非常に小さい小惑星の観測

TYC 0789-00349-1 (11072)Hiraokaによる食の観測


May 23, 2006

Tony George, Umatilla, Oregon


日本語訳 宮下和久

原文はこちらです

初稿 July 25, 2006

改定 Aug 16, 2006


私は20年ほどの間、小惑星による恒星食の観測をおこなってきています。International Occultation Timing Association(IOTA) のデータベースに私の観測が最初に登録されたのは、1994年のことでした。以来、私は、食のハンティングと減光を観測できるかどうかのスリルを楽しんできました。私はこれまで、記憶に間違いがなければ、8件の減光を観測しました。私は、私が住む地方を通過する可能性のある現象の全てと、そして時には太平洋沿岸地域北西部で起こる現象について観測を試みています。そして、私自身の観測技術をハイレベルに保持するために、現象の起こる確率が小さい、直径7km以下という、とても小さな小惑星の観測にまでトライするのが習慣になりました。そういった小惑星の掩蔽帯はまったく不確かなものです。掩蔽の可能性のある幅が2-300kmであるのに対し、影の幅はたった7km! もしそのような現象をとらえることができるとしたら、幸運というよりほかありません。このレポートは、そのような現象についての、私の観測の記録です。


年に1度、私はOccult (http://lunar-occultations.com/iota/occult3.htm (訳者註,Dave Herald氏作の星食の予報と整約のためのソフトウエア)) を使って、私の住む Umatila, Oregonの予報を得ます。私はこのソフトでMPCORB.DATデータベースの中の全ての7km以下の小惑星について調べました。そして、月に1回、私は私の家から50km以内で起こるそれらの現象をまとめます。私の住む地域から観測可能であれば、改良予報をもとに現象が観測できる可能性を計算します。2006年5月に、(11072) HiraokaによるTYC 0789-00349-1uの食がありました。この現象についての改良予報は次のようなものでした。


(訳者註:以下の各図は、マウスの右ボタンをクリックし、「図を表示」を選択することで拡大して見ることができます。)


Figure 1 Occult Map of Hiraoka occultation – 5-23-2006. X = Umatilla, Oregon



このような予報に対して、私もMicrosoft Streets and Trips で地図を表示させてみました。私は北西部の観測者たちを表示する基本地図を持っています。そしてこれらの可能性の低い現象について試みる場合は、彼らの注意を促すメッセージを送ります。Hiraokaによる食についての地図を以下に示します。



Figure 2 Microsoft Streets and Trips Path Map created wth SHADOW. Red Dots are IOTA observer locations.

この地図からおわかりのように、その掩蔽帯は、私の地域の15km北を通っています。もちろん私はこの現象の観測にトライしました。522日、私はよく観測に使っている道路に機器をセットアップしました。私は最初に、CCDチップと同じスケールのファインダーチャートを作り、対象星を確認します。The Sky6 により作成した星図を示します。

Figure 3 TheSky6 Finder Map of Hiraoka Event with stellar magnitudes


星食観測には、私は以下のような機器を用いています。

Meade LX200GPS 12-inch Schmidt-Cassegrain telescope

Meade f3.3 focal reducer

PC164C CCD video camera

STVAstro GPS video time inserter

Garmin 16 GPS

Canon ZR50 Mini DV tape recorder


次に、私が対象星の確認に用いた、Registaxにより合成した画像を示します。


Figure 4 Registax composite view of target star



私は、現象前3分に録画を開始し、現象の3分後まで録画をおこないました。なぜなら、予報では現象継続時間はたった0.2秒しかなく、ビデオテープを再生して目で観察することは困難だったからです。私の目では0.2秒の減光と、大気のシンチレーションに起因する多くのまたたきとを区別することができません。そこで、私は”新兵器”Limovie を使うことにしました。( http://www005.upp.so-net.ne.jp/k_miyash/occ02/limovie_en.html からダウンロードできます)

このプログラムを用いると、ビデオテープのそれぞれのフィールドにおける対象星の輝度を測定し、Microsoft Exel 互換の表計算ソフトから読み込める形で得ることができます。私は星の領域からバックグラウンドが引き算されるときにそれがゼロになるように、測定用カーソルのサイズを調整しました。次に、フィールド毎の輝度値のデータのグラフを描きました。

平均をとることにより、生の測定値に隠されている実際の変化が現れてくると考えられます。以下に私が掩蔽現象を見出したグラフを示します。

Figure 5 Sequential plot of field star brightness data from LiMovie analysis.



Limovieの光度変化は小さなドロップを示していました。そこで私はビデオをフレーム毎に解析し、私が大気のシンチレーションではなく確かに星食現象をとらえていたことを確かめました。対象星は明確に14フィールドの間消失していました。1フィールドが1/60秒であることから、消失していたのは0.23秒であることがわかります。これは私にとって最も小さな小惑星の観測記録となっています。

この解析結果から、ソフトウエアOccult を用いて、小惑星のサイズを計算しました。そのサイズは7.35kmです。もし、小惑星の中央が通過したのなら7.35kmの大きさをもつ小惑星ですし、中央でないなら、それ以上大きいサイズ、ということになります。この小惑星を円に近似させた整約結果を以下に示します。

残念なことに、北西地域の他の観測者はこの現象を記録することができませんでした。今後IOTAメンバーがHiraokaによる現象を予報し観測して、小さい対象の大きさや形状を観測できることを期待したいと思います。





以上がレポートの翻訳ですが、その後、現象の部分を拡大したグラフもお送りいただきました。

そこで、このグラフも含めて掲載することにいたしました。


5フレームの移動平均画像を作り、それをLimovieで測定したということです。減光を明瞭に観察することができます。