「珍説世界史パートT」1981年アメリカ


メル・ブルックス監督 メル・ブルックス マデリーン・カーン

「この映画は、スペイン宗教裁判のエピソードだけでも、見る価値はある。とにかく、ありとあらゆる人に見てほしいんだ。これが本当のショウだよ(笑)」
「まあ全編エンターテイメント・ショーだったね」
「ブルックス監督にしては、今回の映画はまあ大掛かりで、金もかけていて、でも完全にハチャメチャにノリまくっていて、隅から隅まで爆笑できる」
「まあ・・だから特に、見終わって話すこともないんだけど、やっぱり宗教裁判かなあ一番よく覚えているのは(笑)」
「完全無欠だよ・・シンクロが始まるあたりからもう笑い死にしそうでね」
「それに比べるとローマ時代のエピソードは、ちょっとパンチが効いてなかったような気もするけど・・ちょっと長かったっていうか」
「えっ(笑)そんなことはないよ!あそこはこの映画のお色気ムードを盤石の態勢で見せるための、大人の時間帯だったんだよ(笑)」
「はいはい。わたしはレスリー・ニールセンのナンだっけ?ローマ帝国モノを思い出したの。結局二人のやってることはかなり近いんだしね」
「そうかなあ。まあ<ドラキュラ>で二人がガップリ組んだことは、僕もとても嬉しかったけどね・・で、それはともかく、この<パートT>は世界中でウケて、早くパートUが観たいっていう声が世界中からブルックス監督のもとに届いたそうなんだけど、それを<メル・ブルックスの大脱走>みたいなかたちで取り上げて旧友Aジョンソン監督の仕事にしてくれたってところがブルックスのファンサービスであり変わり身の早さでもあるという気がするね」
「なんだか、狩刈くんはブルックス監督にかけてはいっつもベタほめで(笑)。でもラスト、パートUの予告編のヒトラー・オン・アイス(笑)の路線は確かに次の<大脱走>なのね」
「パロディってのは、イキのいい二番煎じが命脈で、旬てものがあるでしょ。なのになぜ急に古めかしいエルンスト・ルビッチの傑作を仲間内でパロディしたのか?ってことを考えると、これはこの<世界史>の発想の延長に<生きるべきか死すべきか>を置いてみたんじゃないかなって思うわけ」
「ルイ16世そっくりさんとヒトラーそっくりさん、ということね」
「その通り。それにブルックス自身ユダヤ系だしね」
「ところで、いつもながら俳優たちが演技を楽しんでいるっていうのがすごく心地よい・・特に今回はエチオピアの125ストリートから来たグレゴリー・ハインズね。彼の、さりげなくちょっとやって見せたっていうようなタップ」
一芸秀でる俳優を軽やかに使ってショウに仕立て上げるのがまさにブルックス監督の才能なんだ。<逆転人生>のテデイ・ウィルソンの渋くて存在感ある役どころなんかも実は見事だったし、あとマルセル・マルソーとか。ほかに勿論怪優みたいなのも使うしね。ただ居るだけだけど」
「あと観るべきものは?セリフかなあ。この映画は出来れば旨い吹き替えで観てみたいっていう気もするの」
「セリフの端々が小気味よくてね・・」
「名言も多いの(笑) It's good to be the king!
「ははあ、それを言うなら僕はアルタミラ洞窟で人類最初の絵画を描いている原始人のところに登場するアレ(笑)。また、そういうナレーションをオーソン・ウェルズ御大がイマイマしげに語る、というようなギャグの奥深さ(笑)」
「そこまでウラ読みする?」
「したくなる・・ブルックス監督のヒューマンな眼差しは、この映画のラストのルイ16世のギロチン場面によく出ていたよね。あわやというところで替え玉は助かる。その助かり方がまた、さもありなんて感じで、いいんだよなあ」
「はいはい。それじゃ次は・・<ロビンフッド>でも観てみましょ」
「その前にケビン・コスナーのやつの方を観といてね」(2000.2.21)

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