ギターダー
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No.4「ディスクリート回路の実験」


 まずはじめに、本当ならばもっと初歩的なトランジスタ1石回路の実験から載せるべきだと思います。
私自身もそういう実験からやってきました。
分かりきってることでも実際に実験することによって得たものは多いし、
「たかがトランジスタ1石だから」と言ってバカにすることは無くなりました。
もしエフェクターを自作するという方がいたら、そういう皆さんにもトランジスタ1石から始めてもらいたいです。

で、私は途中で実験する暇もなく忙しくなってしまったり、HPに公開する作業より先の実験を進めたりとかで
たまに日記で報告するのとかだけになってしまい、「ここらで一回、ドーンと更新しないとなぁ」という感じで
基礎的なトランジスタ1石からの実験の公開を飛ばしてしまってます。
順番的にはズレますが、いずれ、基本的な実験も公開していきたいと思ってます。



 かなり以前から、私は「トランジスタの実験が大事なんだ」と言ってきました。
日記でも書いてたと思います。
基本はトランジスタなんですよ。
そして、トランジスタさえあれば、何でも出来るんです。
(まぁ「何でも」っていうと語弊があるけど・・・)

 何でも便利な世の中になった今、簡単なブースターやファズ以外は
エフェクターもOPアンプだらけです。便利で簡単だからです。
それどころかワンチップ・マイコンの時代ですよね。

でもOPアンプを使わずにトランジスタから設計すれば
設計によってはOPアンプを超える性能を引き出せるということは分かっています。
「じゃぁやってみよう。」と思ったわけです。

まぁ「やってみよう。」と思ったのは数年前で、実際にやって出来たのはつい先日ですが(笑



 とりあえずディスクリートでYJM308の回路を作ってみたですよ。
YJM308はですね、結構気に入ってるんですよ。
5本指に入りますね。
で、ディスクリートのYJM308の回路ですが、先に結果を言います。
OPアンプのものと同じ音です。

 今回は実験なので、実験基板のままだし両電源だし
エフェクターとしてケースに収めたわけじゃないですけど
実験には成功してるので、あとはもうケースに収めるだけです。
そのうち製作記事でも登場すると思います。

構成はですね、「ディスクリートYJM308プロトタイプA」と、
トランジスタを差し替えられるようにした「ディスクリートYJM308プロトタイプB」と
前に自作した「両電源アダプター」と、「可変電源装置」です。


 まずYJM308の波形をオシロスコープで見てみます。

信号源として正弦波を使います。
ギターの音だと、様々な変化をしながら減衰していくので
オシロスコープで観測する為に波を固定するトリガーというのがかけられないからです。

で、これは全く歪ませていない状態です。
カーブ自体は信号源の波形で、音量によって波の深さが変化するだけです。



ちょっと基本的な解説を・・・



 綺麗な正弦波はクセのない澄んだ音ということです。
正弦波というのは、まぁ簡単に言えば規則正しくて緩やかなカーブの波です。

 赤い点から次の赤い点までが1つの波です。これが1周期です。
マスで言うと4.5マス分ありますね。4.5Divといいます。
これは0.5msに設定してあるので 4.5Div×0.5ms=2.25ms つまり、
1周期分の時間が2.25msということで、周波数は 1÷(2.25×10の3乗)s なので、
444.4Hzということです。

まぁだいたい音叉と同じ440HzのA(ラ)の音ということです。

また、音量を小さくすると縦方向の波の大きさが小さくなり、無音状態でただの横棒になります。
観測・調整し易いようにLEVELを最大にして、あとはオシロで調整します。(このへんは自分がやり易いように。)


歪ませるとこうなります。



縦長になったので見易いように設定します。

 

 ダイオードクリップの効果で、波形の上下がカットされてます。
角が出来るわけですね。
(右の写真の赤い部分がカットされてるということです。)
そうです。歪んでるわけです。

そして、この歪んだ時の波形が重要なのです。


では、ディスクリートで製作したYJM308を見てみましょう。



全く歪ませていない状態です。YJM308と同じ波形です。

歪ませてみると・・・



見易いように設定します。



これも全く同じですね。

音を聞き比べて同じなだけじゃなく、波形で見ても同じということです。
しかも綺麗な波形です。

 ギターの音は低周波なので、OPアンプ回路の周波数特性の性能の限界付近は関係ないというか
大事なのはむしろ低い周波数帯域の音なんです。
なので、理系の大学などで研究するような課題じゃないし(つーか、法学部出身の私は理工学部で何をやるのか知らない)
エフェクターとしてはこれで十分だし、実験の目的としては大成功です。


さて、「エフェクターなんてみんな同じ波形なんじゃないのぉ?」
こう思った人もいるかと思います。

 色々とあるんですよ。
今まで見てきたような分かり易いものもあれば、どこがダイオードクリップなのか分かりにくいものも。
そして、たまに本で見かけるこういう波形というのは、たいてい綺麗な正弦波とかを信号源で使ってます。
ちなみにギターの音を直接波形で見ると、もうグッチャグチャです。

ではチューブスクリーマーの波形を見てみましょうか・・・



これが全く歪ませていない状態です。

じゃ、歪ませます。



ほとんど変わりませんよね。YJM308と比べても全然歪みが弱いからです。

そして、波形もYJM308とは違いますよね。
トーンをいじってみましょうか。

(っていうか、ピントが手前のエフェクターに合っちゃってて波形がボケとるがな!)



これ↑がトーン「0」



これ↑がトーン「10」
トーンをいじると変化するし、やはりYJM308とは違う波形です。

でね・・・

DB-2はすごいですよ。(すごいっていうか、面白いっていうか・・)

こんな波形も・・・



こんな波形も・・・




自由自在なんですよ。

YJM308っぽい波形も、TSっぽい波形も作れます。
実際、DB-2のつまみを調整すればそれっぽい音が出ます。

 まぁ要するにトーンの種類がBASSとTREBLEがあるので、色んな音が作れますよと。
そういうことですね。

あとは誤解しちゃいけないのがですね、
波形だけで「これは良い音だ」とか「これとこれは同じだ」とか判断出来ないということですかね。
あくまでも参考です。
ただ、例えば自作した回路(今回で言えばこのディスクリート回路)などに問題があれば、
正弦波を入力しても線がギザギザになってしまったりもするわけです。

また、どんな周波数のどんな波形の信号を入力してエフェクターをかけるかによって
画面に出てくる波形も実験者や機材やセッティングによって変わりますので
「俺の知ってるこのオーバードライブの波形と違うじゃん!」っていうこともありますので。

面白いでしょ?
もうこうなったらアレだよね。
エフェクター本体に液晶パネルかなんかの画面でも付けて「波形の見えるエフェクター」とかいいよね!(いらねぇよ!)

いずれにしても、ディスクリートで、OPアンプのYJM308と同じ音が作れたわけです。
もちろん、YJM308に限らず、何でもディスクリートで製作出来るということです。

 ただし・・・
ディスクリートでDB-2を作ろうと思えば作れますが、
トランジスタを最低でも30個は使うことになります・・・
求める性能によっては50個〜60個ですね・・・

時代が求めてきたのは「性能重視」よりも「小型化重視」だったということですね。
いや、もちろんOPアンプもどんどん性能が上がってますけど。

でもメーカーがどんどん上げてくるOPアンプの性能って、
エフェクターにとってはあんまり意味のない部分だったりすると思いますが・・・
だって、周波数特性が4558の2倍くらい良くなった「4559」と、「艶有り4558」だったらどっちを選ぶ?

音を求めるなら時代に逆らうのも手だよね。

2008.6.28

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