ギターダー
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No.2「実験用ブースターの製作」


 今回は実験用のブースターを自作しました。
別にたいしたものではないんですけどちょっと確認したいことがありまして。

 世の中にはエフェクターが星の数ほどあるわけですが、
特に歪み系とかってどれもだいたい同じ作り方なわけですよ。
まぁどこまでを「だいたい同じ」と表現するかにもよりますけど
「バッファ回路」と「OPアンプの非反転増幅回路」の結合って感じですか。

あとは定数を決めてやるだけです。
もちろん細かい部分は色々なバリエーションがありますけどね。
ダイオードクリップやハイパスフィルターの部分とか。

なので、ここでは紹介してないですけどオリジナルのエフェクターを作るときは
だいたい完成された「金型」的な回路に味付けしたり、
あちこちの回路の良さそうな部分をひっぱってきたりしてたわけです。

 で、また自分でオリジナルを製作しようと思ったときに
もうちょっと細かく音を確認しながら設計してみたいなと。
本当によく使われてるパターンの回路でももっと分解してみようと。

 私の予定ではまずはバッファを通してから次に軽い増幅をもってきて、
その後に歪ませる増幅をもってこようかと。
最後にトーンを入れるとか微調整用の増幅をもってくるかどうかって感じですね。

「おい、なんだか増幅だらけじゃないか。」と思うかもしれませんが、
安定した回路のエフェクターはこのくらいが普通です。
中にはシングルOPアンプを使ったものとかで歪みの非反転増幅回路だけで
バッファもないものもありますけどね。


 で、とりあえずこんなのを作りました。



 これの前にバッファだけのも作ったんですが、それはこれにも含まれてるので省略。
これはバッファとブースターの2つの回路で出来ています。
そして、白いクリップを外してそこに赤いクリップを付け替えるとバッファだけになります。

これによって、「バッファだけの音」と「バッファにブースターを加えた音」が確認出来ます。
それでですね、あとになってから「ブースターだけの音も確認しないと」と思いまして・・・
作り直しました・・・


 作り直したのがこれで、基本的には上のと同じものなんですけどね。





 自分で区別するのに名前をつけました。「Jemy」と「Jemy2」です(笑)

可変抵抗器が交換出来るようにしたのと、バッファとブースターの組み合わせが
「バッファのみ」「ブースターのみ」「バッファとブースターの混合」の3通り出来ます。

このようにクリップで止めて使います。
クリップの止め方によって2段目のブースターの直前の1kΩと0.1μFの順番も変更出来ます。




回路図を見た方が分かりやすいですよね。



 回路の説明に入る前に赤で記したA〜Hはすずメッキ線で出しておくようにしたことを補足しておきます。
こうすることによって、すずメッキ線同士をどういう組み合わせでクリップするかで 回路の変更が簡単に出来るからです。
また、この回路の前段と後段の結合部分についてはこれが最適という訳ではありません。
実験用にこのようにしたので、これについてはこれから下で説明します。
あとOPアンプの4番ピンがGNDで8番ピンがVcc(+)なのは一般的には回路図では省略しますので
ここでも記入を省略していますが、実装の際には接続します。

 では、回路の説明に入りますね。

 まずC1の入力コンデンサを通してからOPアンプの入力保護抵抗R1を通します。
保護抵抗より前に、というか一番最初に入力コンデンサを入れます。
このへんの順番はどうでもいいんですけど、ギターってボリュームが付いてますよね。
つまり可変抵抗器がギターの最後方部にあるわけで、最初に保護抵抗を入れてしまうと
ギターに付いてる可変抵抗器との合成抵抗になっちゃってあんま意味ないですよね。
なので私は入力抵抗を最初に入れます。

入力抵抗は0.022μF〜0.1μFあたりがギターには丁度いいですが、
個人的には0.1μFが原音に忠実で音が痩せないと思います。

R1の保護抵抗は1kΩ〜10kΩが最適です。
ぶっちゃけ無くても構いませんが、念の為に入れます。
入力過多になればOPアンプは壊れるときは壊れますけどね。
念の為なので最低限の1kΩにしときます。

 次にR2の1MΩをバイアスに落としてます。これが入力インピーダンスです。
ギターの出力インピーダンスはシングルコイルで250kΩ、ハムバッカーで500kΩですので、
それを受けるには500kΩ以上が必要だということになります。
余裕があればある程良いのですが、2MΩとか3MΩとかにしても無意味です。

そしてC2の470pFをGNDに落としてますが、これは余分な高周波をカットしています。
これが無いとラジオの音とかを受信してしまったりする恐れがあります。
実際にこれを付けないで回路に触ってると自分(人間)がアンテナの役割を果たしてラジオを受信します。

受信する時としない時もありますし、触る場所によっても違います。
これはこれで楽しいのですが、エフェクターとしては不要なのでカットします(笑)

OPアンプの6番と7番を直結してますよね。
これで増幅度1のバッファになります。

電圧が増幅されないので音量は変わりませんし、歪みもしません。
ただ電流だけが流れますので、ギターの信号が強くなってノイズを振り払います。

 1段目の最後にC3の10μFを入れます。1μF〜10μFあれば良いですね。
あまり小さな容量だと低音が切れます。10μFあれば充分で、あまり大きくしても無駄です。
容量的に10μFあると電解コンデンサを使うのが一般的ですね。

 これで1段目は終わりですが、この実験回路はこのバッファだけでも完結して出力出来るように
R3の出力抵抗を入れます。47kΩ〜100kΩにすると丁度良いですね。ここでは100kΩを入れてます。

 さぁ、これで赤で記したCまで行きました。これをHで出力させればバッファ・アンプの完成です。
まずはこれで音が出るかテストしましょう。


 次に後段のブースター部分です。
ブースターを単体で動作させる為には先ほどの入力部分のIN〜Aまでを使いますので
AとDを接続すればいい訳です。

ただし、この実験回路はバッファとブースターを組み合わせても使えるようにしているので
その時はバッファ回路の後からのスタートになります。
その場合はC3の10μFをカップリング・コンデンサにして後段OPアンプの入力に入れます。
ぶっちゃけカップリング・コンデンサが無くても動作したりしますがそれは運が良かっただけで、
前段と後段の電位差が生じて直流が流れてしまうことがあり、そうすると正常に動作しないのです。
しかも、R3の出力抵抗は後段をつなぐ場合にはここは出力ではないので入れません。
R3があると正常に動作しないのです。

このR3の切り替えも付け足せば普通に個別に動作させたり結合して動作させたりできるのですが、
(切り替え=R3をカットするか、GNDじゃなくてバイアスにするかにすれば正常に動作します。)
一度完成した前の回路を崩さずにR3も付けたままカップリングさせてみます。

 要は、カップリング・コンデンサで前段を締めくくれば良いのです。
普通に前段の最初を持ってくると、2台のエフェクターを繋いだのと同じ入力になります。
R2とC2はここでは関係ないので別ですが。

そうすると0.1μFと1kΩをはさむことになりますね。(E〜F)
1kΩは無くても構いませんが、一応後段の入力保護抵抗として入れます。
順番ですが、1kΩが0.1μFの前か後かでどう違うか実験したかったというのもありまして
順番は接続の仕方でどちらでも選べるようにしました。
(実験=R4の抵抗1kΩをはさんだコンデンサの合成容量は抵抗なしでの合成容量と同じでした。)

 要するに、C3とC4でR3をはさんでしまおうということです。
そうすることによってR3があっても正常に動作するようになります。

コンデンサの合成ということですね。そしてそれをカップリング・コンデンサにするということです。

この場合の直列合成容量値C34は

C34=(C3×C4)÷(C3+C4)

になりますので、1÷10.1=0.099 ですね。
おおよそ0.1μFです。

あら不思議。
前段の入力コンデンサと同じ値になってしまうのです。
10μFに0.1μFを加えたのに合計で0.1μFなのです。
面白いですねぇ。

 さてさて無事に結合出来たので非反転増幅回路にいきます。
増幅率は(R5+VR1)÷R5 で決まります。

VR1は0Ω50kΩで可変できる可変抵抗器ですから、
この回路の場合、増幅率は1倍〜6倍の間でコントロールできます。

可変抵抗器を100kΩにすると1倍〜11倍です。このへんは自由です。
ただし上限は1MΩですね。

そしてC5で音質を調整します。
これは無くても構わないことになってるのですが、
私の試行錯誤の結果、ここは0.1μFにするとギターとして原音を崩しませんね。
お好みで定数を変えても構いません。

 あとの出力部分は前段での説明と同じです。


 一応C7〜C8、R7〜R9の説明もしておきますか。
これは9Vという電源から半分の4.5Vのバイアスを作る回路です。
VccからGNDの間に10kΩを直列につなぎ、その真ん中(半分のところ)から取り出した電圧は
9Vの半分の4.5Vになります。

 このバイアスを0VとしてOPアンプの中心電圧に使うことによって初めて
0Vを中心に信号が上下に波を作る波形になって正常な音になります。

バイアスが無いと0Vから下の波形が無くなって信号が正常に伝わらないのです。
C7とC8はデカップリング・コンデンサと言って、リップルを取り除きます。
無くても動作しない訳ではないですけど、あると安定します。
不要な直流をカットしたり、9Vや4.5Vの電圧が一時的に不足するのを防止します。


 これで説明は終わりです。
あとはA〜Hをすべて繋いで「バッファ+ブースター」にもできますし、
E〜Gを切り離してCとHを繋げば「バッファのみ」になりますし、
B〜Cを切り離してAとEを繋げば「ブースターのみ」になります。

もちろんケースに入れれば立派なエフェクターになります。
や、立派かどうか知らんけど(笑)

 もしも、もしも製作してみたい人で(いるのか?)配線の仕方が分からないという人の為に
私が行き当たりばったりに回路図から製作した基板の配線図を置いておきます。



2006.6.17

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