「ワグ・ザ・ドッグ」1997年アメリカ



バリーレヴィンソン監督 ロバートデニーロ ダスティンホフマン

「愚作<スリーパーズ>のレヴィンソン監督が、今度は同じ名優二人をがっぷり四つに組ませて撮った、まあこれはコメディ小品だね」
「二人が芝居をしているというだけで、それなりに見せてくれたし、そこは良かった」
「(笑)ということは、何かご不満でも?」
「別に、不満ないよ(笑)選挙中の大統領がセクハラ事件を起こして、あと投票まで2週間、いかにこの事件から国民の目をそらせるか?」
「そこで事件のもみ消し屋デニーロが登場して、映画プロデューサーのホフマンと組んで、ニュースの中だけの見せかけの戦争を起こそうというわけだけど、僕は、ジョン・ウー監督作品の切れ端でも使ってニュースに流すのかと思っちゃった(笑)」
「ストーリーはシンプルでテンポもいいし、最初から飛ばしてくれて、そこは乗れたの」
「実際、政治なんてテレビニュースで出来てるんだから、今さらバーチャルってもんの仕掛けを披露してくれても・・まあそうかな、という気はした。僕らの現実って要するにテレビの作り出した現実にすぎないんだしね」
「ヤラセのニュース映像を流して、本当に国民が戦争だ!と信じるかどうかは、また別のテーマだと思うの。わたしが面白いと思ったのは、これ、実は狩刈くんの言うような政治とバーチャル云々とかの映画じゃなくて、ハリウッド映画のプロデューサーに関する映画だってこと」
「ははあ・・なるほどね。そういう見方か」
「映画は明らかにホワイトハウスの舞台裏じゃなくハリウッドの内幕を描いてるでしょ。敏腕プロデューサーがいて、その号令一下に抜きんでたタレントたちが結集してモノを造っていく、その喜びと迫力みたいなもの。それがこの映画の最初の方の魅力だって感じたなあ」
「そのモノっていうのは、現実でもあり政治でもあり、例えば感動でもあり・・というような、創意工夫のショービジネスそのものという意味だね」
「そうなの。Dホフマンの口癖、This is nothing! っていうのには、とても惹きつけられた」
「彼は歩く名言集みたいな男だ(笑)、端々に映画プロデューサーらしい皮肉と断言があって、もの凄く笑えた。それに比べるとデニーロの方はちょっと肉が薄い感じはした。確かにこれは普段は裏方に回っているプロデューサーの暴走についての映画だね(笑)」
「しかも恨みと悪意に満ちた、結末(笑)」
「舌出してるみたいな(笑)・・でも途中の古靴軍曹のエピソードでテンポが落ちたのは、残念だった。僕らの先入観もいけないんだろうけど、最近のハリウッドコメディは手が込みすぎていて、ネタが多いっていうかな。シンプルで力強くグイグイ魅せるってもんが少ない気がする。別に軍曹が凶悪犯でなくても良かったはず。ここらは脚本が頼りないよね」
「どんな映画にしたいのかが、すぐに分からないのよね。その点、この映画の開幕は良かったとは思うの。でも後半は、あと一山、盛り返しが欲しかった」
「それは女史の言ったような、モノを造る喜びと迫力が薄らいでしまったからだね」
「後半も、そこに向かってほしかったの・・ウィリーネルソンとか、みんな全員で(爆)」(1999.6.13)


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