座頭市
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 80

監督:北野武  
公開年:2003年
北野武の映画については、最初の「その男、凶暴につき」を見て、そのすごさにびっくりしたあとは、2作ほど見て、逆にそのスタイルが「気取りすぎでついていけない」と感じ、あまり見ていませんでした。映画を見る態度としてはいけないのでしょうが、もともと私はへそ曲がりですので・・・。
初めての時代劇、それも「座頭市」とあって、久しぶりにビデオで見ました。彼の描く「暴力」は健在ですね。いやー痛そうでした。特にあの、指が落ちるシーン。痛さという点では、タランティーノの「キル・ビル」よりも上手でした。やはり日本人だからでしょうか。(「キル・ビル」がおもしろくないという訳ではありません)
もちろん、暴力描写だけの映画ではなく、脇役もうまく配置して、おもしろく料理してくれました。
病気の妻を抱え用心棒稼業に身をやつす侍や、殺された両親の仇を討とうと旅をする姉と女装の弟。いずれもなかなかで、特に最初に彼らを紹介する描写も簡潔で分かりやすく、この手の映画の処理としてはGOODです。
それからダンスシーン。日本人でもここまで出来るんですね。なかなかサマになっていました。これだったらインド映画のダンスシーンと比べて遜色ありません。良い出来でびっくりしました。
北野武にしては、割と気楽に撮った映画かもしれません。でもその肩の力の抜き具合が、かえっていい結果を生んだのではないでしょうか。例えば宮崎駿監督の「となりのトトロ」のように・・・。
映画に対して特に注文をつけるところはありません。北野独自のスタイルを引き続き出しながら、娯楽性を大いに高めたこの映画。成功していると思います。


13デイズ
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 68

監督:R.ドナルドソン 
公開年:2000年

アメリカでハイジャックした旅客機を貿易センタービルとペンタゴンに突入させるという前代未聞の同時多発テロが発生し、アメリカが軍事報復に向けて高揚しているときにビデオで見ました。今まさに戦争へ戦争へと日本を含めて突き進んでいるときに、キューバ危機の映画はちょうど良かったという気がします。
映画は事実の重みというか迫力というか、良くできていると思います。演出もホワイトハウス中心のシーンが続く、どちらかというと単調な展開ですが、逆にシンプルに徹していいのではないでしょうか。これ以上あれこれ入れると陳腐になるギリギリの線だと思います。ソ連側をほとんど描かなかったのも、サスペンスを盛り上げる上では定石通りというところです。
それにしても、主演のケヴィン・コスナー。製作に絡んでいるだけにいい役をつかみましたね。
登場する車なども当時のものを使い、雰囲気を盛り上げます。また、航空機はチャンス・ボートF8クルセーダーやノースロップF-5、それに欠かすことのできないロッキードU-2(さすがにこれはCG)。詳しい資料がないのでわかりませんが、登場時期からすると矛盾はありません。でもF-5は援助用航空機ですので違うのではないかなと思います。
こういう展開の映画ですから仕方がないのかもしれませんが、ケネディがちょっと格好良すぎかなとも思います。それと、有名なキューバ危機だけにすでに知られている事実が多く、意外な展開に乏しい。そういう意味では魂を揺さぶられるほどの感動といったものは薄いような気がします。でもこういう企画であれば仕方がないか・・・。


ザ・バンカー 
巨大地下要塞
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 36

監督:R.グリーン  
公開年:2001年

第二次世界大戦末期、ドイツ軍歩兵の小隊の数人の兵士が連合軍の攻撃から逃れて、ある掩ぺい壕にたどり着きます。掩ぺい壕には老人兵と少年兵の2人がいるだけ。でも、この掩ぺい壕は何か変。実は、地下には迷路のようにトンネルがあり、謎が隠されていたのです・・・。という出だしはなかなかホラーとしてそそられるものがあります。
掩ぺい壕の中だけで話が進み、時折よくわからないんですが捕虜か脱走兵かの虐待のシーンが織り交ぜられ、サスペンスを盛り上げます。
イギリス人の監督、俳優で作ったドイツ軍の物語という変な映画ですが、使用する銃は戦争後期の突撃銃MP44など、兵器考証的には見るべきものがあります。
「劇場未公開だけど、ひょっとしたら掘り出し物かも・・」と思って見ましたが、やっぱり「コケました」。
監督のコメントによりますと、戦場を舞台にしたホラーの構想が浮かび、勝ち組の連合軍よりも負け組のドイツ軍のほうがイメージにあうということで、このような設定になったそうです。コンピュータゲームの傑作「ウルフェンシュタイン3D」やマイケル・マンの映画「ザ・キープ」を思わせる設定ですが、内容があまりにも中途半端です。最初の思わせぶりな伏線も、それが生かせないまま終わった感じです。なにを言いたかったのか分かりません。ホラーはある程度、謎が残ったほうがいいんですが、いくら何でも分からないことだらけです。
劇場未公開映画は、やはりはずれも多いですね。だからこそ未公開になるんでしょうけど・・・。がんばれ!


サマー・オブ・サム
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 65


監督:S.リー  
公開年:1999年


懐かしいですね・・・「サムの息子」。もう23年も経ってしまったんですね。あの夏、遠い日本でもあの事件に戦慄を覚えた記憶があります。
実話を元に、事件現場の近くに住んでいた人たちの大混乱ぶりを描くというテーマは、スパイク・リー監督もいいところを突いたなという感じです。
映像や当時の音楽、そしてかなりいい加減な主人公の雰囲気など、あの夏を描く状況設定はバッチリです。「サタデーナイト・フィーバー」の時代だったんですね。そういえば犯人が使った44口径の安物の銃などの総称を「サタデーナイト・スペシャル」というんですよね。
それにしても、「SON OF SAM」そして映画のタイトルの「SUMMER OF SAM」・・・。
いずれも頭文字をつなげると「SOS」になるんですね。びっくりしました。
事件に直面した普通の人たちのドタバタがうまく描かれていて狙いはいいと思います。普通の人たちの物語ですから、仕方ないかもしれないんですが、もう少しすごみのある物語を期待していたので、ちょっとがっかりです。普通の人たちの中にある狂気をもっと描いて欲しかった。「狂気の事件」と「メロドラマ」・・・面白いような、つまらないような・・・?


PLANET OF
 
THE APES 猿の惑星
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 46

監督:T.バートン  
公開年:2001年


ご存じ、1968年製作の「猿の惑星」のリメイクもしくはリ・イマジネーション版(監督によると・・・)。
なんと言っても驚かされるのは、最新技術による特殊メイク。確かに、女性の猿はどう見ても猿に見えないので、「前の方が良かった」という評価も分かりますが、確実に30数年前より進化しています。それにメイクだけでなく、猿たちの動きもリアルです。よくまああんな動きが出来るものです。

元々の「猿の惑星」がSF映画として良いできだったので、比べるのも何ですが、大きな差がありますね。
「猿の惑星」のチャールトン・ヘストンは決して演技のうまい人ではないと思うのですが、異境に放り込まれたとまどいや苦悩が良く描かれています。それに比べて「PLANET OF THE APES 猿の惑星」の方は、そのあたりは通り一遍の描き方で少しもの足りません。
猿の女性も、今回の作品の方がより強く主人公に思いを寄せる設定になっていますが、最初の作品の方が、同じようにとまどい、苦悩が良く描かれています。
それになんと言っても結末はあんまりではないですか。まだ、前回の作品の方が、絶望の中に少しだけ救いがあったような気がします。これではお先真っ暗です。どうせ、リメイクではなく、「リ・イマジネーション」というなら、ハッピーエンドで良かったと思うのですが。最後の最後で、前回の作品に引っ張られすぎたような気がします。残念。


サンダーバード
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 65

監督:J.フレイクス 
公開年:2004年
ご存知、60年代に日本でもTV放送されていたイギリス製のSF人形劇「サンダーバード」の初の実写版。
私も当時小学生で、毎週わくわくしながら見ていた世代です。それだけに、忘れていたころに出てきた、なんと「アメリカ製」の実写版にはびっくり。でも、「期待を裏切られるかも・・・」と思い劇場には足を運びませんでした。
そして、レンタルで見たわけですが、また、びっくり!なかなかいい出来ではないですか。
<ネタばれ注意>
確かに、昔の「サンダーバード」を期待して見ると、その期待はことごとく裏切られます。なんといっても、父親のジェフ・とレーシーを始め、サンダーバードの1号から5号までの、本来のクルーである4人の兄たちは、まったく活躍しません。それは悲しいほどです。これだけで、たいがいの昔からのファンからはブーイングでしょう。
ですから、肝心のサンダーバードの救助作業も、冒頭の部分で少し出てくるほかは、最後まで待たなければなりません。
で、活躍するのは末子のアランなど3人の子どもたち。「これじゃ子ども映画だ!」という声が聞こえてきそうです。
でも、ちょっと待ってください。では、あの60年代の設定そのままで、そのテイストを最大限保持しつつ、現代に舞台を移し、ちょっぴり今風のテーマを盛り込み、また、あの救助作業を(最新CG技術を使って)延々と見せられたら面白いでしょうか。コアな一部のファンからは拍手喝さいかもしれませんが、今の子どもたちや普通の観客には受け入れられるでしょうか。私は、多分、つまんない映画が出来上がったと思います。ですから、これまで実写版が作られなかったのでしょう。
今回の実写版のポイントは、「アメリカ製」だということです。ある雑誌の記事によりますと、製作者は「アメリカではサンダーバードはあまり知られていないので、そういう観客にも分かるように苦心した」といった内容のコメントがありました。多分、作った人たちはサンダーバードの大ファンでしょう。でも、今、その物語を面白く見てもらうためには、TVの「サンダーバード」の設定を元にしつつも、映画としては、それに引きずられることなく、一から作り上げる必要があったのではないかと推測します。
もちろん、そのような製作過程を経たリメイク映画はたくさんありますが、そのほとんどは成功していません。でも、この「サンダーバード」の場合、逆に子どもを物語の中心にすえたことで、テンポよく見ることができました。これについての、ひとつの解釈。当時のファンは、いまでは親になっていて年齢も40代から50代、なかなか子どもの気分に戻ってというわけにはいきませんが、逆に子どもだったころの自分を、映画の中で活躍する子どもたちに投影できるのでは・・・とも思います。(ちょっとこじつけかな??)
たしかに、今風のいわゆる軽さが感じられる点はありますが、私はこのくらいでいいんじゃないかと思います。
この映画、テレビ版「サンダーバード」のツボをよく押さえて作ってあります。
肝心のメカも、オリジナルを元に今風に作り変えてありますが、例えばサンダーバード2号の場合、前進翼やブレンデッドボディ(ブレンデッドウイング)の思想を取り入れた平べったい胴体などはそのままで、造形的にはいいと思います。
登場人物のなかでは、なんといってもレディ・ペネロープ。TV版と比べると、若すぎる感じはありますが、ツンとすましたところはなかなかです。実写版では、格闘技を見せるなど、TV版とは違った面も見せます。でも、ちょっと弱くないですか。まあ、いいか。執事のパーカーも印象的な役柄で、今回でもうまく使っています。それと悪役のフッド。こちらもTV版そのままといった感じでGOOD。
私は懐かしく、そして新たな映画として楽しく見せてもらいました。でも続編は難しいかも・・・。


JSA
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 66

監督:パク・チャンヌク 
公開年:2000年


近年元気のいい韓国映画。「シュリ」に続いて、今回も南北分断の悲劇をベースに、「羅生門」ばりのミステリアスな物語を持ってきました。
38度線の共同警戒区域(JSA)で起きた北朝鮮兵士殺害事件。逮捕された韓国軍兵士と生き残った北朝鮮兵士の証言が全く食い違うため、父親が韓国出身のスイスの女性将校が捜査責任者として派遣されます。
この映画、出だしとエンディングがとてもいいですね。銃声とともに監視小屋の壁に開く銃弾の跡。逃げてくる韓国軍兵士。そして双方の激しい撃ち合い。つかみは十分です。
そして、双方の話の食い違い、女性将校の推理がとんとんと進んで、このあたりのテンポはとてもいいと思います。
最後のJSAで写した写真も、最初の方にちゃんと伏線もあって、うまい使い方です。南北分断の悲劇という韓国と北朝鮮の人たちにとって最大のテーマが良くでていて、目頭が熱くなりました。

細部には目をつむって、とにかく勢いのいいハリウッド映画張りのアクション大作を作ろうという「シュリ」に比べると、脚本はよく練られていると思います。上にも書きましたが、最初のテンポもとてもいいです。私は映画の出だしとエンディングが良ければ、その映画は9割方成功だと思っていますので、最初の部分を見て「これはすごいかもしれないぞ」と期待を膨らませました。
でも中盤がいけません。南北の兵士たちの関係を示すシーンが延々と続きます。まず感じるのは、JSAで仕事をさぼってあんなことしていいのということです。その気持ちが引っかかってリアリティという面では疑問が残ります。まあ、南北分断の悲劇を描くには必要な部分だということなんでしょうけど・・・。また、それまでテンポを作っていたスイスの女性将校が全く出てこなくなります。もう出てこないんじゃないかと思わせるぐらい長い時間出てきません。描きたかった気持ちは分かるんですが、どうしてもこの部分がテンポを壊してしまいます。
でも、制作者の思いは十分に伝わりますので、韓国で大ヒットしたのもうなずけます。
ところで、韓国軍の制式ライフルは「K−1」なんですが、映画のように「M16A2」も使っていたんですかね。JSAでは米軍と統一してそうなんでしょうか。


ジェーヴォーダンの獣
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 54

監督:C.ガンズ  
公開年:2002年

映画のコピーによりますと、子どもや女性100人以上が忽然と姿を消し、死体が見つかるという、18世紀のフランスで実際に起こった謎の事件を元にした映画とのこと。
冒頭、コートの襟を立てた異様ないでたちの主人公らが登場するシーン。これからの奇怪な物語を予感させます。すぐさまアクションシーンとなり、つかみは十分。でも、カンフー技だったので、異邦人は中国人だったのかと思ってしまいました。実はアメリカ先住民でした。
いろんな要素が入りすぎて、ちょっとハチャメチャな展開ではありますが、まあ、難しいことを言わずに、こういうものもありかなとは思います。終盤で主人公が滅茶苦茶にパワーアップしますが、これもおかしいというより、死んだアメリカ先住民の仲間が乗り移ったと見ればいいかなと思います。
アメリカ映画とはちょっぴり違ったホラー・ファンタジー・冒険アクション映画(そんなのあるか?)といった感じです。
へんてこりんな映画ではありますが、私は割と好きです。でも、中盤を過ぎたあたりから退屈になるのも確かです。ご都合主義の展開も各所に見られ、もう少し整理する必要があるようです。
また、終盤も長すぎです。事件が落着したところで終わるべきでしょう。その後を説明する部分は、蛇足だと思います。
ハチャメチャは上手く生かして、もっとシェイプアップが必要ですね。


ジェーンに夢中!
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 46

監督:P.ベディット  
公開年:1999年


NHKで人気の「アリーmyラブ」の主演、カリスタ・フロックハートの出ている映画ということで見てみました。「アリーmyラブ」での時々キレる女性弁護士という役どころをベースに、ちょっと変えて、心に傷を持つ薬物中毒の女性といった役になっています。
「アリーmyラブ」での特徴ある身振りも取り入れて、カリスタファンには、ちょっと違った「アリー」が見られて興味深いところです。
テーマは「薬物の恐ろしさ」といったところで、真面目に描かれていますが・・・。

「ジェーンに夢中!」という題に異議あり。「アリーmyラブ」のコメディ調を期待して見るとびっくりします。まあ、いまどき珍しい古風なラブストーリーで、暗すぎますね。テーマは「薬物」というイマ風とも言えるテーマですが、描き方にひと工夫ないと時代を反映した映画にはなりません。それにしても暗くなる映画です。
せっかく「アリーmyラブ」人気にあやかって作った(と思われる)映画ですので、スカッとした映画を見せて欲しかったですね。


実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 80

監督:若松孝二 
公開年:2008年
1972年の「あさま山荘事件」については、警察側から描いた『突入せよ!「あさま山荘」事件』という映画がありましたが、これは連合赤軍側から描いた作品。
学生運動が下火になるなか、武力革命を志向する「連合赤軍」は、ご存知のように「あさま山荘事件」で終焉を迎えます。私は、当時高校3年生(年がバレますが・・・)。大学の入試が終わって、ほっとしていた頃に事件が発生し、それこそテレビで毎日中継を見続けていました。
今の若い人たちにはピンとこないでしょうが、あの当時の雰囲気を知る者としては、懐かしさと苦々しさを感じさせてくれる映画でした。
なんといっても、あの事件に真正面から取り組み、当時の若者たちの閉塞感、そして孤立して次第に自滅していく「連合赤軍」の様子を描こうというテーマに、久しぶりに「手ごたえのある」日本映画を見たような気がします。
当然、あの「あさま山荘事件」は違法な行為なんですが、「犯罪者」=「悪人」という図式にとらわれず、「日本が大きく動いたあの時代にこのようなことがあり、若者たちがどう考え、どこで間違っていったのか」という検証に取り組んだ若松監督の姿勢は評価すべきだと思います。
戦争映画などもそうですが、最近の日本映画では、どうしても「賛美」か「嫌悪」のいずれかになってしまいがちですが、そのどちらでもない、事実を事実としてとらえる・・・そういう姿勢で描いたこんな映画が、よく日本でできたなと感心しました。
当時の学生運動に対するとらえ方は、人それぞれだと思います。「連合赤軍」のメンバーの内面を描こうとしているため、この映画では、「連合赤軍」に心情的に傾いているように感じますが、なんとか当時の雰囲気をフィルムに残したいという思いは伝わってきます。
現在の若者にとっては単なる犯罪者集団ぐらいにしか思えないかもしれませんが、「なかったこと」として忘れ去っていい問題ではありません。そういう意味で、難しいテーマに真正面から向き合ったすごい映画だと思います。
ところで、「あさま山荘」で連合赤軍側が使用した銃器は、散弾銃、22口径ライフル、そして回転式拳銃だと思っていたのですが、映画では、それらのほかにどうみても米軍のM1ガーランドライフル(30口径)が見えます。自衛隊か米軍から奪ったものなんでしょうか。また、回転式拳銃はたぶん警察官から奪ったものと思われますが、映画では数十発撃っています。銃砲店から奪えるような実包ではないので、どうやって弾を入手したのでしょうか。でも、そんな突っ込みを弾き飛ばす、見ごたえのある映画です。


シティ・オブ・ゴッド
テーマ
脚本×2 8(16)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 79

監督:F.メイレレス  
公開年:2003年
ブラジル・リオデジャネイロの貧民街「シティ・オブ・ゴッド(神の街)」で繰り広げられる、少年ギャングたちの抗争を生々しく描いた映画です。実際に起きた事件を元にした映画のようで、その暴力描写はグロテスクな部分をことさら強調するといったものではありませんが、銃を手にした子供同士の殺し合いが繰り広げられ、かなりショッキングです。誰にでもすすめられる映画ではありませんが、是非見てもらいたい映画です。
60年代、70年代、そして80年代と3つのパートに分かれ、それぞれのパートで主人公を変えながら、うまく描き分けています。編集も、サンバなどの音楽とあいまってテンポがよく、スタイリッシュです。
そして、出演する子どもや若者たちの表情が、演技とも思えないぐらいリアルで、最後まで怖いほどの緊張感が続きます。製作者の説明によりますと、相手を憎む演技をさせるため、実際にけんかのような状態を作って撮影したということで、かなりのこだわりです。
いろんな新しい試みを取り入れながら、少年ギャングたちの生態を描ききったすばらしい作品だと思います。
特に文句をつける点はありません。暴力描写は、テーマがテーマだけに、避けて通れないところで、やむをえないといった感じでしょうか。銃によって人が簡単に死んでいくということがよく分かり、戦慄を覚えます。


シティ・コネクション
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 39

監督:O.ステブチェンコ 
公開年:2005年
ロシア映画の刑事物。麻薬捜査担当のちょっとアブナイ刑事と、冷静でスマートな刑事のコンビが、世界をまたにかけた麻薬組織を追い詰めるというお話。
ちょっとアブナイ刑事の妻は麻薬中毒、娘は父親に反発しているという大変な設定。ロシア国内だけでなく、ケニアやチェコなどでのロケも敢行、「キル・ビル vol.2」など多数の映画に出ているアメリカのマイケル・マドセンらの俳優も使い、なんとか国際的に通用するアクション映画を作ろうとがんばってはいるのですが・・・。
でも、ストーリーは、どこかで見たことのある話ばかりをつなぎ合わせたようなもの。また、いろんなシーンがフラッシュバックのように挿入され、逆に話がスムーズに流れていきません。もちろん、ストーリーの展開はご都合主義オンパレード。なんとか、ツジツマを合わせようという意思が感じられません。
このところハリウッド映画に席巻されていたロシア映画界。最近、「ナイト・ウォッチ」や「第9中隊」など、ロシア製映画が大ヒットして、息を吹き返しそうだというニュースも流れていますが、あたりはずれも多いですね。韓国映画などもそうですが、ハリウッド映画を意識しすぎて、今ひとつといった感じです。
最後に、セリフは国際市場を狙ってでしょうか、英語です。ここは、ロシア語版も入れて欲しかったですね。何か変です。


シックス・ストリング・サムライ
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 70

監督:L.マンギア  
公開年:1998年


以前からアメリカの荒野で「子連れ狼」なんて面白そうだなと思っていましたが、その通りの映画をレンタルビデオで見つけてびっくり。早速見てみました。「マッドマックス」のような核戦争後の荒れ果てた世界を舞台に、「スター・ウォーズ」や何やらのパロディが一杯。懐かしのエレキサウンド(古い・・・)をバックに大立ち回り。どことなくかつての実験映画風(古い・・・)の映像もGOOD。
サラリーマン姿で壊れためがね、ひげ面でほとんど無表情の主人公も奇妙な味がありGOOD。
ちょっと変わった映画ですが、こんなの好きです。

この映画の独特のテンポにのれる人にとっては最高の映画ですが、そうでない人にとっては辛いものがあるかもしれません。それでも是非ご覧ください。面白いですよ。
映画は食べ物みたいなものです。いろんなものが食べられる人は人生で得をしますが、好き嫌いが激しい人は大きな損をしているかもしれません。それと同じように、限られたジャンルだけでなくいろんな映画を見ることで人生は大きな得をします。そしてそれこそが映画を見る目を養います。
私も中高生の頃は、戦争映画やアクション映画など一般的な学生のよく見る映画だけでしたが、ブニュエルの「アンダルシアの犬」を見て、「映画ってなんでもできるんだ」とわかり、映画を見る目が変わりました。


シックス・センス
テーマ
脚本×2 9(18)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 85

監督:M.ナイト・シャマラン
公開年:1999年

何と言っても子役の演技。うまいですね。それだけで映画に引き込まれしまいます。主演のブルース・ウィリスも押さえた演技で、なかなかいい雰囲気をだしています。
この映画、まずは脚本の勝利でしょう。主人公の2人の話でぐいぐい引っ張っていき、最後にこれで終わるはずないぞと思っていると、どんでん返し。
いやー、私は先に見破ることができませんでした。こういう「してやられた」と言った感覚を持てるということは、いい映画でないとありません。
残念なことは、この映画を単なるホラー映画と思い、映画館に足を運ばなかった人が、かなりいるだろうと言うことです。たしかに、ショッキングなシーンはいくつかありますが、それは物語の進行から見ると、必要最小限の表現にとどめており、少なくともふつうの感覚を持つ大人にとっては、それほど怖いものではないと思います。これなども、仕方がないことですが、テレビ等を使った宣伝の仕方にもうひとつ工夫あっても良かったのではないかと思います。
(おことわり)再度見直したところ、当初付けた点数が低すぎると感じました。このため点数を改訂してあります。


60セカンズ
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 52

監督:D.セナ  公開年:2000年

この映画、「バニッシングIN60」のリメイク版。車泥棒でミスをして殺されそうになった弟を助けるため、足を洗っていた伝説の車泥棒の兄が、昔の仲間の協力を得て、24時間以内に50台の高級車を盗むという物語。
見せ場はなんといっても、最後の車を盗んだあとのカーチェイス。アクション映画では毎度おなじみのカーチェイスですが、何とか新味を出そうと工夫しています。
それにしても、ニコラス・ケイジ、売れっ子ですね。割とまともな役となって、物足りないかもしれませんが・・・。
「60セカンズ」・・・原題は「GONE IN 60 SECONDS」、60秒間というタイトルの意味がよくわからなかったんですが、60秒間で1台の車の鍵を開けられる腕前の泥棒ということだったんですね。でも、どちらかというと24時間で50台を盗むという印象が強いですね。それに50台といっても大人数で分担して盗んでいくので、「あと○○時間」という字幕が出ても、緊迫感は全くありません。せっかく時間を限るという設定も、脚本と演出の方がそれを生かしていません。
売り物は最後のカーチェイスなんでしょうけど、それもCGにかなり頼っている感じで、今ひとつですね。
まあ、気楽に見ることができる映画ではありますが・・・。


死ぬまでにしたい 10のこと
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 75

監督:イザベル・コヘット 
公開年:2003年
ガンが全身に転移して余命2〜3か月と診断された23歳の女性が、死ぬまでに夫や子どもたち、そして周囲の人たちと接する様子を描いた映画。
「死ぬまでにしたい10のこと」という邦題は、死を覚悟した彼女がコーヒーショップで書いた10項目の「死ぬまでにしたい」もしくは「死ぬまでにしておくこと」のメモから付いた題です。しかし、映画では、この10項目をことさら強調してはいません。その意味では、原題の「MY LIFE WITHOUT ME」の方が、しっくりくる感じです。
この映画のすばらしいところは、「ガンによる死」をテーマにしながら、単なるお涙頂戴の物語にしなかったことです。
現実では、末期ガンを宣告された患者は、呆然、怒り、悲しみ、落胆、あきらめといったさまざまな感情が交錯すると思います。この映画でも、そのあたりが少しは表現されていますが、彼女は、淡々として2人の幼い子どもや夫、母親などに宛てたカセットテープのメッセージを作ったり、刑務所に入っている父親に別れを言いに(もちろんガンのことは言いませんが)行ったり、子どもの新しい母親であり、夫の新しい妻となる女性を捜したり、そして、コインランドリーで出会った男性と恋をします。
この男性との恋には、一瞬見ているほうも戸惑いますが、実は彼女は初恋で「できちゃった婚」。夫を愛していて夫に不満はないが、もっと恋をしたかったという気持ちはよく理解できます。このエピソードが入っていることで、人間としての生き様、哀しみがよく表現され映画に深みがでました。
そして、彼女の死。表現は暗示的で、とてもきれいに終わります。彼女の「愛」を感じることで、悲しみより、温かい気持ちのまま、見終わる事ができます。
きれい事過ぎると感じる人がいるかもしれません。しかし、病気で苦しむ人の姿を延々と見せられてはたまりません。
ある意味では、キリスト教的な、「死を受け入れ、天国に召される」という理想の姿を描いたといえるかもしれません。
この映画の感じ方は、その人の生死観、倫理観、宗教観によって大きく左右されるでしょう。
私は、原題もそうですが、人が死ぬということは、その人がいなくなり、そしてほかの人たちの生活は続いていく・・・といった感じがよく出ていてよかったと思います。


シービスケット
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 62

監督:G.ロス  
公開年:2004年

1920年代、世界を襲った大恐慌の時代に、「シービスケット」という馬にかける男3人の物語。「スパイダーマン」のトビー・マグワイアが大恐慌のため、子どものころに親と離ればなれになったという暗い去を持つ若い騎手を演じます。一方、ジェフ・ブリッジス扮する馬主は、自動車ディーラーとして成功したものの、子どもを自動車事故で失い、妻にも去られて失意の中で出会った女性の影響で競馬に傾倒していきます。これに自動車時代を迎えても馬に愛情を注ぎ続ける元カウボーイが調教師として雇われ、シービスケットを見出していきます。ノンフィクション小説が原作ですが、この3人の取り合わせは絶妙。
ジェフ・ブリッジスが実際の年齢よりも老けた感じで、なかなかいい味を出しています。また、調教師役を演じるのは、「アメリカン・ビューティー」で隣の家の父親の大佐を演じたクリス・クーパーです。いろんな役ができるんですね。
見終わった感じとしては、やはり癒し系ということでしょうか。人々が希望を忘れず、努力する気持ちがあれば、大恐慌も乗り切ることができるといったテーマがストレートに出ています。
全般的な印象を言うと、よくできています。しかし、なんとなく印象が希薄です。
感動的な物語を描こうとがんばっていますが、逆に人間模様は単純化されています。年上の馬主や調教師らが、あくまでもいい人として描かれすぎており、若く反抗的な騎手を暖かく見守るといった感じで、ちょっとうそっぽくなっています。
それと、割と早くに、シービスケットが実力を発揮して勝ち始めるので、その後のシービスケットのレースに関しては、ドラマ的な盛り上がりは、今ひとつでした。まあ、それを補おうとして事故が起こるのでしょうが・・・。
馬が走るシーンは、なかなか迫力があり爽快でしたが、騎手のアップのシーンでは馬が作りものと分かるのは興ざめでしたね。


至福のとき
テーマ
脚本×2 8(16)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 82

監督:Z.イーモウ  
公開年:2002年
薄幸の盲目の少女と、やむを得ず少女の面倒を見る形となった失業中のおじさん。 少女の仕事を見つけたくても仕事がないので、閉鎖された工場の一部にマッサージ室を模したものを作り、そこで少女にマッサージをさせますが、当然客は来ないので、工場の仲間たちが協力して嘘の客になり善意で少女をだまし続けるといった話です。
元は短編小説のようで、何気ない市井の人情話のような趣があり、いい雰囲気です。
少女を演じるドン・ジェは、チャン・イーモウの映画にはなくてはならない美少女。対するおじさんは、ちょっとほら吹きだが、気のいいどこにでもいるようなおじさんで、2人ともいい味を出しています。
そして、素朴でやさしい工場の仲間たち・・・。
初期のイーモウの作品と比べると、わかりやすくソフトな感じ。「初恋のきた道」などぐらいからでしょうか、この傾向は。
なんといってもいいのは、エンディング。オープニングとエンディングのいい映画は、必ずといっていいほど上出来の映画と私は思います。この「至福のとき」のエンディングは、哀しく将来に対しても苦難を予想させるものですが、「生きること」とは何かを考えさせるもので、このエンディングだけで点数がかなり上がりました。
やっぱりエンディングでは泣かされてしまいました。特に文句を付けるところもありませんが、ほかのチャン・イーモウの作品と比べると、いい話なんですがやや軽い感じはします。


ジャッキー・
ブラウン
テーマ
脚本×2 8(16)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 85

監督:Q.タランティーノ
公開年:1997年

タランティーノ監督が昔好きだった女優をどうしても使いたくて作った映画という宣伝文句に惹かれて見てみました。いいですね、こういうの。主役から脇役、悪役などいずれもいい味を出しています。スター・ウォーズ・エピソード1など、今や売れっ子のサミュエル・L・ジャクソンの悪役のちんぴら加減の表現が、タランティーノ監督の独壇場ですね。
物語の展開も、観客の意表を突いて楽しませようという監督の魂胆がありあり。最後まではらはらしながら見せてもらいました。エンディングも救いがあって爽快でGOOD!

特に文句を付けるところはありません。楽しくごらんください。


シャフト
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 46

監督:J.シングルトン 公開年:2000年

今ではピンとこないでしょうが、「すべて黒人スタッフと黒人キャストで作られたハードボイルド映画」という響きが新鮮だった1971年の「黒いジャガー」のリメイク版。今更ながら30年の月日の変化を感じます。
本家の「黒いジャガー」は、今見てみるとごく普通の探偵物の映画ですが、当時の「ブラックパワー」、「ブラックパンサー」といった反抗のシンボルとイメージが重なって、特別なメッセージを感じさせました。
新作「シャフト」は、人気のサミュエル・L・ジャクソンが探偵ではなく刑事として格好良く立ち回る、これもまた今では普通のアクション映画に仕上がっています。
「黒いジャガー」の主演俳優、リチャード・ラウンドツリーが顔を見せていて懐かしいです。

人気俳優を使って昔の映画をリメイク。今のアメリカ映画の状況を反映しているのでしょうか、映画としての出来は大ざっぱです。
「黒いジャガー」の時の「ブラックシネマ」にこだわったのでしょうか、「黒人」青年を殺害した有力者の「白人」の息子をしつこく追いかけるシャフトの話に的を絞っていますが、余り痛快でもなく物語が小さくまとまってしまった様な気がします。
せっかく捕まえても裏で手を回して釈放してしまうという腐敗した権力に対するシャフトの反抗の描き方も今ひとつ。銃を返して警察を辞めたのかと思ったら、そうでもないようでよく分かりません。
30年前と同じテーマ曲を使って、柳の下の2匹目ならぬ何匹目かのドジョウを狙おうという意図が見え見えでしらけてしまいます。


シャンハイ・ヌーン
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 57

監督:T.デイ  
公開年:2000年


おなじみ、ジャッキー・チェンのアクション映画。中国紫禁城からだまされてアメリカに連れ去られたペペ姫を助けるため、ジャッキー・チェンを含む救出隊が西部劇時代のアメリカに赴く。
まあ、いかにもといったストーリーですが、「ラッシュ・アワー」と同じように、ちょっと人のよい中国人のカンフーの達人と陽気なアメリカ人とのでこぼこコンビは、それなりに楽しめます。ユーモアシーンを適度に混ぜ合わせながら、ハラハラドキドキのアクション。「ラッシュ・アワー」よりは、アクションシーンも豊富でGOOD。ジャッキー・チェンの定番といったところでしょうか。

毎度おなじみ、ジャッキー・チェン流アクション映画ですが、それだけにこれまでも見たようなストーリー運びで、偉大なるマンネリといったところです。まあ、彼の映画の場合は仕方ないかもしれませんが・・・。
それと、ペペ姫役のルーシー・リュー。「アリーmyラブ」でのリン役のイメージが重なって、ちょっと合わないような気がしますが、まあこういうのもありでしょうか。
そして、これはどうしようもないことですが、ジャッキー・チェンのアクションに昔の冴えが見られません。彼も歳を取ったということでしょうか。映画を見ながら昔の彼の映画をもう一度見てみたくなりました。残念です。


16ブロック
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 47

監督:R.ドナー 
公開年:2006年
「わずか16ブロック先にある裁判所に証人を送る」。簡単な仕事を引き受けたブルース・ウィリス演じる、くたびれた刑事が、何者かに襲われるというお話。プロットとしては、興味深いものがあります。
いやいやながらも最後にはスーパー刑事として大活躍する「ダイ・ハート」シリーズと比べると、さらにやる気のない刑事役を、ブルース・ウィリスがリアルに演じています。
プロットとしては面白いのですが、それをうまく生かせていません。見終わったあと、良く見る普通の警察ものの映画という印象しか残りません。
狙われる理由は、「証人が警察官の腐敗を証言する予定だった」からということは、すぐ分かるのですが、それが、映画のように、必死になって証人を消す必要があるような証人なのかどうか、明らかにされません。それは、最後のどんでん返しのために、詳しく描けなかったのかもしれませんが、襲う側の動機が今ひとつ分からないままなので、サスペンスが盛り上がりません。
物語の展開も、一本調子で、期待はずれでしたね。でも、ブルース・ウィリスは頑張っていましたよ。


シュリ
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 59

監督:カン・ジェギュ  
公開年:1999年


一番ホットな朝鮮半島の南北問題を物語の中心に据えて、メロドラマ風のアクション映画にうまく仕上げた作品です。アクション部分は、アメリカ映画の手法にちょっと香港映画風の味付けを加えたような感じで、迫力のあるものとなっています。また、ドラマ部分は朝鮮半島の抱える問題をベースにして、やや押さえ気味な展開も好ましいもので、最後のサッカー場のクライマックスまで一気に見せます。でも、「パニック・イン・スタジアム」の緊迫感あふれる演出と比べると、数ランク下かなといったところです。

世界に売れる映画を作ろうという意気込みはよく伝わってきます。そのため映画の作りは、かなりアメリカ映画を参考にしたのだろうと思います。それだけに今のアメリカのアクション映画の持つ弱点も、併せ持つ結果となったのが惜しいところです。
観客を飽きさせないように散りばめられたアクションは、さすがに迫力満点ですが、メリハリがなく平板な感じです。そしてなりより、リアリティが全くと言っていいほどありません。
例えば無尽蔵に撃ちまくる銃の表現はあんまりです。あれでは弾だけで何十キロも持たなければならないような量です。そして、全然当たらない。アクション部分に強い表現を求めた一連の香港映画とは似て非なる古くさい表現と言わざるを得ません。せっかくのいい題材が、リアリティのない演出でしらけてしまいました。


シュレック
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 65

監督:A.アダムソン  
公開年:
2001年

主人公は醜いモンスター。仕草も下品で残酷。おなじみのディズニーアニメとは、ひと味もふた味も違うテイストのアニメ。対抗意識丸出しの作品です。
制作はドリームワークス。従って、CGアニメの技術は最新のもので、技術の進歩を十分感じさせるものです。
最初はうさん臭いシュレックに観客は次第に感情移入していき、最後には暖かい気持ちになるというのも、作戦通りという脚本の出来で、新味はありませんが、きちんと良くできています。
特におもしろかったのはエンディング。ディズニーアニメではあのようにはならないでしょうね。最後までひねりを利かした表現が印象的です。
アニメは子供向きと割り切っている作品が多いアメリカにしては珍しく、完全に大人をターゲットにした物語です。その心意気は悪くないと思いますが、随所に子どもに見せるにはハードな表現もあります。日本でいえば「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」と同じように、難しいところに入り込んでしまったという感じです。そのあたりをもう少し注意して作ることができなかったものかとも思いますが・・・。ないものねだりかもしれません。


シュレック2
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 69

監督:A.アダムソン 
公開年:2004年
一味変わった大人向けアニメ「シュレック」の続編です。
今回も、シュレックとフィオナ姫、ロバのドンキーが大活躍ですが、さらに長靴をはいたネコが新登場!なかなかいい味を出しています。
前作の「シュレック」では、子ども向けのディズニーをかなり意識して、ブラックユーモア満載の(部分的にはかなりキワドイ)アニメでした。今回の「シュレック2」でも、そのテイストは残されていますが、製作陣は少し軌道修正したようです。大人向けアニメといっても、かなりの数の子どもたちが見るわけで、ブラックな面を少し引っ込めた内容となっています。
じゃあ、つまんなくなったのかといいますと、確かに前作にあった「毒」は、かなり薄れていますが、逆に前作以上にパロディーをちりばめて(日本人ではよく分からないのも多いのですが・・・)、テンポよく物語が進み、最後まで楽しく見せてくれます。私はこれもいいんじゃないかなと思っています。
前作の「シュレック」は、ディズニーへの対抗意識丸出しで、かなりインパクトがありました。その点では、今回は少しマイルドになり、インパクトは薄れましたが、上にも書いているように私はそれでいいと思います。そのため、点数も前作より増やしてしまいました。2作目の評価を1作目より上にするのは、私はあまりありません。でも、1作目もかなりいいので、お勧めです。
最後に、この映画も、どうぞエンドクレジットが出たところで見るのをやめないでください。最後にとびっきりのプレゼントがありますよ。


昭和歌謡大全集
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 40

監督:篠原哲雄  
公開年:2003年

村上龍原作、「おばさん」と「わかもの」が対決し、文字通り、血で血を洗う戦いを描いた映画。
映画の最初のほうで、通りがかりの「おばさん」をナンパしようとした「わかもの」が、持っていたナイフで「おばさん」の頚動脈を切るシーン。その直後に、別の「わかもの」が会社の同僚の「おばさん」をお茶でも誘うように簡単にナンパしようとするシーンなど、「おばさん」と「わかもの」のお互いに理解できない深い溝みたいなものを描いており、ちょっとどぎついけど面白くなりそうな予感をさせました。
樋口可南子、岸本加代子、森尾由美、細川ふみえらが醸し出す「おばさん」の雰囲気もなかなかですし、松田龍平らの「わかもの」の無目的な感じの生活の様子もよく出ています。
映画の冒頭でかなり期待させたこの映画ですが、あとはメロメロです。
ナイフから武器はどんどんエスカレートしていきますが、最後に「アレ」じゃ、あんまりでしょう。基本的に荒唐無稽な内容ですが、現実はフィクションより進んでいる昨今ですので、この映画のようなことが今後、実際に起こることもあるかもしれません。
でも、あの結末じゃ、一気に荒唐無稽に飛び込んでしまい、観客はほっぽり出されたまま、気持ちの整理を付けるのが難しくなります。
それと、一番大事なこと。これがおざなりです。
それは、「わかもの」の「いらだち」「無気力」「攻撃性」など、そして、「おばさん」の「いらだち」「傍若無人」「くやしさ」などが、いずれもあまり伝わってきません。「わかもの」と「おばさん」を単純に敵対させるのではなく、「わかもの」と「おばさん」の「いらだち」は、「こども」や「おじさん」などにも共通する、今の重要な問題がその底辺にあるという視点が欠けているように思えます。原作を知りませんので、詳しいことは分かりませんが、ひょっとしたら映画にするときに抜け落ちたのかなとも思ってしまいました。
結果として原作に引きずられ、表面的に描いてしまったという感じかな。映画にするんだったら、テーマをもっと分かりやすく示し、場合によってはより映画的にするため、物語を変えることも必要になってきます。たとえば、もっと、もっと「おばさん」たちの「くやしさ」を強調し、過激な戦いを表現してもいいでしょうし、不意をついた攻撃だけでなく、1対1のタイマンにしてもよかったかもしれません。いずれにしても、もっと「おばさん」と「わかもの」の感情を前面に出していくほうが、よりインパクトがあると思います。


ショコラ
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 69

監督:L.ハルストレム  
公開年:2001年

大人のファンタジーといったところでしょうか。
古い因習にとらわれ窮屈な村に旅の母娘が住みつき、チョコレートの店を出す。頭の固い村長以下、村人たちは、入ってきたよそ者をうさんくさそうに見ている。しかし、そのチョコレートを一口でも食べた村人は、 魔法にでもかかったように母娘への警戒心が解け、自身の生き方も変わっていく・・・。
なかなか魅力的なお話です。下手するとチョコレートのように甘くなりがちな話ですが、大家のおばあさんとその娘、そしてその息子のわだかまりが次第に解けていく過程もいい雰囲気です。また、主人公の母親と娘との関係も、単に良い親子として描くのではなく、それぞれの生き方に対する葛藤があり、話を引き締めています
母親と流れ者の男とのラブストーリーも絡めながら、脚本、演出ともに手堅くまとめた手腕はさすがです。
それから、随所に流れる音楽が心に残り、見終わったあとのほんわりとした幸福感がいいですね。
大人のファンタジーとしてなかなか「癒し」効果のある映画とも言えます。
ただ、物語がファンタジーだからという訳ではないのでしょうが、登場人物の描き方がやや類型的で、現実感が薄い感じです。そのため、映画から受ける感動、感銘は今ひとつです。
そういう意味では、主人公の母親と娘との関係の描き方を、もう少し中心に据えた方がよかったかもしれません。


深呼吸の必要
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 43

監督:篠原哲雄  
公開年:2004年

沖縄のある島で、サトウキビの刈り取りのアルバイトをするために本土から訪れた若い男女5人の姿を中心に、農家のオジイやオバア、サトウキビ刈り取りの先輩の男性などを絡めた人間模様を描いた作品。
それぞれが、悩みや挫折などを抱えて南の島を訪れ、つらい刈り取りの作業を通じて、次第に連帯感を強めていく・・・・・なんか、ものすごくまじめなテーマですが、月並みかな?
クレジットを見ると、映画に出ているサトウキビ畑は、沖縄ではなく、鹿児島県の沖永良部島のようですが、あのだだっ広さは壮観です。これだけの広さの畑を期間中に刈り取らなければならないのかという若者たちの気持ちが、あの映像から伝わってきます。
そのサトウキビ畑が次第に刈り取られていく・・・。それとともに、ドラマも進展。
構成的には、面白く作れそうなんですが・・・。
企画にNHKのドラマ「ちゅらさん」の脚本の岡田惠和さんが入っています。沖縄を舞台に、多人数での食事のシーンがしょっちゅう入るなど、「ちゅらさん」を思わせる部分もありますが、脚本には深くかかわっていないと思われます。「ちゅらさん」ほどの輝きが感じられません。
もう少し脚本を整理すべきだと思います。5人の若者がそれぞれの思いを抱えているようなのですが、それが映画が始まってから1時間ぐらいたってもなかなか出てきません。そのため、この映画のクライマックスともいえる、小児外科の医師の男性のエピソードが盛り上がってくれません。このエピソードにくるまでに、ほとんどの話は終えていたほうがよかったのではないでしょうか。
また、深呼吸をする主人公(と思われる)女性の抱えているものが、一番軽い話というのも、肩透かしを食らったような感じです。主人公が光っていないので、周りの人たちも輝きません。
なんとなく沖縄の観光PR映画を見せられているような感じです。


シン・レッドライン
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 72

監督:T.マリック  
公開年:1998年


南の島の自然から入るプロローグは、突然戦闘の中に放り込まれる「プライベートライアン」と対照的ですが、この映画のテーマ(人間らしい平穏な生活に破壊と殺戮をもたらす戦争の悲惨さ)がよく出ていて好ましいと思いました。
映画は、ようやく連隊長まではい上がってガダルカナルの戦闘でチャンスをつかみたいトール中佐や、「部下を裏切らないように、自分を裏切らないように、神を裏切らないように」と祈る中隊長のスタロス中佐、主人公(?)のウィット二等兵を何かと気にかけているウェルシュ曹長などの葛藤や心理描写がよく出ていていいです。しがない中間管理職の私としては、実によく感情移入ができました。
戦闘シーンは、やや物足りないという印象の人もいるかもしれませんが、「プライベートライアン」のようなどぎつさがなくて、私には安心して見ることができました。(といっても悲惨なシーンはありますが・・・)

なんといっても長すぎます。とくに最後。最後の30分は、テーマを伝えたいがために伸ばしたとしか思えない描写であり、カットして短くまとめられなかったものかと思います。これがなければ、あと4〜5点は上がったのに・・・。


スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ
テーマ
脚本×2 6(12) 
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 67

監督:三池崇史 
公開年:2007年
マカロニウエスタンにオマージュを捧げて作った和製ウエスタン。
源氏と平家の戦いを設定のベースにして、荒涼としたある村を舞台に、対立する2つの勢力と、そこにブラリと現れたガンマン、そして村人たちという、和風テイストいっぱいのマカロニウエスタンという変わった作品です。
タランティーノ監督も、ゲスト出演しており、「キル・ビル」の要素もかなり盛り込んであります。
びっくりしたのは、出演の日本人俳優がすべて英語を話すところです。吹き替えではなく、自ら英語を話しています。英語があまり上手くない人もいますが、この試みはいいと思います。このおかげで、映画が無国籍となり、この場合はうまくいきました。
パロディいっぱい、お遊びいっぱい、お定まりの話ではありますが、テンポもよく、それぞれのキャラも立っており、エンターテインメントとしては成功していると思います。
なによりも、演出、キャスト、スタッフ、みんな元気いっぱいなのがいいですね。
元々、シリアスな話ではないので、楽しく見られればいいと思います。あらさがしの傾向のある私ですが、チープな話も、ベタな演技も、ヘタな英語も気にならないぐらい、楽しめました。
でも、「キル・ビル」の要素は、もう少し、減らした方がよかったのではないでしょうか。パロディ、お遊びだらけではあるものの、この映画、オリジナルとしての魅力があります。それだけに、「キル・ビル」を思わせる要素が多いことによって、「キル・ビル」の「真似」といった感じも受けてしまいました。ちょっと残念です。
おすすめ度は「8」。楽しんでごらんください。


スキャンダル
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 69

監督:イ・ジェヨン  
公開年:2004年

ジャンヌ・モロー、ジェラール・フィリップ主演の「危険な関係」をベースに、舞台を18世紀の李王朝に置き換え、男と女の愛のあり方を描いた作品。
一般的には、韓国テレビドラマの「冬のソナタ」で主人公を演じ、日本でも中年女性を中心にブームを巻き起こしているペ・ヨンジュンが、「冬のソナタ」とは、がらりと役どころを変えて演じた作品として注目を集めているようです。
事実、私が妻と映画館に見に行ったところ、客席数50程度の小劇場でしたが、満員で立ち見もいっぱい。でも、男性の観客は私だけでした。出入りするたびに「何だ、この男は?」といったおばさまたちの視線にさらされて・・・。
しかし、この映画を単なる女性映画としてだけでとらえるのは間違っていると思います。
物語は単純で分かりやすく、女たらしの主人公が貞淑な未亡人を落とそうとする姿が、やや強引で単純すぎるかもしれませんが、なかなか楽しませてくれます。よく整理され、練られた脚本と、つぼを押さえた演出も見事ですし、主演のペ・ヨンジュンや脇役の女性たちも魅力的です。
ネタばれになるので、細かいところは書きませんが、終わり方も余韻が残り、そして最後の最後でちょっぴり笑わせて、定石通りともいえますが、いい感じで終わりました。
私は「冬のソナタ」は、ほとんど見ていないので、写真だけからのイメージですが、主人公のペ・ヨンジュンは、がらりとイメージが変わっています。ひげがあることもですが、役柄が、純愛路線の「冬のソナタ」とは違って、女たらしですので、まったく別人のようです。私としては、なかなかいい味を出していると思うのですが、「冬ソナ」ファンのおばさま方は、どうなんでしょうか。イメージダウン、それともヨンさまであればなんでもいいのかな。
それから、この映画は、どうぞエンドクレジットの最後までごらんください。私が見た劇場では、8割ほどの人が、エンドクレジットが始まったら席を立ちました。でも、この映画、エンドクレジットの最後に、ちょっぴり趣向があり、これを見ると、暗い気持ちで映画館を出なくても済むかもしれませんよ。映画は最後までというのは鉄則です。


スズメバチ
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 52

監督:F.エミリオ・シリ  
公開年:2002年
マフィアのボスを護送中の装甲車がボスを取り戻そうという戦闘部隊に襲われ、警察の特殊部隊の3人がとある倉庫に逃げ込む。ところがそこには倉庫内の電化製品を盗もうというコソドロのグループが・・・。これにワケあり風の倉庫の警備員が絡み、次から次に攻撃を仕掛けてくるマフィアの戦闘部隊との激しい戦闘が展開されるというお話。
どうやら、この映画は「ジョン・カーペンターの要塞警察」(私は見ていませんが・・・)のリメイクのようです。
ガスマスクを付けて素顔を見せず、言葉も一言も発しない不気味な戦闘部隊。これに対する警察特殊部隊、コソドロたち、そして警備員たちの三者三様の戦い。なかなかおもしろい設定で、出だしはなかなかのものです。
最後に、使われている銃について。いろんな銃が登場します。特に主人公の警察特殊部隊の3人が持っている銃が、「フランス軍などで使っているFA−MAS G2のグレネードランチャー付き」「スイス軍が使っているSIG SG−551」「オーストリア軍などが使っているAUG」と、いずれもユニークな銃で楽しませてくれます。倉庫の扉や壁に次々に弾の貫通した穴が空いていくシーンは、銃の威力と怖さをよく表現しています。
おもしろい設定で、期待して見ていたのですが、後半の展開がいまいちと言った感じです。
まず、首をひねったのは護送されているマフィアのボス。あくどいことを色々やっているボスで、とりわけ売春組織での女性たちへの烙印などひどい仕打ちが強調されています。でも、なんか小者に見えるため、「なぜそこまでしてボスを取り戻そうとするのだろうか」といった印象を受けます。例えば「核兵器を使ったテロの中心人物」など、マンガチックであってもいいので、とてつもない悪人にしたほうが、そのあとの不気味な戦闘部隊のしつこい攻撃がわかりやすいと思います。まあ、そのあたりを無視して、動物的な不気味さを表現したいのでしょうが。これでは、主人公たちを襲う戦闘部隊は、怖いというより、テレビの戦隊ものにたくさん出てくる「やられキャラ」みたいです。そのあたりが、最後まで怖さを持続できない理由ではないでしょうか。
それから、最後がよくわかりません。通常、このたぐいの映画の終わりかたは、ぎりぎりまで追いつめられた後、主人公らがにくい敵を徹底的にやっつけ、観客は胸がすかっとするというパターンです。「スズメバチ」では、そのパターンを避け、意外性を出したかったのかもしれませんが、見ている方は、「えっ!これで終わりなの」と言った感じで、エンドタイトルを見せられる羽目になります。ここは、定石通りに作った方がよかったのではないでしょうか。


スター・ウォーズ
エピソード1
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 6(12)
映像 10
音響 10
主演
助演
おすすめ度
総合点 60

監督:G.ルーカス  
公開年:1999年


お馴染みの「STAR・WARS」のロゴ、テーマ曲で始まる4作目、エピソード1。それだけでファンにとっては、「待ってました!」。映画を超えたイベントの盛り上がりの中での日本公開。我が家では、冷静にエピソード1を迎えるつもりでしたが、気がついてみれば、1200円もする小さなキャラクター人形を買い集めるだけでなく、キャップ人形欲しさに普段買わないペプシコーラを買いあさり、果てはゲーム2本を楽しんだ後、ようやく映画鑑賞となる熱狂ぶり。
映画の方は、コンピュータグラフィックスを多用し、さらに完成度を増した特殊撮影。ジョン・ウィリアムズの音楽も盛り上がりのあるなかなかのもの。久しぶりのスター・ウォーズの新作を楽しませていただきました。

公開前から賛否両論あったエピソード1。確かに、欠点を探せばいくらでもあります。
まず主人公の魅力が足りない。というより、主人公は誰? クワイ・ガン・ジンは確かに魅力的ですが、主人公とは言い難い。では、オビ・ワン・ケノービ? 確かに彼は最後に活躍はするが、どちらかというとクワイ・ガン・ジンの陰に隠れている感じがします。では、やはりアナキン・スカイウォーカーでしょうか。ポッドレースのシーンや、最後の攻撃シーンなど活躍シーンもありますが、子どものせいか主役というよりどちらかというと準主役か脇役のような使い方だと思います。
スター・ウォーズ第1作目では、魅力的な脇役、ハン・ソロに食われたとはいえ、間違いなく主役はルーク・スカイウォーカーです。エピソード1では、主人公がはっきりしないために物語があやふやになってしまいます。
そして、悪役の魅力が決定的に足りません。1作目の悪の権化のようなダース・ベーダーと比べると、ダース・モールはまるでちんぴらです。なんとなく出てきて、なんとなくやられてしまいます。これでは、物語の盛り上がりがいまいちです。
この他、このシリーズの最大の魅力とも言える特殊撮影についても危惧すべき点があります。コンピュータグラフィックスを多用した映像は確かに魅力的ですが、人間を使わずコンピュータグラフィックスだらけの映像は迫力に欠けます。例えば、ポッドレース。エピソード1の中では見せ場となっているところですが、お手本にした(と思われる)「ベン・ハー」の馬車のレースと比べると、「ベン・ハー」の方が生身の人間が直接演じている分、見ている方は手に汗を握り、文句なしに面白いです。コンピュータグラフィックスの多用は要注意です。
脚本も分かりにくいし、演出もアナキンが出てくるまでは、あの手この手の連続の割には平板で、あまりの退屈さに眠くなります。アナキンをしっかり主人公にすえて、物語を作り直した方がいいと思います。
偉大な1作目が95点、つまらない2作目が50点、ちょっと頑張った3作目が70点ぐらいで、満を持して登場したエピソード1は力不足の60点といったところでしょうか。
残念ながら、これでは、2本のゲーム(ファントムメナスとレーサー)の方がよっぽど面白いです。これホント。


スターウォーズ   エピソード2   
クローンの攻撃
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 43

監督:G.ルーカス  
公開年:2002年

ご存じ、「スターウォーズ」の5作目。第4作「エピソード1」から続くテーマは、「いかにしてダースベーダーが産まれたのか」というもの。今回は、若者に成長したアナキン・スカイウォーカー(将来のダースベーダー)とパドメ・アミダラとの恋物語を絡めながら、いつもながらのスターウォーズの世界が展開されます。
特に、後半の戦闘シーンでは、前の4作での戦い(帝国の逆襲の氷の惑星ホスでの陸上戦など)のテーストをふんだんに盛り込んで大迫力。ファンサービスはさすがというところです。
前回、「エピソード1」で、大いに盛り上がった中で映画館に行き、ひどい失望を味わった我が家の面々。妻は前回も途中で寝てしまいましたが、今回もやはり寝てしまいました。そして今回はなんと私も途中で寝てしまいました。中学3年の長男と小学5年の長女は「だって面白くないもん・・・」と言って、全く関心を示すことなく、映画も見ませんでした。(子ども達も映画好きなんですけどね・・・)
これで評価終わり・・・としたいんですけど、もう少し書きますかね。
なんといっても前半3分の2ぐらいまでが退屈すぎます。最初のつかみもダメだし、ダースベーダーに話を持っていくための強引なストーリーもひどいものです。オビ・ワンは相変わらず地味で目立たないし、アナキンは単なる身勝手な子どものようで、せめてもう少し母性本能をくすぐる位だったらよかったんですが。そして、ヨーダ。ライトサーベルを使った敵との戦いが売り物のようですが、あれではまるで「ライトサーベルを持ったサル」のようで笑ってしまいました。ひょっとしてこれはコメディ?
でも、「ロード・オブ・ザ・リング」にも敵役で出ていたクリストファー・リーは、ちょっとダースベーダーのようで迫力がありました。もちろん「ロード・オブ・ザ・リング」の時のほうが数倍良いですが。
結局、登場人物の魅力が足らないのだと思います。今更ながら、ハン・ソロそしてダースベーダーなどの偉大さが分かります。
それと、ルーカス・アーツで制作するゲームを意識したようなシーンもあり、ややシラケました。ルーカスがスターウォーズを3作で終わらせずに、「エピソード1」「エピソード2」と作り始めたのは、映画そのものもですが、ゲームやキャラクター商品を売ることも重要な要素のようです。かなりの商売人ですね。
最初「スターウォーズ」に驚き興奮したのは、やはりSFX(今はなんて言うんでしたっけ・・・)の素晴らしさでした。今回の「エピソード2」でも映像面はさらに磨きがかかってきた感じですが、あまりにもCGを使いすぎてオブジェクトのリアリティーが損なわれ、安っぽい絵のような仕上がりになったところも多いと感じました。「エピソード1」でも書きましたが、CGには限界があります。使いすぎはけがのもと。
最後にボバ・フェット親子について。子どもを悪役に使うのはやめて欲しいです。後味が悪すぎます。また、俳優さんも中南米系の人を使っていて、何か人種差別のような感じさえします。


スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
テーマ
脚本×2 1(2)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 37

監督:ジョージ・ルーカス 
公開年:2005年
「スター・ウォーズ」シリーズ、全6作の最後の作品。これで、ダース・ベイダー誕生の謎が解明される・・・と言う映画です。
まず、冒頭の戦闘シーン。遊園地のアトラクションさながらの臨場感と迫力で、「エピソード3」にかけるルーカスの意気込みが強く感じられます。これはレンタルビデオでは体験できないもので、是非映画館で見ることをお勧めします。
冒頭に限らず、この「エピソード3」では、CGで描かれた、さまざまなキャラクターやメカが次々に登場し、シリーズ最後の映画を、これでもかこれでもかと盛り上げます。「エピソード2」あたりでは、ちょっと手抜きかなと思わせたCGですが、さすがに今回は、クオリティーがかなりあがっています。
そして、ダース・ベイダー誕生にいたる物語は、子どもから大人まで、誰にでも分かるように、懇切丁寧に描かれています。今回、特にオビ=ワン・ケノービが、とてもカッコよく描かれていいですね。
とまあ、一通り「エピソード3」について書いたところで・・・この映画、SF映画の新たな基準を作ったあの偉大な「スター・ウォーズ」(もちろんエピソード4)にリアルタイムで出会った者にとっては、その変容ぶりを目の当たりにして、あまりにも悲しすぎる映画です。
まず第一に、結末の分かった映画を見て、本当に面白いですか? 「なぜ、ダース・ベイダーの顔があのようになったのか、背が伸びた理由までよく分かった」とか「多くのジェダイたちの末路が今明かされる」とか、「本当に、いろんな謎があきらかになり、エピソード4にうまく、はまるんです」といった、賛辞ともとれる、よくわからないコメントが出回っていますが、それは映画会社(ジョージ・ルーカス)の策略に、まんまと、はまっているだけではないですか。ひとひねりも、ふたひねりもして、観客の意表をつくとかすれば、結末の分かった映画でも、例外的に面白くすることは出来ると思いますが、何の工夫もなく、ツジツマあわせをしただけの映画では、付き合わされるほうも大変です。
ただし、以上のような印象は、リアルタイムに「スター・ウォーズ」に出会った者と、最近の若い観客とでは、違うかもしれません。まあ、「エピソード4」がどういう話だったか、はっきり覚えていない観客であれば、「結末が分かった映画」という訳でもないでしょうから。
次に、これは、「エピソード1」あたりから引きずっている問題なんですが、やはり、主人公がはっきりしません。まあ、基本的には、アナキン・スカイウォーカー=ダース・ベイダーなんでしょうが、悪のヒーローというのでもなく、もちろん正義のヒーローでもなく・・・まあ、悩める愚かな若者といったところで・・・今ひとつです。オビ=ワン・ケノービは、とてもカッコよいのですが、やはり主役というのでもないし・・・。いっそのこと、「エピソード1」から「エピソード3」までは、開き直って「悪のヒーロー誕生物語」として、「エピソード4」から「エピソード6」までとは、視点を正反対にして描いたら、すっきりしたかもしれませんが・・・まあ、ファンが許しませんかね。
また、シリーズ6作のなかで、この「エピソード3」がもっとも多く、敵味方のキャラクターやメカが出てきて、かなり頑張っていると思いますが、逆に、あまりにもいろいろ出てきて、それぞれの印象が薄まったような気がします。中では、あまり強くなかったけど、グリーバス将軍が、ちょっと気になったキャラクターではあります。
そして最後に、最悪なのが、この「エピソード3」のテーマでもある、アナキンが暗黒面に落ちた理由です。心の弱いアナキンは、パドメが死んでしまうという予感というか、悪夢というか・・・そういう思いにとらわれ、ダース・シディアスの見え見えの策略にはまってしまいます。ですから、物語は、愛しい人のことを思い正義と暗黒との間で揺れ動くアナキンと、なんとか彼を助けようとするパドメとの関係に多くの時間を割いています。しかし、安っぽいメロドラマのような展開、くどくどとしたセリフの洪水に辟易とします。「エピソード4」から「エピソード6」それに「エピソード1」でも、割とあった、爽快感は影を潜め、鬱々とした話となってしまいました。
第一、そのくらいの理由で、アナキンが暗黒面に落ちたという設定が許せません。自分の愛するものを守りたいという気持ちは尊いし、よく分かりますが、だからといって、そのために国を売る(銀河系を売る)人間は「唾棄すべき裏切り者」でしかありません。それでは、観客としては感情移入はまったく出来ません。もっと、違う理由、例えば、「アナキンとして良かれと思ってやったことが、運命のいたずらで結果としてジェダイを裏切ることになってしまった」というようなシナリオはできなかったものでしょうか。
そして何より、アナキンが暗黒面に落ちた理由をこのような安っぽい理由に設定したことにより、「エピソード1」から「エピソード3」までの物語までスポイルしてしまうという結果となってしまいました。この罪は大きいと思います。


スター・オブ・ソルジャー
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 57

監督:クリストフ・ド・ボフィフリー 
公開年:2006年
ソ連のアフガニスタン侵攻をテーマにした、フランス、ドイツ、アフガニスタン合作という、不思議な組み合わせの映画。
物語は、ロックギタリストのニコライが徴兵されて、アフガニスタンに派遣され、そこで見た戦争の現実といったようなところで、どうやら実話を基にした映画のようです。
前半は、ソ連軍の部隊での様子、後半は、ニコライがゲリラに捕らえられ、アフガニスタンの人々と次第に心を通わせていくといった内容です。そこにフランス人のジャーナリストが絡むというところで、フランス映画なのでしょう。
多分、アフガニスタンでロケしたのでしょうが、アフガニスタンの自然や人々の表情がよく描かれていて、とても素晴らしいと思いました。
考証的には、兵士の服装や装備など、少しきちんとしすぎのような気はしますが、基本的によく押さえてあります。Mi−24強襲ヘリコプター(ちょっと型が違うかもしれませんが・・・)とか、T−54(か55)戦車、BMP−2歩兵戦闘車などもふんだんに登場しますし、歩兵の装備もAKMとAK−74が混在しているところとか、よく描かれており、戦争映画としては合格です。ロシア映画ではないので、すこし雰囲気的に、違う部分もあるかなとも思いますが、そこは仕方のないところでしょう。
ソ連の軍人も、アフガニスタンのゲリラも同じ人間であり、戦争という悲惨な状況に巻き込まれ、必死に生きているという視点で描かれています。後半には、ニコライとゲリラとの心の交流などもあり、実に感動的な映画なのですが、残念ながら、そこが今ひとつよく伝わってきません。
ひとつは、ニコライの心理の描写が表面的で、深みが足りないためだと思います。もうひとつは、アフガニスタンのゲリラの描き方が、ものすごく善人に描かれており、それは、「彼らも普通の人たちなんだよ」ということなのかもしれませんが、「戦士」のイメージと違っていて、違和感を感じさせるのだと思います。
なかなかいい題材なんですが、映画としては今ひとつで、残念といったところです。
でも、ロシアマニアの私としては、十分楽しめました。


スターリングラード
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 68

監督:J.J.アノー  
公開年:2000年


独ソ戦初期のスターリングラード攻防戦を舞台に、英雄に祭り上げられたソ連軍スナイパーとそれを抹殺しようという老練なドイツ軍スナイパーとの息詰まる戦いを描いた作品。
2人の戦いに的を絞ったことが緊張感の持続につながり、観客を最後まで引きつけることに成功したと思います。それに恋人となる女性兵士や政治将校との三角関係も効果的に絡んで、わかりやすい映画になりました。
ドイツ軍スナイパー役のボブ・ホプキンスがやけにかっこいいですが、主人公のジュード・ロウもハンサムでなかなかいいですね。
それと、CGを使ったスターリングラード市の全景は迫力ありました。
スナイパー同士の戦いを中心に持ってきた結果、シンプルで効果的な映画に仕上がっていますが、逆にあの凄まじいスターリングラード攻防戦の割には、地味な戦いになりました。(スナイパーだから仕方がないか・・・)
一番の問題は、発見されたら即戦死というスナイパーの孤独、怖さがあまり表現されていないままスナイパー同士の戦いに突入したため、はらはらどきどきはしますが、胃袋を締め付けられるような緊張感までいかないことです。わかりやすく作ろうという意図はよく理解できるんですが、今ひとつ迫力に欠ける結果となりました。
それとエンディング。詳しくは書きませんが、違うエンディングの方が良かったのではないでしょうか。いろんな考え方があるので、どちらがいいとは言えないかもしれませんが、私は映画館のイスの上でずっこけてしまいました。
くどいようですが、私は戦争映画の場合、それは例え娯楽アクション映画であっても、戦争の悲惨さを訴え、批判する姿勢が必要だと思うのです。その意味では、「フロントライン 戦略特殊部隊」のエンディングの方が、同じような終わり方とはいえ、数段上だと思います。


ステイト・オブ・ウォー
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 74

監督:T.バウアー 
公開年:2005年
「戦争の記憶は決して消えない」。これは、エンディング曲の歌詞にある言葉です。この映画のテーマは、まさにここにあります。
この映画は、1982年、アルゼンチンの500キロ沖合いにあるマルビナス諸島(イギリス名はフォークランド諸島)の領有権をめぐって、アルゼンチンとイギリスの間で戦った「フォークランド紛争」を、アルゼンチン側から描いたものです。
マルビナス諸島で一緒に戦い帰国した戦友が自殺を図り、主人公が駆けつけるところから映画は始まります。そして、凍てついた戦場での焦燥感や恐怖、そして混乱の戦いなどが描かれ、戦争の後、兵士達が暖かく迎えられず、厄介者扱いされた状況を見せます。
ここで描かれるアルゼンチンの兵士たちは、決して「勇者」や「英雄」ではなく、戦争という歴史のうねりに翻弄された普通の人間として描かれます。そして、戦争が人々の生活にいかに大きな禍根を残すものか、「戦争の記憶は決して消えない」ということを訴えます。
その意味で、この映画は「戦争アクション映画」ではありません。しかし、まさに「戦争映画」です。ここに、戦争映画の意義があります。人類最大の災いともいえる「戦争」。その残酷な姿を正しく伝えること、そして戦争を忘れないことで、悲惨な戦争を抑止しようということです。
実際の戦争から20年以上たって、アルゼンチンの映画人が作り上げた戦争映画の力作です。
上に書いたように、この映画は「戦争アクション映画」ではありません。ですから、陸戦シーンは1か所だけです。戦闘の様子は、「プライベート・ライアン」で、スピルバークが開拓したテクニックを借用し、手持ちカメラによるブレた映像や、サラウンド音響による飛び交う銃弾の描写など、流行の手法で描かれます。ただ、混乱した戦場を描こうという監督の意図なのでしょうか、真っ暗闇の中で、ほとんどクローズアップの映像が続き、観客のほうも何が起きているのかよく分からない状況になります。まあ、これはこれで、ひとつの描き方かもしれません。
軽いアクション映画ではないので、兵士の装備関係を言うのもなんですが、FN−FALライフルやFN−MAGマシンガンなどアルゼンチン軍の装備は興味深いところで、寒さとぬかるみの戦場の描写もなかなかのものです。


ストームゲート
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 44

監督:アンドレイ・マリューコフ 
公開年:2006年
チェチェン紛争(第1次らしい)を題材にしたロシアの戦争映画。ある山岳地帯の要塞跡(これが原題「Грозовые ворота・雷雨の門)を確保するために派遣されたロシア軍の中隊の物語です。
孤立して全滅の危機に見舞われる恐れがありながら、作戦上の必要性から派遣される兵士たち。中隊を任された新任の上級中尉と、家族の反対を押し切って入隊したある新兵のそれぞれの本国でのエピソードを描きながら、激しい戦闘が展開されます。
丘の上の陣地を守るロシア軍とそれを攻めるチェチェン独立派の兵士の大群。まるで、ベトナム戦争を描いた「ハンバーガー・ヒル」のような戦闘。また、孤立した部隊という面では、アフガン紛争を描いた「第9中隊」のようでもあります。
戦闘シーンはかなり派手です。兵士たちが使用しているライフル「AK−74」や「AKS−74」も現在のプラスティック銃床ではなく、当時の合板製の銃床になっています。消音ライフルの「VSS」も出てきます。車両も「BMD−1」や「BMD−2」など、それに当然、ロシアの戦争物に欠かせない攻撃ヘリの「Mil−24ハインド」もふんだんに出てきます。ロシア軍マニア(どれだけいるか知りませんが・・・)にとっては、それらの実物が動き回るシーンを見るだけでも最高です。特に、「BMD−1」や「BMD−2」の空挺戦闘車(空挺戦闘兵車)、映画の字幕では「戦車」と表現されていましたが、あのように軽快に小回りがきき、速度も速いのにびっくりです。でも装甲車の弱点で、戦車と比べると装甲が薄いので、対戦車ロケットに簡単にやられるのも、リアルです。
派手な戦闘シーンですが、はっきり言って、現在の戦争映画のレベルという意味では、かなり劣っています。押し寄せるチェチェンの兵士ですが、特に身を隠すこともなく突撃。ロシア軍の銃弾は百発百中・・・というのは、チェチェン兵の勇敢さはあるにしても、射的の的みたいで、あんまりです。同じロシア映画の「チェチェンウォー」などのほうが、よっぽどリアリティがあります。
そして、今も戦っている国の映画としては、しかったないかも知れませんが、エンディングもご都合主義であんまりです。
戦争が身近でない(一応ですが・・・)日本の幸せが身にしみる映画ではあります。


ストレート・ストーリー
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 76

監督:D.リンチ  
公開年:1999年


グッド!! トラクター版ロードムービー。お年寄りがトコトコと道を走る、そのリズムに合わせて、映画もゆったりとした流れで進みます。
延々と続く広大な畑、追い越していく大型トレーラー、急に降り出した雨、納屋に避難するトラクター、火をたきながらの野宿、途中での善良な「普通の人々」との出会い・・・。この映画を見ていると、ちょっと旅をしたくなってきました。
頑固な主人公のおじいちゃん。どこにでもいそうなキャラクターで、いい味出していますね。何も語らずに空を見上げるラストシーン。これ以上何も要りませんね。いいラストシーンです。
年をとるということは大変なことだけど、生きているということはそれだけでいいことなんだ、そう語りかけるこの映画・・・。人生の折り返し点を過ぎた私の心の中に、小さな火をともしてくれました。
見終わったあとの気持ちの良さは、最近見た映画のなかではトップクラスですね。
バッド!!
あんまり文句をつけるところはないんですが、家出の少女を諭すシーンや自分の戦争体験を話すところなど、少しお説教臭い感じはします。まあ、主人公がお年寄りですから、それくらいは逆にリアリティがあるのかもしれませんが・・・。


スペースカウボーイ
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 7(14)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 68

監督:C.イーストウッド
公開年:2000年


この映画、企画の勝利でしょう。宇宙への夢を捨てきれないロートル宇宙飛行士4人組が、軌道上の衛星を修理するために宇宙に旅立つ。これだけ聞いただけでワクワクしますね。
クリント・イーストウッド、トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、そしてジェームズ・ガーナー。映画好きならこのラインナップは納得するところでしょう。4人とも素敵ですが、特にドナルド・サザーランドじいちゃんの元気さがうれしいですね。(「マッシュ」のころからあんな感じですが・・・)
クリント・イーストウッドの演出も肩に力入れずに、つぼを押さえた好ましいものです。気楽にみましょう。

まあ、あまり難しい事を言ってもなんですが、最後のトミー・リー・ジョーンズの犠牲的行動。意表を突いて面白いとも言えますが、なんかマンガチック。ここはクサイですが、もっとシリアスに描いた方がいいのか、いろんな考え方があるでしょうが、難しいところです。


すべては愛のために
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 41

監督:M.キャンベル 
公開年:2003年
実を言いますと、この映画、レンタル店で見たDVDのケースに「AK」の写真があったので、AK大好きとしては思わず借りてしまいました。
予想通り、チェチェンゲリラが出てきて、AKがふんだんに出てくる映画でした。
この映画、エチオピア、カンボジア、チェチェンという3か所の紛争地を舞台に、アンジェリーナ・ジョリー扮する女性が必死に救援活動に取り組む姿を描く映画。
特別、アンジェリーナ・ジョリーのファンというわけではないのですが、この女性、「トゥームレイダー」よろしく、強いことがんばること・・・びっくりです。まあ、彼女のための映画といった感が強いですね。
ところがこの映画、彼女の必死な救援活動を描くのが目的ではなく、実は戦地で活動を続ける医師に強い思いを寄せる彼女が、この医師を助けるために活躍するという、変な映画です。
原題は[BEYOND BORDERS」・・「国境を越えて」というもので、これは実にかっこいいタイトルですが、邦題の「すべては愛のために」の方が、この映画をよく物語っています。原題より邦題の方がぴったりくるという稀有な例です。
彼女の愛の強さを示すために、物語はご都合主義のオンパレード。彼女は、もちろん夫も子どももいますが、それを振り切って、エチオピアやカンボジア、チェチェンに行くのも、思いを寄せる医師の彼のためです。愛があれば何でも捨てられるとばかり、彼女は猪突猛進します。
まあ、メロドラマとして、こんな映画もありかもしれませんが、それにしてはラストはあんまりです。もうちょっとどうにかなりませんか。さらに止めを刺したのが、後日談・・・・。私は何も申し上げられません。絶句!!!。
もし興味がおありなら、ご自分でご確認ください。


スパイダーマン
テーマ
脚本×2 6(12)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 58

監督:S.ライミ  
公開年:2002年
自分自身が「クモ」が嫌いだからという訳ではないのですが、だいぶ遅れてビデオで見ました。
レンタル店でも人気のタイトルだけに、なかなかよくまとまった作品でした。
元々、有名なアメリカンコミックですので、表現もそれを意識して作られています。
前半でダメ男の主人公が、遺伝子操作されたクモに偶然かまれたことから驚異的な力を手に入れ、悩みながらも人たちを助けるヒーローとして活躍するまでを、丁寧に描いています。
主人公だけでなく、主人公の叔父夫婦、幼なじみで主人公が恋心を抱いている女性、ルームメイトの友人とその父親の苦悩など、いいテンポで手際よく語られており、好感が持てます。
やはり問題は、CGでしょう。人間では表現できないスパイダーマン独特の動きやハードなアクションを表現するのに、ほとんどCGを使っているようです。確かに、従来のスパイダーマン映画には見られない、すごい映像ができあがりましたが、「このシーンはコンピュータで作ったアニメーションだな」と考えるとシラけてしまいます。
作る側の熱意と、それを受け止める観客の満足感にずれが出来てしまった感じです。紙一重のところでとどまることが大事です。
それと、敵のグリーンゴブリンの設定や造形はいかにもマンガ的でいいと思うのですが、最後はあっけない感じでどうにかならなかったものでしょうか。


スペース
トラベラーズ
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 6(12)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 54

監督:本広克行  
公開年:1999年


映像の作り方、音楽の使い方、キャストの顔ぶれ、どれをみてもまるで「踊る大捜査線」。本広克行ワールドですね。
ハードな織田裕二に代わってソフトな金城武。そんなに重くなくて、漫画的なこの映画にはぴったりかもしれません。
最初この漫画的な展開についていけずに、ややしらけていたんですが人質が犯人になりきるところあたりから面白くなってきました。よくある話ともいえるんですが、みんなで力を合わせる話って、やはりいいですね。「さあ、やったるでー」といったところでしょうか。そのままの勢いでいってくれればよかったんですが・・・。

基本的には「犯罪を認める映画を作るわけにはいけない」というのは分かっているんですが、この結末では、観客の昂揚した気持ちをどこに持っていけばいいんでしょうか?
ヨーロッパあたりの映画に「本当はいけないんだけどまあいいか。でもちょっぴりだけ罰を与えましょう」といった感じの終わり方は、いくつも参考にする例があったような気がします。そこが残念です。これでは主人公の彼らに未来はありません。
でも、もっと深読みすると、今の我々が置かれている閉塞的な状況を反映しているのかもしれません。同じようなラストシーンの「明日に向かって撃て」では、ほとんど勝つ見込みはないかもしれないが、それでも巨大な権力に向かう反抗、革命の気持ちが表現されています。しかし「スペーストラベラー」では、現在の状況に強い不満を持ちつつも、力を結集するのではなくバラバラに個人の内面の方に向かうといった感じで、権力との戦いを最初から放棄しているように見えます。
映画って時代を映す鏡なのかもしれません。


スリー・キングス
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 55

監督:D.ラッセル  
公開年:1999年


湾岸戦争終了直後、フセインの金塊を横取りしようというジョージ・クルーニー扮する米軍特殊部隊将校と3人の兵士たちの顛末を、ややコミカルに描いた作品。というとクリント・イーストウッドの「戦略大作戦」を思わせる設定ですね。
ジョージ・クルーニーもいい味を出していますし、金目当ての兵士達が最後にはイラクの住民たちを助ける羽目になるという展開もいいですね。
冒頭シーンで、降伏しようとしているイラク軍兵士をよく分からずに射殺してしまうところや、多国籍軍の巡航ミサイルの威力を見せるシーン、家族をミサイルで失ったイラク軍兵士など、戦争の現実を訴えようという姿勢も見え、アメリカ映画にしてはイラク側もよく描いていると思います。
それと、映像的には4人とイラク軍兵士が住民への対処をめぐって対峙し、撃ち合いになってしまうシーンの編集は、緊迫感あふれるものになっていてよかったです。

上の欄でも書きましたが、この映画はイラク側もよく描いています。でも、それが逆にやや荒唐無稽なこの映画の爽快感をそぐ形になったのは惜しいところです。もっと単純に善悪に分けた方が、このような映画にはふさわしいような気がします。
それと、途中まではいいんですが、後半になってくるとご都合主義の展開のオンパレードになりリアリティを欠いてしまいますし、緊張感もとぎれてだれてしまいます。もう少し作り込んで欲しかった気がします。


300〈スリーハンドレッド〉
テーマ
脚本×2 4(8)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 44

監督:Z.スナイダー 
公開年:2007年
ギリシアに攻め入った100万人のペルシアの大軍に、勇猛さで知られるスパルタのわずか300人の兵士が立ち向かうというスペクタクル映画。
「ただ血しぶきが飛ぶだけ」といった悪評もあり、映画館では見ませんでしたが、ある意味では、この映画こそ映画館で見るべき映画かもしれません。なにしろ、とりえといえば、CGなどの最新技術を多用した格闘シーン、スペクタクルシーンがすべての映画ですから。それを楽しむには、映画館の大スクリーンが一番でしょう。
この映画、ドラマ部分はシンプルというか、深みはほとんどありません。その意味では、映像は迫力あるものの、全体としては薄っぺらな映画といえるでしょう。
だから、ダメな映画かというと、戦い部分を楽しむと割り切れば、物語をシンプルにしたのが逆に効果的ともいえるので、それなりに楽しめる映画でもあります。ただ、スペクタクルシーンにしても、壮大な物語が下地にある「ロード・オブ・ザ・リング」などの先駆的な映画と比べると、底の浅さは歴然としていますが・・・・・。


スリーピー・ホロウ
テーマ
脚本×2 9(18)
演出×2 9(18)
映像 10
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 89

監督:T.バートン  
公開年:1999年


まず言っておかなければならないのは、この映画はホラーではないということです。確かに人の首はポンポンはねられ、ショッキングなシーンは多いのですが、どちらかというとファンタジーに近い映画だと思います。
そう思ってみると、あの怖い首なしの騎士でさえ、哀れみを覚えるほどです。
脚本も伏線を織り交ぜながらよく練られていますし、演出も恐怖と謎解きに始まって最後の首なしの騎士との対決まで一気に見せます。しつこく追いかけてくる首なしの騎士の姿はまるでターミネーターのようです。
そして何より、あの色調を押さえた映像の統一感が何ともいえずいいですね。それと相まって、母親に対する悲惨な過去を引きずる神経質そうな主人公や、ちょっと謎めいて魅力的なヒロイン、その他長老たちや主人公の従者になる少年など、おどろおどろしい世界にぴったりの魅力的な脇役がいっぱいです。脇役が活き活きとしているという点で、あの「踊る大捜査線(テレビ版)」に通じる良さがあると話しながら、ホラー映画は絶対に見られない私の妻も楽しんで見ていました。
そして、ティム・バートン監督の作品としては最近の「マーズアタック」のような毒を評価する人も多いでしょうが、ハッピーエンドで「ああ良かった」と思って見終わるこのような映画もいいですね。
最後に100分余りという上映時間がいいですね。2時間を越える映画は珍しくありませんが、やはりこのくらいの上映時間の方が楽ですね。
強いて言うと、最後のどんでん返しまでよく出来過ぎていて、意外性に乏しいかもしれませんが、文句を言う筋合いではないでしょう。怖い映画は苦手と敬遠している人にも是非見て欲しい映画です。


ゼブラーマン
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 4(8)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 52

監督:三池崇史  
公開年:2004年
家族崩壊、仕事場でもダメ教師の男。でも30数年前に視聴率が悪くて途中で放映中止になったアクション番組「ゼブラーマン」の大フアン。一人でこそこそとコスプレを楽しむ。その男が実際の地球の危機に、とまどいながらも立ち上がった。・・・ なかなか魅力的な設定です。
本物のゼブラーマンになる前までの、男の様子はいろいろ笑わせてくれます。「お前は誰だ」と聞かれて「ゼブラーマンです」とアクション番組らしからぬ普通の答えをする様子や、コスプレして自販機で清涼飲料水を買いに行くシーンや教え子の家に行くシーンなどは、おもしろいシーンです。
そして後半、授業中でも必要があればゼブラーマンの服に急いで着替えて、現場に駆けつけるゼブラーマンの姿や、敵をやっつけるために特訓を行うシーンなど、感動のラストシーンに向けて物語が進みます。
哀川翔の100本目の映画として作られたこの映画、彼自身もいい味を出しているほか、いろんな俳優などが出演し、記念の映画を盛り上げます。
なかなかいい設定の映画ですが、それだけに「本当に残念!もったいない!」
この映画、「SF近未来ヒーローアクションコメディー映画」(長い・・・)だと思うのですが、基本はコメディーです。でも、そのコメディーのツボを完全に外しています。例えば、自分がゼブラーマンだと気づく前、街をこそこそ歩き回るゼブラーマンの姿はそこそこおかしくてちょっぴり笑いを誘うのですが、映画ではただそれだけ。マンガ版では(息子から聞いたんですが・・・)、このあと自分の娘とバッタリ出会ってびっくりするというシーンがあるそうです。そのような細かな描写の積み重ねで、コメディーはおもしろくなるのです。また、中盤でゼブラーマンが夢から覚めて、「ひょっとしたら今までのものすべてが夢か?」と思うシーン。これも、そのあと「夢だと思って行動したけど、やはり事実と分かりがっくりくる」という描写がないと、おもしろくありません。しかし、それが出てきません。
このように、この映画、素材はいいのですが、笑いのツボの真芯に当たるものがほとんどなく、すべて、わずかに外れたり、かすめたりなどのオンパレードで、見ていて欲求不満が募ります。
第一、普通の人間だったはずの男性が、突然ゼブラーマンになり超人的な技を出せるようになるという話を、映画なりに納得させるには説明がなさ過ぎて、とてもついていけません。「荒唐無稽な物語だから、難しいことは言わないで、気楽に楽しめばいい」という意見もありますが、それと「荒唐無稽な物語だから、リアリティー無視、物語の脈絡無視でいい」というのは、話が違うと思います。ナンセンスマンガの「ボボボーボ・ボーボボ」じゃないんだから。
参考のために書きますと、荒唐無稽な話でもリアリティー豊かに描いた傑作映画としては、「ギャラクシー・クエスト」があります。これは、かつてSFテレビ映画に出演していた役者が、本物の宇宙人から救助を依頼され、すったもんだの挙句、何とか使命を果たすという映画ですが、細かいところをていねいに描いていて、本当にこんなことがあったら楽しいなと思わせる映画です。「ゼブラーマン」も、このように描いてほしかった。
もし、私が脚本を書くとしたら、「ゼブラーマンは、自分が使命を受けたゼブラーマンであることを知っていたが、ゼブラーマンが立ち向かう相手が長い間出てこなかったため、自分がゼブラーマンであることも忘れそうになり、普段はコスプレを楽しむだけだった。そこに、ようやく敵が現れたが・・・」とします。その方が、すんなりいきませんか?
いろいろ欠点をあげつらって書いてしまいましたが、この映画は、「もしヒーローが本当にいたら、どうなる」というテーマや哀川翔の違う面をよく出したことなど、なかなか愛すべき一作ではあります。どうぞ見てやってください。
最後に、主人公のコスプレシーン。迷彩服コレクターの私としては、ちょっと自分を見るようで、変な気持ちがしました。この歳になっても、なかなか子どもっぽさが抜けないなあ・・・・・。


1945戦場への橋 ナチス武装戦線
テーマ
脚本×2 3(6)
演出×2 3(6)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 31

監督:ウォルフガング・パンツァー 
公開年:2010年
いかにも劇場未公開、B級テイスト満点の邦題を見て、ひょっとしたらと思ってレンタルで借りたら、やっぱりそうでした。あのドイツの戦争映画の名作「橋」のテレビ用リメイク版のようです。
元々の「橋」も、実話を基にした話でしたので、当然この「1945戦場への橋 ナチス武装戦線」も基本的には同じような話となっています。
戦争末期、防衛のため急遽徴兵された少年たち。訓練もほとんどされていない少年たちに対し、指揮官は、とりあえずある橋を守るように命じます。しかし、少年たちの世話をする予定の古参兵が射殺されたことから、少年たちは、訳もわからず必死に橋を守ろうとアメリカ軍と戦います。ところが、その橋は実はアメリカ軍の進撃を遅らせるために、ドイツ軍によって爆破される予定だったことがわかり、生き残った少年たちは怒りを爆発させるという話です。
同じ話を元にしているものの、「橋」と「1945戦場への橋 ナチス武装戦線」は、まったく別物の映画となっています。「戦争映画100!バトル&ウエポン」の著者、大久保義信さんは映画「橋」について、『ことさら劇中で「戦争は悲惨だ」とか、「子供たちは犠牲者だ」等と叫ばないところに、この映画の価値がある』と述べています。私も同感ですが、「1945戦場への橋 ナチス武装戦線」では、その逆で、大声で「戦争は悲惨だ」とか「子供たちは犠牲者だ」等と叫んでいるんです。
第一、少年たちの教師の女性が、すでにアメリカ軍と激しい戦闘を展開している少年たちを家に帰すように、防衛隊の幹部(?)に掛け合い、戦闘の合間に駆けつけて連れ帰ろうとするなんて、実際ありえますか?また、少年たちのクラスメイトの少女が、アメリカ軍の兵士のところに行って「相手は少年だから戦闘をやめてくれ」と頼んで、それに応えてアメリカ軍の兵士が少年たちを何とか助けようと呼びかけるなんて・・・まさかそんなことないでしょう。映画「橋」ではまったく描かれていないシーンがたくさん加えられています。戦場では、たとえ少年であっても銃を手にして歯向かってくれば、「敵」でしかないでしょう。
少年たちの哀しさを淡々と描いた「橋」と違って、ある意味で「きれいごと」の話が続く「1945戦場への橋 ナチス武装戦線」は、「平和ボケした」とも言われる、どこかの国の描く戦争映画と同一線上にあるように見えます。同じドイツ映画でも、時代が変わると違うものですね。
なお、劇中でアメリカ軍戦車として、スイス軍の戦後第一世代の戦車「Pz61」が出ています。私は映画では初めて見ました。あるサイトによりますと、もう1台のシャーマン戦車はカナダ軍の「グリズリー巡航戦車」だそうです。
それから最後に一言。監督の苗字が「パンツァー(Panzer)」ってのはシャレですか。日本語で言えば「装甲」なんて意味で、「Panzerkampfwagen(パンツァー・カンプ・ワーゲン)」は「装甲戦闘車両・戦車」って意味なんですが・・・。それともそんな苗字は多いのかな?


戦場のピアニスト
テーマ
脚本×2 7(14)
演出×2 8(16)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 77

監督:R.ポランスキー  
公開年:2003年
久しぶりに見たポランスキーの映画。これまで「ローズマリーの赤ちゃん」と「マクベス」ぐらいしかちゃんと見ていません。まだ映画を作っていたのですね。そして、カンヌでパルムドール。立派です。
実在のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの回顧録を元にしたポーランドのユダヤ人迫害の物語。迫害の中で生きるユダヤ人の姿、そして幸運にもガス室送りを免れ、必死になって生き延びようとするピアニストの姿を描きます。ポランスキー自らも戦争中、迫害を受けたということで、渾身の演出を見せてくれます。
なんといっても、一人のピアニストの視点にこだわっていろんな出来事を描写しているのがいいですね。特に迫害を逃れるなかで、外の世界がどうなっているかの情報もなくなり、ピアニストが見ることのできるのは窓の外の風景だけ。それをロングショットのまま見せるというのは、なかなかリアリティがありました。
また、家族との最後の別れのシーンなど、過度に物語を盛り上げることなく、さらりと描いているのも、かえって哀しみが広がります。このほか、強制労働させられるユダヤ人の中からドイツ兵が適当に選んで射殺するシーンも、戦争直後に撮られたロベルト・ロッセリーニの「戦火のかなた」のパルチザンの処刑シーンのように、簡単に人が殺される戦争の姿をよく伝えています。
戦争、そしてユダヤ人迫害という、一人の人間ではどうしようもない苦難に対し、生死を分けるのは運だけ。そのなかで死に物狂いで生き抜こうとする一人の人間の姿を描いた力作だと思います。
主人公を演じたエイドリアン・ブロディは「サマー・オブ・サム」でも印象的な役をしていましたが、今回の演技もいいですね。
今までもわかっていたことなんですが、映画の前宣伝というのは信用しないほうがいいですね。例えば「アイズ・ワイド・シャット」などは、まるで猟奇サスペンス映画のような扱いで、見当はずれの解説でした。「戦場のピアニスト」も、事前の宣伝で前面に打ち出していたのは、「迫害から逃れようとするユダヤ人ピアニストとそれを助けるドイツ人将校の心の交流」みたいな表現でした。確かにそのような描写はありますが、物語からいったらそれは、付け足しのような話です。シュピルマンの回顧録にあるんでしょうけど、まるで現代のドイツ人に対して「戦争ではひどいことをしたけど、いい人もいたんだよ」と、フォローするためだけのエピソードのような気もします。
映画に登場する兵器類としては、ワルシャワ蜂起の時に出てくるドイツの「4号戦車D型」らしきものと、同じくドイツの「装甲兵員輸送車Sd.Kfz251」らしきものが、いずれも動いて登場。必見です。ロングショットなので、よくわかりませんが、「4号戦車」の方は、点検口の位置などから、ひょっとするとレプリカかもしれません。「Sd.Kfz251」の方は、本物ではないかと思います。


戦場の黙示録
テーマ
脚本×2 9(18)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 86

監督:ヴァーツラフ・マルホウ 
公開年:2008年
なんとチェコの戦争映画です。第二次世界大戦、ドイツ軍に占領されたチェコから逃れ、連合軍側の兵士として枢軸側と戦った義勇兵たちの物語です。私はそんな歴史が、チェコにあったことは、この映画を見るまで知りませんでした。
結論から先に、本当に素晴らしい戦争映画です。
原題は「TOBRUK(トブルク)」。アフリカ戦線の有名な戦場です。
実際にアフリカでロケしたのか知りませんが、アフリカ戦線の感じがよく出ています。そして、戦争映画に求められるものがすべてといっていいほど描かれています。新兵の訓練、古参兵への反発、そして前線への配置、陣地構築や戦闘までの待つ時間の長さ、現地の娼婦、ユダヤ系兵士へのからかい、実際に戦闘が始まると、砲撃の凄まじさ、恐怖、逃走、突然の死・・・・それらが過不足なく、ちょうどいい具合に、そして淡々と描かれています。
チェコの人たちが、かつて同胞がこのような戦いをして、死んでいったということを、なんとか現代の人たちに伝えたいという気持ちが痛いほど伝わってきます。
よくありがちな、ナショナリズムの強調などはまったくありません。戦争の現実を、なるべく忠実に伝えたいというだけです。
イタリア側から描いた「炎の戦線 エル・アラメイン」も素晴らしい戦争映画でしたが、それに匹敵する素晴らしい作品です。
エンディングも、戦争という大きな渦に巻き込まれ、一人の兵士の力ではどうしようもないという現実を突きつけられる優れたエンディングです。
最後に、「第二次世界大戦で戦ったチェコとスロバキアの義勇兵に捧げる」というクレジットが出ますが、それを見て、胸に熱いものを感じました。
日本にはなじみの薄いチェコ映画ということで、B級戦争アクション映画みたいな扱いですが、どうしても戦意昂揚映画にしか見えないアカデミー賞受賞映画「ハート・ロッカー」よりは、数段上の戦争映画です。
いつも言うことですが、メジャー映画ではないので、その扱いは酷いものがあります。チェコの義勇兵達は英軍の一部として戦いますが、DVDのジャケットは、どう見ても米軍兵士です。なんとかならなかったのでしょうか。
ところで、この映画、銃器関係の描き方もよくできています。なんといっても「BREN軽機関銃」の頼もしい射撃の様子をこれだけちゃんと描いた映画はあまりないんじゃないかと思わせるぐらい、細かいところまでよく表現されています。「エンフィールドライフル」も、マガジンを着脱するシーンなど、映画では初めて見たかもしれません。そして、「トンプソンサブマシンガン」は、当然、フォアグリップがピストルグリップの英軍仕様です。
それにしても、砲撃の着弾の様子は、煙と炎だけを見せる映画の特殊効果とは違って、細かい岩石の破片がかなり飛んでいましたが、危なくなかったのでしょうか。迫力満点で砲撃の怖さがよく伝わってきましたが、ちょっと心配しました。


宣戦布告
テーマ
脚本×2 5(10)
演出×2 5(10)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度
総合点 52

監督:石侍露堂  
公開年:2002年

麻生幾原作の同名ベストセラー小説の映画化。 韓国で実際にあった北朝鮮工作員の潜入事件などを元に、それが日本で実際にあったらどうなるのかという想定の小説で、それをほぼ忠実に再現した映画。
現実の世界で、奄美沖での北朝鮮工作船と日本の巡視船との銃撃戦、北朝鮮による日本人拉致事件、そして北朝鮮のミサイル・テポドンの発射実験など、北朝鮮と日本との関係が緊迫しており、それに合わせた形の映画公開となりました。
映画としては、ちょっと類型的ではありますが、日本政府の慌てぶりや、自由に動けない自衛隊、警察のもどかしさなどがよく描かれていると思います。特に、山中での戦闘シーンなど、従来の日本映画だとちゃちなものが多く、あまり期待しないで見たのですが、一部問題はあるものの、まあまあの出来となっています。さすがに、最近の外国映画に見劣りがしないようにとがんばったようです。
この映画は、首相官邸を中心とした政府側の対応と、工作員(架空の北東人民共和国の特殊部隊となっている)と自衛隊とが戦う山中のシーンに分かれます。
政府側の慌てぶりは、この映画のテーマでもありますので、見ているこちらがいらいらするくらいの描写が続きます。それにしても、誰のせいなのか、登場人物の描き方が表面的でぎこちなく、もう少し何とかならなかったものでしょうか。
一方の戦闘シーンは、まるで忍者のような工作員の動きや、すばやい自衛隊の空挺の動きなど、スピーディーに見せようという工夫はいいと思います。しかし、逃げ回る工作員とそれを追う自衛隊のシーンだけにほぼ絞った構成のため、例えば周辺住民の恐怖などがあまり描かれておらず、ちょっと深みに欠ける感じとなりました。
また、手も足も出ない自衛隊の一般隊員と、次々に工作員を倒していく空挺の活躍など、物語の展開としてわかりやすくていい反面、「いくら何でも、そんなに簡単にやれないだろう」と突っ込みを入れたくなるほどです。
最後に、自衛隊の89式ライフルの作動シーンは良くできていましたが、この部分をアップするのは、実銃がプロップとして使えない日本ならではのサービスカットで、ほほえましいような、恥ずかしいような・・・・・・。


卒業旅行 
ニホンから来ました
テーマ
脚本×2 9(18)
演出×2 9(18)
映像
音響
主演
助演
おすすめ度 10
総合点 87

監督:金子修介  
公開年:1993年


テレビ放送初日からの「踊る大捜査線」ファンの我が家としては、織田裕二の出る他の映画もチェックしようと見た映画でしたが、すごい拾いものでした。こういうのを見つけるのも映画の楽しみですね。
最初から最後まで笑い転げてしまいました。頼りない織田裕二が、最後にはかっこよくなるのも気持ちいいですね。脚本も演出もはまっています。テーマも劇中に何度か出てくる西条秀樹の「ヤングマン」の歌の通りで、「若いうちは何でもできる、元気出せよ」というメッセージがよく伝わってきます。
主演の織田裕二も、すごい顔をして大熱演ですし、助演の鹿賀丈史がチンピラの悪役と正義の味方の間を揺れ動いていて、いい味を出しています。
そして、何よりも、日本の現状をちょっぴり茶化しながら、アジアの視点を持って作られているのが素晴らしいですね。

ドタバタのギャク映画で、しょうもない映画といえばそうなんですが、強いて大きな減点要素はありません。良くできています。でもこの映画、公開の時は話題になったのでしょうか?