かおるさんの台湾千と千尋の神隠し物語2011

少し暇になるとじっとしておれないのが、性分である。今まで忙しい忙しいと何もする暇がないと
言っていたのに、少し時間があくと太平洋に住んでいるマグロが泳ぐのをやめると呼吸が止まっ
て死んでしまうようになってしまうようでじっとしているのが嫌になる。
そんなわけで寸暇を惜しみながら2011年初春台湾の方へ向かった。台湾は一応外国といいな
がら、3時間弱で行ける外国なのである。新幹線で東京へ行く気分である。
中華航空のフライトは、その3時間の間にウエルカムのドリンクと食事をもちろん無料で1回出して
くれる。もちろんウエルカムのドリンクは、ビールとワインである。往復で6杯もお代わりをしてしま
った。このツアーは、格安ツアーである。2泊3日で、オプショナルな観光や燃料チャージも併せ
て29000円である。東京往復の運賃ほどである。航空運賃は正規の価格がいくらかわからないが
、絶対に安いと思われる。もちろん、中華航空客室乗務員の方は、若くてきれいな人が多い。
このツアーは絶対にお徳だと思わせるくらいの内容である。
一応ホテルもついているわけであるが、この価格でのホテルの快適さを期待してはいけない。
ホテルに帰ってきて寝るところが路上に寝るのではなくて、ベッドとシャワーがあればいいではな
いか程度のものである。ほとんどの食事やツアーのバス代、ガイド代が含まれているのである。
とにかくお徳だと感じている。
台湾は、1945年第二次大戦が終わるまで日本の統治下に置かれ、50年間支配のための総督
府があった。このように書くとなにかと日本が悪いことをしていたように思われるかもしれない。し
かし、台湾の現地の人の日本人に対する評判は、すこぶるいいのである。「和を以て貴しとなす
」聖徳太子の言葉である。ヨーロッパの国々が植民地政策をとっていた時代では、ほかの帝国
主義の国々は植民地の奪えるものはなんでも、奪っていたのであるが、日本は決してそういうこ
とはしなかったのである。日本は戦争に負けた時点で、世界中の世論から日本のやってきたこと
はすべて悪であるというような烙印を押された。しかしながら台湾で感じたようなこと、まだトルコ
で感じたようなことにおいて日本は決してヨーロッパが取ったような無茶苦茶な植民地政策をとっ
ていない。台湾ではつまりそのような事実は植民地支配をしていた様子はうかがえない。むしろ
同じ発展途上国としてともに共存発展していこうなあというようなスタンスであったことがうかがえ
るのである。同じ漢民族の国中国と台湾を比較して思えるのである。

台北駅近くの西門にある宿に到着するなり上陸したマグロは台湾で有名な北投温泉に向かっ
た。この温泉は、台北市内にあるが、地下鉄MRTで40分の終点にある都心から近い良い温泉
である。セ氏70度PH2という強酸の温泉である。硫化水素成分の温泉白湯とラジウム泉青湯と
2種類がある。しかも驚いたことに、ラジウム放射線を発生している。ラジウムといえばいろいろ
な病気を治すことに使われている。湯治客も多い。最近まで台湾において温泉はあまり人気は
なかった。
温泉よりもアジアの歌姫テレサテンとかの方が有名で彼女のお墓に参るツアーの方が盛んで
あったのである。 でも最近は健康ブームとかで日本の温泉ブームにあやかって、台湾の温泉も
見直されてきた。日本においても秋田県の玉川温泉は有名であるが、放射線ラジウムを発生す
る温泉として北投温泉は、世界的に最も難病に良く効くといって知られている。私は2年前に日
本の玉川温泉に入ってきた。玉川温泉のお湯も酸性がきつくてお湯を口に含んでみると酢のよう
な酸っぱい味がする。温泉の中に身体を浸すと体の各部分がチクチクする。この現象は身体の
タンパク質が、少しずつ溶かされていることであることを聞いた。この北投温泉も同じような傾向
がある。台湾の人々は、日本の銭湯のようなみんなが裸になるような形態を好まない。他人に自
分の姿をさらけ出すのが苦手なようである。私は裸は苦手ではないけれど、台湾ではマニアの人
でない限り、また地元の人だけしか行かないという龍泉温泉に行った。そのおふろ屋さんは、個
室専門のお風呂屋さんだったのである。とても風情があってレトロな感じがしたが、湯の質は、
日本のどの温泉よりもよかったように思われる。しかし顔をつけると強酸のせいで目が開けられ
ないほど痛い。頭をこの湯で洗うのだけはやめておいた方が良さそうである。台湾は、温泉先進
国日本よりも面積が小さいが、日本より高い山々(ニイタカヤマ)があり、環太平洋造山帯に入
る火山国である。当然温泉も多い。国民的事情でこれまで温泉が顧みられなかったがこれから
温泉産業は発展すると思われる。私も楽しみにしている。なぜなら外国ということのハンディキャ
ップを考慮に入れても、東京を新幹線で往復するくらいの価格で訪れることができるからである。

このツアーには驚いたことに故宮博物館の見学ももれなくついている。この博物館はいまさら説
明するまでもなく中国四千年のに歴史が、刻まれている世界でも指折りの博物館で
ある。今から約65年前、日本が敗退した後、共産党の毛沢東と国民党の蒋介石が、戦後の中国
をめぐって、どのような国づくりをしていくか争っていた。結局蒋介石が敗れ大陸から台湾へ国民
党は移っていった。 その時に北京にある故宮博物館の宝物の約半分を台北の方に移したのが
、台湾の故宮博物館である。この博物館にはありとあらゆるものが、ここに収められている。石
器時代のものから清代、現代のものまで収蔵されている。なかでも人気を博して行列が出きてい
た部屋が、清の時代の翡翠でできた「白菜」である。翡翠は宝石の中では、固い部類に入る。そ
れ故、加工しにくい鉱物である。その翡翠をいとも簡単に白菜に仕上げているのである。色のバ
ランスもよく本当の白菜に見間違うほどである。中国人にとっての宝物といえば、金や翡翠があ
げられる。その硬いヒスイに対して高い技術の彫刻を施しているところがとてもお洒落である。こ
の高い技術は一子相伝で伝えられることもなく、技術者は、この宝物を作り上げた時点で、権力
者によって殺された。権力者は二度と同じものが作れないようにしたのである。何とももったいな
い話である。 故宮博物館の最上階で有名な喫茶店がある。この喫茶店で清の皇帝乾隆帝が好
んで飲んだとされるお茶があった。木の根っこのようなものが入っていて漢方薬のようなにおい
がした。日本人の口には合わなかった。


このツアーでは、最近最大の観光地とされるところが、台北から車で一時間ほど離れたところに
九扮(キュウフン)はあった。
九扮(キュウフン)は海岸に面した斜面に家々が立ち並び、いろいろなお店がそこには軒を連ね
ていた。「あれー、どこかで見たような景色だな」とぼんやりと思っていた。急な傾斜のところにい
るような、店が並んでいる。そうだ、石切神社の参道に似ているなと思いながら、散策していると
そこで売られているものは、紛れもなく豚肉、鶏肉、いろいろな香辛料の臭いが漂う中、不思議
なお面や、石切神社では見たこともないようなものが並べられていたのである。ある食べ物屋さ
んの店先では、「あっここは、千と千尋の神隠しでお父さんと、お母さんが何もかもを食べ尽くし
て豚になったところだ」と思えるようなよく似た食べ物屋さんがあった。そして階段を下りていくと
阿妹茶楼(あめちゃろう)があった。赤い提灯がつるしてたりして、昔の遊郭を思い出させるよう
な風情のある建物である。この建物も映画のどこかで見たなと思っていたところで、中に入ってい
くことにした。中は、喫茶店になっていた。店員さんにいろいろと尋ねてみるとこの建物は湯婆婆
の家のモデルになった建物ですと返事が返ってきた。ふと店内を見渡してみると能面らしきもの
が三つほど窓にかかっている。一番右の能面をみて驚いた。宮崎駿の妖怪顔なしに似ている。
また、店員さんに尋ねてみた。「あれは妖怪顔なしですか?」を聞くと「そうですよ。かれが妖怪顔
なしです」と答えてくれた。この店員さんによると宮崎駿がこの店を訪れて半日ぐらいここでスケ
ッチをしながらお茶を飲んでいたという。ちなみにその顔なしの隣にある能面は湯婆婆のモデル
になったという。
とにかくこのあたりを歩いていると、千と千尋の神隠しの映画が思い出されてくるのである。台湾
の食べ物はとにかくおいしい。何でもかんでも暴飲暴食してしまう。発泡酒ではない純粋な台湾
ビールが350mlの缶入りで100円ぐらいで販売され、美味しいビーフンやめん類焼きそばなど
が二百円ぐらいで、おなかいっぱい食べられるのである。五百円もあればおなかが痛くなるほど
食べてしまうわけである。そういえば心なしか顔なしか
私自身がデブいや豚になってきたというか近づいてきたような気がする。店先の試食をつまみ食
いをしていった結果、体が重くなって、いるような気がする。
この状態に陥ることを宮崎駿は千と千尋の神隠しの映画の中で警告してたのではないかと思うよ
うになった。