ギターダー
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No.10「ディップメーターの製作」


 さて、今回はディップメーターを製作してみたいと思います。

 ディップメーターというのは共振周波数を測定する測定器で、
「はりゃー?これは一体何MHzを受信しとるんじゃぁ?」っていうような場合に
周波数が共振すると電流が吸い取られてメーターが下がる(ディップする)性質を利用して
ここで同調したからこれは何MHzだなという測定をしたり、
周波数カウンターの出力を利用して、発振器として受信機の調整に使ったりするものです。

 でもギタリストにとってはディップメーターなんて興味なかったりしますよね。
いや、興味ないどころか知らなかったりすると思います。
まぁそんなもんです(笑
私も無線に興味を示すまでは知りませんでした。

 しかし人間って面白い生き物ですよねぇ。
今まで全く興味が無かったはずなのに、ちょっとしかきっかけで興味を持ったりして
しかも興味を持ち始めると今度は色々と調べて詳しくなったり、
練習したり、買い集めたり・・・

興味の無い人に勧めたり。(個人差はあります)


話がそれました。

 私は無線機や受信機を自作するようになってから
その調整をするのにディップメーターが必要だと思ったわけですが
あれだけ多くの無線家たちに重宝されてきたディップメーターが
もうほとんど販売されてないんですよ。
あってもデジタルのやつとかで、とても高額だったりします。

 ヤフオクとかでたまに出品されてますが、こういうのってコレクターもいるんですよね。
何回か入札しても落とせなかったのでヤフオクのはやめました。
調べてみると、「ハムフェア」という毎年やってる催し物で売ってるというか
「工作教室」での教材になってるキットがあるらしいんです。
無線家たちにとっては有名な話なんですね。
私がそれに気付いたのは今年のハムフェアが開催された1週間後でした。(くそぅ・・・)

 工作教室だとこのキットは3,000円で、ハムフェアじゃなく通販でも買えるらしいのですが
その場合は送料込みで5,500円とか、年によって仕様や価格も変わるみたいですけど
数千円ならいいじゃないですか。
電話して聞いてみたら「部品がないので販売できない」との事でした。ははは。
ポリバリコンの容量がちょっと一般的じゃないようです。

欲しいのに手に入らない。ははは。



 これはもう自作するしかないと思い、回路図をググって探していると
2つくらいは参考になりそうな回路があったんですけど、
1つは320pF×2のポリバリコンを使っててそんな容量のは見たことないし
もう1つのは140pF+80pFのポリバリコンでまぁまぁなんとかなりそうなアレですが
差動増幅回路を追加するなど、最初の1台にしてはちょっと複雑かなーって。

で、色々探してたら CQ ham radio 2008年 07月号に

「ディップ・メータの製作」

という記事があって、良さげじゃないですか。
やっぱディップメーターなんか持ってないし、使ったこともないので
っていうか、使い方すら?よく分からない?状態で?・・・(大丈夫なのか俺・・・)

とりあえずこのCQ ham radioの記事が欲しくなっちゃいましてね。えへえへ。

2008年 07月号だとCQ出版にはもう在庫が無いようですが、ヤフオクやAmazon、古本屋などで入手するか、
「CQ出版のコピーサービス(有料)」というのを利用すれば入手可能です。

ちなみに私はAmazonでバックナンバーを探して入手しました。



数日後・・・
届いた雑誌をめくってみると・・・

おぉーぅ・・・
載ってるじゃぁないですか。
しかも簡単そう。えへへ。

 今の私にとってディップメーターはオリジナリティもくそも不要なので、
今回はとりあえず、この記事のまんま製作することにします。
ただし、そのままだと乾電池仕様で不便なのでDCアダプターだけ追加します。

ちなみに「あの独特なディップメーターのダイヤル」の目盛りの付け方も使い方も載ってません。
そんなものはいちいち書くまでもないということなんでしょうね。
我々もいちいちオーバードライブの使い方なんて書かないしな。うん。
まぁ多分あの円盤の目盛りは周波数の目盛りだとは思うんですけどね、
いじってみれば分かるだろうということで。

多分、なんとかなるでしょう。



 まずはケースの加工です。
YM-100という小さめのケースを使います。



「よぉーし♪」とか言いながら、
四角い穴にメーターをはめてみたり外してみたり・・・





一度、全てのパーツを付けてみます。



 記事には「YM-100だと窮屈なのでYM-130にした方が余裕があっていいかも」
ということが書かれてましたが、そんなのはYM-100を買ってから読んだので
ただでさえ窮屈なところにさらにDCジャックを追加するということで
干渉しない場所を慎重に探しました。



 ところでメーターですが、これは選び方に注意点があります。
まず下の写真の3つを用意してみました。

左にあるちょっと大きめのやつが「VUメーター」で、
真ん中と右のが100円ショップの乾電池残量チェッカーから取り外した「ラジケーター」です。



 この左の「VUメーター」は不要になった昔のMTRに付いてたものを取り外したやつで
これは感度も良く、充分に使えます。
でもYM-100に入れるにしては大きいし、もったいないので今回は使いません。

 真ん中のやつは「Can Do」という100円ショップのやつなんですが、
ディップメーターとして使うにはメーターが反応しません。
ディップメーターとして使えるのはフルスケール電流が500μA以下のものなのですが、
この「Can Do」のやつはフルスケール電流が20mAくらいあるようです。

 右のやつはお馴染みの100円ショップ「ダイソー」のやつで、これは使えます。
ダイソーで210円のと315円のが売ってますが、どちらも同じです。
ただ、210円のはメーターの窓が弧の字型になってて、315円のは窓が長方形になってます。

製作記事では210円の窓が弧の字型になってる方を使ってましたが
加工が面倒そうなので私は315円の方にしました。

でもこれはねぇ、
この製作記事の当時の2004年頃ならダイソーの乾電池残量チェッカーが100円だったみたいだけど、
今は210円や315円だから、それなら電子部品店で750円くらいのラジケーターを買う方がいいかも?

 ちなみにVUメーターは最近はもうあんまり売ってなくて、
あってもデッドストックで数量限定だったり、2,500円〜4,000円くらいしたりします。
ディップメーターとして有名なメーカーの「DELICA」とかを彷彿させるような、
本格的なやつを製作する時にはVUメーターを使うと良いかもしれませんね。



 では、次に基板の製作に移ります。
プリント基板用の感光基板ではなく、生基板を使います。



紙に怪しげな構想図を描いてみて、基板をカットします。



そしたらコマ切れにした小さな基板を接着剤で貼り付けます。
いきなり「手作りっぽさ」全開になりました・・・



 この小さなコマのことを「ランド(島)」と呼びます。
下に敷く面積の広い方が「海」だとすると、その上に「島」が浮んでいます。
どうですか?広大な海を航海している気分になりますよね。

な、なりますよね?・・・


この「海」をGNDとして使い、「島」で部品を結合して回路を成立させます。
このような製作方法による基板のことを「ランド基板」と呼びます。

この製作記事の作者が好んで使う基板の製作方法ですね。
無線機の製作本なんかでもこの方法でやってます。

GNDが広く取れるし、エッチングが不要なので初心者にも易しいかもしれません。
ただ、あまり複雑な回路には向かないのと、見た目が汚くなるという難点もあります。
銅箔面が汚れるんですよ。それを「味」と捉えることが出来るかどうか。かな。



 さて、部品をハンダ付けしていくわけですが
これってダイオードを使うんですよね。ゲルマニウム・ダイオードを2本。

それでね、私が今までに色んなゲルマニウム・ラジオを製作してきて思うのは、
ゲルマニウム・ダイオードはものすごく特性にバラツキがあって不安定だということです。
このバラツキは検波の性能に大きく関与します。

 ゲルマニウム・ダイオードには帯が1本のものと2本のものがありますが
「帯2本のものはペアで使っても大丈夫なように特性が揃っている」と聞いたことがあります。
しかし実際にはセットで購入した同じ型番の帯2本のもの同士でもラジオにして聞き比べると、
たまに明らかに音量が小さくて感度が悪いものが混ざってます。

なので、個人的にはゲルマニウム・ダイオードは1本ずつチェックして選別しないと使えません。
そこでですね、私なりのゲルマニウム・ダイオードのチェック方法を紹介しましょう。

簡単です。
ゲルマニウム・ラジオで一定の放送局を受信した状態で
ダイオードを差し替えながら音量を聞き比べます。

こんな簡単な回路でいいんです。



 もっと正確に選別したいときは、ダイオードの両端にテスターを当てて電圧を測定します。
アンテナや受信するする放送局などの環境によって電圧は変化しますので
同じ環境でダイオードを差し替えて相対的に電圧の違いを比べます。

私の環境ではよく聞こえる状態になるダイオードだと100mV程度あって、
たまに音量が小さ過ぎるのがあってそれは36mVしかありませんでした。
98mV〜100mVとかの範囲内のものがほとんどで、それらの誤差では音量の変化は感じられませんので
たまにある36mV〜40mVくらいのものを省くという感じで選別すればいいと思います。

誤解を招くといけないので念を押しておきますが、
自宅の位置やアンテナの違いや放送局によって電波の受信状況が異なりますので、
98mV〜100mVが基準とか正常とかっていうことでは決してありません。
あくまでも数本〜数十本を相対的に比較して「他のに比べて著しく感度の悪いもの」を探して省くのです。

いやー、それにしても電源が無いのにラジオが聞けるなんてやっぱ凄いわぁ。



 じゃぁハンダ付けをしていきますよ。
このランド基板、「基板の製作方法」という点だけでいえばプリント基板よりも簡単ですが
「ハンダ付けの難易度」という点ではプリント基板よりも難しいかもしれません。
かもしれませんじゃないな。数倍難しいので、実は初心者には厳しいかもなぁ。

部品によってはヒートクリップを使って熱破壊しないように部品を守ることと、
色々なところを押さえて、ハンダ付けする箇所は確実に密着するように固定してからやるのがコツです。



特に鉛フリーのハンダは、ただでさえ難しいのでコテの温度や経験が必要です。
面積の広いGNDのハンダ付けは熱が逃げてしまって30W程度の低いワットのハンダごてでは厳しいです。


 そう。ハンダが鉛フリーになってから、ハンダ付けそのものが難しくなったんですよ。
「融点が高い」というのが原因ですね。今までのよりも数段溶けにくいです。
私は今まで30Wのコテでやってたところを40Wに変えてるのですが、
コテの温度が高すぎると、今度はプリントの銅箔面が焦げて剥がれたりするので
温度をコントロールする機器で若干下げて温度が高くなり過ぎないようにギリギリにしてます。
だいたい36〜38Wくらいかな。

今は電気製品には鉛入りのハンダは使用してはいけないことが法令で定められてしまってるので
流通してるハンダもほとんど鉛フリーのものになってきています。

今まででさえ、イモハンダだらけで製作する人が多かったというのに
「キットを作る初心者や一般の人たちはこれからどうするんだろう?」って不安になります。

ただ単に「確実にハンダ付けしてください」とか「慣れるしかありません」とかでは通じない時代かも。

意図的にイモハンダやテンプラハンダが出来るくらいの腕が必要というか、最低条件で、
新しい基準の「ハンダ付け技術者」の資格を作って、それに合格しないとキットを購入出来ないとか
そのくらいの徹底した技術管理が必要なんじゃないかって・・・

ハンダ付け技術の重要性を小一時間、こぶしを振り上げながら問い詰めてみる。(ぉぃ

病的な考えにさえなってまうやろ(笑



こういうのって夢中になってやっちゃうのね。 
時間を忘れるということは良い事かもしれない。

ちなみに上にあるジャックはコイルを差し込むところです。
周波数によって何種類かのコイルを使い分けます。
下にあるコネクターは周波数カウンター出力で、横にあるのがDCジャック。



DCジャックを付けたので電池スナップは付けてないです。
でも乾電池のスペースは空けておいたので、乾電池を使いたくなったら後で付けられます。



むぅ・・・
あとはコイルと目盛りか。



 まずは動作を確認します。
発振してくれないことにはどうしようもないでしょう。(多分・・・)
そこで、装着するコイルを作ります。
作りますっていうか、市販のインダクタでもいいんですね。
こんなのを使います。10μHのインダクタです。




DCプラグに付けるだけです。



ディップメーター上部に装着します。



メーターが振り切るほど発振してます。



ボリュームを絞っていくとメーターが真ん中へんに。




ボリュームをここまで絞っていくと
メーターが「0」になって発振が止まります。



 周波数によって発振のレベルが違いますので、
受信機の調整などに使うときに、メーターの振れが分かり易い方がいいとか
弱い発振でディップさせると精度が上がるとか
丁度いいところにボリュームで調節します。

とりあえず発振してレベルも調整出来るので、動作は確認出来たようです。えへ。

デカくなってもいいからVUメーターでもっとカッコよく作れば良かった。ははは。



 では、周波数カウンターを繋いで周波数を見てみます。
私はとりあえずキットで製作してケースにも入れてない周波数カウンターを使ってます。
カンマが表示されないので白い三角のマークを付けてあります。
このマークがないと「いーち、じゅーう、ひゃーく・・」ってなります(苦笑

表示が「6,563,200 Hz」ですから、まぁ6.5MHzですね。
これが最小値です。



つまみを最大に回すと11.8MHzになります。



 つまりこれは10μHのコイルを装着すると、6.5MHz〜11.8MHzを発振するということです。
雑誌の記事では10μHのコイルで6.8MHz〜13MHzということなので多少の誤差はありますけども、
自分で製作したこのディップメーターにはこれ用に目盛りを付けるので、何ら問題ないですね。

 さて、私が使いたいと思っているのは41MHzなんですよ。
ちゃんと41MHz付近まで発振してくれないと製作した意味が無くなってしまいます。
その為のコイルは、ボールペンほどの径に0.8mmのホルマル線を8回巻けば良いということなので
まぁとりあえず実験で適当な棒に0.8mmの線を8回巻いて測定してみます。

雑誌の記事ではこのコイルで26MHz〜58MHzということですが・・・




これでつまみを最小に回すと32.1MHzになります。



つまみを最大に回すと63.5MHzになりました。


32.1MHz〜63.5MHzということですね。
雑誌の記事ではP-16という60MHzまでしか測定出来ないポケットテスターのやつを使っているので
周波数カウンターの性能的に58MHzを読み取るのが限界だったというような感じです。
私が今回使っているのは150MHzまで測定出来るやつなので63.5MHzまで測定出来たのかな。
多分、雑誌の記事のやつも実際には58MHz以上で発振してるんだと思います。

いずれにしても41MHz付近は充分に大丈夫ってことですね。

でもその仮に巻いた白い棒は元々これに使うものではないので(汗
一応、作り直しました。
いらない鉛筆に巻いてからホットボンドで固めました。


作ったらまた確認します。最小で34.2MHzになります。



最大で69.5MHzになりました。



まぁコイルはあとでじっくり色々と巻いて、色んなのを作れますよね。



あとはダイヤルの目盛りですね。

厚紙などで円盤を作り、ダイヤルのつまみに貼り付けます。
ダイヤルと一体化させて、つまみと共に回るようにするわけです。



これに目盛りを書いていきます。

コイルを差し込んで周波数カウンターを接続して、
つまみがどの位置で何MHzなのか、周波数カウンターの数値を記入していきます。

私は今までディップメーターを所有したことも使ったこともないのですが
どういう訳か何の目盛りをどうやって記入していけば良いのかが分かります。


 このポリバリコンの軸が回るのは半回転なので、
例えばダイヤルの円盤の上半分はコイルAの目盛り、下半分はコイルBの目盛り
などと記入していきます。
コイルを4種類用意する場合は、上半分に2段でAとB、下半分に2段でCとDとかですね。
新しくコイルを巻いて作ったらそれ用の目盛りも新しく書かなきゃってことです。


 目盛りを書きながら、ふと思ったんですけど・・・
ハムフェアの工作教室とかで作るようなディップメーターのキットあるじゃないですか。
あれって最初から円盤に目盛りが書かれてますよね?
ポリバリコンなんて裏の板羽根で調整したって個体差で容量もバラバラだし、
かなりアバウトになっちゃいませんかね?



こんな感じですね。



 雑誌の製作記事ではコイルを5個用意して1.8MHzから58MHzまでカバーしてますけど
今回は6.5MHz〜11.8MHzのコイルと34.2MHz〜69.5MHzのコイルだけ作りました。
とりあえず私が今使うのが42MHz付近だけなので34.2MHz〜69.5MHzのコイルだけで足りますね。

買わなきゃダメだとかずーっと思ってたディップメーターが自作で出来て嬉しいですね
今度作るときはPICマイコンを使ってデジタル・ディップメータとか作ってみたいかな。
まぁ実用的にはこれで充分ですけどね。

2009.10.6

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