■利吉くんのお仕事■


ぼくは山田利吉。昨日6才になったばかり。
でもぼくは立派な忍者なんだ!
ちっちゃいころから、ちちうえに忍者の修業をして貰ったんだ。
だからもうぼくは一人前の忍者なんだ。
でもちちうえもははうえも、ぼくのことまだまだ子供だって言う。
子供扱いして!ぼくはもう子供じゃないんだぞ!

昨日からちちうえがお家に帰ってきている。
ぼくの誕生日だったから、お家に帰ってきたんだって。
でもお仕事が忙しいから、今日は大木雅之助という先生のお家にお仕事の用事で
行かなきゃならないんだって。
ちちうえ、また出かけちゃうの?

「ぼくが行って用事を伝えてくる!」
ってぼくが言ったら、ちちうえはビックリしていた。
前に一度くいせ村には行ったことがあるから、道は分かる。
もう6才になったんだし、ぼくだって遠いところにお使いくらい行けるよ!
それにね、ちちうえが帰ってきたからははうえがあんなに嬉しそう!
折角だから二人っきりにしてあげたいと思う。
ぼくって大人だねっ。おやこうこうだねっ!

でも、ちちうえは絶対ダメだって言った。
ぼく一人じゃ危ないって言うんだ。
やっぱりぼくのことまだ子供扱いしてる!
早くちちうえみたいにカッコイイ忍者になりたいと思ってるのに!!
手裏剣だってあんなに上手く投げられるのに、木に登るのだってあんなに速いのに!
立派だって認めて貰いたいよっ!
だからぼくはちちうえに文句を言った。
いっぱい怒られたけど、泣かないぞ!
怒ったからね、どこか行っちゃうからね!!

ぼくは夕方、密かに荷作りをした。
その、大木先生のお家に、一人で行ってやる!
ちちうえがどんな用事かは知らないけど、ぼく一人で行けるって事、証明するんだ。
出発は明日の朝早く。
やっぱり夜行くのは危ないから。
だって狼とか出てきたら困るでしょ?
まだ狼のやっつけ方を教わってないもの。

これは、ぼくがぼくに宛てた任務だ。
この任務をこなせば更に立派な忍者になるかもね。
成功すれば、ちちうえだって認めてくれるかもね。
絶対成功させてやる!

翌朝、まだははうえとちちうえが眠ってる間に、こっそりと家を出た。
朝の空気は冷たくて気持ちがいい!
走るのは得意だから、走っていこう!
こんなに気持がいいと疲れないね!
たしかくいせ村はぼくのウチから西の方…だと思う。
ちちうえと手をつないで、こっちに曲がった記憶がある。
歩いてどれくらいかかったかな?
途中でお団子食べなければ、前よりもっと早く着く筈。
このペースで行けば、夕方までには帰れるだろうか。

いっぱいいっぱい歩いたけど、うん、この道知ってるぞ。
この前来た時と同じ風景。
迷子になんかなるもんか。
迷子になるようじゃまだ子供だもん!

あ、あそこ、くいせ村?
田んぼがいっぱい広がってきたぞ…。
やっぱりあそこ、くいせ村だ!
着いたぞ〜!
ぼく一人でも大丈夫じゃないか!
ほら、道に迷わず来られたよ!
この前は、このへんでちちうえに「ここで待ってろ」って言われたから、
大木先生のお家には入ったことがないけど。
でも、その時ちちうえはたしかあそこのお家に入っていった。
だから大木先生のお家はあのお家だ!
よし、声を掛けてみよう!

「ごめんください!」

入口で、大きな声で呼んでみた。
けど返事がない。
もう一度

「ごめんくださいっ!!」

返事はない。
もしかして居ないのかな?
どうしよう、居なかった場合は計算に入れてなかった…。
これじゃ大木先生のお家まで来たなんて、ちちうえに信じて貰えないよっ!
え〜と、何か証拠…証拠…。

あれ?何か落ちてる。
これは………はちまき?
そういえば大木先生ってはちまきしてたっけ。
これを持って帰ればちちうえは信じてくれるだろう。
でもとりあえずここで少し待ってみる。
もしかして帰ってくるかも知れないからね。
入口…開いてるよ?
じゃ、中で待たせて貰おう。
お行儀が悪いかな。

わ〜、中何もない!
てぬぐいとかが落ちてるだけだ。
本も読まないのかな。
なんで何もないんだろう。
ちょっとおじゃましま〜す。


……………………
……待っても待っても、来ないよ、大木先生!
それにしても昼間は暖かい、朝はあんなに涼しかったのに。
なんだか、ぼく眠くなってきた。
今日は早起きしたからね…。
お空がきれい。
雲が流れて…
……………………


あ、あれ?
外が薄暗くなってる!
ぼく一体どれくらい寝てたんだろう?
随分寝てたみたいだけど、まだ大木先生は戻ってないみたい。
ぼくが来た時と部屋の中が一緒だ。
お家に帰ろうかな。
でも、今から帰ったら夜中になっちゃう。
どうしよう、どうしようっ!
ここで夜を明かそうか?
でも周りは田んぼだし、山だし、………
ひとりぼっちか…でも、怖くないぞ。

………………。
どんどん外が暗くなってくる。
とうとう夜になっちゃった。
大木先生、帰ってこないのかな。
今夜はここでぼく一人かな。
ちちうえとははうえ、心配してるだろうな。
帰ったら怒られるかな。
何も言わずに来ちゃったんだし。
弱音なんかはきたくないけど、なんだか寂しくなってきちゃった。
でも泣かないぞ、泣いたら弱虫だ!

…………だれか…
大木先生、戻ってこないのかな。
ちちうえ、迎えに来てくれないかな…。

ん?
何だろう?物音がするぞ?
外からだ…。
誰だろう、大木先生かな?
ちちうえかな?
それとも…敵の忍者か?!
いったん隠れよう!
えっとえっと…ここだ!

……入口から入ってこない?
裏口からだ…誰か入ってきた…。
暗くてよく見えないけど…忍び装束?
あ!手に何か持ってる!
光ってる…光ってる…忍び刀だ!
敵だ、奴は敵だ!
大木先生を殺しに来たんだ!
じゃあ見つかったらここにいるぼくまで殺されちゃう!
でもほっておいたら大木先生が危ないよ!
どうしよう、どうしよう!
なんとかくい止めないと…隙を窺って…
ぼくが今持ってるのは手裏剣とまきびしと…煙り玉。
煙り玉で敵を混乱させてる間にまきびしまいて逃げよう!

あっ!
こっち見た!
もしかしてぼくが此処にいること、気付いちゃったのか?
ちっ、近づいてくる!
お、落ち着け、冷静に冷静に。
忍者は如何なる時でも冷静沈着…。
…嫌な臭い、これ、血の臭い?!
人を切ったんだ、だから忍び刀に血が付いてるんだ!
ぼくも…切られる?!

ちちうえ、ははうえ……

「おい」
ひっ!!殺される!
「お前…」
来るな!
そ、そうだ手裏剣!投げてやる!
手裏剣で…!!
……?!
て、手で受け止めた!ぼくの投げた手裏剣!
それをぼくに向かって…!
か、刀も構えてる!
逃げなきゃ!!
逃げたいのに、か、身体が…!!

「利吉…か?」
え?
「そんなに怯えるな」
あ、…大木先生…?
「お父上の同僚だ、分かるだろう?敵じゃないぞ」
刀をさやに収めたぞ…どうやら敵じゃない。
本物の大木先生か?!
近づいてきた…ぼくの手に手裏剣を返してくれた…。
やっぱり敵じゃない…?
「別に驚かすつもりはなかったんだが…怖かったんだな、すまんすまん」
先生がぼくを抱きしめてくれた。
あったかい、さっきまであんなに寒かったのに。
「涙を拭いて、鼻でもかんだらどうだ?」
手拭いを渡された。
ぼく、自分で泣いてたことに気付かなかった。
身体の力が抜けていくみたい。
手が震えてる、情けない。
大木先生が頭を撫でてくれる。
子供扱いされてるようで悔しいのに、とってもとっても安心する。
結局ぼくの早とちりだ。
勝手に行動したからバチが当たったんだよ。
ちちうえに怒られるだろうな。
覚悟して帰らなきゃ……


次の朝、ぼくは大木先生と手をてをつないでお家に帰った。
ちちうえの顔を見るのがちょっと嫌だった。

「やはりそちらでしたか、ご迷惑を…」
「そんなことないですよ。息子さんは強い子ですねぇ。勇敢に立ち向かってきましたよ」
ぼくの頭の上で、ちちうえと大木先生がお話ししてる。
あとで怒られるぞ、怒られるぞ〜!
「もうちょっと早く家に戻っていれば良かったんですけどね。
ちょっと仕事で手こずりまして…」

ちちうえは笑いながらぼくの頭に手をのせた。
「よく一人で頑張ったな」
褒めて…くれた?!
怒らないの?
「でも今度からは無茶なことはするなよ利吉」
はい…
恥ずかしい。
ごめんなさい。


大木先生は帰る時に、ぼくの頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
そして、また遊びに来いよって言ってくれた。
うん、また遊びに行くね。
こんどはちちうえと一緒に!


ご飯を食べたら、裏山で手裏剣の修業をしようっと!


         おしまい

 

あとがき言い訳
はい、ゴメンナサイ、言いたいことはよく分かります。
利吉って可愛いものだと思い込んで居る奴が作ると
こうなります。カッコイイ利吉なら、余所様のサイトで
たくさん見られますわv
何度も申し上げますように、文才ゼロです。
私、小説や文章系は勢いで書く奴です。
この話は授業中に頑張って下書き(ネタ書きだし?)を
しておりました。横っちょに絵を描きながら(笑)。
お子さま利吉、だ〜い好きなんですv
別にショタ好きじゃないんですけどね(汗)、
子供利吉ならだ〜い好きなんですv可愛い可愛い!