私の好きなCD(クラシック)

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医師になった頃よりクラシック音楽鑑賞を趣味にしています。
最近は仕事が忙しくて、ゆっくりとCDを聞く時間がありませんが
おもしろかったCDについてコメントを書いていきたいと思います。

40.モーツァルト ピアノソナタ集( the Gulda Mozart tapes TandU F.グルダ ('10/7/2)

グルダのモーツァルト・ピアノソナタ集を一気に聞いた。至近距離から録音されているせいか、モーツァルトが目の前で弾いているような錯覚を覚える演奏である。
こんな演奏を達成してしまうとこれ以上はないという気持ちになってしまうのではないか。
そのためか、このCDはグルダの生前には発売されなかった。
そういえば、これらの曲が録音された1980年から82年以降はグルダの活動はめっきり減ってしまったような気がする。
それぐらい思い入れの強い演奏と言うことになるだろう。

39.ベートーヴェン 交響曲2番&7番 マタチッチ&NHK交響楽団('09/12/24)

深い信頼関係で結ばれた指揮者とオケの最高の到達点を示すDVDです。
影像では体が不自由なマタチッチの指揮で生命力に満ちた演奏が引き出されることに感動を覚えます。

38.モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲集 アテフ・ハリム&ルシェンヌ・ロヴァノ ('10/5/5)

ヴァイオリンのアテフさんの奥さんが高校の同級生という縁でこのCDを購入しましたが、演奏が素晴らしいですね。フランス風のモーツァルトはこういう明るい曲にはマッチしています。

37.ブラームス交響曲1番 ティーレマン&ミュンヘン・フィル ('07/11/7)

くらしきコンサートで実演を聴いた。非常に遅いテンポでありながら、緊張感を保ったまま終楽章へ。
こんなブラームスは聴いたことがなかったですが、実演は良いですね。
ただ、CDで聴くと当日感じた緊張感があまりなかったです。
自分自身の本気度が足らなかったか?

36.ヘンデル「メサイア」 アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス ('06/12/8)

先月、アーノンクールのメサイアの実演を聴いた。宗教音楽がどういうものか、特に声楽と器楽が見事に融合して、その場に天国の情景を作り出す。
キリスト教徒でない私ですら、その世界を感じたのだから、ヨーロッパの教会でこのような演奏を行ったら神や天国を信じるだろう。
次元の違う世界を感じた。

35.モーツァルト ピアノ協奏曲9番+12番 スコダ/ Musica Florea ('06/6/2)

5/26にザ・シンフォニーホールでパウル・バドゥラ・スコダ(78歳)によるオール・モーツァルト・プログラムを聴いてきました。グルダと同時代に活躍したピアニストがまさか現役で活躍中とは知りませんでした。会場で購入したCDがこの1枚です。肩の力が抜けて、本当に音楽を楽しんでいる姿がここにあります。このような歳のとり方をしたいものだと思いました。

34.ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」 リッカルド・フリッツァ&ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場管弦楽団,合唱団 ('05/6/2)

フリッツァの指揮の見事さが際だつ一枚。全曲にわたり、見事なリズム感で、音楽全体が生き物のように呼吸しており、これがイタリア・オペラの神髄かと、目から鱗状態でした。しかしながら彼のオペラのディスクはこれ以外にはなく、少々寂しいところです。
今年初めに新国立劇場での《マクベス》公演にも、尾高忠明の代役として登場していたとのこと。もっと早く知っておけば良かったと後悔しています。
今後の彼の活動に注目したいところです。

33.ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 カラヤン&ベルリン・フィル 1982年4月ライブ ('05/5/5)

今回紹介するディスクはDVDです。ここでのカラヤンは完全な本気モードになっています。当然、ベルリン・フィルも本気であり、異様な緊張感が最後まで続き、少々疲れましたが、最高の感動を味わうことが出来ました。演奏終了後にカラヤンが楽団員に投げキッスをするシーンもあり、カラヤンにもこのような一面があったのかと驚かされました。
このディスクを見ていると、彼はあまりに能力があったために8分目の力で十分演奏できたのではないか。しかしながら、100%の演奏でないためにCDになった音楽を聴いても、響きは100%なのに何かもの足らない部分があったのはこの「ひたむきさ」の欠如によるものではないかと思いました。
芸術、スポーツといった観客が見る娯楽では、演じる人間の「ひたむきさ」が心を打つのではないかと思います。奇しくも今週、他界した大相撲の元大関貴乃花の追悼番組を見ますと、勝負に対する「ひたむきさ」が彼のみでなく、同時代の力士たちから感じられ、興奮度は現代の相撲とは月とスッポン状態でした。
カラヤンがこのディスクのような演奏を数多く残していれば、彼に対する評価も変わったことでしょう(ただし、激務のために若死にしたかもしれませんが・・・)。

32.ウィーン・フィル音と響きの秘密 中野 雄著 ('04/12/12)

今回紹介するのはCDではありませんが、CD以上に感銘を受けた本なので紹介します。
ウィーン・フィルの出自から始まり、歴代指揮者、名物コンマスの話と盛り沢山で、最後の方で昨今のクラシック界がかかえる問題点(音を出す技術に固執するあまり、内容表現が希薄化している)をフルトヴェングラーの言葉「音楽の内容を表現する手段であるはずの演奏技術が、自己目的化しつつある; 1929年」を引用しているあたりは考えさせられてしまいます。
アムステルダム・コンセルトヘボウの響きが失われたとのハイティンクの嘆きも紹介されており、彼が振ったベートーヴェンの交響曲全集を聞き直しましたが、この響きが失われたとは誠に残念です。
数年前にウィーン・フィルに女性奏者がいないのは男女差別だとどこかの国の団体が騒いでいるとの報道をみましたが、本書を読むと全くのナンセンスとしか言いようがありません。
世界遺産に人間を登録していいのならウィーン・フィル+ムジクフェラインザールを登録すべきと思いました。
この音がCDでしか味わえない時代にならないことを切に望みます。

31.モーツアルト ピアノ協奏曲9番「ジュノム」グルダ&ベーム&バイエルン放送響 ('04/7/10)

日本テレビが3日にビートたけしの司会で放送した「人類史上最高の天才 モーツァルト奇跡の響き」の中で、モーツァルトの曲を聴くと病気の治癒や癒やし効果があるとされていました。最近、過労気味で特に頭の回転が悪くなったように思えたので、この1週間は通勤の車の中で集中的にモーツァルトを聴きました。その中でも上記の1枚が一番癒しの効果があったようです。グルダはこの欄でも何回も取り上げていますが、このディスクがベストかもしれません。また共演のベームの指揮も素晴らしく、1975年の来日公演で受けた重々しい巨匠の印象が完全に覆されたディスクでした。ベーム&バイエルン放送響の伸びやかで明るい演奏がグルダのピアノをいっそう引き立てています。何回聴いても飽きが来ない演奏で、聴くたびに頭の疲れが取れていくようです。
本ディスクの批評はAn die Musikでも詳しく述べられています。

30.ムラヴィンスキー&レニングラードフィル 1972年 モスクワ・ライブ ('04/3/28)

最近は復刻技術が進歩したのか、スター指揮者不足なのか1950〜1970年代の復刻CDが大量に発売され、私も新譜よりもよく購入しています。このCDに納められたベートーヴェン、チャイコフスキー、ワーグナーはどれもムラヴィンスキーらしい演奏で、しかも以前メロディアから出ていた同時代のCDに比べると遙かに音質が良好のように思います。精密機械のような青白い炎がめらめらと燃えているような(トスカニーニだとここが赤い炎になると思いますが)演奏です。

29.ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」 カルロス・クライバー&バイエルン国立管弦楽団 (1983) ('04/3/28)

1999年3月の16番でクライバーを紹介していますが、その時点でも「旬を過ぎた」と書きましたが70歳を過ぎたクライバーではさすがにこの演奏は不可能でしょう。演奏は心地よいのですが実演に触れることは不可能な現在を思うと複雑な心境です。

28.シューベルト「冬の旅」 ハンス・ホッター(1961) ('04/2/29)

2004年1月に往年の名バリトンハンス・ホッターが死去しました。これは壮年期の録音ですが、しみじみとして枯れたような歌唱は冬の旅にぴったりです。聴いた季節が悪かったのかかなり暗い気持ちにもなりました。それだけホッターの歌唱が優れているということでしょうか。ホッターはバイロイトのワーグナー歌手としても有名で50年代の名盤に数多く出演しています。最近、1953年のクレメンス・クラウス+バイロイト響のリング全曲盤(ARPCD0250-13)が発売され、その中にも登場しています。1953年は常連のクナッパーツブッシュがヴィーラント・ワーグナーと対立して出演をやめた年であり、この組み合わせも貴重と思われます。

24.ホルスト・シュタイン&NHK交響楽団 ワーグナー管弦楽曲集(1980,1983)
25.グルダ&ウィーン・フィル(シュタイン指揮)(1970-71)
26.ホルスト・シュタイン&バンベルグ交響楽団 ブラームス交響曲全集(1997)
27.徳永兼一郎「白鳥〜徳永兼一郎の世界」(1989) ('03.11.3)

2003年10月19日のN響アワーでは−テレビに記録された名演奏(3)1980年代のホルスト・シュタイン指揮の「歌劇“タンホイザー”序曲」が放映されていました。シュタインといえば異様に発達した前頭葉が印象的な指揮者ですが、演奏は純ドイツ的で味わい深いものです。この指揮者に最初に接したのは私の大好きなフリードリヒ・グルダのベートーヴェンピアノ協奏曲全集でウィーン・フィルを指揮しています。録音時には42〜43歳ですが、グルダ、ウィーン・フィルを相手に立派な指揮をしているのには驚かされます。N響との演奏は50歳代後半の演奏でさすがに円熟の境地に達したシュタインの演奏は堂々たるものでスピード感にあふれた昨今との演奏とは一線を画したものといえましょう。さらに1997年にはバンベルク響とブラームス交響曲全集を録音していますが、特に牧歌的な2番が彼の特性が十分に発揮された演奏ではないでしょうか。番組でも触れられていましたが現在は病気のために活動から退いているとのこと。本当に残念です。
今回のTV放送ではN響の主席チェロに徳永兼一郎の姿もみえました。彼は1996年に癌のために他界していますが、没後にNHKでホスピスでの最後の演奏が放映されたのが強く記憶に残っています。没後にリリースされたCD「白鳥〜徳永兼一郎の世界」は彼の絶頂期である1989年の録音で素晴らしい演奏の連続です。振り返ると1980年代のN響は指揮者、楽団員に恵まれた黄金期であったように思われます。

23.モーツァルト ピアノ協奏曲集 ハイドシェック&ヴァンデルノート&パリ音楽院管弦楽団('03/3/8)

最近発売された1967年のハイドシェックのピアノ協奏曲22番(backはケーゲル&ライプチヒ放送so)を聴いて彼の変幻自在なタッチと表情豊かな演奏に感動しました。同時期に正規録音された録音がEMIから出ており、これらの演奏はbackのオケもハイドシェックの演奏にぴったり合って自由闊達な楽しい演奏になっています。

22.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 バックハウス&クナッパーツブッシュ&ウィーンフィル('03/2/8)

これはCDでなくDVDですが、何でこんな音源、画像があったのかと驚き。中身はさらに驚き。こんな演奏が許されていた時代がとても懐かしく感じられます。端正な演奏に飽き飽きしている人は一聴(一見)の価値あり。

21.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番&第2番(室内楽版) 白神典子&ブレーメン弦楽ゾリステン('03/1/18)

室内楽版のピアノ協奏曲はピアノと伴奏のバランスがよく、ベートーヴェンの初期の作品ではその良さがよくわかります。彼らはほかにショパンのピアノ協奏曲のCDも作っており、そちらもお勧めです。白神さんの実家が倉敷とのことで昨年、倉敷で演奏会があり生の演奏を聴いてきましたがCD以上にバランスが良くファンになってしまいました。私の好きな4番もやってくれればありがたいのですが。

20.モーツァルト:弦楽五重奏曲2&5番 寺神戸 亮&クイケン四重奏団('99/11/3)

3で紹介したバリリ四重奏団とは対照的な演奏。古楽器を使用しているために、極度に甘くなることもなく、かといって無味乾燥になるわけでもない。絶妙のバランス上にある演奏でしょうか?甘ったるい演奏に飽いた方にはお勧めかも。

19.チャイコフスキー:交響曲第5番 小林研一郎&チェコ・フィル ('99/11/3)

チャイコフスキーの5番といったら、大学時代に観た映画「オーケストラの少女」のストコフスキー&フィラデルフィア響の演奏が印象的でこの曲のイメージになっていましたが、コバケンのこの演奏はストコフスキーの華麗さとは対局にある土臭い力強さを感じさせます。元気のでないご時世ですが、コバケンのチャイコフスキーを聴いて元気になりませんか?

18.魔法のア・カペラ-2 シャンティクリア ('99/8/18)

心身共に疲れたこの時期はすんだ合唱がいいものです。とにかく聞いてみましょう。CDを聞き終わる頃にはスーと楽になります。

17.モーツァルト:交響曲第40&41番 クーベリック&バイエルン放送O ('99/5/11)

’99に入り忙しくてCDがさらに聞けなくなり、このページの更新はとうとう3カ月に1回のペースに落ちてしまいました。GW休みで久しぶりに聴けたのがこの1985年のライブ盤。同じ演奏者でスタジオ盤が出ていてそれも名盤といわれています。私も以前は良く聞いていたのですが、今回のライブ盤の方が演奏の輝きが数段上のように思えます。以前カレーの宣伝でクーベリックが故郷のチェコ・フィルを振った「我が祖国」のワンシーンも感動的でしたが、クーベリックの真価はライブで発揮されるのを再認識したディスクです。

16.ブラームス:交響曲第4番 C・クライバ&ウィーンフィル ('99/3/30)

先日NHK-BSでカルロス・クライバーの魅力と題する番組が放映されていました。内容は'70の「こうもり」序曲(リハーサル+本番)と'96の「モーツァルト+ブラームス交響曲」でしたが、'70のクライバーは40歳ということもあって指揮の姿もしなやかでその感性にオケもどんどん引き込まれていっている感じですが、60歳後半でのブラームスはかつてCDで聞いた音とは異質のように聞こえました。もちろんオケの違いもあるのでしょうが指揮の姿も25年も経つとさすがに変化が現れてきています。クライバーといえども旬は過ぎてしまったのでしょうか?少々悲しい気持ちでこのCDを聴き直したのでした。

15.モーツァルト:後期交響曲集 ワルター&コロンビア響 ('99/3/30)

昨年暮れにワルターのステレオ録音がリマスターされて再発売されました。モーツァルトの後期交響曲はクーベリック&バイエルン放送響のCDが好きでこればかり聞いていたのですが、今回改めてワルターを聞いてみると彼の暖かくロマンに満ちた演奏に感心しました。ここ3カ月は忙しくてHPどころではなかったのですが、この演奏を聴いて何とか元気を出していました。

14.マルクス:ロマンティック・ピアノ協奏曲&コルンゴルト:左手のためのピアノ協奏曲 マルク=アンドレ・アムラン ('98/11/7)

最近レコード芸術で時々記事が出ていて気になるピアニストです。とにかくすごいテクニックの持ち主とのことで期待してCDを聞き始めたのですが、確かにすごい技巧であっけにとらわれてしまいました。来年1月には来日するそうですが1/29大阪いずみホールのコンサートなら何とか行けるかも→無理して行って来ました。すごいテクニックで実演でもほとんどミスがないのが驚きでした。ただ疲れた体で聴いたので帰りはぐったりでした。体調万全でお聴きすることを勧めます。

13.モーツァルト ピアノ・ソナタ全集 リリー・クラウス ('98/10/10)

9月の終わりに新星堂から上記の盤が復刻されました。ライナーノートにもあるように「盤上珠をころがす」様な演奏で、最近は毎日のように聞いています。なぜこのような名演奏が今になって復刻されたのか首をかしげざるを得ません。

12.シューベルト 交響曲全集 インマゼール&アニマ・エテルナ ('98/9/19)

先日、国際学会でウィーンに行って来ました。時間がなくてあまり名所を巡ることはできませんでしたが、市立公園を散策してシューベルトの像をみてきました。帰国してから出発前に購入しておいた上記の盤を聴きながらこのページを更新しています。演奏はテンポが速くこのような演奏があったのかと少々びっくりしています。現在のウィーンをみるとロマンの香りたっぷりですが、シューベルトが生きていた時期は案外このような生命力に満ちた町であったのかもしれません。

11.ヴェルディ 歌劇「アイーダ」「オテロ」「ファルスタッフ」 トスカニーニ&NBC交響楽団 ('98/7/1)

前回のドイツ・オペラに毒されて今度はイタリア・オペラに手を出しました。丁度トスカニーニ・エッセンシャル・コレクションでヴェルディの一連のオペラが発売されたので数点買いました(2枚でも2000円というのがうれしいところで、思わず買い込んでしまったのは私だけでしょうか)。トスカニーニは家に古いLPがあってよく聞いていたのですが、LPのほとんどがベートーヴェン、ブラームスといった古典派が中心でヴェルディを聞いたのはこれがほとんど初めてという状態でした。聞いてびっくり。といってもトスカニーニは元々イタリア人でオペラを主に振っていた人ですから感動するのが当たり前でしょう。古典派の音楽でもその劇的な演奏に心を奪われていた私ですが、ヴェルディを聞いて目から鱗状態。イタリア・オペラの良さをつくづく感じました。あまりに良かったのでHP更新も放ったらかしにしてしまったほどです。本当によい演奏です。当分はヴェルディのCDだけでも十分です。

10.ワーグナー 管弦楽曲集  ティーレマン&フィラデルフィア管弦楽団 ('98/3/3)

先日、ティーレマン指揮のベルリン・ドイツ・オペラの「タンホイザー」を観てきました。ワーグナーのオペラを最後までまともに観たのはこれが初めてですがえらく感動しました。ティーレマンの指揮も決して肩に力が入らず伸びやかな反面、場面によっては堂々としておりとても30歳代とは思えない指揮でした。現代の緻密で華麗なワーグナー演奏とは一線を画す演奏とみました。このCDでも同じような雰囲気が出ていると思います。これからのティーレマンの活躍に期待したいと思います。

9.ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」  アーノンクール&ヨーロッパ室内オーケストラ ('98/1/25)

年末年始と第九を聞く機会が多かったのですが、以前はトスカニーニ&NBC響やフルトヴェングラー&ベルリンフィルを愛聴していたのですが、数年前にブリュッフェン&18世紀オーケストラの演奏を聴いてから小編成の第九を好んで聞いています
ここで紹介したディスクでは器楽の音が小さいために声楽との調和が非常に良いように思われます。こういった演奏はフルオーケストラの演奏とは違い気楽に聞くことができるのも特徴と思われます。

8.ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」  グールド&ストコフスキー     ('97/12/1)

これまた復刻版で恐縮ですが、11/1発売のグレン・グールド・オリジナル・ジャケット・コレクションの1枚です。共演者がストコフスキーとユニークなので買ってみました。いきなり遅いテンポで開始されド肝を抜かれますが、クナのワーグナーに慣れた耳にはしばらくすると何とも言えぬ快感が広がっていきます。こんな美しい「皇帝」があったとは驚きでした。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では4番がもっとも好きなのですが、4番の繊細でしゃれたメロディと対照的に5番は「皇帝」をイメージさせる厳しさ、荘厳さをもって演奏されることが多く息が詰まりそうになるのですがこの演奏は別格です。クラシックの楽しみの1つにはこういった変わった解釈の演奏を聴くことにあるように思います。久しぶりにいい買い物をしました。

7.ベートーヴェン 交響曲第5番  フルトヴェングラー&ベルリン・フィル(1947.5.27)     ('97/11/7)

最近、10年以上使っていたミニコンポが故障して新しいものに買い換えました(サンヨー→ソニー)。音質がぐっと良くなって、丁度購入したばかりのグラモフォンのフルトヴェングラー・オリジナルスの1枚を聞いたのですが全然違う演奏を聴くようでした。やはり音質がある程度良くないとさすがのフルヴェンでもその良さがわかりません。私自身あまりフルヴェンのファンではなかったのですがこの1枚を聞くと納得といった感じです。現代ではこういった一期一会的な演奏は不可能なのでしょうか?

6.アーノンクールNOW スペシャルサンプラー(レコ芸10月号付録)     ('97/10/11)

8月終わりよりアーノンクールの「古学とは何か」を読み始め最近読了しました。専門的な話はよくわかりませんが西洋文化論として読むと興味深いものがあります。これを読むと最近のクラシック業界が如何につまらないかよくわかったような気がします。いくら国際化の時代とはいえ文化までが統一されることはまだまだ先の話でしょう。テクニックはすごいが音を聞くだけでは誰の演奏かわからない、初めて聞くCDなのにどこかで以前聞いたことがあるような気がするというような経験は私だけではないでしょう。この本を読み終えた後にタイミング良くアーノンクールのサンプルCDがレコ芸のおまけで付いていました。どうもアーノンクールはよくわからない、苦手だと思って食わず嫌いだった私も「目から鱗」状態ではっとひらめくものを感じました。これからは彼の軌跡を少したどってみようと思います(またCDに小遣いが消えてしまう・・・笑)。

5.ハイドン&ボッケリーニ チェロ協奏曲   ジャクリーヌ・デュ・プレ     ('97/9/3)

秋になるとチェロの音がしみじみと聞こえて趣があるものです。ただこの演奏は演奏者が20代の絶頂期(といってもこの数年後に引退を余儀なくされるのですが)でそのしなやかな演奏に耳を奪われます。早いものでデュ・プレが多発性硬化症で亡くなって今年で10年となります。何かの雑誌でデュ・プレの演奏を「さらば夏の日よ」と書いてあったように思いますが、この季節にこのディスクを聞くと過ぎ去った夏を惜しむような気持ちになるのは私だけでしょうか。このディスクはボッケリーニの良さを認識したディスクとしても思い出深いものです。

4.ワーグナー  管弦楽曲集   クナッパーツブッシュ&ミュンフェン・フィル     ('97/8/9)

これもウエストミンスター復刻シリーズです。室内楽シリーズもすばらしかったのですが指揮者シリーズで出たこのシリーズもすばらしいものです。クナの録音は貧弱なものが多いのですがこの盤はすばらしい音質でよみがえっています。最近なスリリングな演奏とは対極にありますが、何となくほっとするような演奏です。ワーグナーの時代には飛行機も自動車もなかったわけですから演奏のテンポもこうだったのかもしれません。

3.モーツァルト  弦楽四重曲集   バリリSQ     ('97/6/15)

昨年、ウエストミンスター復刻が出たときのシリーズものです。もともとはウラッハのモーツァルト・クラリネット協奏曲を買いたくてカタログを見ているうちについでに1枚買ったのですが聞いてみるとすっかり気に入って全部買ってしまいました。
テクニックは現代の弦楽四重奏団に比べるともの足らないかもしれませんが演奏全体から感じられる心地よさは比類ないもののように思えます。昨今、女性団員参加の件でもめていたウィーンフィルですが、私自身としてはウィーンフィルまで他のオーケストラと同じようなスタイルになるかと残念に思っていましたが1950年代のこの演奏を聴いていると既にウィーンフィルもかつての響きを失っていることに気づきました。交通手段が発達して人やモノがどんどん交流するようになって便利になった反面、私たちは大切なもの(それぞれの土地にあった個性的な文化)を失ったように思われます。そういった感傷にひたりながら聞いているDISKです。

2.シューベルト 歌曲集「美しい水車小屋の娘」  ヴンダーリヒ(テノール)  ('97/5/11)

今年はシューベルト生誕200年でシューベルト・イヤーと言われています。今月はシューベルトのCDを取り上げてみました。この曲はタイトルから非常に明るいものを感じますが、実際には粉職人の若者が修行の旅の途中で見つけた水車小屋で働くようになり、そこの親方の娘に恋をしたが失恋をして小川に身を投げる失恋物語なのです。したがって前半、後半で曲の雰囲気も変わってくるのです。私自身はあまりそのことを考えずにこの曲を聴いていたのですが、シューベルト・イヤーということで雑誌でもシューベルトの特集が多くなり、「レコード芸術」3月号208〜211ページで喜多尾道冬氏がこの曲の作られた時代の背景を述べられていました。そこでは「工業社会の到来で、それまで青春時代につきものだった職人の修行という“旅”の意味は失われつつあった」とあります。この文章を読んでいると、この曲には今まで持っていたイメージの「若さ」「美しさ」に加えて、「取り返すことのできない思い出」「不安」といった要素も加わってきます。私自身は最初に持った印象から上記のCDを愛聴しています。ヴンダーリヒはわずか35歳で事故死したドイツの名テノールです。絶頂期の 歌唱がわずかしかないのですが逆にそれが前述した「若さ」「美しさ」「取り返すことのできない思い出」にはぴったりです。ただ「不安」の要素は少々希薄でこれはF=ディースカウが良いでしょうが、総合的にはヴンダーリヒの方が好きです。もしまだ聞いてない人はだまされたと思って聞いてみて下さい。きっとヴンダーリヒの虜になるでしょう。

1.ベートーヴェンピアノソナタ全集(AMADEO,1967.7-8) フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)  ('97/4/6)

今回が第1回目です。私の大好きなフリードリッヒ・グルダのCDを紹介しましょう。私が初めてグルダの演奏に接したのはアバド&ウィーン・フィルと競演したモーツァルトの4曲のピアノ協奏曲ですが、その自由でのびのびとした演奏にすっかりとりこになってしまいました。その後、シュタイン&ウィーン・フィルのベートーヴェンピアノ協奏曲全集、スワロフスキー&ウィーン国立歌劇場0.のモーツァルトピアノ協奏曲など他の演奏家にはない自由な演奏スタイルにすっかりはまってしまいました。ジャズに手を出したりして、正統な演奏が評価される日本ではアシュケナージ、ポリーニ、ブーニンほどの人気は全くないのが現状です。
モーツァルトでは即興性がプラスのなるのですがベートーヴェンではそれだけでは軽薄になってしまします。以前よりこのCDを聞いてみたかったのですが、聞いてみると期待通りでした。グルダの演奏は自由で即興性に富んでいますがウィーンの伝統をバックにした確かなテクニックがbaseにあり、軽いようで全体の構造は全く崩れていないのです。以前はギレリスの演奏をよく聴いていましたがベートーヴェンそのものといった感じで、疲れ気味の私には少々きついものがあります。
グルダの演奏に近いものとしてはハイドシェックのライブ盤がありましたがCDが行方不明で詳細は書けません。しばらくは グルダ盤を愛聴していこうと思います。