ノーマン・ベイツの
帰できない社会復帰物語

(その1)

まず我々は我らがノーマン・ベイツ氏との極秘単独インタビューに成功した。
場所は当然にベイツモーテル管理人室で、
それはアリゾナ平原から爽やかな風が吹き寄せる、ある初夏の昼下がりのことであった・・
ベイツ氏の顔色は、下の写真のようにごく普通であった。
我々は偏見を持たぬよう気を配った。

質問者: こんにちはノーマン、お加減はいかがですか?
Mr.BATES: わたしは具合がとても良いです。でも・・
質問者: でも?
Mr.BATES: 母さんが、ちょっと風邪気味なんです。食欲がないみたいでミイラみたいに痩せこけてしまって・・それで声がこうなんです「ノーマン!のどぬーるスプレーを買って来ておくれっ!」わわわたしは、あの薬は血みたいでキキ、キライなんですが。
質問者: それは・・お大事に。さて今日伺ったのは1983年にあなたが出所されて以来のことをお話いただくためです。このあたりは「サイコ2」「サイコ3」というドキュメンタリー映画にもなっているのですが、まずはご本人から、と思いまして。
Mr.BATES: 「ノーマン!めんどうなコトには答えなくてもいいよっ!」
質問者: ?なんですか?
Mr.BATES: 失礼。母さんは(Mr.BATESうつむく)・・心配性なんです、わたしのことを心配してくれてます。
質問者: あ、では、続けさせて貰いますが、あなたは1960年、まさにここベイツモーテルの1号室でマリオンクレインという女性を殺害した疑いで逮捕され、その後、精神異常ということで22年間も入院していました。そして83年になって釈放、いいえ退院された。そのいきさつ、理由を話してくれますか?
Mr.BATES: ええ。わたしが退院、いや正確には釈放でしょう、やはりね(寂しげに笑う)。釈放されたのは、わたしが精神異常だからという理由ですよ。
質問者: 誰が判定したのですか?
Mr.BATES: ええレイモンドという精神科医です。彼は言いました「ノーマン、君は精神異常だから大丈夫だ」。彼は不幸なことに母さんとわたしの家、あの隣に建っている屋敷で何者かによって殺されてしまったのですが・・その後でデビッドリンチという異常者の映画監督が作った「ロストハイウェイ」という映画のなかで、エディ、という精神異常の人物になっていました。そこでも彼は殺されましたから、ベイツ屋敷では殺されてはいなかったということになりますね(微笑む)これは異常なことですが。
質問者: ええと、ロバートロッジアという偽名を使ってますね、彼レイモンドは。なるほど異常者の手によってあなたは釈放されてしまったのですね。釈放されて何かつらいことはありましたか?
Mr.BATES: はい、これはつらい思い出です。わたしは街まで出る途中のドライブイン、軽食堂で働くことになりましたが、みんながわたしのことを気味悪がるのです。ここベイツモーテルの管理をしていたトゥミィという男はわたしのことを「人殺し!このサイコ野郎!」と17回も罵ったんですよ! それに・・あのマリオンという女性、母さんが殺めてしまった金髪ショートカットの女性ですが、彼女の妹ライラという女からも「人殺し」呼ばわりされてばかりいました。
[備考]ベイツ氏はナイフを見ると瞳が輝く。22年間の入院中に条件反射療法を施されていたらしい。人権がいかに蹂躙されているか、これでお分かりだろう!

質問者: ライラはヴェラマイルズという偽名も使っていますね。アリダヴァリなみに不気味な女性です・・映画「サイコ2」でそのあたりの事情が描かれていますね。ところで今回のヒロインはメアリーという女だそうですが・・
Mr.BATES: そうです。彼女はわたしと同じ食堂で働いていました。そしてボーイフレンドに部屋を追い出されたと言ってわたしに泣きついてきました・・仕方なくわたしは家に一晩泊めてあげなくてはならなかった・・
質問者: あなたが強引に誘ったのではないですか? 映画を見るとあなたはあの時、両手を上着のポケットに入れて唇の端をニヒルに痙攣させながら往年のノーマン・スマイルを振りまいていたようなのですが・・
Mr.BATES: わたしから誘った、だなんて!
質問者: 違いますか?思い違いでしょうか?
Mr.BATES: わたしが・・彼女を誘った?! おお!なんてことを言うんです!これがもし母さんに知れたら・・
質問者: 失礼、ベイツさん・・そうです、質問者の思い違いでした!すいません、謝ります。ところで彼女メアリーについて、どう思われましたか?
Mr.BATES: 「ノーマン!また女のことかぁい?」
質問者: 失礼・・ノーマンさんご自身にお伺いしてますんで・・
Mr.BATES: 彼女メアリーは、とても勇気ある女性でした。長年の入院生活でわたしはすっかりオカしくなっていたんです、例えばナイフを見ると手に震えが来るとか、それでサンドイッチも切れない、とか・・こうしたことは全て入院生活のせいなのですが。そんなわたしに何くれとなく優しくしてくれたのがメアリーです。
[備考]ノーマンとメアリー。サンドイッチを作ってくれたノーマンに礼も言わず手もつけない。だが雰囲気はいい女である。
質問者: 彼女は「過去から目を背けてはダメよ」とあなたに言ったそうですね
Mr.BATES: そう。そして母さんの部屋のドアをバッっと開けて見せました。中はがらんどうだった・・わたしがとても悲しい思いをした一瞬です
質問者: しかしあの晩メアリーはビクビクものだったんですよ。映画では彼女が、あてがわれた寝室のドアに椅子を立てかけて一睡もしなかった様子が描かれていました。結局、その晩メアリーは家を抜け出して街なかの友人のところに泊まったんですね
Mr.BATES: それは知りませんでした。わたしは覗き見していたんですが・・
質問者: 翌日、あなたはレタスをナイフで切れるようになっています。その・・入院生活の後遺症ですか。それはもう治りかけてきたようでしたが・・
Mr.BATES: ええ、わたしは健全なる社会復帰を目指していました。けれどトゥミィという男が・・
質問者: あなたが入院していた間、ベイツモーテルを管理していた人物ですね?
Mr.BATES: そうです。彼は部屋に麻薬を持ち込んで宿泊者に良くない遊びをさせていたので、わたしは真っ先に彼のクビを切りました・・でも本当にクビを切ったんじゃないですよ、ええと・・正常な人は「免職した」というのでしょうか?
質問者: 正常な人でも「クビを切る」とは言いますね。
Mr.BATES: ああ、安心しました。とにかくトゥミィはわたしがクビを切り落としたことを根に持ってドライヴインに押し掛けると、メアリーに執拗に「お前、あのサイコ野郎と寝たんだろ?ええ?いい趣味してるぜ、お前、何回ヤッたんだ?」などと絡むのです。正しくは一回です。わたしはいつの間にかナイフを手にしていました。いいえレタスを切り刻んでいたのでした。それでトゥミィを脅かしてやりました。わたしの場合ナイフを持っていると危険らしいですね・・
質問者: 正常な人でもナイフを持っている時は危険な場合もありますね・・
Mr.BATES: そしてその晩、またメアリーがやって来て、「泊めて」と。
質問者: あそこでメアリーはあなたに言いましたね「今日はよく我慢したわね、あのトゥミィってヤツ、殺してやりたかったわ」。するとあなたは彼女に答えました「うん。でも今は殺しはやめてる」
Mr.BATES: ああ覚えています。わたしとしてはジョークのつもりでした・
質問者: それからメアリーはシャワーを浴びます。そしてあなたは・・
Mr.BATES: (照れ臭そうに)ええ、隣の部屋から覗いてました。マリオンに比べるとボリウムに欠けたカラダでしたっけ・・なんか黒髪のショートカットで娘っコみたいで、春高バレーの選手みたいでした。
質問者: マリオンはジャネットリー、そしてメアリーはメグティリーという偽名を使うことが多いようです。それに、もともとメアリーの名前「メアリーサミュエルズ」とはマリオンがベイツモーテルに宿泊した時に使った、これも偽名です。
Mr.BATES: 世の中、偽名を使う人たちばかりですね
質問者: そしてメアリーは覗かれていたことも知らずにシャワーを浴びて、ガウンを着て階段を下りてきます。あなたはピアノに向かってベートーベンのソナタ「月光」第一楽章を奏いていました。あなたは背を向けていたので知らないでしょうが、この時メアリーが着ていたガウンは超ミニで、なんというか特殊浴場の制服みたいだったのですよ!
Mr.BATES: 知ってますとも。わたしはそれをケンラッセルという異常者の異常な映画「クライム・オブ・パッション」に出ていたキャスリンターナーという異常な女性から貰い受けていたのです。それをわたしがメアリーに貸したのです。
質問者: そうでしたか!失礼しました。でもノーマン、「クライム・オブ・パッション」は「サイコ2」の翌年、84年の映画ですよ・・
Mr.BATES: ええ。でもその映画ではわたしはアンソニーパーキンスという偽名を使っていたので身元はバレませんでした。
質問者: それは良かったですね!安心しました。ところでノーマン、その後さっきのエディおじさん・・じゃなくてロバートロッジァことレイモンド医師が保安官のところを訪れて、「ノーマン氏に嫌がらせが行われている!犯人はライラ夫人とその娘メアリーだ!」と告発していたのです。これはご存じないでしょう?そして医師は保安官に、あなたの屋敷の電話に盗聴器を仕掛けるようにと進言します。ライラがあなたに、母さんの声色を使って殺人を唆そうとしていたのです。
Mr.BATES: 盗聴器というのがナンセンスな発想ですね。なぜなら母さんの声はわたしの心の中で聞こえるのですから電話とは関係ないのですが。
質問者: そしてベイツ屋敷の窓に不審な人影を見つけたあなたは母さんの部屋に入る・・と、そこは母さんご存命の頃と全く同様に整理整頓されていて、そこに「あの女を殺せ」とメモがありました。
Mr.BATES: 「あれは、母さんが書いたのさっ!お前のためにね、ノーマン!」
質問者: なるほど。さて映画ではそこに麻薬でラリったような若い男女がナンの脈絡もなく登場しベイツ屋敷の地下室でイチャイチャ始めますね。そして白髪頭の大女に追い回されて男が殺され女が逃げる。明らかに殺人です。この殺人事件で保安官がやって来るのですが、現場に行ってみるとそこは綺麗に片づけられていて、あなたの疑いは晴れます。ですが、ここでメアリーが、「自分が片づけた、死体はナニもなかっ」た、と証言します。しかもメアリーはあなたとずっと一緒にいたのだ!と偽証までしました。なぜです?
Mr.BATES: ・・・・・・・・
質問者: ノーマン?
Mr.BATES: あっ失礼!
質問者: 寝ないで下さいよ、まったくもう・・
Mr.BATES: 「あの女はノーマンに気があったのよっ」
質問者: なるほど。確かに次の場面でメアリーはあなたのカラダをマッサージしたりしてますね。ガウンといいマッサージといい、彼女はやはり特殊浴場の関係者だったのでしょうか・・いや、それはそうとライラ夫人は躍起になってあなたを牢獄に送り返そうと画策します。なぜならあなたは危険このうえない犯罪者なのに精神異常だから大丈夫と、釈放されてしまった・・被害者の遺族として、ライラはあなたが許せなかったのですね?
Mr.BATES: そうです。犯罪者の社会復帰とは、このように困難なものなのです。それでトイレの水を流そうとすると便器から血がダクダクと溢れかえってくるといった悪戯をライラはわたしに仕掛けました。わたしは思わず「きっとボクが殺したんだ、だってボクはあの瞬間、記憶がなかったんだから!」と口走りました。
質問者: そしてメアリーは「あなたじゃない!」と叫びます。全ては母ライラと自分が仕組んでいるのよ!と告白しそうになります。このあたり、映画は実にサスペンスフルでした。メアリーは拳銃を片手に母さんの部屋に出入りし、自分の母親ライラを探し求めます。元々「サイコ」という映画は母親の呪縛から逃れられない息子の恐怖がテーマだったのですが、この「サイコ2」は、殺人者への怨念を晴らそうとパラノイアになっている母親の呪縛から逃れられない娘メアリーの葛藤、というモチーフもあるのです。そこがとても興味深いことです。そこにはモチーフの対位法があったのです・・
Mr.BATES: まるでAヒッチコックと対談するフランソワトリュフォーのような言い回しですね(微笑む)
質問者: やっと分かってくれましたか! しかもメアリーが拳銃を持っていることを知ったあなたは、こういうセリフを言いました「それは、ボクから身を守るためのものなんだね・・」これはとても悲痛でした!
Mr.BATES: まあ・・そうですね。でも、わたしはナイフの方が得意ですから、接近戦では互角だと思いますよ。
質問者: 夜になってメアリーは寝てしまいます。あなたはそのベッドの周りをウロウロしながら、時折りナイフで彼女を刺し殺すような真似をします。なぜです?
Mr.BATES: さあ・・きっと、どこを刺したら楽しいか、想像を巡らしていたんだと思います。ああ、そうだ、思い出した。母さんがチーズサンドに挟むハムを一切れ欲しがっていたので、オッパイかフトモモか、迷っていたのでした・
[備考]結局、オッパイに決めたようである。だがその胸は薄い。母性探求の道はまだまだ続きそうである。

質問者: チーズサンドですか。そういえばメアリーは血走ったあなたの瞳を見つめると哀れになって、あなたを抱きますね。そしてあなたは「いい匂いだ、母さんの作ってくれたチーズサンドを思い出すよ」と言いました。それはメアリーことメグティリーが「フェーム」という異常なダンスパラノイア映画でチーズサンドばかり食べていたことと関係があるように、わたしには思えたものでした。さて、ノーマン、いよいよ佳境に入ってきます。ライラは、なかなか保安官があなたを逮捕しない・・つまりなかなか自分の思い通りに行かないので、ベイツ屋敷に乗り込んできます。そこをレイモンド医師が尾行します。そしてレイモンド医師はあなたに、ついに、「ライラとメアリーは親子であり、親子であなたを精神錯乱に陥れようとしている!」と告げるのです。
Mr.BATES: ええ。でもわたしは精神異常です。異常のうえに錯乱したら、困ります。
質問者: でもそれで治るかもしれません・・さて、その頃にはもうすっかり、あなたは、やっぱりこれはすべてボクの母さんの仕業だ、と思うようになります。
Mr.BATES: 「そーだよ!アタシのシワザだョ!」
質問者: そしてノーマン、あなたは暴かれたベイツ夫人の墓穴を見ます。確かにボクの母さんは死んでいるんだ、と確認するためです。あの時、どういうお気持ちでしたか?
Mr.BATES: クソ喰うぜ・・
質問者: 失礼?
Mr.BATES: 失礼・・空即是色、と言おうとしたのですが舌が痺れました。
[備考]この映画サイコ2ではやたらに電話が掛かってくる。そのたびに、おおいにビビるノーマン、哀れ!

質問者: どうも。そしてあなたのところに電話が掛かってくる。ライラからの無言電話です。あなたはやはり、てっきり母さんからの電話だと思って「うん、うん、わかった、彼女を殺す」などと答えます。メアリーは二階の子機を使ってその会話を確かめますが、相手は無言で、あなたが「メアリーを殺すよ」などと喋っているばかりなのです。メアリーは思いあまって、子機からあなたに向かって話しかけました「ノーマン!あたしが本当の母さんだよ!電話を切りなさい!早く、このニセ電話を切りなさい!」・・あなたはついに、いよいよ母さんの声を聞いてしまったのです!このことが引き起こす狂気と錯乱には、胸を抉られる思いがしたものです!
Mr.BATES: (不思議そうに)わたしはまだ胸を抉ったことはありません・・どんな気持ちですか?
質問者: はい、タンが切れたみたいです・・いや、そしてメアリーはついに、自分の母ライラが全てを仕組んでいること、自分もイヤイヤそれに従っていること、でももうライラの指示には従わないということをあなたに表明します。
Mr.BATES: 母さんの言うことには従うものですよ。メアリーも無分別な女性でした・・
質問者: 保安官がまたやって来て「沼に来い」と。懐かしの「あの沼」ですね。またチェーンで自動車を引き上げると、トランクの中からは例のトゥミィと地下室で殺された少年の死体とが転がり出てきます。けれど保安官はレイモンド医師からライラ・メアリー親子の悪巧みを聞かされていたので、あなたには帰れ、と言い、メアリーに疑念を向けます。
[備考]メアリーはノーマンを愛したのか?哀れに思っただけなのか?この映画のテーマとは何か?
上のシーンだけでは、この映画のテーマは
「白髪の抜き方」であるが・・
Mr.BATES: あの沼には特別な思い出があるんですよ。後でご案内します。なにしろわたしはあそこで実際に泳いだんですからね・・
質問者: ああ、それは「サイコ3」での話ですね、あとで伺います・・それでノーマン、あなたはあそこに死体かあったことを知って、いかがでしたか?
Mr.BATES: うーん。そのうち沼がいっぱいになっちゃうなって心配しました。
質問者: そうですか。さて、ライラはベイツ屋敷の地下室に潜入し、隠してあった白髪のカツラと老婆の衣装を取り出そうとします。ところが!背後から忍び寄った大女がライラに向かってナイフをグサリっと・・
Mr.BATES: 正確には「サクッ」と、でしたね。大口を開けて叫ぼうとしたので、その口の中に刺し込んでやったんです。見事、喉を通過しました。ディープスロートですね。
質問者: ライラを尾行していたレイモンド医師はライラはてっきり屋敷の中だと思って、彼もベイツ屋敷に入ってきます・・
Mr.BATES: まったく人の家をナンと思っているでしょうね。この家は出入りが多すぎるのです。今ではユニバーサルスタジオで、毎日何千人というお客さんが来ているのですよ!
質問者: そうでした!さて、レイモンド医師はあなたに「ライラがここに来ている、気を付けろ」と忠告しますね。「すべてはライラとメアリーが仕組んでいるぞ!」と。それに対してあなたは「いいやボクの母さんのシワザさ」と答えます。医師は「いやライラ親子だ」あなた「・・そうですね」医師「それでいい」あなた「(ボソリと)ちぇっ分かっちゃねーな」。
Mr.BATES: だって既にライラは殺されているのですからね。レイモンド医師はちゃんと映画を見ていたのでしょうか?
質問者: それは疑問です。だって医師はここ、モーテルの管理人室でライラの行方を考えていたのですからね。
Mr.BATES: そうだったんですか、それは知りませんでした。
質問者: さて。あなたはまたピアノに向かい、ベートーベンの、今度はソナタ「悲愴」を奏きます。上手ですね。
Mr.BATES: ああ。わたしはピアノは弾きませんよ。
質問者: でもちゃんと弾いてましたけど??
Mr.BATES: あれは母さんが弾いているのです・・
質問者: なるほど!ところで、メアリーは沼から死体があがったことで、あなたに「一緒に逃げよう」と迫ります。けれどあなたは「あれは母さんがボクのためにしてくれたことだ」と言って、逃げようとしません。そればかりか、あなたはメアリーを殺そうとします・・
Mr.BATES: ですがあれは母さんがしようとしたことですよ
質問者: そうでした!ごめんなさい、すっかり混乱してしまいました!そして・・あなたはメアリーに詰め寄り、メアリーはナイフを取り上げ、そしてあの階段の踊り場で向こうから飛び出してきた人影を刺してしまう!けれどそれはレイモンド医師だったのです!
Mr.BATES: ええと・・アーボカストという探偵を覚えていますか?
質問者: もちろんですとも!マリオンクレイン殺しがあった1960年に、真相を調べにベイツ屋敷を訪れた探偵で、あなたに・・いいえ母さんに刺し殺されましたっけ。それがなにか?
Mr.BATES: いいえ。階段と言ったので思い出しただけです。あの階段には特別な思い出があります。モリーンがあんなことになったのも、あの階段を転げ落ちたからでした・・
質問者: あっ!それはネタバレです。その話は「サイコ3」の時にいたしましょう。ところでレイモンドを刺してしまいメアリーはパニックになる。あなたはメアリーを追いかけ、メアリーは最後の手段と、地下室に下りていって、ライラが隠しておいたカツラと老婆の扮装を着込み、あなたに、「やめなあさい!」と母さんのフリをして叫びます。ところが!あなたはメアリーに襲いかかる・・
Mr.BATES: 楽しい思い出です・・
質問者: あなたは恐れおののいたメアリーにあちこち斬りつけられます・・
Mr.BATES: 大変だ、母さん!血だ!血だ!って感じですねえ・・
質問者: そしてあなたがガラガラと石炭の山を突き崩してしまうと、そこに隠されていたライラの死体が覗けてしまう。逆上したメアリーはあなたに殺意を抱き、ナイフを振りかざす!
Mr.BATES: バァ〜ン!(楽しそうに)
質問者: そう!そこへ保安官が来たのでした!保安官は、あなたを殺そうとしてナイフを振り上げたメアリーを射殺するのですね!しかもメアリーは老婆の扮装をしている。これですっかり、全てはライラとメアリーの仕業だったということが立証されたのです。あなたは一件の被害者というわけでした。
Mr.BATES: あの幕切れは、胸がスッとしましたね。わたしも大好きな結末です。
質問者: まったくです!でもこれで映画が終わったわけではありません。最後にエピローグがついています。ノーマン、あなたのところに「本当の母親」を名乗る人物がやって来たのです。覚えておいでですか?
Mr.BATES: ええ。まあね・・。いや、あまりよく覚えてないのですよ。それにこれは「サイコ3」の方でお話した方がよくはないですか?
質問者: ああ・・なるほど、おっしゃる通りですね。ちょっとわたしも興奮してしまいました。
Mr.BATES: お茶でも召し上がりますか?
質問者: ありがとうございます。いただきます。
Mr.BATES: じゃ休憩することにしましょう。用意してきます・・

カメラマンの方を厳しく一瞥すると、
ベイツ氏はお茶の支度をしに屋敷に向かっていった。
だがインタビューには、一貫して始終極めて穏やかに語り口で、
好感のもてる微笑とともに応じてくれた。
こんな好人物が、どうして社会復帰出来ないのだろう? 
いみじくも保安官は語っていた「ノーマンばかりがオカシナ奴じゃないさ」と。
そして我々はベイツ氏の有名なセリフを思い出すのである
「母さんは、ちょっと、時々具合が悪くなるんだ・・誰だって時々、具合が悪くなるだろ?」

これはマリオンに言われた言葉であるが、我々はこれをキモに銘じておかねばならない。
それにしてもメアリーは初々しく、なかなかヨカッた。
サイコ女優のなかでは異色の可憐さであり、
またその芯の強さと状況を把握していないワケの分からなさが旨く溶け合っていた。
彼女のキャリアの初期においてこの傑作「サイコ2」に登場したことは、
正しい選択であったと言えよう。
さてベイツ氏はなかなか戻って来ない・・・・とりあえず、休憩である。

(その2)は、かみんぐす〜ん である。
今しばらく待たれよ!


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