肝臓病についての質疑応答集

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脂肪性肝炎という言葉を聞きますが脂肪肝とどう違うのでしょうか? (2004.11.3)。

肝臓に脂肪がたまる状態が脂肪肝です。脂肪肝は肝硬変には進行しないとされていましたが、脂肪肝の一部には、飲酒をしないのにアルコール性肝炎類似の肝炎反応や線維化を呈する脂肪肝(脂肪性肝炎)が存在することが知られるようになりました。脂肪性肝炎は進行性で放置すると肝硬変に移行します。
肥満があり糖尿病や高脂血症を持った人に認められますが、日本ではその数は今のところ少数です。ただ、極端な偏食(ファーストフードなど)をしている若い世代で増加傾向にあるのが気がかりです。
治療は食事+運動療法が基本です。線維化の進行に有効な薬剤の報告もありますが、体全体のバランスから見ると決して望ましいこととはいえないと思います。

肝炎ウイルス検診が始まっていますが、どんなものでしょうか? (2004.1.15)。

ウイルス肝炎は症状が現れることはほとんどなく、肝硬変、肝癌に進行してやっと自覚症状が現れるものです。
一方で最近は肝炎に有効な治療法も次々に開発され、早期に発見されれば肝炎の進行を食い止めることが出来るようになりました。
そういった背景から平成14年度から始まっています。
40歳以上でその年に40,45,50,55,60,65,70歳になった方を対象とする節目検診および大きな手術など肝炎ウイルスに感染するリスクの既往のある方の節目外検診の2種類があります。

酒やタバコは肝臓病に差し支えないのでしょうか? (2003.3.8)。

アルコール、タバコともに肝炎の進行を早め、発癌率を高める成績が出ています。詳しくは雑誌「肝胆膵」2003年2月号「生活習慣と肝胆膵疾患」に掲載されています。
少しぐらいと思ってもそこでやめられないのが悲しい人間の性です。禁酒、禁煙を厳守するつもりで生活するのが丁度良いのではないかと思います(実際にはそのつもりで生活されている患者さんでも時々飲酒されることが多いようですがようですが)。

肝臓病には高カロリー、高タンパク食が有効と聞きましたが如何でしょうか? (2003.2.23)。

肝臓病にもいろいろな種類があります。たとえば脂肪肝ではカロリー制限をする必要があります。
高カロリー、高タンパク食は肝炎の原因や治療法がはっきりしていなかった昭和30年代に提唱された食事療法です。当時に比べて現在の食事が既に高カロリー、高タンパクになっていること、肝炎を抑える治療が開発されて肝臓を修復するためのタンパクやエネルギーがそれほど必要でなくなったことより以前ほど食事については厳重にいわれなくなっています。
最近は生活習慣の変化から偏食や塩分の取りすぎが問題になっています。バランスがよく、塩分控えめの食事が望まれると思います。
ただし、進行した肝硬変の患者さんではむくみがある場合は厳しい塩分制限(1日7グラム以下)が、アンモニアが上昇している場合はタンパク制限が指示されます。

肝臓病にある健康食品がいいと知人に聞きましたが如何でしょうか? (2003.1.14)。

肝臓病にもいろいろな原因があります。西洋薬でも原因に応じて使う薬が異なりますので、ある健康食品がすべての肝臓病に有効であるとはいえないと思われます。少なくとも学会などで有効性が確認された健康食品というものはないのが現状と思われます。一方で、健康食品の中には昨年問題となったやせ薬のように劇症肝炎をおこすこともあり使用にあたっては注意が必要です。


私は、B型の急性肝炎で最近1ヶ月ほど入院をしました。肝機能は正常値に戻り、現在は普通に通勤しております。 様子を見るということで、検査通院を今後します。 こちらのページをみさせていただきましたが、急性B型肝炎は、ウイルスが追い出されて完治する確率がほぼ100%とありましたが、本当なんでしょうか? (稀に陽性を持続するとありますが) ウイルスが体内からなくなることはあり得るのでしょうか? (2000.1.14)。

急性B型肝炎の大半の人がHBs抗原が消えて肝機能が正常化することは確かです。 ただウイルスが完全に追い出されるかについてはここ1〜2年、ウイルスの測定法が飛躍的に向上し、長期間(といっても1年程度の経過観察のデータですが)にわたってごく微量のウイルスが検出 される報告もみられるようになっています。ただこのウイルス量では肝炎をおこすことは無理なようで、AIDSや免疫抑制剤を使うような状態にならない限り、ウイルスが増えて肝炎をおこすことはないようです。
以上の内容は素人の方には難解なこ とと思いますが、ホームページの内容は正確を期すべきであり、本日肝臓講座の該当部を訂正しました。
友人の男性(35歳)が肝臓癌と言われました。このような若い人間でも癌になることがあるのでしょうか?('99.12.31)。
先日、ミュージシャンの池田貴族さんが30歳代で肝臓癌で亡くなられたとの報道がありました。報道の内容では肝炎があったかどうかははっきりしませんが、一般的にはB型肝炎患者さんのなかでこのような若い時期に肝臓癌になられる方がいらっしゃいます。肝臓病講座のB型肝炎の項でも述べましたが、B型肝炎ではウイルスが減少すると肝硬変まで進展していても見かけの肝機能は正常化してしまう方もおられ、全くの健康体の状態で肝臓癌が見つかることがあります。症状からは早期発見することは不可能であり、B型のウイルスを持っている方は定期的な画像検査が必要と思われます。
46歳、男です。 私はGilbert病で間接ビリルビンが13〜14あります。 かなり黄疸がきついほうです。 フェノバルビタールとUDP-グルクロニールトランスフェラーゼの関係についても教え てください('99.11.3)。
29歳、女です。先日の健康診断で総ビリルビンの値が高く再検査をすすめられました。1.3とのことでしたが、これはなにが悪いのでしょうか? ちなみに他の値は正常値でした('99.11.3)。
ビリルビンは血液の中の赤血球が壊れて(@)、中に含まれるヘモグロビンという色素が変化したもので、これが肝臓に運ばれてUDP-グルクロニールトランスフェラーゼという酵素でグルクロン酸がくっついて抱合型ビリルビンとなり(A)、非常に細い胆管に排泄(B)されます。胆管から腸に出た抱合型ビリルビンはウロビリノーゲンとなり最終的に便の色素となります。
A、Bに障害をおこしたものが体質性黄疸と呼ばれるもので、Aの異常としてGilbert症候群、Crigler-Najjar症候群が、Bの異常としてDubin-Johnson症候群、Rotor症候群が知られています。
Gilbert症候群はもっとも一般的な体質性黄疸で、一般には総ビリルビンは5mg/dl以下とされています。間接ビリルビンが13〜14あるのはCrigler-Najjar症候群ではないでしょうか?この病気の場合、フェノバルビタールによりUDP-グルクロニールトランスフェラーゼが活性化され、黄疸が軽減します。
総ビリルビン1.3というのは軽度の異常であり、体質性黄疸であればGilbert症候群の可能性が高いと思います。


検診で父親(57歳)がGOT28 GPT36 という結果 が出ました。結果は「異常なし」でしたが、以前耳にしたことは、GOTとGPTは出来れば 標準値があるけど20以下が望ましいと聞いたことがあります。 この検診を受ける1ヶ月ぐらい前から、休日なしの仕事(搬送業)をしていたようです。その他の結果(コレステロール165 中性脂肪85 HDLコレステ ロール56 その他標準値)は一応標準値内でした('99/9/15)。

GOT,GPTはいろんな原因で上昇します。 特にご質問の程度のごく軽い上昇になりますと、風邪をひいたり、腸炎を起こしたり、あるいはそれらに対する薬を飲んだだけでも上昇します。 コレステロールが正常でも脂肪肝であることもあります。 また過労で脱水になって、肝臓の血の巡りが悪くなっても上昇することがあります。 ただ軽いウイルス肝炎が存在する可能性もありますので、一度は肝炎ウイルスの検査を受けられておく方がよいかもしれません。


会社の成人病検診で主人(40歳)が「肝のう胞」という診断を受けました。 聞きなれない言葉に戸惑っています('99/9/15)。

一般の方にはなじみのない病名かもしれませんが、健康診断で超音波を行うと かなりの頻度で見つかるものです。 肝臓が作られる時に、胆汁が出ていく胆管になる細胞がうまくつながらないで、 肝臓の中に取り残されたものがもとになって出来るもので、通常は胆汁に似た水分 が充満した「水袋」の状態で見つかります。大半は経過観察のみでよいのですが、 大きくなりますとそれ自体でおなかが痛くなったり、肝臓の中の胆管を圧迫して黄疸を起こしたり、下大静脈を圧迫して足がむくんだりします。またのう胞内に 出血を起こすこともあります。そういった場合には、内容液を抜いてアルコールなどを入れてつぶす治療を行うこともあります。 また一般的な肝のう胞とは異なる原因(腫瘍、寄生虫)で肝臓の中にのう胞ができることがありますので、必要があれば精密検査を受けられることをお勧めします。

便が緑っぽくなっており肝臓が悪いのではないかと心配です('99/8/18)。

便の色は古い血液が壊れて出来たビリルビンという色素が肝臓から胆汁に排泄されて腸の中でウロビリン体に変わることで黄褐色に着色されます。肝臓の病気でおこる便の色の変化はこのビリルビンが胆汁に出なくなったり(急性肝炎)、胆汁が腸に出なくなる(胆石、ガンによる閉塞性黄疸)ためにおこります。一般的には黄褐色の色が付かなくなり、白色調になります。便の色が緑色になるのは食事や薬に含まれる緑色の色素で着色していることが多く、肝臓病である可能性はまずないと思います。

姉が脂肪肝と診断され、4年になります。先日の定期検診で抗核抗体の数値がとても高く、原因がよくわからないので、肝臓の組織を取って、精密検査をしなければいけないといわれました。4年前にも同じことを言われ、精密検査をしたのですが、結局脂肪肝以外の原因は見つからないということでした。抗核抗体の数値が高いというのはどういうことでしょうか。また、脂肪肝以外に原因があるとかんがえられるのでしょうか('99/5/15)。

抗核抗体は肝炎では自己免疫性肝炎で高くなることが知られていますが、一般的に脂肪肝では高値とはなりません。自己免疫性肝炎は肝生検でウイルス肝炎類似の組織像を呈することがありますが、脂肪肝単独ということはありません。一方で肝臓とは関係ない種々の自己免疫性疾患(リウマチ、SLE、橋本病・・・)で高値をとったり、健康成人でも陽性の人もあり、必ずしも肝炎と関係しないこともあります。一度、膠原病の専門医を受診することをお勧めします。

10年以上前から健診でGOT・GPTが異常値(50〜80)を示していました。昨年の検査でもGPTが58でしたので、一度精密検査を受けたところ、C型慢性肝炎と診断されました。肝臓専門医のいる病院を受診してみました。ウイルスタイプは1b、ウイルス量は1700Kcopies、GPT異常値以外は特に肝機能異常は認められず、血小板は24万以上。画像診断も異常なく、肝生検でも非活動性肝炎で、現在のところは慌てる必要なしとのことでした。 @リバビリンとインターフェロンの併用は期待できるのか?A現在40歳だが、GPTは年とともに上昇するのか?BGPTが現在の状況が持続すれば、肝硬変まで進展するのか?するとしたら、どのくらい先でしょうか?('99/5/10)

@欧米での少量長期投与(300万単位週2〜3回6カ月〜1年)に併用では明らかな効果が見られていますが、日本での大量投与(1000万単位2〜4週連日、12〜22週間歇投与)での併用についてはデータがないのが現状です。現在臨床治験が進行中であり、いずれデータが明らかになるでしょう。
Aケース・バイ・ケースであり何ともいえません。40歳を過ぎて急にGPTが上昇する人もあれば逆に落ち着いてくる人もあります(ただし正常化することはきわめて稀です)。定期的な経過観察をおすすめします。またウイルス量も昨年後半から安価なコア蛋白の測定が保険適応となりC型肝炎でもかなりきめ細かくウイルス量がモニターできるようになりました。一部の症例ではGPTの変動に伴ってウイルス量もかなり変動しており、現在ウイルス量が多くても時期によってはかなり減少してインターフェロンの適応となる可能性もあります。
Bこれも個人差があるので何ともいえません。GPTが50〜80程度でも30年以上持続したら肝臓の一部は肝硬変に至る可能性もあると思います。ただし、数字を下げておくと進行は確実に遅らせることができ、入退院を繰り返す進行した肝硬変への移行は抑制できると思います。また、80歳近くで進行した肝硬変に移行しても体の代謝が落ちているためか50歳代の人に比べ案外元気な人が多い印象があります。こういった点からも進行を少しでも遅らせることは重要と思います。

67歳の父がC型肝硬変と診断され、現在腹水が貯まっているといわれました。医師には腹水の成分検査をした上で治療法を決定するといわれました。この成分による治療法の違いはどのような事を基準にするのか教えて下さい。さらに腹水が貯まるということは肝臓癌への進行が見られているということなのでしょうか?('99/1/6)

成分の違いは蛋白の多い浸出液、蛋白の少ない漏出液に分かれます。肝硬変でみられる腹水は後者です。もし万一前者であった場合は肝硬変以外の病気(ガン、結核など)の合併が考えられ、自ずと治療法は異なってきます。漏出液の場合は利尿剤の内服から始めて効果がなければ利尿剤の静注そしてアルブミンの点滴といったところまでいくこともありますし、これでもだめなら腹水を数リットル抜く腹水穿刺といった手技もあります。肝臓ガンで肝機能が落ちて腹水がたまっていることもありますが、その逆は必ずしも成り立ちません。肝硬変だけでも腹水が貯まる患者さんはたくさんおられます。

母親が医師から肝血管腫という病名を言い渡されました。聞き慣れない病気なので、どのようなものかと心配です('98/11/7)

肝血管腫は細かい血管が集合した固まりで癌のような悪いものではありません。10cmを超えるような余程大きなものでない限り、それ自体で症状が出ることはなく全く問題のないものです。時にわずかに大きくなることもありますが90%以上の方は何年も経過を見ても不変のままです。ただし超音波のみでは確定診断の難しいこともありCTやMRIの検査が必要なことがあります。診断が確定し、大きなものでなければ年1回程度の経過観察で十分です。

一般に、肝硬変は一度なると治らないといわれていますが、本当ですか?どうしても治りたいと思っているので、何か良い治療方法、もしくは薬、病院、なんでも結構です。情報を教えて下さい。(44歳、男性)('98/9/19)

進行してしまった肝硬変は肝機能が良くなることは難しいですが、初期の肝硬変で原因(アルコール、ウイルス)が除去されると肝機能が劇的に良くなる可能性があります。ただ肝機能が良くなっても肝硬変自体の線維化はすぐには良くならないので、もしアルコールが原因の肝硬変なら一生禁酒するぐらいの覚悟が必要です。

健康診断で肝機能異常を指摘されたのですが(40歳、男性)('98/7/1)

一般内科関連ニュースのページにも書きましたが、日本人は体質的に省エネ体質の人が多く、人並みにカロリーを摂取するとエネルギーが余ってしまい糖尿病や肥満になりやすいとのことです。
最近の健診で肝障害と言われる人の大半は脂肪肝です。ただ日本人は肝炎ウイルスの罹患率が世界の中でも高い方なので(といっても人口の2〜3%程度なのですが)、かならず肝炎ウイルスのチェックが必要です。これは採血で簡単にできます。
脂肪肝と判明したら治療は基本的には食事と運動療法です。腹八分目の食事を朝、昼、晩バランス良く(できるだけ3等分になるように)、寝る前の夜食はしないといった注意が必要です。
運動は毎日の積み重ねが大切です。筋肉を使ってエネルギーを消費する運動が望ましいのですが、毎日となるとなかなか大変です。私の患者さんの一人は腹筋運動、腕立て伏せを毎日やって脂肪肝が良くなりましたが、このような根気のある人は少ないでしょう。
最近、ダンベル体操のビデオを買って体操を始めてみましたが結構こたえます。案外安上がりでいいかもしれません。ただし、筋力に合わないダンベルを使うと体を痛めるので注意して下さい。