの「リアリティー」が必要だと思うのです。その成功例が「踊る大捜査線」(テレビシリーズ)です。例えこの映画のようなお気楽コメディーでも、そのリアリティーがないとしらけてしまい笑うに笑えません。そのあたりがうまくいったらあと10点位上がったのに・・・。


たそがれ清兵衛
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 53

監督:山田洋次  
公開年:2002年

山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズの冒頭シーンに、何回か時代劇風のものはあったと思いますが、もちろん全編時代劇はこれが初めて。
まるで現代のサラリーマンか公務員の生活を描くような感じで、幕末に生きるある下級武士の物語が展開されます。
病気で妻を亡くし、ボケた母親と幼い2人の娘の面倒を見るため、同僚からの酒の誘いも断って早々に帰宅する清兵衛の「たそがれ」ぶりを真田広之が熱演。娘たちのかわいさも涙を誘います。侍ものといっても、現代の介護の問題などを絡めるやり方は、それなりに的を得ていると思います。
そして、最後は家族や幼なじみに思いを残しながら、命令で果たし合いに赴くのですが・・・・。
山田洋次監督は大きな失敗を犯しています。
下級武士のつつましくもけなげな生活や幼なじみとの心のやりとりなど描くことに山田監督が力を入れているのは分かりますが、映画全体を見たときに、クライマックスは最後の果たし合いです。果たし合いがちゃんと描けてこそ、前半の下級武士の生活や清兵衛の思い、そしてその後の清兵衛の運命が胸に迫ってくると思いますし、おもしろい映画となります。
しかしながら、その果たし合いがずっこけるのです。
ネタばれになるので詳しくは書きませんが、果たし合いの決着がどうなるか、その方法を観客はすでに知っています。果たし合いの前に、映画の中で、その方法を説明しているからです。これは伏線ではなく、ネタばらしであり、結果は観客の予想通り。意外性は全くなく、おもしろくもなんともありません。最後が盛り上がらず、平板な映画という印象だけが残ります。なぜ、こんなことをしたのか想像もつきません。
それから、全編に流れる清兵衛の次女の視点から語られるナレーションも、手法としては古めかしく耳障りです。例えば「初恋のきた道」でも、冒頭とエンディングに父親を亡くした息子のナレーションが入りますが、この場合は親を失った喪失感がよく出て効果的であり、スマートなナレーションの使い方です。同じようにナレーションを使っても大きな差があり、「たそがれ清兵衛」の場合、映画全体の印象を古色蒼然としたものにしてしまいました。
テーマとしてはおもしろいだけに、今後の山田監督の時代劇に期待したいものです。


ターミネーター3
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 60

監督:J.モストウ  
公開年:2003年
アーノルド・シュワルツェネッガーの出世作「ターミネーター」の3作目。
1作目が怖いターミネーターを印象づけたSFホラー編。2作目は一転してターミネーターが正義の味方になり、敵の男性型ターミネーターと戦う感動編。となると3作目は当然・・・女性型ターミネーターという正常進化型の映画となりました。
1作目、2作目のファンに対するサービスは満点。タイムマシンによる登場シーンもおなじみのもの。そして、服を手に入れる方法もお約束のシーンです。このあたりを一つ一つ丁寧に作っていくのがシリーズ映画では重要です。そうそう、あのお医者さんも3作続けて登場ですね。
敵の女性型ターミネーターは、2作目の男性型ターミネーターをベースにしており、あまり新鮮味はありませんが、すっきりした顔立ちでクールに描いています。なんといっても、トイレでのターミネーター同士の格闘シーンは、お互い平気な顔をして便器などを壊しまくり、迫力がありました。
いずれにしても3作目としては、観客の期待に十分に応えてくれた映画でした。
これは「コメディ」か?そして最後は「冗談」か?
それにしてもこの3作目は笑わせてくれます。最初の内は「ファンサービスでつかみも大切だし」と思って納得していたのですが、女性型ターミネーターが血をなめて相手を識別するシーンなども、不気味というより、笑ってしまいます。このため、怖さという点がすっかり姿を消してしまいました。
このたぐいの映画は敵役が大切です。肝心の女性型ターミネーターは2作目を女性にしただけといった感じで、もう少し工夫が出来なかったものでしょうか。それに全体的な印象として、すっきりとしているのでいかにもサイボーグといった感じですが、あまりにも機械っぽくて、もう少しセクシーにそして怖く出来なかったものでしょうか。
それと、ジョン・コナーがスカッとしません。自分の宿命に押しつぶされそうになり懸命にもがくという設定は悪くはないんですが、それが長く続くため爽快感を損なう結果となります。
そして、エンディング。あれじゃ、何のために1作目、2作目があったのか、ズッコケてしまいます。ここは、前2作と同じようにしたほうが、観客としては気持ちよく見ることができます。エンディングもお約束だったと思っていたのですが・・・・。


単騎、千里を走る。
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 48

監督:チャン・イーモウ 
公開年:2006年
昔から高倉健のファンだったチャン・イーモウ監督が、長年の夢を実現させ、高倉健主演で撮った映画。高倉健など日本側の俳優を除けば、中国側は全員素人の役者さん。「あの子を探して」も素人ばかりですが、「単騎、千里を走る。」は、役者と素人が混じった感じです。
中国の伝統芸能を撮影している息子が病気のため余命いくばくも無いことを知った父親(高倉健)が、息子が撮れなかった踊りを自ら撮影しようと中国に渡り、現地の通訳や刑務所に入っている踊り手などと、さまざまな交流を行う話。
中国の辺境の地の風景が美しいのは、さすが「色彩の魔術師」チャン・イーモウ監督ならではです。
私は映画を見る前には、なるべく先入観を持たないようにして見るほうです。だから、映画の前にパンフレットを買ってみるということもしません。(まあ、ケチなだけですが・・・)
しかし、この「単騎、千里を走る。」は、映画を見る前にNHKでやっていた映画のメイキングのドキュメンタリーを見てしまったのです。普段は見ないんですが、深夜に震度2か3ぐらいの地震があり、テレビをつけたところ、そのドキュメンタリーを放送していて、結局最後まで見てしまいました。
結論から言いますと、映画より、NHKのドキュメンタリーの方が感動的で面白かったです。でも、たとえドキュメンタリーを最初に見なかったとしても、この映画、とてもチャン・イーモウ監督とは思えないほど、雑です。
まず、それまでビデオを撮ったこともない高倉健が、誰に頼まれたわけでもないのに、単身、中国に行く・・・その意義付けがどうしても分かりません。病床の息子が頼んだわけでもないし、息子の妻から渡されたVTRを見ただけ、また、そのVTRを見ても、息子が撮影できなかった踊りがそれほど重要とは感じられません。映画の中でも「その映像はなくてもよかったのに」と言われる始末。ですから、なんで中国に行くか、納得できる説明のないまま中国に出かける高倉健を見て、映画の観客は戸惑ってしまいますし、感情移入が難しくなってしまいます。
そして、NHKのドキュメンタリーで感動的だった、踊り手のリー・ジャーミンが泣くシーンも、テレビでは迫真の演技の理由を説明してくれたおかげで、胸が熱くなりましたが、映画では、あっさりとしたもので、肩透かしをくってしまいました。
それから、映画を見る前に私が危惧していたこと。それは、素人の中で高倉健の演技が浮いてしまうのではということでした。高倉健は後姿で演技できる偉大な大俳優です。しかし、映画を見てみますと、素人の素の演技の前では、プロの役者の演技はどうしても浮いて見えました。高倉健が、頑張れば頑張るほど違和感が大きくなります。大変だったでしょうが、高倉健と中国人の素人俳優との共演は成功したとはいえません。「あの子を探して」のように、全員素人のほうが、成功するでしょう。
「赤いコーリャン」から「活きる」「初恋のきた道」「至福のとき」など優れた作品をたくさん作りだしてきた巨匠チャン・イーモウ監督ですが、「LOVERS」あたりから、なんかおかしいですよ。オリンピックの演出など忙しすぎるのでしょうか。この次は、復活を期待したいものです。


ダンサー・イン・
ザ・ダーク
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 49

監督:L.V.トリアー  
公開年:2000年


まるでホームビデオのような手持ちのカメラ。演技を感じさせない自然なせりふ。演じる人たちの呼吸を大切にしたような、セオリーを無視した編集。
「おっ、面白そうな出だし」と期待させられるプロローグです。
でも、ビョーク演じる主人公は、悲惨を絵に描いたような境遇。「うむ、これはちょっと重そうな映画。テーマは障害を持つ親子の愛かな?」。
中盤から予想通り事件発生。そして法廷の場面へ。「こりゃ、法廷劇になってしまった。でも、何を言いたいのかテーマがわからん!」。
そして、エンディングに字幕が・・・。
「なーんだ、死刑反対を言いたかったのか」。物事を単純化して考える癖のある私は、そう納得しました。
「あー疲れた」
死刑の問題については賛否両論ある話なので、こういった映画があってもいいと思います。でも、それがテーマであれば(じゃないかもしれませんが)、私のような賛成論者でも反対論者でもない中間にいる者に、「なるほど、こういった問題もあるのか、慎重に考えなければならないな」と思わせるように作るべきだと思います。
この映画では、観客は主人公が死刑になるほどのことをしていないのを知っています。
しかし、主人公は息子への心配から、法廷では真実をほとんどしゃべっていません。また、息子を巡って複雑な事情があることから、最終的に自ら再審を拒否します。結局、物語は前向きではなく、すべて後ろ向きです。ひょっとしたら実話なのかもしれませんが、えん罪の問題提起が強引で今ひとつ観客に伝わってきません。ビョークの熱演も空回りです。
それから、この映画はミュージカルなんでしょうか、途中で歌とダンスのシーンが入ってきます。どうやら悲惨な境遇の中で主人公が夢想するシーンのようです。しかし、直前のシリアスなシーンで対決していた相手が、ダンスシーンではにこにこして出てくるのは、どう考えても違和感があります。混乱してしまいます。「アリーmyラブ」のようなコメディならいいんですが。
テーマがテーマだけに、重苦しいのは仕方がないかもしれませんが、希望はまったくありません。気持ち悪くなります。おすすめしにくい映画です。


ダンジョン&
ドラゴン
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 48

監督:C.ソロモン  
公開年:2000年


ロールプレイングゲームの元祖、「D&D(ダンジョン&ドラゴン)」を元にしたファンタジー映画。主人公は「シーフ」。ほか、「メイジ」「ドワーフ」「エルフ」「ゴブリン」そして「ドラゴン」「レッドドラゴン」など、「D&D」おなじみのキャラクターが総出演。なんと、「ビホルダー」(目玉だけの怪物)まで出てきたのにはびっくりしました。この「ビホルダー」のCG、良くできていて合成を感じさせず自然な出来上がりです。出番が少なかったのがもったいなーい・・・!
「D&D」やロールプレイングゲームのことを全く知らない人にとってはよく分からない映画だと思いますが、ゲーム好きの私にとっては、あれも出てきた、これも出てきたと大喜びの映画でした。
上に書いたように、ファンにとってはうれしい映画ですが、作りがあまりにも雑。「D&D」というせっかくのいい題材を生かし切っていません。
国を乗っ取ろうとする宰相プロフィオンの野望をうち砕こうとする女王サヴィーナに、主人公たちが協力するという設定なんですが、女王サヴィーナと主人公たちとの心理的な接点が全くありません。このため、主人公たちが協力するという意味づけが弱く、感情移入がしにくい映画となっています。
また、宰相と評議会に追いやられた女王サヴィーナが、まず先手を打ってドラゴンの大群で攻撃をするというのでは、女王の方が悪役みたいに見えます。それじゃいけないのではないでしょうか。
ボスキャラとしておなじみの「ドラゴン」もあれだけたくさん出てきたら、単なる空中戦。おもしろくも何ともありません。
解説によりますと、この映画のソロモン監督は「D&D」が大好きで初監督したということですが、ロールプレイングゲームのおもしろさを映画で表現することには成功していないと思います。ロールプレイングゲームのおもしろさとは、「シーフ」や「メイジ」、「エルフ」など、様々な能力を持ったキャラクターがパーティーを組んで協力しあい、モンスターや敵と戦っていくところにあると思います。ところが、この映画では主人公の「シーフ」を除いて、ほかのキャラクターたちの活躍シーンがありません。最後に宰相プロフィオンにやられるだけのザコキャラと化しています。それぞれのキャラクターの活躍シーンをちゃんと用意した「アルゴノーツ・伝説の冒険者たち」と比べ、かなり見劣りがします。
主人公の活躍だけを描くのでなく、パーティーの冒険を軸に据えた映画に徹すれば、もっとおもしろくなったと思います。残念!


チェチェン・ウォー
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 70

監督:A.バラバーノフ  
公開年:2002年(劇場未公開)
チェチェン紛争を舞台にした戦争映画。
ロシア軍の兵士とイギリス人の恋人同士の男女が、チェチェンゲリラに捕まる。ゲリラは、イギリス人の女性の身代金200万ポンドを要求、男性とロシア軍の兵士は解放される。
故郷に帰っていたロシア軍の兵士は、イギリス人の男性から頼まれて、身代金を渡して女性を助けるため、再びゲリラの拠点に向かうというストーリーです。
ロシア万歳のよくある戦争アクション映画だろうと思って見たのですが、意外に良くできた映画でした。
ロシア映画ですので、チェチェンゲリラは極悪非道のならず者として描かれるのは仕方がないところですが、金のためというよりゲリラへの復讐のためにゲリラの拠点に戻るロシア軍兵士と、救出を頼んだイギリス人男性、そして途中で捕虜になったチェチェンゲリラの3人がそれぞれの事情を抱えながらの道中が、奇妙な味があります。
戦闘シーンもたくさんあるわけではないのですが迫力があります。セルビアの映画「ノー・マンズ・ランド」でもそうですが、やはり今戦争をやっている国やこの間まで戦争をしていた国の人たちが作る映画は、戦争の怖さが自然と映像にしみ出してくるようです。「ノー・マンズ・ランド」ほどの強烈な反戦の主張があるわけではありませんが、この映画の終わり方は、今でもチェチェンで戦っているロシアの映画としては精一杯の皮肉なのかもしれません。
思いがけない拾いものだっただけに、ちょっと評価が甘いかもしれません。(まあ、わたしがAK好きだということも影響しているかも・・・)
しかし、身代金を横取りしようとする連邦保安局(FSB)の支部員など、ソ連崩壊後の治安が悪化している今のロシアの様子をうかがわせる表現もあり、興味深いところです。
武器に興味がある者の視点からいいますと、いろいろおもしろいものが出てきました。
まず、特殊部隊用に開発された「AS消音アサルトライフル」。貫通力の高い9ミリの特殊弾を使うライフルで写真では見たことがありますが、動く映像では初めて見ました。発射音の表現も、映画でよくある無音ではなく、現実的な消音ライフルの音でリアルでした。
また、AKMライフルの下にグレネードランチャーの「BG−15」を装着したモデルが出てきましたが、この「BG−15」を発射するシーンもちゃんと出てきました。これも初めて映像で見ましたが、「ポン」という情けない音がするんですね。
ロシアの今を描く戦争映画を見る機会はあまりないので、資料的価値から言っても貴重な映画です。


父親たちの星条旗
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 37

監督:C.イーストウッド 
公開年:2006年
最近では、俳優よりも監督としての活躍が主流になった感のある、クリント・イーストウッド監督が、スピルバーグと組んで作った戦争映画。硫黄島の戦闘を、アメリカ軍の視点から描いた、この作品と、日本軍側から描いた「硫黄島からの手紙」の2部作の1作目となります。
硫黄島の擂鉢山に海兵隊員が掲げた星条旗の写真をテーマに、戦時国債調達のための宣伝役として「英雄」に祭り上げられた3人の苦悩を描きます。
制作にスピルバーグが入っているだけに、戦闘シーンのバイオレンス度は、「プライベート・ライアン」や「バンド・オブ・ブラザーズ」を思い起こさせる過激さです。死体描写では、さらにどぎつくなって、まさにスプラッター映画。現実の戦争は、もっと「ホラー」でしょうが、映画でどこまで描くかは、意見の分かれるところです。
有名な写真にまつわる話だけに、特にアメリカ人にとっては、思い入れが違うと思います。この映画の受け止め方も、アメリカでは特に好意的ではないでしょうか。日本人から見ると、わかりにくいところもあるかもしれません。
この映画、評価が大きく分かれるのじゃないでしょうか。傑作とする人もいるでしょうし、まったくだめな人もいるでしょう。私の場合、後者です。
「硫黄島の星条旗」をテーマにした映画と、最初聞いたとき、私は「なかなかうまいところをついたな」と思いました。そのため、多少期待を持って映画館に行ったのですが、映画を見終わったとき、胸に迫るものが全くないと思いました。なぜか?それは、英雄に祭り上げられた3人の苦悩が伝わって来ないからです。
その理由はいくつかあると思います。一つは、3人を、ほぼ平等に描いているため物語が散漫になり、なぜ苦悩するかという点をしっかり描けていないということです。やはり、アメリカ先住民居留地出身の兵士ひとりに焦点を絞り、ぐいぐいとその内面を掘り下げていった方が、観客にはうまく伝わるとおもうのですが。でも、それでは、先住民以外のアメリカの観客から、そっぽを向かれるかも・・・。
二つ目には、硫黄島での戦闘と本国での戦費キャンペーンで悩む姿が交互に出てくる演出です。よくある手法ではあるのですが、これも盛り上がりが阻害される要因ではないでしょうか。本国に帰った3人が、フラッシュバックで戦場を思い出すというのも、あれだけ何度も使われると、陳腐になってしまいます。
三つ目は、戦闘シーンです。「プライベート・ライアン」で確立された手法を使って迫力満点ですが、こういう話であれば、もう少し短くてもよかったのではないでしょうか。迫力の戦闘シーンも見せたいし、3人の苦悩も描きたいし、といった感じで、まるでスピルバーグとイーストウッドが半分ずつ勝手に監督したような映画となっています。戦闘シーンは、あくまで3人の苦悩にリンクするところに絞って重点的に描くべきだと思います。
戦闘シーンは、スピルバーグの趣味の世界で、さすがのイーストウッド監督も抑え切れなかったんでしょうか、映画としてはちぐはぐな結果となりました。
イーストウッド主演の戦争映画には「戦略大作戦」という快作や、アクション巨編の「荒鷲の要塞」などがありますが、戦争映画の演出は苦手なのかもしれません。
最後に蛇足をひとつ。2作目の「硫黄島からの手紙」の予告編がついていましたが、それを見た感じでは、多少はましになるかもしれませんが、また期待はずれに終わるかもしれないという危惧を持ちました。まあ、それは、見てのお楽しみ・・・。


チーム★アメリカ/ワールドポリス
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 65

監督:T.パーカー 
公開年:2005年
あの人形劇 国際救助隊「サンダーバード」のパロディ映画。「サンダーバード」では、人を救助するが、この「チーム★アメリカ」では、世界の警察、アメリカの論理で、テロリストや巻き添えの市民を殺しまくる。
痛快、ブラック、皮肉、グロテスク、残虐、わいせつ、お下劣、変態・・・なんと形容していいか分からない「お馬鹿映画」。
上の表現でひいた人は、「絶対」見てはいけません。確か18禁なので、子どもも見てはいけません。
でも、これ面白いです。パワーがあります。
たしかに、放送禁止用語でまくりの演説(英語でよかった)や、人形同士のSEX(これは完全に倒錯の世界です)には、度肝を抜かれますが、今までに無い人形劇映画を作ろうというスタッフの熱意が十分に伝わってきます。
技術的にいうと、あれだけの多数の人形を、遠近感のあるステージで操った映画は、初めてではないかと思います。そのスケールは、「サンダーバード」を大きく超えています。さまざまな技術の進歩で、人形は表情も変えるし、しゃべるときの口パクパクもリアルです。
キャラクターで言うと、特に北朝鮮の金正日。「私は一人ぼっち」と歌うシーンは、実際のニュースでも取り上げられましたが、秀逸ですね。この悪役キャラ(実在の人物ですが)がいたから、この映画は盛り上がったと思います。映画としては、金正日に感謝といったところでしょう。
このお下劣さは、普通で言えばNGでしょうが、元々それを承知の上で作っている映画なので、文句を言う必要はないでしょう。
それから、金正日以外にも実在の映画俳優多数が、そっくりな人形で出てきて、メッタメタにやられるところもすごいですね。本人の了解は当然得ないで作っているとのことですが、野暮なクレームも来ないんでしょうね。
さて、なかなか面白い「チーム★アメリカ」なんですが、残念に思う点がひとつ。もっと、もっと笑い飛ばして欲しいんです。
確かに、現実の世界の大変重要な課題である「テロの脅威」をテーマに、テロを行う側はもちろん、テロを防ごうと血眼になっているアメリカの姿も「それはあんたの勝手な論理でしょう」と言わんばかりに笑い飛ばしています。それはそれで、面白ければいいのかもしれませんが、右も左も、そして上も下も笑い飛ばした挙句、何も残らない、そんな感じなんです。多分、映画の製作者らは、そのシュールさが狙いなのかもしれませんが・・・。
でも、この映画の感覚を、今の日本の現実に当てはめると、例えば、「自民党は変だと思うが、民主党も頼りないし、そのほかの政党もだめ。どうせ、自分ひとりが何をしても変わらないのだから、選挙なんて関心ないよ」というような、無関心層の感覚に近いような気がするのです。人々が殺しあうことの無意味さを描くという点では、この映画はいいところまでいってはいるのですが、例えばキューブリックの「博士の異常な愛情」のように、もっとブラックに笑い飛ばせれば、さらに深いところまでいけたのではないかと思います。そうすれば、この「お馬鹿映画」に、感動すら生まれる可能性はあったと思います。まあ、ガンマニアの私が言っても説得力ゼロでしょうし、無いものねだりの感もありますが、私はそう感じました。


チャーリーズ
エンジェル
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 67

監督:マックG  
公開年:2000年


毎度おなじみ、美女3人の大活躍。ファラ・フォーセット・メジャーズのTV版のイメージがあったので余り期待しないで見たんですが、これは拾いものでした。
まず、冒頭の飛行機のシーン。まあ、うまくいきすぎの感じはしますが、導入部のつかみとしては上出来です。
そのあとマンガ的な展開が続くので、途中までは馬鹿にして見ていたんですが・・・。3人3様のキャラクターを生かした見せ場、カンフーのアクションシーンもふんだんにあり、着せ替え人形の様に場面の度に変身する3人も笑えてサービス満点。3人の性格付けも変にシリアスにならずにGOOD。お馬鹿映画に徹して、最後までテンポよくあの手この手で見せてくれます。
ご都合主義のオンパレードですが、この映画の場合は最初からそんな映画だと観客も納得した上で見ているので、マルだと思います。
気楽に3人の美女の活躍を楽しめばいい映画です。
とは言ったものの、3人ともお馬鹿映画に徹して大熱演しているため、余り美女に見えないのが難点です。(もちろん美しいかどうかというのはあくまでも個人の好みですので、ファンからは怒られそうですが・・・)でも、3人ともいい感じです。


84★チャーリー
モピック
/ベトナムの照準
テーマ
脚本×2 8(16)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 76

監督:P.S.ダンカン  
公開年:1989年


ベトナム戦争に従軍したムービーカメラマン、愛称チャーリー・モピックの撮影するカメラのレンズを通して戦争の姿を描く異色作。ロングショットやクローズアップをモンタージュして構成する通常の映画と異なり、撮影されたフィルムをそのままつないだような構成になっています。あくまでも1台のカメラで撮った映像というスタイルのため、敵の姿はほとんど見えず、混乱の中でよくわからないうちに戦友が次々に倒れていくというリアルな戦争の姿が映し出されます。
ライフルの作動不良を防ぐため弾倉の弾を少な目に詰めることや、手榴弾の事故を防ぐためにテープで固定すること、水筒の水をいっぱい詰めて音が出ないようにすることなど、細かな描写がいっぱいで、軍事マニアも満足させる出来となっています。
声高に主張するといった映画ではありませんが、当時の戦場に実際に投げ込まれたような感覚を与えてくれる映画で、戦争の悲惨さや空しさもよく出ており私の好きな戦争映画の一つです。

戦場カメラマンの撮影した映像で最初から最後まで通すという設定が面白いこの映画ですが、中盤でちょっと無理があるシーンが1〜2か所あり、残念なところです。


ティアーズ・オブ・ザ・サン
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 37

監督:A.フークア  
公開年:2003年

内戦が激化するナイジェリアで医療活動をするアメリカ人女性を救出にいくアメリカの特殊部隊「SEALS・・?」の戦いを描く映画。ブルース・ウィリス演じる特殊部隊の隊長が苦悩し、命令に背いていきます。
ブルース・ウィリスをして「こんな映画にこれからも出たい」と言わせた映画だとか・・・。さすがに特殊部隊の立ち振る舞いなど、よく再現されていますが・・・・。
9・11のあと、この手の映画ってたくさん出てきていますね。特に今(2004年4月)イラクで戦っているアメリカの姿がどうしてもオーバーラップしてきて、「アメリカは世界のために戦っている」というプロパガンダがぷんぷんと臭ってきます。
まあ、娯楽映画として楽しめればいいのかもしれませんが、それも映画としての基本がちゃんと作り込まれていた場合の話です。
この映画は、そのあたりがいい加減です。だいたい、最初から命令を破る特殊部隊の指揮官という設定があんまりです。人道的な判断だということかもしれませんが、軍隊、それも隊員を厳選し、様々な精神的訓練も受けた特殊部隊のリーダーが、そのような判断を下すのは、はっきり言って「判断ミス」でしょう。
物語は、その「判断ミス」に最後まで引きずられ、ぐちゃぐちゃになっていきます。
最後には、傍観していたアメリカの首脳部が、ちゃんと救いの手を差しのべるという「ご都合主義」で終わり、「なんちゃって特殊部隊アクション映画」になってしまいます。
「ダイ・ハード」(1作目)という、アクション映画のひとつのお手本ともなる傑作映画で名を上げたブルース・ウィリスさん。この次は、もうちょっとましな映画を選んだらどうですか。


ディボーシング
ジャック
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 67

監督:D.キャフリー  
公開年:1998年


映画にはどうしてもその国の香りがありますね。そういう意味では、紛れもないイギリス映画です。北アイルランドの政治情勢の中で、殺人事件に巻き込まれたタブロイド紙の「のんだくれ記者」のどたばたを、かなりブラックなユーモアで包んで描いた作品です。
町で知り合った女子大生が死ぬ間際にいった「ディボーシングジャック」という言葉を手がかりに「のんだくれ記者」が独自の調査を進めるという、サスペンス調の物語は定石通りとはいえ、良くできていると思います。
「のんだくれ記者」のいいかげんさもよく出ていますし、いつもムスッとした表情でとんでもないことを言い出す奥さんなど、いい味を出しています。
最近のアメリカ映画などと比べると地味な作品ですが、私はこんなの割と好きです。

びっくししたのは、可笑しい話で笑わしたあと、簡単に人の命が奪われるという、この展開。イギリス流のユーモアというかブラックユーモアというか・・・。好きな人にはたまらないんでしょうけど。この映画の場合、リアリティを損なうというか、リアリティとは別物というか・・・私は違和感を感じました。どうもこのあたり私にはイギリスがよく理解できません。


DEATH NOTE デスノート 前編
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 52

監督:金子修介 
公開年:2006年
息子が見るかもと思って、レンタルを借りましたが、息子はまったく興味を示さず、自分ひとりで見ることになりました。とほほ…。
マンガが原作の実写版の映画。殺したい相手の名前を書き込めば、実際にその相手が書いてあるとおりに死ぬという不思議なノートを手にした若い男が、まるで自分が神(というより死神)になったように、次々に殺人をしていくというお話。
普通だったら、死神のノートを手にした苦悩を描くところですが、映画では、最初こそ犯罪者や悪人を殺していた男が、すぐにそれ以外の人間にまで範囲を広げて、殺しまくるところが、さすがマンガが原作だと面白く感じました。こんなストーリーは、脚本を練りこむハリウッド映画では、NGになるところでしょうが、基本的に一人作業のマンガの場合の強みともいえます。
まあ、ストーリーは原作からかなり変えてあるようですが、映画は映画、マンガはマンガ、小説は小説と、まったく違う表現手法ですので、原作を映画的に変えることは、基本的にはOKだと思っています。
でもこの映画、2部作の前編だったんですね。そんな予備知識もなく見てしまいましたが、主人公の藤原竜也もはまり役で、まあまあ楽しめました。
テーマ的にはやや幼稚ですが、上にも書きましたように、マンガが原作の勢いみたいなものがあり、私は面白いと思いました。
でも、主人公が殺しまくるだけに、CGで出てくるリュークがまるで善人みたいに見えて不思議でした。
今のところ、後編も見てみたいなと思っています。


デトロイト・メタル・シティ
テーマ
脚本×2 2(4)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 42

監督:李闘士男 
公開年:2008年
人気漫画の実写版映画。おしゃれなポップミュージックの歌手を目指して大分から東京に出てきた、ちょっとシャイな主人公が、自分の意思に反して、なぜか悪魔系のデスメタルで人気が出てしまい…というドタバタコメディ。これだけでも、面白そうな設定で期待できそうです。
まず音楽。主演の松山ケンイチが本当にギターを弾いているのかどうか知りませんが、なかなかの演奏ぶりです。私自身ヘヴィメタルの曲は好きですので、映画として見れば満足できる仕上がりと思います。そして演奏ぶりを含めて、松山ケンイチは、ポップを歌うときのなよなよとした感じと、デスメタルのときのきわどい演技が面白く、なかなかの熱演ぶりです。また脇役では、女社長の松雪泰子も、汚いスラングを連発して頑張っています。それと対照的に、母親役の宮崎美子の肝っ玉母さんぶりもなかなかのものです。また、追っかけの若者たちもがんばってくれます。
それやこれやで、この映画は、そこそこ笑えて楽しめるんですが・・・「コメディ」は難しいです。
ひとことで言いますと、この映画は、ここぞというところで「笑いのツボ」を「ことごとく外してくれます」。というか、笑いを取るためのだんどりが、9割まではいくんですが、あと1割を描いていないため、100パーセント笑えないのです。「コメディ」というのは、ある意味では、笑いの定石を着実に積み重ねていく職人芸が求められると思うのですが、それが足りないのです。例えば、女社長の松雪にしても、最後で松山ケンイチ演じる主人公に対する真摯な思いを描くのであれば、その前にその伏線となる印象的な描写が必要です。マンガ的なキャラクターを描くだけでは足りません。女社長が、主人公の隠された才能を見出すくだりが、映画ではまったく省略されています。映画というものは省略も必要ですので、そのようなやり方もあります。しかし、この映画の場合は省略せずに、例えば、女社長が若い才能を発見して目をキラリと光らせるシーンとか、自分の夢を若者に投影する女社長の哀しさといったようなものを、映画の前半部分に入れる必要があるのではないかと私は思います。そういう描写があってこそ、最後の部分で観客は女社長に十分に感情移入できるのです。でも、この映画では、せっかくの盛り上げどころで、表面的、観念的に流れてしまいます。
また、主人公の松山ケンイチについても、ギャップに苦しむ姿の描写が足りません。マンガ原作のコメディ映画だから、おかしなセリフとおかしな格好をすれば笑ってくれると思うと大間違いです。ここぞというところでは、ある意味では主人公の悩みをシリアスに描くことが求められます。そうすることによって、笑いのあとに、感動や人生の深みを感じさせることができるんです。最近のテレビでは、ピン芸人が出る色んな番組が花盛りですが、テレビでは一発芸で笑いを取るだけでいいかもしれませんが、コメディ「映画」としては、失格です。
エンディングのオチについても、(もちろん詳しくは書けませんが)、私はずっこけてしまいました。よくあるパターンではあるのですが、あれでは小学生レベルのオチです。
息子に聞きますと、マンガのほうは、かなり良い出来だそうですので、結局のところ、映画のほうは脚本が物足りないのかもしれません。いずれにしても、あと1割が足りないのですから、それさえ加われば「42」点が倍の「84」点になる可能性を秘めた映画です。そこが残念ですね。


デビルマン
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 66

監督:那須博之 
公開年:2004年
ご存知、永井豪の漫画「デビルマン」の実写版。
テレビアニメの「デビルマン」ではなく、漫画版の「デビルマン」を元にした映画です。
一緒に見た、息子によりますと、原作とは違う部分も多いですが、全体的な印象としては、おおむね原作に忠実な映画化だということです。でも、そのようなことはどうでもいいことです。
この映画、いろいろけなす評論も多いようですが、なかなか面白い映画です。
もちろん突っ込めるところはいくらでもあります。チャチなところも多いし、しらけるところもあります。
でも、こんな映画、今のハリウッドに作れますか?
(ネタばれ注意)
原作がそうだからですが、最後に人類が滅亡するというのは、ある意味で小気味いいし、ものすごく日本的でもあります。
たしかに、前半はもたつく感じですが、中盤からは、永井豪の世界が展開されます。小児的なエロ・グロ・ナンセンスな(表現が古いですね)世界は、独自の世界です。
デビルマンの苦悩も良く分かるし、悪のライバルとしてのサタンもなかなかかっこいいです。
もっと深読みすると、戦後のアメリカ社会の象徴ともいえるキリスト教的価値観への嫌悪と、親近感のごちゃ混ぜになった複雑な感情が伝わってきます。まあ、戦後の日本人に共通した感情とも言えるかもしれません。
もっとちゃんと作って欲しかったところ。まず、あれだけのサタンやデーモンからの攻撃を受けながら、日本の政府側の反応がまったく描かれていないところ。予算に限りがあったのかもしれませんが、原作の漫画にはそのような描写があったらしい(息子の話によると)ので、描いてほしかったところです。そうでないと、まるで局地的な話にしか思えません。そのあたりがチャチに見える部分ではあります。
それと、一番の見せ場は、デビルマンとデーモンたちの戦いですが、それが少なかったのが残念です。
デビルマンのCGの造形も、やや漫画的ではありますが、それは、原作のイメージを損なわないためには、仕方ないかったかもしれません。
コアなファンには物足りないかもしれませんが、永井豪の世界は十分堪能できる映画です。


デモンズ・ウォー
戦場の死神
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 63

監督:ヴラド・バシコウスキー
公開年:1998年

これは珍しいポーランドの戦争映画です。それも現代の平和維持軍の活動を描いたアクション映画です。
NATOの傘下に入ることを熱望しているポーランド軍の状況も描かれているし、戦闘への恐怖から上官に反抗する兵士の姿も今の時代だったらそうだろうなと思わせます。
基本的にはアクション映画なので戦闘シーンもふんだんにありますし、上層部の命令を無視して墜落したヘリコプターの救出に向かう指揮官はかっこいいし、ゲリラ組織は極悪非道と単純に描かれていて分かりやすいし、戦場の恋もあったり、裏切りによるどんでん返しがあったりと、十分楽しめる作りとなっています。
また、軍事に興味を持つものとしては、現代ポーランド軍の装備もよく分かりGOODでした。

平和維持軍がそこまでやるかというストーリーではありますが、娯楽映画としては、まあ仕方がないところでしょう。
それと、物語の展開や演出が、この類のアクション映画の定石を踏んで作られているだけに、分かりやすいと言えばそうですが、逆にどこかで見たような話、展開となっており、新鮮味に欠けるのも確かです。
まあ類似するアメリカ製などのお手軽に作られたアクション映画と比べると、いくらかはマシですが・・・。
銃器に関しては、ライフルがPMKMSやKAWZ88などの新型ではなく、古いPMKSなのはご愛敬。スナイパーがSDVドラグノフではなく、ルーマニア製のFPKらしきものを持っているのは珍しい。


天国の口、     終わりの楽園。
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 61

監督:A.クアロン  
公開年:2002年
日本では珍しいメキシコ映画。メキシコではかなりのヒットを飛ばした映画とのことです。雑誌の映画評に惹かれてビデオを見ました。
17歳の高校生の男の子2人と年上の女性との「ひと夏の思い出」といった趣の映画。
周りの女の子がみんな遊びに行って何となく退屈な夏休み。男の子が冗談で言った架空のビーチ「天国の口」の話に、年上の女性が乗ってきて、3人で「天国の口」に車で行くはめに・・・。
ここからがロードムービーの趣があり、なかなかいい感じ。年上の女性に興味津々の2人ですが、逆に年上の女性にリードされ、2人の男の子はいずれも女性と関係を持つことになります。
さて、あてもなく車で行き着いたところが、なんと本当の「天国の口」。きれいなビーチで楽しむ3人。でも別れが・・・。
男女3人の旅の映画ですが、全編にそこはかとなく哀愁というか、切なさがあり、もし自分が十代の時に見たらはまったと思います。
映画評に対する私の理解の仕方が悪かったのかもしれませんが、思っていた映画とはちょっと違いました。
なかなかいい雰囲気の映画で、これはこれとして悪くはありません。でも、「性」「セックス」の捉え方としては、オーソドックスで叙情的。結局「ひと夏の思い出」の域を出てはいないと感じました。
ここで言うのもなんですが、私はもっと「性の奔放さ」が前面に出ているものと思っていました。年上の女性にどぎまぎする若い男の子2人。その中から「性」というものが持ついろいろな側面をさりげなくえぐり出していく。そのような映画を期待していただけに、ちょっとがっかりしました。「そんなないものねだりをしても」と言われそうですが、そこまで迫って欲しかったと私は思います。


DENGEKI 電撃
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 66

監督:A.バートコウィアク
公開年:2001年


毎度おなじみ、スティーブン・セガールおじさんの痛快アクション映画。メチャクチャ度はさらにパワーアップ、「いくら何でもそれはないんじゃない」というシーン続出。銃は撃ちまくるわ、お約束のカーアクションも壊れた車の数30〜40台(数えていないんですが、もっと多かったかも)という迫力満点の出来、合気道の技もいつもながらの鮮やかさ。天下無敵のスーパーヒーロー。ファンにとっては、そこがいいんですよね。
「警察内部に不正があり、それを主人公が倒していく」というストーリーは、見飽きるほど見ましたが、今回はそれにひとひねり加えてあり、私はおもしろかったと思います。
大阪弁の変な外人(古い表現ですが・・・)のスティーブン・セガールおじさん。いつまでもパワーを失わずがんばって欲しいものです。
今回は、これまでにも増してアクションの連続。最後まで一気にいく作りは悪くはないと思います。しかし、その結果ドラマ部分は弱くなってしまいました。今回はアクションでいくと決めたら、ある程度仕方ないのかもしれませんが、女性署長や生まれたばかりの赤ちゃんのいる正義感あふれる黒人警察官などとの絡みは、表面的でちょっともの足りません。アクションのテンポをスポイルしない範囲で、もう少し描いた方がいいような気がします。
それから、最後の「下ネタ満載のトークショー」でずっこけてしまいました。あれは何ですか? エンディングでセガールが突然エコロジー問題を訴えた「沈黙の要塞」に次ぐ位のずっこけです。おもしろい試みと見ることも出来るでしょうが、あれで完全にセガールがぶっ飛んでしまいました(大笑い)。


トイストーリー2
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 62

監督:J.ラセッター 
公開年:1999年


悪いおもちゃ屋に盗まれて売り飛ばされようとするカウボーイ人形ウッディを助けようと、宇宙レンジャー人形のバズたちが大活躍。
ヒットしたフルCGアニメの続編。画面の美しさはさらにパワーアップ。子供とおもちゃとの心の交流を描いた前作とは違って、今度は救出劇を中心に据えてテンポよく物語が進む。パート2の作り方としては「エイリアン」などと同様、定石通りの作りとなっていて、成功した方だと思います。
ストーリー上仕方がないんですが、前作と違って今度は大人の人間の顔もでてきます。このため前作ではあくまでも子供の世界の話だったんですが、今度は世界がもっと広がりました。従っておもちゃと子供のふれあいの話はほとんどなくなり、アクション面が強調されています。
前作ででてきたおもちゃの悲しみが薄れてしまって、物語の深みがなくなってしまいました。ちょっと残念です。


トイ・ストーリー3
テーマ
脚本×2 8(16)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 77

監督:リー・アンクリッチ 
公開年:2010年
「トイ・ストーリー」シリーズの3作目。1作目、2作目も素晴らしかったんですが、この3作目を作るために、前2作があったのではないかと思わせるほど、「トイ・ストーリー」のテーマを雄弁に物語っています。
「別れ」「仲間」「友情」「愛」…といった映画はもとより、小説や漫画などの創作で普遍的に語られるテーマが過不足なく、見事に描かれています。
特に最後の「別れ」。誰もが持っているおもちゃとのふれあいの記憶がよみがえり、胸に迫るものがあります。私の周囲の人に聞いても、涙が止まらなかったという声が多いです。
1、2作目の監督ジョン・ラセターのときは、どうしても子ども向けということへのこだわりを捨てきれず、大人の鑑賞という面では、今ひとつだったんですが、新監督に代わり、ターゲットをぐっと大人に持ってきたような気がします。でも、もちろん子どもも十分楽しめる作品であることはいうまでもありません。
今回の大きなテーマが「別れ」ということもあって、人間の描写も増えていますが、その動きがこれまでと比べて格段に進歩しており、そこも見どころの一つです。
1作目から相変わらず、おもちゃたちは、あっちに行ったりこっちに行ったりと大忙しです。中盤、ちょっとだれそうになるところはありますが、終盤に近くなるにつれて画面に釘付け。お勧めです。
でも、「トイ・ストーリー」シリーズは、これで「お別れ」になるんでしょうか。もし、そうだったらさびしいですね。



東部戦線1944
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 58

監督:N.レベデフ  
公開年:2002年
「東部戦線1944」という安直な邦題。DVDケースに出ていた現ドイツ軍のレオパルドT戦車改造のパンサー戦車もどきの写真、そして、ロシア映画・・・。これは、久しぶりに「大外し」の映画かなと「変な」期待をして見てみました。
しかし、中味は意外とオーソドックスでまじめ(?)な戦争映画でした。
反攻のための軍団を終結させているドイツ軍の状況を探るため、新たな偵察隊が組織されます。これまで出された偵察隊は、大きな被害を出しており、主人公の中尉と古参兵1人の2人しか残っていない偵察隊に、4人の補充兵が配備されます。歴戦の古参兵、猟師出身の射撃の名手、付近の地理に詳しい兵、そして、ドイツ語がしゃべれる若い兵士。このあたりの設定はおなじみのものですが、割としっかり描き分けてあり好感が持てます。
そして、偵察隊の潜入!
偵察が任務のため、交戦は避け、捕虜もとらずに進んでいく姿は、派手な銃撃シーンはありませんが、緊張感もあり、リアリティがあります。
主人公の中尉に思いを寄せる無線担当の女性兵士が、無線で必死になって呼びかけるシーンも、途中で挿入され、戦争という大きな波に飲み込まれた兵士たちの哀しさが、よく出ています。
全体的な作りとしては、やや地味で、型どおりの構成で新味はないかもしれませんが、偵察隊の動きを克明に見せるなど見所もあり、ちょっと気になる映画ではあります。
わけの分からないナレーションというか、モノローグが、ところどころで挿入されるのは、いかにもロシア映画風。最後になって、しゃべっているのは、偵察隊の上官だと分かりますが、なぜ彼のモノローグが入るのか理解に苦しみます。このあたりは、なかったほうが良かったのではないでしょうか。
原題は「STAR」。偵察隊のコールサインであり、劇中でも何度も「スター応答してください」というセリフが入ります。また、実際に星空を見上げるシーンもあります。地味なタイトルですが、邦題の「東部戦線1944」よりは味があると思います。なによりも、「東部戦線」と呼んでいるのは、ドイツ軍のほうでしょうから、私はドイツ軍が主人公の映画かなと、最初勘違いしていました。
登場する兵器ですが、大きなものからいいますと、ソ連側が「T34/85戦車」多数。ドイツ側が、「T44(またはT34)改造のタイガーT戦車」多数。ハノマーク・ハーフトラック(実物かどうか不明)そして、実物のケッテンクラートなど。小火器は、ソ連側がおなじみの「モシンナガンライフル」、「PPSh41サブマシンガン」、「TT1933トカレフピストル」そして、映画でははじめて見た「PPS43サブマシンガン」などです。特に「PPS43サブマシンガン」の射撃シーンは軽快で興味深いものでした。ドイツ側は「モーゼルライフル」、「MP40サブマシンガン」、「MG34マシンガン(ひょっとしたら改造かも)」、「P−38ピストル」、「P−08ピストル」など。派手な銃撃戦は、最後だけですが、なかなか見せてくれます。
それと、偵察隊が着用していた迷彩スモック、あのような迷彩が実際にあったか分かりませんが、興味深いものでした。
最初に書きました「レオパルドT改造のパンサー」は、多分「遠すぎた橋」からの借用だと思います。劇中では登場しません。


DOOM 
ドゥーム
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 61

監督:A.バートコウィアク 
公開年:2006年
PCゲームのFPS(ファースト・パーソンビュー・シューティング 一人称視点シューティング)の初期の傑作「DOOM」の実写版SFアクションホラー(?)映画。
ゲームの「DOOM」は、FPSの原点といわれる「ウルフェンシュタイン3D」に続いて、「idソフトウェア」社が送り出したゲームで、当時、夢中になって遊んだ覚えがあります。ゲームでは、2005年に[DOOM 3」が発売されましたが、映画はどうやら、この「DOOM 3」を元に作られたようです。
実は、「今頃なんでDOOMの映画を出すの?」といった感じで、あまり期待しないで見たんですが、この映画、ちゃんとできています。
元々が、ストーリーなんて、ほとんど無いに等しいゲームの映画化ですので、物語はシンプルの一言。火星の研究所で緊急事態が発生し、封鎖のために軍隊の精鋭が送り込まれます。そこではある実験が行われており・・・といった物語で、SF映画では、これまで何度も見たことのある設定。普通でしたら、面白くない映画になりそうですが、主人公と姉の確執や送り込まれた隊員同士の対立などを、ほどよく描きながら、シンプルに戦いに焦点を絞った展開で、面白く見ることができました。
また、この映画の大きな話題は、物語のクライマックスで、ゲームと同じファーストパーソンビュー(一人称視点)になることです。これは、思わず拍手したくなるぐらい、ゲームの雰囲気を伝えています。単調になりがちな映像に変化を与えて、面白い演出だと思います。でも、同じ手は2度と使えないでしょうけど・・・。
残念なのは、敵のモンスターがあまり魅力的ではないことです。感じとしては、「バイオハザード」と似たようなものです。ゲームの「DOOM」、特に初期のものでは、さまざまなタイプのモンスターが次々に出てきて、そこがゲームの面白さの一つでした。映画ですから、ゲームと同じようにはできないのは分かっていますが、ゲームのファンも納得の一工夫があってもよかったのではないでしょうか。
なお、劇中で使われる銃器は、G36アサルトライフルなどをベースにした未来銃で、「エイリアン」の海兵隊などで使われたものにも似た、おなじみのものです。その中で、いかにもゲームらしい、ど迫力の未来銃が出てきますが、ストーリーの中での、この銃の使い方も、もったいない感じですね。もっと、活躍させないと・・・。


トゥームレイダー
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 50

監督:S.ウエスト  
公開年:2001年


ご存じ、人気アクションゲーム「トゥームレイダー」の実写版映画化。このゲーム、私は体験版を少ししかやったことがなく、よく分からないんですが、肝心の主人公ララ・クロフトの雰囲気をアンジェリーナ・ジョリーがよく出していると思います。ゲームのキャラにそっくりのあの胸は作り物ですか?それとも本物?
まあ、ララが余りにも強すぎますが、それは笑って許してあげましょう。ゲームバランスが必要ですから、簡単に死んでしまってはいけません。でもトレードマークの左右のホルスターに入れた2丁拳銃姿がもっと見たかった気がします。
最初のつかみは(バレバレかな・・・)まあまあですが、その後がいけません。せっかくゲームをネタに映画を作るんですから、「トゥームレイダー」のゲームのように、謎解きとスピード感を交互に織り交ぜ、ハラハラ、どきどきの映画にした方がいいと思います。そうです。あの「ロード・オブ・ザ・リング」で成功しているように・・・。
父親との話を持ってくるのは悪くはないかもしれませんが、そちらにとらわれすぎて映画のテンポが悪くなりました。
アンジェリーナ・ジョリーをかっこよく描くことに力を入れる余り、全体的な映画の出来としては中途半端なものになっている気がします。


特攻野郎Aチーム THE MOVIE
テーマ
脚本×2 2(4)
演出×2 2(4)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 27

監督:ジョー・カーナハン 
公開年:2010年
私は見ていないのですが、テレビシリーズ「特攻野郎Aチーム」の映画版です。といっても、テレビ版のほうはかなり昔の話で、まあ、ネタに困って昔ヒットしたテレビシリーズをリメイクしたら・・・といった安易な企画のように見えます。
Aチームの4人のキャスティングは、最近アクション映画などにひっぱりだこの、リーアム・ニーソンとか、「第9地区」でいい味を出していたシャルト・コプリーなど、個性的な4人を持ってきていてなかなかはまっています。アクションもVFXを使いまくったど派手なシーンの連続で息をつかせぬテンポ・・・でもあんまりですよね。
テレビ版もこうだったのかどうかは知りませんが、全編、お馬鹿なシーンで笑わそうというアクションコメディ。元々、この類の映画にシリアスな映画のようなリアリティを求める気はありませんが、やりすぎです。(ネタバレ注意)冒頭の拳銃のファイアリング・ピンをスライドの後部から挿入する「訳のわからない」シーンから、極めつけは、落下する戦車の落ちる方向を戦車砲を発射した反動で変えながら飛行し、無事に湖に着水させるという、「そんなのないだろう」といったシーンなど、とんでもないシーンの連続です。
「お馬鹿映画だから、そんなのどうでもいいじゃないの」「細かいこというなよ」という意見もあるでしょう。でも、そのお馬鹿な演出が、映画の魅力につながるならそれでもいいですが、この映画の場合、お馬鹿なシーンの連続で、緊張感も消し飛び、しらけてしまいます。同じように、「そんな馬鹿な」といったシーン満載でも、それが良質のコメディにつながった「ナイト&デイ」とは、雲泥の差です。


トラフィック
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 65

監督:S.ソダーバーグ
公開年:2001年


メキシコとアメリカにまたがる麻薬組織を撲滅するために苦心するメキシコのある捜査官とアメリカの撲滅組織のトップの話。日本でも最近はドラッグがかなり浸透しつつあるようですが、さすがにアメリカの場合は深刻。最初のところで、アメリカの抱える悩みが良くでています。
雰囲気はかなりドキュメンタリー風。この場合は映画に良く合っていると思います。メキシコとアメリカに交互に話が飛びますが、メキシコはセピア系、アメリカはブルー系と最初の部分の色合いを変えるという斬新な試みのおかげで分かりやすくなっています。
みなさんも言っていますが、メキシコの捜査官役のベニチオ・デル・トロがいい味を出していますね。
ドラッグという困難な問題に取り組んだ意欲作と言えます。

なかなかがんばっていますが、見終わった感想として、「良くできているけど」「強い印象が残らない」といった感じです。
なぜなんでしょうか。ひとつは、マイケル・ダクラスの部分の解決の仕方がステレオタイプというか、月並みでおもしろさに欠け、感動につながらないということもあります。家族が大切なことは分かりますが、だから家族を取って仕事を捨てるというのでは、この映画のテーマとして安易すぎると思います。もう一ひねり欲しかったところです。
それと、最初アメリカでの密売組織への手入れのシーンでかなり迫力のある銃撃シーンがあり良かったと思いますが、その後ほとんでなくなります。アクション映画ではないのでというのかもしれませんが、中程のメキシコの組織の壊滅作戦のところで、もう少しアクションシーンがあったほうがいいのではないのでしょうか。そのあたりが、良い映画なんだけで、いまひとつ引き込まれないところかもしれません。


どら平太
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 64

監督:市川崑  
公開年:2000年


さすが市川崑監督、普通の映画は作りませんね。
物語は、とある小藩の不正を暴くという密命を帯びて赴任した新任の町奉行の、型破りの活躍を描く痛快な時代劇。
「四騎の会」(黒澤明、木下惠介、市川崑、小林正樹)の巨匠4人の手による脚本は、講釈風で古き良き時代の時代劇(変な表現ですが・・・)の味わいがあっていいですね。役所広司演じる新任町奉行も、小気味いい口上をまくし立て物語をぐいぐい引っ張ります。脇を固める共演陣の顔ぶれも豪華。楽しめる作品に仕上がりました。

さすが市川崑監督、普通の映画は作りませんね。でもなんか変。
主役の役所広司、しゃべりすぎませんか。もちろん彼の責任ではないのですが、脚本に映像がついてこないような気がします。
それと、対決すべき悪の存在があやふやです。抜け荷やばくちが横行する「壕外」と、それにつながる藩の重臣たちをもっと怖く描くべきです。「壕外」なんか「悪の巣窟」としてもっと誇張して表現できなかったものでしょうか。人間味のある悪役として描きたかったのかもしれませんが、悪役としてはちょっと小粒です。
いい雰囲気でおもしろく見せてくれるんですが、全体的に迫力不足。「雨あがる」にも通じるんですが1800円出して見てみようという気にさせるにはちょっと・・・・。


トランスフォーマー
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 58

監督:M.ベイ 
公開年:2007年
日本発の変形ロボット玩具から発展した「トランスフォーマー」シリーズ初の実写映画。
「キューブ」と呼ばれるエネルギー体?を巡る異星の機械人間?の戦いに巻き込まれた人間達の苦闘と愛を描きます。「ET」などを監督したスピルバーグが製作総指揮をしているだけに、物語では子どもにも分かりやすいように、正義の機械人間と悪の機械人間に分けられ、正義の機械人間が地球人を救い、心の交流が生まれるという過程が描かれます。
この映画の売りは、なんといっても「トランスフォーム」。車や航空機などからロボットへの変身、変形です。最新のCG技術を駆使して、実写映像と合成した画面は迫力満点で、特に最後の大戦闘シーンは、これまでにあまり見たことのない世界を出現させました。そんな中で、一番楽しかったのは、主人公の少年の自宅での、トランスフォーマーたちのかくれんぼ。笑わせてくれます。
大迫力のCG画面に圧倒させられますが、物語としてはベタです。途中でパロディや観客サービスを随所に盛り込んだ脚本は、手馴れたもので、楽しませてくれますが、ちょっとなんか物足りない。例えば、同じように異星人との交流を描いた「ET」などと比べると、話がこじんまりとまとまっており、感動というか、感じるものが足りません。娯楽作として作ったんだよと言われればそれまでですが、そんななかに「心」を込めるのが、優れた映画というものだと思います。かつての、スピルバーグと比べると(製作総指揮で、監督はマイケル・ベイですが・・・)、子ども向けのお手軽映画になってしまいました。
それと、「キングコング」でも書きましたが、CG技術でなんでも作れるとはいえ、物理の法則をあまりにも無視した描写が目立ちます。「SFだから」「空想の物語だから」といっても、それだけに必要最小限の「リアリティ」は守らないと、物語の緊張感が損なわれます。あんな速度で、トランスフォーマーと落下したら、たとえ路面に激突しなくても、人間は死んでしまいます。「それはあんまりだ!」といわれないような、演出の工夫が必要だと思います。それに、最後の戦闘シーンは、あまりにも長すぎます。「ブラックホーク・ダウン」ほどではないにしても、「延々と続く」といった感じです。ここも、途中でひと工夫必要だったと思います。
遊園地のアトラクションと一緒で、楽しかったけどあとにあまり残らないといったところでしょうか。続編も作るんでしょうが、どうも商売が先にたった映画ですね。


トランスポーター
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 40

監督:L.レティエ  C.ユン  
公開年:2003年
元軍人の運び屋が、自らのルールを破って依頼品のバッグを開けたところ、中から美女が・・・。なかなかおもしろそうな出だしではあります。
派手なカーアクション、迫力ある銃撃戦、次から次に展開するアクションなど、最近のリュック・ベッソン製作/脚本の映画に共通するイメージを感じさせます。
主人公の運び屋を演じているジェイソン・ステイサムは、「ゴースト・オブ・マーズ」にも出ていたんですね。その時はあまり目立たなかったけど、この映画では、ちょっと気になる存在ではあります。
おもしろそうな出だしですが、その後がいけません。
リュック・ベッソンが、自らの頭の中にひらめいたアイデアをうまく脚本に出来ず、それに引きずられ、演出の方もめちゃくちゃといったところでしょうか。
元々、クールなはずの運び屋が、依頼品のバッグをあけること自体がおかしいです。これを観客に違和感なく納得させるためには、よっぽどうまく理由づけしないといけませんが、そのあたりがいい加減です。
これに限らず、その後のストーリーの展開は、おもしろそうなアクションシーンを見せるために、ご都合主義の話をつぎはぎしただけといった感じで、物語が進むにつれてだんだんしらけていきます。肝心の運び屋と美女との心理描写がおざなりなため、観客を飽きさせないようなアクションが次から次に展開されるだけの映画になってしまいました。
最後に、ネイビー・SEALS仕様のショートバージョンのSIG552ライフルは映画では初めて見ましたがかっこよかったです。主人公は敵を盾にして弾を防いでいましたが、サブマシンガンに使われるピストル弾と違って、一応ライフル弾なので人体は貫通すると思うのですが・・・。
いずれにしても詰めの甘い映画です。


トリプルX
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 59

監督:R.コーエン  
公開年:2002年


「007はもう古いよ」とばかりに、従来の正義の味方のイメージとはちょっと違う新しいキャラクターのシークレットエージェントが登場するスパイものアクション映画。
主演のヴィン・ディーゼルのマッチョぶりにびっくり。でも、ちょっぴり「かわいい」感じで意外と魅力的です。
雪崩のアクションやカーアクションなど、「ちょっとそれはあんまりなんじゃない」というシーンが続出。「M:I−U」と似ていますが、元々がマンガチックな話なんで許せる感じです。まあ、楽しく見せてもらいました。
主人公をシークレットエージェントに仕立てる国家安全保障局のエージェント役のサミュエル・J・ジャクソンは、とってつけたようなキャラクターでいまいちです。ちょっとシラケますね。
それから、「007」のパロディみたいな感じで、いろんな秘密兵器が出てきますが、この使い方も「007」と比べるといまいちです。ネタばれになるので詳しくは述べませんが・・・・。せっかく「007」を食ってやろうという企画であれば、もう少しがんばってほしいと思います。
狙いとしては面白いので、たぶん出てくると思われる続編に期待したいところです。


トレンチ 塹壕
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 31

監督:W.ボイド  
公開年:1999年


第一次世界大戦のソンムの会戦を舞台に、突撃前夜のイギリス軍兵士たちの塹壕での極限状態を描いた映画。敵陣の機関銃座に向かって突撃を繰り返し大量の戦死者の山を築く悲惨な戦い。生死を分けるのは運だけという状況の中で古参兵や新兵のドラマが展開される。
敵兵をほとんど出さず、最後の突撃シーン以外はほとんど塹壕の中での物語というのも、この場合は良いと思うんですが、ちょっと中途半端でしたね。

あの悲惨な突撃があるからこそ、突撃と突撃の間の塹壕での待機が気が狂わんばかりに怖いんだと思うんです。その意味では最初に突撃シーンが少なくとも1回はないと、塹壕での怖さが伝わって来ません。その怖さを出したかったはずなのに・・・。単なる青春物みたいな感じになってしまいました。
「西部戦線異状なし」の一部を単純に切り取って、そのまま映画にしたような中途半端な感じで、エンドタイトルが出たときに「えっ、これで終わるの?」と思いました。
それから余談ですが、ソンムの会戦といいますと、初めて戦車(マークT)が登場した戦いで、ちょっぴり期待したのですが、やはり出ませんでしたね。


トロピック・サンダー/史上最低の作戦
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 41

監督:ベン・スティラー 
公開年:2008年
戦争映画の撮影隊が現実の戦場と知らずにトラブルに巻き込まれるという、かなり下品な、パロディいっぱいのお馬鹿映画。
ストーリーは、ベトナムでの英雄を主人公にした実録映画を撮影していた監督が、制作費を使い果たしたため、俳優達を東南アジアの麻薬地帯に放り込んで、撮影を再開。それと知らない俳優達は、実際の戦場でドタバタを演じるといった話。
プロットだけを見ると、面白そうな設定で、期待して見たんですが・・・・。
この映画の見どころは、実際の戦場とは知らない俳優達が、「偶然」や「知恵」や「努力」でいかにトラブルをすり抜け乗り越えていくかを、映画的に見せるというところにあると思います。それが成功するためには、綿密な脚本ときめ細かな演出が求められます。お馬鹿なコメディだから何でもあり・・・といった製作態度では成功は望めません。
この点について、この映画はかなり大雑把です。第一、俳優たちの空砲の銃とエフェクト用の爆薬に対する麻薬組織側の銃は本物のはずですが、これが全く当たりません。コメディですから、ある程度は認められるのですが、あれではあんまりです。銃が怖くありません。(ネタバレ注意)麻薬組織のボスが子どもというのも、何かのパロディなのかもしれませんが、これも怖さをスポイルするものです。怖さを十分描くことによってコメディも生きてくるのではないでしょうか。
それと、下品なセリフのオンパレード。アメリカのコメディにはときどきこのような描写が見受けられますが、かなりの下品さで私はついていけませんでした。
また、残酷描写。監督の首が転がっているところは、なんとかOKだと思うのですが、 爆発でぱっくり割れた腕を延々と2分以上かな・・・見せ続けるのはきつかったですね。チラッと見せるぐらいでもいいと思います。
有名スターもカメオ出演して、予算もかなり使った映画のようですが、コメディの綿密さより、パロディに一生懸命取り組んだ結果、まとまりがなくなったといった印象を受けました。
コメディは、その人によって合う、合わないがはっきり分かれる分野ですので、私にはいまいちでした。


トンマッコルへようこそ
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 39

監督:パク・クァンヒョン 
公開年:2006年
朝鮮戦争中、山奥にあるのどかな村「トンマッコル」に韓国軍の兵士2人、北朝鮮軍の兵士3人、そしてアメリカ軍のパイロット1人という、敵味方関係にある兵士たちが迷い込んだりして集まり、最初はお互いに敵意むき出しだったが、村人の素朴な心に影響されて、次第に心を打ち解けていくという物語。戦争映画というより、ファンタジーというような宣伝が行われており、ロシア映画の「ククーシュカ ラップランドの妖精」を、どこか思わせる設定で、韓国映画のファンタジーはどのようなものか、レンタルで見ました。
前半、兵士達が次第に心を通わせるようになるところは、そこそこ楽しめます。「トンマッコル」という村の描き方が、あまりにも浮世離れしていますが、そこはファンタジーとして許される範囲ではあります。でも、後半に入ると、まったく別物の映画になったようでファンタジーから普通の戦争アクションのようになってしまいます。最後を盛り上げたかったのかもしれませんが、ぶち壊しです。
製作者は、この映画を、一種のファンタジーとして描きたかったのでは、という前提で話します。
それぞれの国にファンタジーの要素のある物語はあると思うのですが、その国の歴史や文化によって、大きく違うのだなと思いました。同様の(といってもかなり違いますが)戦争ファンタジーといっていい映画「ククーシュカ ラップランドの妖精」に比べると、登場人物の描き方が浅いと思います。言葉の違い、敵味方の敵対意識、そして男と女としての葛藤など、じっくり描いている「ククーシュカ」と比べると、「トンマッコル」は、人物の描き方が、類型的で、薄く、子供っぽいです。そして、戦争の描き方についても、「ククーシュカ」が、死が日常になっている戦場の様子を淡々と描いているのに対し、「トンマッコル」では、まるでB級の戦争アクション映画の乗りです。
戦争ファンタジーと思ってみていると、後半では、極悪非道のアメリカを敵に、韓国と北朝鮮の兵士が力を合わせて村を護ろうとするアクション映画になってしまい、見ているほうは「あれれ・・・ファンタジーじゃなかったの」といった感じになります。もちろん、敵対する兵士が理解しあい、力をあわせるということは、望ましいことでしょうが、現実の社会で進められている「太陽政策」のプロパガンダのようで、特にアメリカへの憎悪が大きく描かれているだけに、違和感を覚えます。このあたりが、本国の韓国で大ヒットした理由なのかもしれませんが、敵への憎悪を強調するだけでは、平和への道は遠いといえるのではないでしょうか。まあ、このあたりは、戦争が目の前にない、日本人ゆえの感じ方なのかもしれませんが。
最後に、ちょっと知恵遅れのような若い女性が出てきて、物語の狂言回しみたいな使われ方をしていますが、ただ登場して踊っているような感じで、期待していたより、かなり印象が薄いです。ましてや、この女性が最後に・・・。あの描写は、いらなかったんじゃないですか。これも韓国の人のメンタリティなのでしょうか。